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16 金色の瞳、壁の門
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沸騰した大きな釜の湯を前にして、二人の男女は、お互いの目を見つめ合い、静かに頷くと、視線を釜の湯に戻した。
そして、互いに片手を目に当てると、躊躇いもなく指先を目の中に入れ、その金色に輝く瞳をえぐり出し、釜の中へ投げ入れた。
すると、湯気は輝き出し、真っ直ぐに天空へと向かった。
一直線に空に向かう光は、壁の中にいる白い瞳の兵士達を更に振るい上がらせた。
静かに真っ直ぐに伸びた光が消えていくと、何事も無かったように釜の中の湯は透き通った水に変わっていた。
既に片目だけになった金色の瞳を持つ少女が、肩を矢が貫いたであろう兵士に、その傷口に釜の水を注ぐとみるみるうちに傷口は塞がり、元の逞しい肩に戻っていった。
そして金色の瞳を持つ少女は言う、
「私達は、この水で赤い花の花粉から身を守ってきた。この水はあらゆる傷と病を癒す。さぁ、動ける者はこの水を掬い、その傷に塗りなさい。動けぬ者には私がそこまで行き、この水を注ごう」
完了
16 壁の門
二人は、紅い瞳と灰色の瞳を持つ民達を残して、高い壁の一つしかない大きな門へ歩いて行った。
そして門の前まで来ると、
「私達は、この戦を止めに来た。門を開けなさい」
と片目だけになった金色の瞳を持つ若者が、もう片方の眼窩から血を流しながら叫ぶように、壁の向こうの民に大声で語りかけた。
暫く待っていたが、静かなままであったので少女が語りかけようとした時、門の上の壁から一本の矢が飛んできた。
その瞬間、少女の前を一頭の獣が駆け抜けた。
矢は、飛び出して来た細く長い一本の角を持つ獣の喉を貫いた。
少女の前を数歩遠ざかって、獣は大きな音を立てて倒れた。
少女はその獣のそばへ寄り、喉から矢を抜き、瞳を抜き出した眼窩から流れ出る鮮血を傷口に塗った。
暫くすると、獣は大きく鼻を鳴らし首を振ると立ち上がり、何事も無かったかのように歩き出した。
少女は残された瞳で門の上を睨むと、また一本の矢が彼女を目掛けて放たれた。
然し、その矢は空中で急に角度を変えて、あらぬ方向へと飛び去って行った。
門の前で弓を持った金色の瞳の若者が居た。
彼の放った矢は的確に、白い瞳の兵士の放った矢にあたった。
少女は、毅然とした態度で門の中の者達に大きな声で語りかけた。
「私達には空を飛ぶ乗り物がある、あなた方の矢が届かない上空から、的確にあなた方一人一人を射抜くことが出来る。それでも最初からそうしなかったのは何故か分かる者がいるのか。さぁ、門を開けなさい」
彼女が叫び終わると、暫くしてゆっくりと、その巨大な門が開き始めた。
そして、互いに片手を目に当てると、躊躇いもなく指先を目の中に入れ、その金色に輝く瞳をえぐり出し、釜の中へ投げ入れた。
すると、湯気は輝き出し、真っ直ぐに天空へと向かった。
一直線に空に向かう光は、壁の中にいる白い瞳の兵士達を更に振るい上がらせた。
静かに真っ直ぐに伸びた光が消えていくと、何事も無かったように釜の中の湯は透き通った水に変わっていた。
既に片目だけになった金色の瞳を持つ少女が、肩を矢が貫いたであろう兵士に、その傷口に釜の水を注ぐとみるみるうちに傷口は塞がり、元の逞しい肩に戻っていった。
そして金色の瞳を持つ少女は言う、
「私達は、この水で赤い花の花粉から身を守ってきた。この水はあらゆる傷と病を癒す。さぁ、動ける者はこの水を掬い、その傷に塗りなさい。動けぬ者には私がそこまで行き、この水を注ごう」
完了
16 壁の門
二人は、紅い瞳と灰色の瞳を持つ民達を残して、高い壁の一つしかない大きな門へ歩いて行った。
そして門の前まで来ると、
「私達は、この戦を止めに来た。門を開けなさい」
と片目だけになった金色の瞳を持つ若者が、もう片方の眼窩から血を流しながら叫ぶように、壁の向こうの民に大声で語りかけた。
暫く待っていたが、静かなままであったので少女が語りかけようとした時、門の上の壁から一本の矢が飛んできた。
その瞬間、少女の前を一頭の獣が駆け抜けた。
矢は、飛び出して来た細く長い一本の角を持つ獣の喉を貫いた。
少女の前を数歩遠ざかって、獣は大きな音を立てて倒れた。
少女はその獣のそばへ寄り、喉から矢を抜き、瞳を抜き出した眼窩から流れ出る鮮血を傷口に塗った。
暫くすると、獣は大きく鼻を鳴らし首を振ると立ち上がり、何事も無かったかのように歩き出した。
少女は残された瞳で門の上を睨むと、また一本の矢が彼女を目掛けて放たれた。
然し、その矢は空中で急に角度を変えて、あらぬ方向へと飛び去って行った。
門の前で弓を持った金色の瞳の若者が居た。
彼の放った矢は的確に、白い瞳の兵士の放った矢にあたった。
少女は、毅然とした態度で門の中の者達に大きな声で語りかけた。
「私達には空を飛ぶ乗り物がある、あなた方の矢が届かない上空から、的確にあなた方一人一人を射抜くことが出来る。それでも最初からそうしなかったのは何故か分かる者がいるのか。さぁ、門を開けなさい」
彼女が叫び終わると、暫くしてゆっくりと、その巨大な門が開き始めた。
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