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28 最終会議
しおりを挟むまた、今日も園内で会議が開かれている。
相変わらずリンは、がくりと肩を落としたままである。
「で、統括教授、大丈夫ですか?」
「大丈夫って? どないもこないもあるかい! こいつめっちゃ危険な武器やないかい! 全宇宙のリーサル・ウエポンじゃ!」
と頭に包帯を巻いたまま、マルセリーノはリンを翼指して言う。
「然し、優れ者でもあります」
「アホか! こいつのせいで僕、何回壁に激突してんねん」
「お気の毒です」
「気・の・毒? このどアホが! そう言う問題ちゃうやろが!」
「で、首尾はいかがでしたか?」
「あ、それね。いや、あかんみたいや」
「彩さんの心は?」
「それは、なんとか僕が守ってあげてんけどな、あいつら夫婦はあかんわ。手の施しようがないわ」
「統括教授、それでも、よく頑張られました」
「まぁな、そらぁ僕かって、やれるだけの事はやったよ。さーて、これからどういう作戦で行くか? 会議せなあかんなと思うねんけどな」
リンの肩が徐々に持ち上がって来ているのを2匹のペンギンは気付いていない。
「まぁ、今回の作戦もやで、僕が最初から手ぇ出してたらな、もっと上手いこと運んで行けたと思うねんで」
「そうですか、では今回のリンさんは、あまりお役に立てなかった様ですね」
「いや、そんなことはないよ。せやけどな、僕やったらもっと上手い事な、事態を進めて行けたと思うねん。まぁ、リンはリンなりによう頑張ったとは思うで。せやけどな・・・。」
「せやけど?」
「いや・・・。別に・・・。」
タッタリアは気付いていないが、マルセリーノは、目が徐々に輝き始めているリンの目を横目でチラチラと気にしている。
「そのな・・・。あのな・・・。」
その後の言葉を促そうとするタッタリアの代わりをリンが務めた。
「せやけど? 何んでしょうか? マルセリーノ統括教授? 続けてくださいませんか?」
リンの声が静かに、そして力強く、2匹のペペンギンを制圧した。
「そのな、あのな、では分かりませんよ? マルセリーノ・統・括・教・授?」
「ごめん! 悪かった! いやね、頭痛がね、ちょーっとね、頭の働きをね、鈍らせてたみたいなのね」
「あら、それはお気の毒なことですわ。もう一度、後頭部を壁に激突させれば治るかもしれませんわね。勿論、壁じゃなくても良いのですよ。例えば、そこにあるテーブルの角とか?」
マルセリーノは素早くリンの近くから飛び退いた。
それは素晴らしいくらいの瞬発力であった。
「あら、マルセリーノ統括教授、どうなされました? ま、そこでじっとしているならそれでよし。黙って聞いてくださいね! 多分、マルセリーノ統括教授は、どいいう訳か途中で気を失っておいでの様でしたので、その後のことはご存知ないと思いますから説明させていただきますが? よろしいですか? どうしたんですか? そんなに緊張なさらなくても良いのですよ? マルセリーノ・統・括・教・授?」
「はい、僕、お話し聞くのだーい好き!」
まるで彩香のモノマネをしているような素直なぺペンギンは今、正座をしている。
「ではですね。マルセリーノ統括教授が失神している間に、私達3人は会話をする時間を持つことができました。とても簡単なことだったのですよ。ご主人の民生さんは、奥様の圭子さんを怒鳴り、その後、反省しましたが・・・。原因は、謝らなかったことですの。奥様に優しく接するのは良いのですが、奥様としては優しくされるよりも謝って欲しかった。それだけですの。それはもう一生懸命に謝罪されましたよ。謝罪されるたびに奥様の心の扉が徐々に開いていきました。それは、後で彩ちゃんに聞けば分かると思います。最後は4人でお茶を飲み、それはそれは楽しい時間でしたわ。分かりますか? マルセリーノ・統・括・教・授? それを何んですか! 折角作戦が予定通りに進行している途中で、突然私から飛び出して行く暴挙。壁に激突するくらいで済んで良かったですわ。でも、どうして? わざわざ自分から壁に向かって飛んで行ったのか? 今持って不思議ですの? マルセリーノ・統・括・教・授?」
リンの瞳が、これ以上は無い、と思われるくらいに輝いた。
「はい、自分から壁に向かって飛んで激突しました! 報告書にもそのように書きます!」
「流石はマルセリーノ統括教授! その名前の意味は、宇宙一純粋な者。とても素敵なお名前ですわ」
「で、それでは?」
と言ったのはタッタリアである。
「勿論です。お父さんとお母さんが仲良くしてくれますようにという彩ちゃんの願いは叶えられました」
「リン様、この度はお疲れ様でした」タッタリア。
「リン様、この度はお疲れ様でした」マルセリーノ。
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