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26 作戦名は?
しおりを挟む今日も森田家の家庭訪問日である。
いつもの様にリンは彩香の部屋に通され、今は彩香との相談が整ったところである。
「彩ちゃん、大丈夫? 先生が付いてるから、頑張ってやってみてくれる?」
「あやか、だいじょうぶだよ。だって、せんせいがいるもん」
「ありがとう、彩ちゃん。何かあったら先生が絶対に守ってあげるからね」
リンの心には些かの揺るぎもない。
然し、リンの中のぺペンギンは、かなり動揺している。
(ほんまに大丈夫なんやろか? 何んかあったら僕も全力で彩ちゃん守るつもりやけど)
かくして、作戦は始まったのである。作戦名は? そんなことに拘っている場合では無いのである。
今日は作戦の決行日。
日曜日のお昼時である。
リンは彩香を連れて公園に遊びに行っている。
民生はリンが訪問して来た時にヘラヘラと笑いながら挨拶をしに出て来たきり、自室に篭って出てくる様子もない。
圭子は、珈琲を淹れてテレビを見ている。
休日の落ち着いた時間の様にも見える。
民生が四畳半の自室で本を読んでいる時だった。
けたたましくドアが開けられ、
「彩ちゃんが大変です!」
とリンがリビングへ飛び込んでいく様子が伺われる。
「まあ! どうしたの!」
「はい、彩ちゃんがブランコで遊んでいたら、急に気を失ったみたいになって、ブランコから落ちて頭を打ったんです」
リビングに入ってきた民生は目を大きく開いて立ち竦んでいる。
「兎に角、今は動かさないのが懸命です。お母様は直ぐにお布団を運んできてください。それと清潔な、いえ洗い立てのタオルも」
彩香の額からは一筋の鮮血が流れている。
「落ち着いてください。私は看護師の免許も持っています」
そう言いながらリンは彩香に軽くウインクする。
そして両親には見えない様に小声で囁く。
「彩ちゃん、絶対に守ってあげるから、よろしくね」
リンの声が聞こえてはいるが、彩香は言われた通り気を失ったふりをしている。
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