【実話】私は人生を諦めた〜教育委員会の対応〜

美和

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ラストスパート、その先にあるものは?

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三学期が年度最後だ。とにかく乗り切るしかない。

生徒には二学期の頃からずっと言われいた言葉がある。

「顔色悪いけど大丈夫?」

そう、ずっと無理を続けていたのだった。生徒の手前で弱音を吐く事はできない。その場で大丈夫と答える。それは三学期になっても同じだった。

ラストスパートの中には大変な事もあった。試験問題を私自身で作成する事だ。三田教諭や安田教諭がメインで行う仕事なはず…。しかし、発言権の無い会議の中で、安田教諭は私にその仕事を押し付けた。

授業は、彼等が前年に考えてきたもの。自分で考えたものではないので、試験問題は作成は過去を参考にしていく。

とにかく、授業で行った内容の要点を押さえる。そして、去年の問題と比較をして、ベースはそのままで改良をする事にした。

ここは教科主任の三田教諭を頼り、様々な事を教えてもらいながら作成できた。普段から仕事を教えてくれたら良かったのだが、年上の安田教諭の手前、自分が率先して仕事を教えていく訳にはいかなかったのだろう。

自分が作成した試験問題を生徒が解答していく。採点をしていく中で、嬉しい事もあった。平均点は高いものであり、不真面目な生徒もしっかりと要点を理解していた。

問題の難易度は低いものではあったけれど、赤点を出す事なく、一年間を終える事ができる。教えてきた甲斐があったと実感した。

年度末に校長から呼び出しがあった。来年度についてだった。

「来年度の予定は考えていますか?」

「採用試験の勉強に専念します」

「そうですか。私としては来年も引き続き勤務して欲しかったのですが…」

角が立たないように丁寧に来年度の契約を断った。既に体調が悪く、また一年を繰り返せるだけの体力が残っていないと自分で分かっていたからだ。

無事に、生徒が一年を終えた。そして、私の仕事も終わった。

「一年間ありがとうございました」

安田教諭と三田教諭に挨拶をして、跡を濁さずに全てを終わらせた。そうして私の教員人生は終わった。

しかし、これで全てが終わった訳ではなかった。当時はまだ、少し休んでから教員として復帰する気持ちがあったからだ。
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