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8 エリオット
しおりを挟む太陽が真上に向いた頃に、水だけの休憩を取り、再び歩き始めた。
「もともと妖魔は岩山に棲み、人里に降りて来て妖を使い、病を流行らせ、裕福なものと貧民の差を作り、時には国と国の争いを作ってきた」
とパステルナークが語り出す。
「では、全ての病、貧富の差、戦、は全て妖魔の仕業ということか」
ロルカが問う。
「奴等は自ら手を出したりしない、人を欺き、人を使って世を混乱に導く」
「妖魔は何故、そのような事をする」
「奴等は人の苦しみや悲しみが喜びである。また嘆きの魂が餌となる。然しそれは今までの事。岩山の王と名乗る奴が来てからは、頻繁に妖魔達が人里に降りて来るようになった。奴の名はポー。今、この国は妖魔達で溢れている」
それきり話は無く、黙って歩いて行くと、村が見えて来た。
ロルカ達は村に入り、村の中央へと向かって歩いた。
其処にはこの村人達のためのものであろう、共同の井戸があり、ちょうど一人の少女が水を汲んでいるところだった。
少女は髪が腰ほどまである大人の女達と違い、肩よりも少し上くらいで切り揃えられていた。
ロルカは空になったもう一本の水筒に水を分けてもらおうと井戸の近くまで行くと、
「止まれ、其処から近づくな」
と驚くほど鋭い声で少女が言った。
それは、もはや少女の声とは思えなかった。
ロルカは言われた通り立ち止まると、
「エリオット、久しぶりだな」
と剣が喋った。
然し、少女は驚きもせずに。
「貴様、何者だ。何故、私の名を知っている」
「私を忘れたか」
「おのれ、妖の類か!」
そういうと少女は、汲んだ水ごと桶をロルカに投げつけた。
投げつけられた水桶は、正確にロルカの顔面へと飛んできた。
ロルカは首だけを横にして桶を避けたが、目の前の少女は其処に居ず、いつの間にかロルカの背後に回っていた。
獣以上の俊敏さである。
そして少女は問う。
「妖魔とも思えぬ。貴様、何者だ」
ロルカは何も答えず、剣が答える。
「私を忘れたのか、念通力を使って私を見よ」
そう剣が言うと少女は我に帰ったように、
「まさか、パステルナーク様」
「まだまだ、だな」
その言葉を聞いて、少女はロルカの前に周り跪き、頭を下げた。
「お久しゅうございます」
「挨拶は要らない、私は生きているが、すでに分かったように、この姿だ。手も足もなく、この騎士と旅をしている」
「こちらの? 然し、どうして? 失礼ではございますが、このような俊敏さに欠ける者と」
「あはは、そうでもないぞ。ここへ来る途中に、この騎士は妖魔を2体斬っている」
「本当ですか・・・。」
少女は不思議そうな顔をして、やっとロルカと目を合わせた。
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