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1巻
1-3
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「うおっ、何だこれ!?」
スポンジで擦った壁の部分だけ、ドロドロの汚れがこびり付いた茶黒の色から、真新しい壁のようになっているではないか!
元々、こんなに汚れが落ちたっけ?
スポンジと壁を何度も見比べながら、僕は恐る恐るスポンジで違う部分を擦ってみる。
するとまたしても、大して力を入れているわけでもないのに、頑固な汚れがスルスルスルリと取れていき、綺麗な壁が見えてくる。
力を入れなくてもここまで綺麗になると分かると、俄然やる気が出てきた!
小さくなって使えなくなったスポンジを新しいのに変えて、台所中の頑固な汚れをスポンジで撃退していく。
壁を綺麗にした後は換気扇部分を掃除する。そして穴が開いている鍋や割れた食器はゴミ袋へ入れて、使えそうな鍋や包丁、食器や水切りカゴ、それに台所にある水栓やシンク、ワークトップやコンロのような所をスポンジを使って磨き上げ続けた。
そして……
ふぅっと息を吐き出しながら腰に手を当てて台所を見れば、あの腐海だった台所が見違えるように綺麗になっていた。
最後に、ゴミや使えなさそうな食器や鍋を入れておいたゴミ袋の口を結んで外に一旦出して、床の掃除に取りかかる。
スポンジの袋を見れば、残りはほんの僅か。
「よっしゃ、あと少しで終わるぞ!」
僕は気合を入れ直して床にしゃがみ込む。
しかし、本当に力を入れずに汚れや錆や焦げが取れるから、この仕事が楽しくなりつつあった。
でもやっぱり、これは汚れ落ちすぎだよな? と疑問に思っているうちに、床の掃除も簡単に終わっていたのであった。
「やっと終わったぁ~」
額に滲む汗を腕で拭いながら立ち上がり、辺りを見回す。
ドロドロネバネバガッチガチにこびり付いていたものはなくなり、腐敗臭が漂っていた腐海は、綺麗な台所へと戻っていた。
薄暗かった台所の中が、明るくなったような気さえする。
「ケント君、そろそろ三時間だけど、休憩でも――って、うえぇぇぇえぇっ!?」
掃除の終わった台所にフェリスさんが入ってきたと思ったら、台所の中を見て驚愕した。
「あ、フェリスさん。ちょうど掃除が終わったところです」
「えっ、えぇ!? あの、ケント君」
「はい?」
「これ……一人でやったの? こんな短時間で?」
「は、はい」
僕がそうだと頷けば、フェリスさんは興奮して僕の肩を掴んでくる。
「どんな魔法を使ったの!?」
華奢な見た目に反して、意外と力が強いですね。
肩が痛いわーと思いながら、魔法は使っていないこと、普通に自力でやったことを伝えると、「あの惨状をここまで綺麗にしてくれるなんて」とフェリスさんは感動していた。
「フェリスさん。台所で料理をした時、道具や食器は使い終わったら洗う。生ゴミは溜めないですぐに捨てる。汚れたら拭く。これを皆さんで徹底してください。そうすれば、いつでも綺麗に使えますよ?」
「いやぁ~、おっしゃる通りです。気を付けます」
フェリスさんは長い耳をへにゃっと倒しながらそう言うと、ポケットから一枚の名刺サイズほどの紙とペンを取り出す。
そしてそれに何かを書き込んでから、僕に渡してきた。
依頼――達成
報酬――1500レン+報酬上乗せ金3000レン
紙には、そんな文字が書かれていた。
「えっと……?」
「これは依頼達成カード。ギルドの窓口に提出すれば報酬金が貰えるんです。今回は、ある程度片付けられればいいと思っていたくらいなんですけど、たった数時間でここまで綺麗になるなんて思ってませんでした」
フェリスさんは台所の中を見回しながら、もう一度僕を見ると、にこりと笑う。
「私が思っていた以上の結果を出してくれたから、報酬金を上乗せしました」
たった三時間台所の掃除をしただけで4500レン!
めっちゃいいバイト!
や、普通にタワシで掃除してたら無理な作業だったけど……本当スポンジ様々だ。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、こちらこそお掃除ありがとうございます。また何かあったらよろしくね」
「はいっ!」
こうして、好調な出だしでギルドの仕事を終えることが出来たのであった。
ギルドへと戻った僕は、窓口で依頼達成カードを職員さんに渡す。
職員さんはお疲れ様でしたと言いながら僕からカードを受け取ると、報酬は現金か、それともギルドカードの中へ直接送るかと聞いてきた。
半々ずつに分けてもらえるか聞いてみたら、それも出来ると言われたので、そうしてもらう。
職員さんは机の上に刻まれている魔法陣の上に依頼達成カードを載せると、呪文を唱える。
すると、カードが魔法陣の上で溶けるように消え、次の瞬間には革袋が載っていた。
「今回、報酬金4500レンを、現金とギルドカードへと半分ずつ分けました。ご確認ください」
「あ、はい」
ギルドカードを取り出して確認すると、確かにカードの端に『2250レン』という文字が追加されている。次に革袋の中を調べると、きちんと金額分が入っていた。
「はい。確かに、入っています」
「それでは、本日はお疲れ様でした。次回もよろしくお願いいたします」
お金が入った袋を持ってホクホクしながらギルドを出る。
アッギスさんの厚意で紹介してもらった寮の仕事は、まだ給料が出ていないので、今回が実質異世界での初給料だ。
今回は思ったより多く報酬金が出たけど、いつもそうだとは限らない。
だから、自分が出来る範囲の依頼を多くこなし、お金を貯められるだけ貯める。
そして、ある程度お金が貯まったら、狭くてもいいから住める家を探す。
これを今後の目標にしよう。
――そう思っていたのだが。
それから半年が経った頃、僕はまたしても噴水広場のど真ん中で途方に暮れていた。
パーティへの加入
初めての依頼を終えた後、目標を持った僕は自分が出来る範囲内の依頼を多く受けて、報酬金を貯められるだけ貯めていった。
実直に働く姿を見た依頼人やギルド職員に、徐々にではあったがいい評価を貰うことが出来ていたと思う。
毎日依頼を受けに来るうちにギルド職員さんとも顔馴染みになった頃、Bランクで雑用係を探しているパーティがいるから、もしよければそこへ入るのはどうかと提案された。住み込みも出来ると言われたので、僕はすぐにその提案を受け入れたのだった。
それからの流れは早く、アッギスさんには大変お世話になったと感謝を伝え、独身寮の人達にも挨拶をしてから、あっという間に新たな職場――Bランクパーティ『龍の息吹』へと移った。
龍の息吹は十人ぐらいの男女からなるパーティで、雑用しか出来ない僕にも温かく接してくれる人達が多かった。
僕が入った時は、Aランクの人が四人いて、残りの人達が全員Bランク。
龍の息吹がBランクパーティからAランクパーティになるには、雑用以外の全員がAランクにならなくてはならず、長らくBランクパーティで停滞しているらしい。
僕の仕事はシンプルだ。まず、彼らがダンジョンに行く時に、ダンジョンの手前や魔獣の討伐現場近くにまで付いて行く。そして必要な道具や武器を準備したり、怪我をして戦線離脱して来た人へ回復薬を渡したり、戦闘後は持てるだけの荷物を持って帰ったり、といった戦闘以外の雑用をする。
それと、魔獣の討伐依頼や、ダンジョン探索、それに長い護衛の任務などで疲弊していた彼らの為に、別の仕事もしていた。こっそり『ショッピング』で買った裁縫道具で、武器や防具の手入れをし、破けた服の修繕を出来る範囲でやっていたのだ。
他にも『ショッピング』で家の掃除道具を仕入れては、常に室内を綺麗に保ったり……そうして慣れない仕事を頑張れば頑張るほど、パーティの皆の力が増していくようだった。
もしかしすると、僕がこことは違う異世界の道具を使っているからかもしれない。
あ、食事については、彼らは外で食べる習慣があるらしく、作る必要が無かった。
僕は外に出ている屋台で食べ物を買ってきては、『ショッピング』で買った醤油を垂らして食べてたよ。ビバ醤油!
そうそう、自分の時間も作れたので、ギルドでDランクの仕事をこなしてCランクにも上がれた。昇級試験の依頼って、子守りや犬の散歩、脱走した猫の捕獲や壁の修理とかで、簡単だったんだよね。
それに、自分で稼いだお金とパーティから支給されたお金を合わせると、生活に必要な金額以上になり、タブレット内のポイントがかなり貯まっていて、心の中ではニヤニヤしてしまった。
更に、ある日アプリの『情報』を見たら、自分のレベルが4に上がっていたこともあって、龍の息吹に入ってからいいこと尽くめだと喜んだ。
このまま順調にレベルが上がってお金も貯まれば、『ショッピング』のレベルを上げてもっと高い買い物が出来るようになるだろう。『情報』の中にある、今は黒塗りになっていて見られない部分も表示されるようになるはず……そう考えていた。
ところが、僕を取り巻く状況の変化は徐々に始まっていた。
実力がつくにつれて皆のランクが上がり、避けては通れない問題が出てきたのだ。
それは、危険なダンジョンへ赴くことが多くなり、今までのように彼らについて行ってサポートすることが難しくなってきた、というもの。
今まではそんなに難度が高くない初級~中級ダンジョン深層手前辺りへ行っていたが、皆のランクが高くなれば、難度が高い上級ダンジョンで討伐依頼を請け負うことが多くなる。
上級ダンジョンともなると、入口付近でも強い魔獣が出てくる場合があるので、ランクが低い者――つまり、Cランクの僕にとってはかなり危険で、彼らのサポートどころか足手纏いになっていた。
そうなると、家の中を掃除したり彼らが使う道具を磨いたりするくらいしか、やることがない。
彼らが危険な場所へ行って戦った報酬金の一部は、もちろん僕にも入ってくるし、手取りも今までより多くなる。
結果、家で掃除洗濯や道具の手入れをしているだけで金が手に入る僕のことを、よく思わない人がチラホラと出てきた。
まぁ、そう考えるのもしょうがない。
もし自分が反対の立場だったら……同じように思っていたかもしれないからだ。
龍の息吹のリーダーや今までよくしてくれた人達は、気にしなくてもいいと言ってくれた。
だけど僕自身が、パーティにこのまま居続けることが申し訳なく思うようになってきて……
僕は自主的に龍の息吹から出ることにした。
短い期間だったけど、彼らと一緒に仕事が出来てよかったと思う。
少ない荷物を纏め、今まで世話になったことの感謝を伝えてからパーティの拠点を出たのが――一時間前の出来事であった。
ベンチに深く腰掛け、ボーッと夕陽を眺めながら溜息を吐く。
これからどうしようか……
住み込みで働いていたから、またしても家なき子状態に舞い戻ってしまった。
龍の息吹に在籍していたおかげで、ある程度お金は貯まっている。
といっても、新居を探すには時間がかかるだろうから、それまでは宿に泊まらなければならない。お金だって無限じゃないのだ。
貯金を切り崩す生活を続けて、いざ何かあった時――たとえば病気をした時にお金が足りなくなったら、かなり痛い。
かといって、またアッギスさんに独身寮で雇ってくださいとお願いしても、受け入れてもらえる保証はないに等しい。
あれから時間も経っているんだ、もう既に誰か違う人を雇っているだろうし。
「はぁ~。本当、どうしたもんかね……」
うがーっと頭を掻きむしろうとした時――
「あれ、そこにいるのは……」
背後から聞こえてきた声に振り向いた僕は、目を見開いた。
「……あ」
「やっぱりそうだ! ケント君、ここで何をしているんですか?」
あの腐海な台所を作り上げた家の住人の一人である美人エルフが、笑いながら僕を見下ろしていたのだ。
「――そんなことがあったのね」
立ち話もなんだからと近くのカフェに移動してお茶を奢ってもらった僕は、つい自分の境遇をフェリスさんに話していた。
彼女は話をうんうんと聞きながら、六人くらいで食べそうなサイズのホールケーキを一人でバクバク食べていたが、食べる所作は美しい。
速攻でホールケーキを完食したフェリスさんは、ナプキンで口元を拭いた後、「ケント君が落ち込む必要は一切無い」と言う。
ちなみに彼女は、僕の話を聞くうちに敬語が外れていた。
「……そう、でしょうか」
「そうよ。いい? 非戦闘員には非戦闘員の仕事が、戦闘員には戦闘員の仕事があるの。ケント君は非戦闘員としてそのパーティに入ったのだから、気に病む必要なんて一切ないわ。ケント君が彼らのサポートを一生懸命していたからこそ、それまで万全の状態で依頼を――仕事をすることが出来ていたんだから」
自信満々に言い切るフェリスさんを見ていると、僕の中に燻っていた感情が晴れるような気がした。
「……フェリスさんにそう言ってもらえて、気が楽になりました。ありがとうございます」
頭を下げると、気にしないでと手を振られる。
「それよりケント君、これからどうするか決まっているの?」
「あ~……実は、何も決まっていません」
決まってないどころか、住む家さえも無い!
途方に暮れていると、「それじゃあ」と言いながらフェリスさんが手を叩いた。
「ねぇ、ケント君」
「はい?」
「ケント君はどこかのパーティに入る予定はある?」
「いえ、これから探そうと思ってますが……」
「本当? なら、ケント君さえよければ私達のパーティに入らない?」
「えっ!?」
「ただいま~!」
僕の腕を掴んで、あのボロっちい家の玄関を開けたフェリスさんは、元気な声を出しながら部屋の中に入っていく。
鼻歌を歌いつつ、僕を連れてどんどん家の中へ入っていく彼女に、僕は慌てた。
「あ、あの、フェリスさん? 急に僕を連れてきたりして、フェリスさんの仲間――『暁』の皆さんに怒られるんじゃ……」
そう、彼女はBランクパーティ『暁』のリーダーだというのだ。
「大丈夫! 私がリーダーだからね、嫌とは言わせないわ。嫌なら出ていけ、よ!」
独裁かっ!?
と心の中で突っ込んでいると、フェリスさんは広間の扉を開き、中にいた人達に笑顔で告げる。
「皆、新しい仲間がふ・え・た・よぉ~♪」
すると、広間で寛いでいたらしい二人の人物がこちらに目を向ける。
以前ここに来た時には見かけなかった人達だ。
一人は、おかっぱ頭に眼鏡を掛けた、僕と同じような年代の少年だった。
分厚い辞典のような本から顔を上げて、フェリスさんを呆れた表情で見ている。
もう一人は、ソファーの上で寝っ転がっている細身の男性だ。
見た感じはひょろっとしてそうだけど、捲っている袖口から覗く腕や、ピタッとしているシャツから見える腹には、ガッチリとした筋肉がついている。
「……あぁ? フェリス、お前、食材を買いに行ったはずなのに、何で子供なんかを連れてきてるんだよ」
包帯のような赤い布で頭部を適当に覆い、黒くて長い髪が特徴的な彼は、もう一人の少年と同じく呆れた表情でフェリスさんを見ている。
そんな彼らの視線なんて気にした様子もなく、フェリスさんは「他の二人は?」と辺りを見回しながら聞く。
するとちょうど、二階へと続く階段の方から声が聞こえた。
「大声で何を言ってるのかと思って下りてみれば……一体どういうこと?」
「…………」
そちらへ視線を向けると、二人の人物――たぶん、フェリスさんが探していた人達が僕達の方へ向かってきていた。
フェリスさんが清楚系美女なら、その人はグラマラス美女と言えるだろう。
長くて緩くウェーブがかかった蜂蜜色の髪を持ち、大きな胸をこれでもかと見せ付ける扇情的な服を着た女性が、気怠げな感じでこちらを見ていた。
もう一人は、めっちゃ生真面目そうな顔をした男性だ。
短い髪を後ろに撫でつけ、服も、もう一人の男性と違って着崩していない。
フェリスさんは皆が揃うと、僕の肩を掴んで宣言する。
「皆、この子が今日から暁のメンバーになるケント君です! 以前台所の掃除をしてくれた子よ。ちなみに、龍の息吹を今日抜けたってことでスカウトしました!」
最初はどうでもよさそうな感じでフェリスさんの話を聞いていた彼らは、台所のくだりのあたりから興味を持ちだしたようだ。
「あの台所を綺麗にした子か?」
「龍の息吹といえば、ここ最近頭角を現してきたパーティだろ?」
「あぁ、そういえばそんなパーティがあったな。でも、急に強くなったって言われてなかったか?」
「どうやったのか、ギルドの奴らも首を傾げてたな」
頭をぐるぐる巻きにした男性と、キッチリ服を着込んだ男性が話し合っていると、メガネっ子は何も言わずに、また本に視線を落として読み始める。
グラマラス美女が首を傾げながら僕の方を見て問いかけてきた。
「坊やは前のパーティでは何をしていたの?」
「僕は……ランクがCなので雑用をしていました。皆が使っていた防具や服の手入れだったり、家の中の掃除だったり……」
そう伝えると、フェリスさんは、だから僕に声をかけたのだと言う。
「ほら、私達って洗濯や掃除や炊事をしたりするの、壊滅的じゃない? だけどケント君がいてくれたら、それが解決する!」
「フェリスが仲間に入れるって言うなら、私は反対しないわ。まぁ、皆も同じだと思うけど」
グラマラス美女はそう言うと、自分の豊かな胸の上に手を当てながら、「グレイシスよ、よろしくね」と妖艶に微笑む。
お胸にしか視線が行きませんが、よろしくお願いします。
「おぅ、俺はラグラーだ」
ラグラーと名乗るぐるぐる巻きの男性は、片手を上げて掌をヒラヒラと振る。
「ケルヴィンだ。よろしく」
キッチリした男性は胸に握り拳を当てながら、目礼をする。
「…………」
最後のメガネっ子は、紙に何かを書いてからそれを僕に見せる。
紙には『クルゥだよ。よろしくね、ケント』と書かれていた。
すると、すぐにフェリスさんからフォローが入る。
「あ、クルゥは事情があって話すことが出来ないの。その代わり筆談で会話をするから」
「そうなんですね。……あの、皆さんが快適な生活を送れるようにしたいと思いますので、してほしいことや逆にしてほしくないことがあったら、何でも言ってくださいね」
頭を下げると、フェリスさんは僕の背中を豪快に叩きながら、声を上げる。
「さっ! 新しい仲間も入ったことだし、夕食を兼ねた歓迎会でも開きましょ!」
こうして、僕は『暁』の一員になったのだった。
スポンジで擦った壁の部分だけ、ドロドロの汚れがこびり付いた茶黒の色から、真新しい壁のようになっているではないか!
元々、こんなに汚れが落ちたっけ?
スポンジと壁を何度も見比べながら、僕は恐る恐るスポンジで違う部分を擦ってみる。
するとまたしても、大して力を入れているわけでもないのに、頑固な汚れがスルスルスルリと取れていき、綺麗な壁が見えてくる。
力を入れなくてもここまで綺麗になると分かると、俄然やる気が出てきた!
小さくなって使えなくなったスポンジを新しいのに変えて、台所中の頑固な汚れをスポンジで撃退していく。
壁を綺麗にした後は換気扇部分を掃除する。そして穴が開いている鍋や割れた食器はゴミ袋へ入れて、使えそうな鍋や包丁、食器や水切りカゴ、それに台所にある水栓やシンク、ワークトップやコンロのような所をスポンジを使って磨き上げ続けた。
そして……
ふぅっと息を吐き出しながら腰に手を当てて台所を見れば、あの腐海だった台所が見違えるように綺麗になっていた。
最後に、ゴミや使えなさそうな食器や鍋を入れておいたゴミ袋の口を結んで外に一旦出して、床の掃除に取りかかる。
スポンジの袋を見れば、残りはほんの僅か。
「よっしゃ、あと少しで終わるぞ!」
僕は気合を入れ直して床にしゃがみ込む。
しかし、本当に力を入れずに汚れや錆や焦げが取れるから、この仕事が楽しくなりつつあった。
でもやっぱり、これは汚れ落ちすぎだよな? と疑問に思っているうちに、床の掃除も簡単に終わっていたのであった。
「やっと終わったぁ~」
額に滲む汗を腕で拭いながら立ち上がり、辺りを見回す。
ドロドロネバネバガッチガチにこびり付いていたものはなくなり、腐敗臭が漂っていた腐海は、綺麗な台所へと戻っていた。
薄暗かった台所の中が、明るくなったような気さえする。
「ケント君、そろそろ三時間だけど、休憩でも――って、うえぇぇぇえぇっ!?」
掃除の終わった台所にフェリスさんが入ってきたと思ったら、台所の中を見て驚愕した。
「あ、フェリスさん。ちょうど掃除が終わったところです」
「えっ、えぇ!? あの、ケント君」
「はい?」
「これ……一人でやったの? こんな短時間で?」
「は、はい」
僕がそうだと頷けば、フェリスさんは興奮して僕の肩を掴んでくる。
「どんな魔法を使ったの!?」
華奢な見た目に反して、意外と力が強いですね。
肩が痛いわーと思いながら、魔法は使っていないこと、普通に自力でやったことを伝えると、「あの惨状をここまで綺麗にしてくれるなんて」とフェリスさんは感動していた。
「フェリスさん。台所で料理をした時、道具や食器は使い終わったら洗う。生ゴミは溜めないですぐに捨てる。汚れたら拭く。これを皆さんで徹底してください。そうすれば、いつでも綺麗に使えますよ?」
「いやぁ~、おっしゃる通りです。気を付けます」
フェリスさんは長い耳をへにゃっと倒しながらそう言うと、ポケットから一枚の名刺サイズほどの紙とペンを取り出す。
そしてそれに何かを書き込んでから、僕に渡してきた。
依頼――達成
報酬――1500レン+報酬上乗せ金3000レン
紙には、そんな文字が書かれていた。
「えっと……?」
「これは依頼達成カード。ギルドの窓口に提出すれば報酬金が貰えるんです。今回は、ある程度片付けられればいいと思っていたくらいなんですけど、たった数時間でここまで綺麗になるなんて思ってませんでした」
フェリスさんは台所の中を見回しながら、もう一度僕を見ると、にこりと笑う。
「私が思っていた以上の結果を出してくれたから、報酬金を上乗せしました」
たった三時間台所の掃除をしただけで4500レン!
めっちゃいいバイト!
や、普通にタワシで掃除してたら無理な作業だったけど……本当スポンジ様々だ。
「あ、ありがとうございます!」
「いえいえ、こちらこそお掃除ありがとうございます。また何かあったらよろしくね」
「はいっ!」
こうして、好調な出だしでギルドの仕事を終えることが出来たのであった。
ギルドへと戻った僕は、窓口で依頼達成カードを職員さんに渡す。
職員さんはお疲れ様でしたと言いながら僕からカードを受け取ると、報酬は現金か、それともギルドカードの中へ直接送るかと聞いてきた。
半々ずつに分けてもらえるか聞いてみたら、それも出来ると言われたので、そうしてもらう。
職員さんは机の上に刻まれている魔法陣の上に依頼達成カードを載せると、呪文を唱える。
すると、カードが魔法陣の上で溶けるように消え、次の瞬間には革袋が載っていた。
「今回、報酬金4500レンを、現金とギルドカードへと半分ずつ分けました。ご確認ください」
「あ、はい」
ギルドカードを取り出して確認すると、確かにカードの端に『2250レン』という文字が追加されている。次に革袋の中を調べると、きちんと金額分が入っていた。
「はい。確かに、入っています」
「それでは、本日はお疲れ様でした。次回もよろしくお願いいたします」
お金が入った袋を持ってホクホクしながらギルドを出る。
アッギスさんの厚意で紹介してもらった寮の仕事は、まだ給料が出ていないので、今回が実質異世界での初給料だ。
今回は思ったより多く報酬金が出たけど、いつもそうだとは限らない。
だから、自分が出来る範囲の依頼を多くこなし、お金を貯められるだけ貯める。
そして、ある程度お金が貯まったら、狭くてもいいから住める家を探す。
これを今後の目標にしよう。
――そう思っていたのだが。
それから半年が経った頃、僕はまたしても噴水広場のど真ん中で途方に暮れていた。
パーティへの加入
初めての依頼を終えた後、目標を持った僕は自分が出来る範囲内の依頼を多く受けて、報酬金を貯められるだけ貯めていった。
実直に働く姿を見た依頼人やギルド職員に、徐々にではあったがいい評価を貰うことが出来ていたと思う。
毎日依頼を受けに来るうちにギルド職員さんとも顔馴染みになった頃、Bランクで雑用係を探しているパーティがいるから、もしよければそこへ入るのはどうかと提案された。住み込みも出来ると言われたので、僕はすぐにその提案を受け入れたのだった。
それからの流れは早く、アッギスさんには大変お世話になったと感謝を伝え、独身寮の人達にも挨拶をしてから、あっという間に新たな職場――Bランクパーティ『龍の息吹』へと移った。
龍の息吹は十人ぐらいの男女からなるパーティで、雑用しか出来ない僕にも温かく接してくれる人達が多かった。
僕が入った時は、Aランクの人が四人いて、残りの人達が全員Bランク。
龍の息吹がBランクパーティからAランクパーティになるには、雑用以外の全員がAランクにならなくてはならず、長らくBランクパーティで停滞しているらしい。
僕の仕事はシンプルだ。まず、彼らがダンジョンに行く時に、ダンジョンの手前や魔獣の討伐現場近くにまで付いて行く。そして必要な道具や武器を準備したり、怪我をして戦線離脱して来た人へ回復薬を渡したり、戦闘後は持てるだけの荷物を持って帰ったり、といった戦闘以外の雑用をする。
それと、魔獣の討伐依頼や、ダンジョン探索、それに長い護衛の任務などで疲弊していた彼らの為に、別の仕事もしていた。こっそり『ショッピング』で買った裁縫道具で、武器や防具の手入れをし、破けた服の修繕を出来る範囲でやっていたのだ。
他にも『ショッピング』で家の掃除道具を仕入れては、常に室内を綺麗に保ったり……そうして慣れない仕事を頑張れば頑張るほど、パーティの皆の力が増していくようだった。
もしかしすると、僕がこことは違う異世界の道具を使っているからかもしれない。
あ、食事については、彼らは外で食べる習慣があるらしく、作る必要が無かった。
僕は外に出ている屋台で食べ物を買ってきては、『ショッピング』で買った醤油を垂らして食べてたよ。ビバ醤油!
そうそう、自分の時間も作れたので、ギルドでDランクの仕事をこなしてCランクにも上がれた。昇級試験の依頼って、子守りや犬の散歩、脱走した猫の捕獲や壁の修理とかで、簡単だったんだよね。
それに、自分で稼いだお金とパーティから支給されたお金を合わせると、生活に必要な金額以上になり、タブレット内のポイントがかなり貯まっていて、心の中ではニヤニヤしてしまった。
更に、ある日アプリの『情報』を見たら、自分のレベルが4に上がっていたこともあって、龍の息吹に入ってからいいこと尽くめだと喜んだ。
このまま順調にレベルが上がってお金も貯まれば、『ショッピング』のレベルを上げてもっと高い買い物が出来るようになるだろう。『情報』の中にある、今は黒塗りになっていて見られない部分も表示されるようになるはず……そう考えていた。
ところが、僕を取り巻く状況の変化は徐々に始まっていた。
実力がつくにつれて皆のランクが上がり、避けては通れない問題が出てきたのだ。
それは、危険なダンジョンへ赴くことが多くなり、今までのように彼らについて行ってサポートすることが難しくなってきた、というもの。
今まではそんなに難度が高くない初級~中級ダンジョン深層手前辺りへ行っていたが、皆のランクが高くなれば、難度が高い上級ダンジョンで討伐依頼を請け負うことが多くなる。
上級ダンジョンともなると、入口付近でも強い魔獣が出てくる場合があるので、ランクが低い者――つまり、Cランクの僕にとってはかなり危険で、彼らのサポートどころか足手纏いになっていた。
そうなると、家の中を掃除したり彼らが使う道具を磨いたりするくらいしか、やることがない。
彼らが危険な場所へ行って戦った報酬金の一部は、もちろん僕にも入ってくるし、手取りも今までより多くなる。
結果、家で掃除洗濯や道具の手入れをしているだけで金が手に入る僕のことを、よく思わない人がチラホラと出てきた。
まぁ、そう考えるのもしょうがない。
もし自分が反対の立場だったら……同じように思っていたかもしれないからだ。
龍の息吹のリーダーや今までよくしてくれた人達は、気にしなくてもいいと言ってくれた。
だけど僕自身が、パーティにこのまま居続けることが申し訳なく思うようになってきて……
僕は自主的に龍の息吹から出ることにした。
短い期間だったけど、彼らと一緒に仕事が出来てよかったと思う。
少ない荷物を纏め、今まで世話になったことの感謝を伝えてからパーティの拠点を出たのが――一時間前の出来事であった。
ベンチに深く腰掛け、ボーッと夕陽を眺めながら溜息を吐く。
これからどうしようか……
住み込みで働いていたから、またしても家なき子状態に舞い戻ってしまった。
龍の息吹に在籍していたおかげで、ある程度お金は貯まっている。
といっても、新居を探すには時間がかかるだろうから、それまでは宿に泊まらなければならない。お金だって無限じゃないのだ。
貯金を切り崩す生活を続けて、いざ何かあった時――たとえば病気をした時にお金が足りなくなったら、かなり痛い。
かといって、またアッギスさんに独身寮で雇ってくださいとお願いしても、受け入れてもらえる保証はないに等しい。
あれから時間も経っているんだ、もう既に誰か違う人を雇っているだろうし。
「はぁ~。本当、どうしたもんかね……」
うがーっと頭を掻きむしろうとした時――
「あれ、そこにいるのは……」
背後から聞こえてきた声に振り向いた僕は、目を見開いた。
「……あ」
「やっぱりそうだ! ケント君、ここで何をしているんですか?」
あの腐海な台所を作り上げた家の住人の一人である美人エルフが、笑いながら僕を見下ろしていたのだ。
「――そんなことがあったのね」
立ち話もなんだからと近くのカフェに移動してお茶を奢ってもらった僕は、つい自分の境遇をフェリスさんに話していた。
彼女は話をうんうんと聞きながら、六人くらいで食べそうなサイズのホールケーキを一人でバクバク食べていたが、食べる所作は美しい。
速攻でホールケーキを完食したフェリスさんは、ナプキンで口元を拭いた後、「ケント君が落ち込む必要は一切無い」と言う。
ちなみに彼女は、僕の話を聞くうちに敬語が外れていた。
「……そう、でしょうか」
「そうよ。いい? 非戦闘員には非戦闘員の仕事が、戦闘員には戦闘員の仕事があるの。ケント君は非戦闘員としてそのパーティに入ったのだから、気に病む必要なんて一切ないわ。ケント君が彼らのサポートを一生懸命していたからこそ、それまで万全の状態で依頼を――仕事をすることが出来ていたんだから」
自信満々に言い切るフェリスさんを見ていると、僕の中に燻っていた感情が晴れるような気がした。
「……フェリスさんにそう言ってもらえて、気が楽になりました。ありがとうございます」
頭を下げると、気にしないでと手を振られる。
「それよりケント君、これからどうするか決まっているの?」
「あ~……実は、何も決まっていません」
決まってないどころか、住む家さえも無い!
途方に暮れていると、「それじゃあ」と言いながらフェリスさんが手を叩いた。
「ねぇ、ケント君」
「はい?」
「ケント君はどこかのパーティに入る予定はある?」
「いえ、これから探そうと思ってますが……」
「本当? なら、ケント君さえよければ私達のパーティに入らない?」
「えっ!?」
「ただいま~!」
僕の腕を掴んで、あのボロっちい家の玄関を開けたフェリスさんは、元気な声を出しながら部屋の中に入っていく。
鼻歌を歌いつつ、僕を連れてどんどん家の中へ入っていく彼女に、僕は慌てた。
「あ、あの、フェリスさん? 急に僕を連れてきたりして、フェリスさんの仲間――『暁』の皆さんに怒られるんじゃ……」
そう、彼女はBランクパーティ『暁』のリーダーだというのだ。
「大丈夫! 私がリーダーだからね、嫌とは言わせないわ。嫌なら出ていけ、よ!」
独裁かっ!?
と心の中で突っ込んでいると、フェリスさんは広間の扉を開き、中にいた人達に笑顔で告げる。
「皆、新しい仲間がふ・え・た・よぉ~♪」
すると、広間で寛いでいたらしい二人の人物がこちらに目を向ける。
以前ここに来た時には見かけなかった人達だ。
一人は、おかっぱ頭に眼鏡を掛けた、僕と同じような年代の少年だった。
分厚い辞典のような本から顔を上げて、フェリスさんを呆れた表情で見ている。
もう一人は、ソファーの上で寝っ転がっている細身の男性だ。
見た感じはひょろっとしてそうだけど、捲っている袖口から覗く腕や、ピタッとしているシャツから見える腹には、ガッチリとした筋肉がついている。
「……あぁ? フェリス、お前、食材を買いに行ったはずなのに、何で子供なんかを連れてきてるんだよ」
包帯のような赤い布で頭部を適当に覆い、黒くて長い髪が特徴的な彼は、もう一人の少年と同じく呆れた表情でフェリスさんを見ている。
そんな彼らの視線なんて気にした様子もなく、フェリスさんは「他の二人は?」と辺りを見回しながら聞く。
するとちょうど、二階へと続く階段の方から声が聞こえた。
「大声で何を言ってるのかと思って下りてみれば……一体どういうこと?」
「…………」
そちらへ視線を向けると、二人の人物――たぶん、フェリスさんが探していた人達が僕達の方へ向かってきていた。
フェリスさんが清楚系美女なら、その人はグラマラス美女と言えるだろう。
長くて緩くウェーブがかかった蜂蜜色の髪を持ち、大きな胸をこれでもかと見せ付ける扇情的な服を着た女性が、気怠げな感じでこちらを見ていた。
もう一人は、めっちゃ生真面目そうな顔をした男性だ。
短い髪を後ろに撫でつけ、服も、もう一人の男性と違って着崩していない。
フェリスさんは皆が揃うと、僕の肩を掴んで宣言する。
「皆、この子が今日から暁のメンバーになるケント君です! 以前台所の掃除をしてくれた子よ。ちなみに、龍の息吹を今日抜けたってことでスカウトしました!」
最初はどうでもよさそうな感じでフェリスさんの話を聞いていた彼らは、台所のくだりのあたりから興味を持ちだしたようだ。
「あの台所を綺麗にした子か?」
「龍の息吹といえば、ここ最近頭角を現してきたパーティだろ?」
「あぁ、そういえばそんなパーティがあったな。でも、急に強くなったって言われてなかったか?」
「どうやったのか、ギルドの奴らも首を傾げてたな」
頭をぐるぐる巻きにした男性と、キッチリ服を着込んだ男性が話し合っていると、メガネっ子は何も言わずに、また本に視線を落として読み始める。
グラマラス美女が首を傾げながら僕の方を見て問いかけてきた。
「坊やは前のパーティでは何をしていたの?」
「僕は……ランクがCなので雑用をしていました。皆が使っていた防具や服の手入れだったり、家の中の掃除だったり……」
そう伝えると、フェリスさんは、だから僕に声をかけたのだと言う。
「ほら、私達って洗濯や掃除や炊事をしたりするの、壊滅的じゃない? だけどケント君がいてくれたら、それが解決する!」
「フェリスが仲間に入れるって言うなら、私は反対しないわ。まぁ、皆も同じだと思うけど」
グラマラス美女はそう言うと、自分の豊かな胸の上に手を当てながら、「グレイシスよ、よろしくね」と妖艶に微笑む。
お胸にしか視線が行きませんが、よろしくお願いします。
「おぅ、俺はラグラーだ」
ラグラーと名乗るぐるぐる巻きの男性は、片手を上げて掌をヒラヒラと振る。
「ケルヴィンだ。よろしく」
キッチリした男性は胸に握り拳を当てながら、目礼をする。
「…………」
最後のメガネっ子は、紙に何かを書いてからそれを僕に見せる。
紙には『クルゥだよ。よろしくね、ケント』と書かれていた。
すると、すぐにフェリスさんからフォローが入る。
「あ、クルゥは事情があって話すことが出来ないの。その代わり筆談で会話をするから」
「そうなんですね。……あの、皆さんが快適な生活を送れるようにしたいと思いますので、してほしいことや逆にしてほしくないことがあったら、何でも言ってくださいね」
頭を下げると、フェリスさんは僕の背中を豪快に叩きながら、声を上げる。
「さっ! 新しい仲間も入ったことだし、夕食を兼ねた歓迎会でも開きましょ!」
こうして、僕は『暁』の一員になったのだった。
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