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31 ほな、さいなら、やで。
しおりを挟む「ここよ」
と母親らしき女性が指さす。
「へぇー、ここかぁ」
と父親らしき男が頷く。
彼女は休日だけのアルバイトの帰りに見つけた保育園を眺める。
「私、此処に決めたわ。此処に預けたら平日も働けるもの」
「そんなに頑張らなくてもいいよ」
と夫は答えるが、
「いいの、私、此処に預けてみたいの」
と妻が言いながら、門に刻んである園名を見るように促す。夫の目が明らかに輝く。
「うん、きっと良いことがありそうな気がするよ」
小さな保育園の赤い屋根の下の窓の奥に、女性らしき人影がちらりと映る。未だ出来たばかりの保育園なのであろう。
園児は居なく、保育士が一人、事務仕事をしている様に見える。
母親は3歳になった娘に満面の笑顔を浮かべてハッキリと言う。
「華ちゃん、此処でいっぱいお友達作ろうね」
「うん、おともだち、いっぱいつくる!」
その元気一杯の声を聞きながら、夫が帰りを促すと、妻は再び娘の耳に唇を近づけて言う。
「じゃ、保育園さんにお別れの挨拶しようね」
「うん」
と娘は答えて、可愛い声でお別れの挨拶をする。
「ほな、さいならー、やでー」
娘の挨拶に続いて、母親と父親も大きな声で挨拶をする。
「古本屋保育園さーん、さいならー、やでー」
保育園の門から3人の笑い声が遠ざかっていく。
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