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27 その後
しおりを挟む最近は毎晩ぺペンギンさんの晩酌のお供をさせてもらっている。
と言っても、もともとお酒を飲む訳でもない。
だから、晩酌のお供をさせてもらってると言っても、発泡酒500ml一缶だけだ。
おかげで少ない給料でも少しづつではあるが、貯金もできていたのに、今は生きるだけでカツカツだ。
「ねぇ、ぺペンギンさん。今は生きるだけで充分だ、って言ってたじゃないですか」
「うん、言うたで」
「生きるだけで良いのでしょうかねぇ」
「なんと! お前の口から、そのような言葉が」
「いえ、駄目だと言ってるのではないのですけどね」
「ふむふむ」
「なんかねぇ」
「ふむふむ」
「・・・・・・・。」
「なんか、物足りひんようになって来たとか」
「どうなのでしょうねぇ」
「教えたろか」
「久々に」
「あのな、何でお前がそんな気持ちになってきたか教えたろか」
「久しぶりにお願いします」
「それな、お前、希望に触れてしもうたからや」
「希望、か、・・・」
「うん、今は落ち着いて来たから言うけど、葉子ちゃんのことな、あん時、お前は生を実感してたんやないかな」
「ええ、今でも思い出すと辛いですけど。確かに生きるって素晴らしいこともあるんだなって」
「それな、希望に触れてしもたんや。それまで、どうでもええ生き方やとまでは言わへんけど、生きてることに満足できてたら、それだけでええ、って言う生き方してたやん。でもな、一回、希望に触れてもうたら、どうしても、それだけではあかんようになってしまうねん。苦しい時、悲しい時、辛い時、いろいろあると思うけど、そこから這い上がろうとしてる時は、物足りひんもんなんてないかもしらん。人はな、何かを与えられた時、すっげー喜ぶねん。でもそれを失った時、めっちゃ物足りひんように思うてしまうねん。もともと無いものやのに。与えられたものが、どれだけ大切なものやったかは、それを無くした時に解るようになるもんや。今のお前がそうやろ? 遼太郎。無いところに何かを与えられて、与えられたものがなくなった時、まるで全てを失ったかのように嘆く、そんなもんやと思わへん?」
「はい」
「うん、お前が今まで生きてきた生活はな、自死に失敗してから、無いものから始まった生活を続けて来ててん。もともと無いねんから、失うものもない。最初から希望もないから欲しがる事もない。でも、葉子ちゃんが現れてからお前は変わり始めた。違うか?」
「いいえ、いや、はい、そうです」
「そう。お前は与えられたんや。一瞬やけど幸せをな。お前かって与えられることもあるんや。残念やけど、それを失ってもうたけどな」
「・・・・・・・。」
「そろそろや、随分回り道してもうたけど、回り道は人生の近道でもある。そろそろや、探してみいひんか? 希望、って言うやつを。お前のためのお前の場所を、希望を持って、死ぬ前に見つけてみたらどうや?」
「辛いです」
「それは、やっとお前が感性を表面から内部に届けれるようになったからや」
「・・・・・・。」
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