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3巻
3-3
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「んもぅっ! お兄様ったらいけずなんだから~」
「こんな朝早くから何の用なのさ。てか、もう移動してたんじゃないの?」
「これからですわ。その前にお兄様にもう一度ご挨拶しようと思いまして……あぁ、お兄様とまた離れ離れになると思うと、胸が張り裂けそうに痛いですわっ!」
「あっそ……それより、出発に遅れると相手方が困るだろうから、早く行きなよ」
この二人の会話も、だいぶ慣れてきた。
ケルヴィンさんの方を見れば、妹さん――クルゥ君の腕に抱きつくクリスティアナさんを前に珍しくビックリしたような顔をしていた。
「同じ顔……妹がいたのか」
そう呟くケルヴィンさん。
そっか、まだ顔を合わせてなかったんだっけ。どうやら、クルゥ君に妹がいたとは知らなかったらしい。
「本当にそっくりですよね~」
「あぁ、そうだな」
なんて僕とケルヴィンさんが話していると、ふと、こちらへ視線を向けたクリスティアナさんが、目を見開いて動きを止めた。
「――っ――わ」
何かを呟いたようなんだけど、上手く聞き取れなかった。
それは近くにいたクルゥ君も同じだったようで、不思議そうな顔をしながらクリスティアナさんを見ていた。
「ふ、ふふふふ……やっぱり、お兄様と一緒にいると――」
「……クリスティアナ?」
「あぁ、もうこんな時間。残念ですが、私はここでお暇いたします」
今までの行動が嘘のように、クリスティアナさんはクルゥ君に抱きついていた腕をあっさり離し、今までとは違った微笑を顔に張り付ける。
「愛するお兄様と久々に再会出来ましたし、昨日は美味なる食べ物をいただいたので、今日はこのまま行きますわ」
クリスティアナさんの突然の言葉に、僕達は揃って怪訝な表情を浮かべる。
クルゥ君へと視線を向けてみたけど、意図が全く分からないと首を横に振られてしまった。
「次にお会いした時、手心は一切加えない……ということだけ、覚えていてくださいませ」
「ちょっと、それはどういう意味なのさ」
「ふふふ……今はまだ秘密ですわ」
クリスティアナさんはクルゥ君を見てそう宣言し、クスクスと楽しそうに笑う。
そして、最後にもう一度クルゥ君にギュッと抱きついてから、今度は僕達の方へ体を向け――
唇に手を当て、僕達に向けて投げキッスをした。
「うふふ。それでは皆さん、ごきげんよう」
い、今、僕に投げキッスをしてくれた!?
最後の最後でようやく僕にも気を許してくれた――と、自分で顔がニヤけてしまっているのが分かる。
だけどご機嫌な様子のクリスティアナさんは、そんな僕を気にした様子もなく、スカートの裾を持つと腰を落として挨拶をし、そのまま町中へと消えていったのだった。
まるで嵐が去ったかのように、クルゥ君の周囲に一気に疲労感が漂ったように見えた。
「今の言葉は……どういう意味だったんだろうね?」
頭にハーネを乗せ、足元に来たライを抱っこした僕が首を傾げながらそう聞けば、クルゥ君は首を横に振って「分からない」と呟く。
「もしかして……次に会ったら、何が何でもクルゥ君を実家に連れて帰るってことなのかな?」
「それは嫌過ぎる……」
うげぇーっと苦虫を噛み潰したような表情をするクルゥ君を見ながら笑っていると、ふと、隣でケルヴィンさんが胸元を擦っているのが目に入った。
「ケルヴィンさん、どうしたんですか?」
「いや……たぶん、朝食を食べ過ぎたせいで胸焼けがするんだ」
「ほんとですかっ!? それじゃあ、僕が作った魔法薬でよければ飲みますか?」
「そんなに酷くはないから大丈夫だ。それよりも……食料調達、よろしく頼んだぞ」
ケルヴィンさんは僕の頭にポンと手を置くと、ホテルの方へと歩いていってしまった。
あ、すっかりケルヴィンさんに一緒に行きませんかと誘うのを忘れてたよ……
「ケント、買い物に行くならボクも行くよ」
「ほんと? じゃあ一緒に行こっか」
「何を買うの?」
「ん~、何を買おうか悩むね……」
「出来れば、昨日行ってないお店を回りたいよね」
「確かに」
「じゃあさ、ここなんてどう?」
僕とクルゥ君はガイドマップを見ながら、これから行くところに印を付けていく。
「ハーネ、ライ。これからちょっと買い物に行ってくるんだけど、またお留守番しててくれる?」
《は~い!》
《わかった》
美味しそうなお菓子があったら買ってくるからねと約束してから、僕達は出掛けたのであった。
リジーさんの商談は予想通り上手く行ったらしく、夕方にはこの国を出発した。
帰りの護衛活動は、行きに比べても平和だった。
お菓子のおかげでやる気がいっぱいだったのか、僕達が動く前にライやハーネが事前に察知し、危険を回避出来たからだ。
途中、村や小さな田舎町へ立ち寄ることもあった。
しかもそこでリジーさんは、知り合いの魔法薬店へ僕を連れていって、「俺おススメの、期待の新人魔法薬師だ!」と行く先々の店主達に紹介してくれたんだよね。
もちろん自分で効果を試してはいたけれど「リジーさんが紹介してくれたのなら、間違いはないな」と言って、僕の魔法薬を数種類、買い取って置いてくれることとなった。
しかもリジーさんと同じく、結構良い値段で買い取ってくれたので、かなり儲りました。
僕が住んでいるファオル町からは離れているため、定期的に卸すことは出来ないが、立ち寄った冒険者に僕の魔法薬を紹介するって言ってくれた。
もしも高ランクの冒険者に定期購入してもらえたら……今よりもっと高い収入を見込めるようになるだろうから、頑張れと背中を叩かれたのだった。
道中そんなこともあったけど、随分あっさりとファオル町に帰り着き、リジーさんの店の前に馬車をつける。
馬車から降りてきたリジーさんは、大変満足してくれているようだ。
「いやぁ~、こんなにすんなり移動や商談が出来たのは初めてだったよ! また、ぜひ暁の皆さんにお願いしたいものだ」
「ふふ、そう言っていただけて嬉しいです。今後とも暁をよろしくお願いいたしますね」
フェリスさんはそう言って、優しい微笑みを浮かべる。
「おぅ! ――っと、それじゃあ報酬の件だが、今回は提示金額の報酬の他に、五十万レンをさらに上乗せさせてもらうよ」
「まぁっ!」
胸元で両手を合わせて喜ぶフェリスさんの目は輝いており、さっきまでの優しい雰囲気はどこへやらだ。
そんな彼女を尻目に、リジーさんは僕の方を向く。
「ケント、ダメ元でもお前に護衛の依頼を頼めるか聞いて、本当に良かったぜ」
「お役に立てたようで良かったです。……逆に、リジーさんのお知り合いの方々に僕の魔法薬を紹介していただき、ありがとうございました」
「あれくらい、なんてことねーよ! じゃあ、俺はこれから店の商品の整理をしなきゃならんから、これで最後の挨拶とさせてもらうよ」
「はい。それでは私達はこれで失礼いたします――さ、それじゃあ皆、帰りましょう!」
フェリスさんの号令で、僕達は懐かしのわが家へと帰るのだった。
提出する魔法薬の材料を揃えよう
「はぁ~、何もない一日もいいもんだな~」
リジーさんの護衛依頼を終えてから数日が経った。
帰ってすぐに、ある程度お金が貯まったので、しばらく暁として動くことは控える……とフェリスさんが決めていた。
そのためここ数日は、各々が好きな時にギルドで単独依頼を受けたり、今日の僕みたいにまったり過ごしたりしている。
加えて今日は夕食を作らなくてもいいことになっていたので、昼食を食べ終えた後、特にやることがなくなってしまった。
フェリスさんは午後からお友達とお茶会があるからと、嬉しそうにしながら自室で準備していたし、ラグラーさんは武器を新調するというクルゥ君と一緒に武器屋に行っている。
グレイシスさんは、魔法薬師協会に卸すための魔法薬の素材を調達しに出掛ける、みたいなことを言ってたっけ……なんて考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「はーい!」
ドアを開ければ、そこにいたのはケルヴィンさんだった。
よく見れば腰に剣を佩いている。
「あれ? これからダンジョンに行くんですか?」
「グレイシスに護衛を頼まれてな」
「そうだったんですね。あ、それより、僕に何か用がありましたか?」
「いや、外に出ようと思ったら、ポストにケント宛の手紙が入っていたから届けに来たんだ」
ケルヴィンさんはそう言って、封筒を渡してくれる。
「ありがとうございます」
「あぁ。それじゃあ、行ってくる」
「はい、気を付けて行ってきてくださいね!」
歩きながら片手をヒラヒラと振るケルヴィンさん、ほんとカッコイイな~。
僕もいつかあんなカッコイイ男になりたいものだぜ……と思いながら、手渡された封筒に視線を落とす。
「手紙なんていったいどこから……って、魔法薬師協会からだ」
封筒に刻印されている『魔法薬師協会』の字を見て、ピンときた。
封印を切り、中から紙を取り出して内容を確認すれば――
美辞麗句でズラーッと埋め尽くされていたけど、要約すれば……僕が作った魔法薬をそろそろ魔法薬師協会に提出してね? ってなものだった。
うん。ここ最近、長期の遠征討伐だったり護衛依頼だったりが入っていて、協会に魔法薬を提出する期間が少し空いていたんだよね。
自分でもちょっと気になってはいたから、魔法薬師のお師匠様でもあるグレイシスさんに「そろそろ提出しなきゃヤバいですよね!?」って確認してたんだ。
その時は、稀に僕みたいに冒険者と魔法薬師を兼業する人がいるらしく、冒険者として長期出張することも見越して、普通の魔法薬師よりも少しだけ、提出期限が緩くなる場合がある……って聞いていたから、まだ大丈夫だろうと油断していた。
ちょうど今日はやることもなかったし、これから提出する魔法薬――『傷薬』と『鎮痛剤』、それから『解熱剤』でも作りましょうかね。
作る魔法薬の材料は、何種類かは手元にあるもので足りるけど、三種類ほど足りない。
足りない材料はレベルを上げた『ショッピング』のアプリで購入してもいいんだけど、材料を売っている店主さんと会話をするのもいいものなのだ。
まだ『情報』のアプリには載っていない効果や、『魔法薬の調合』以外にも使える生活の知恵的な使用方法を教えてもらえるからね。
「今日はどこの素材屋に行こっかな~」
僕は立ち上がり、一度背伸びをしてから身支度を始めたのだった。
どこに行くか考えながら家から出た瞬間――僕の目の前を、小さな毛長蜂が横切った。
毛長蜂は手に小さな植物の枝を抱えていて、そのまま裏庭の方へと消えていく。
気になって毛長蜂が向かった先へと行ってみると、僕の契約獣であるレーヌとエクエスがいる物置の中へと入っていくのが見えた。
《あるじー! どこいくのぉ~?》
そちらへ足を運ぼうとした時、外で遊んでいたらしいハーネが僕の元へやってきた。
「あれ? ハーネ、ライは一緒じゃないの?」
《んとね、ひとりでおさんぽにでかけちゃった~》
「そうだったんだ。僕はちょっとレーヌ達の所に顔を出そうかと思っていたところだったんだけど、ハーネも行く?」
《いくー!》
と、いうことでハーネと一緒にレーヌ達の巣へ向かう。
物置の扉の前に立ち、コンコンとノックすれば、エクエスが小さな入口からぴょこんと顔を出した。
久し振り~といった感じで手を振ると、羽を振るわせて飛び立ったエクエスが、僕の周りをグルグルと回る。
《あるじ、えくえすが『どうぞ、なかにおはいりください!』だって!》
「いいの? じゃあ、おじゃましま~す」
実は最初にこの物置を用意して以来、中を確認したことがなかったんだよね。
エクエスが小さな入口から巣の中へと入ったのを見てから、人間用の扉を開けて中へ入る。
すると中は――
「うわぁ~! 少し見てなかっただけで、ずいぶん中が変わったね」
以前とは違って、物置の中は『小さな森』と言えるような状態になっていた。
床は腐葉土が敷き詰められているのかフカフカだ。
天井に視線を移せば、スズメバチの巣のような形をしたものが二、三個ある。
そこから、さっき見たのと同じ小さな毛長蜂が出入りしている。
中をキョロキョロ見回していると、僕の目の前にレーヌとエクエスが飛んできた。
《んとね……れーぬが、『なにかごようでしょうか?』っていってるよ!》
「あぁ、特別用があって来たわけじゃないんだ……ただ、魔法薬の材料を買いに行こうと思って外に出たら、目の前を毛長蜂が飛んでてね。そういえばレーヌ達は元気かな~? と思って、寄ってみただけなんだ」
僕がそう言えば、レーヌが小さな頭をコテンと傾げるようにしてから、僕の周りをブンブンと飛ぶ。
《あるじ~、れーぬが『そのまほうやくのそざい、てもとにあれば、おわけいたしましょうか?』だって》
「えっ、いいの?」
まさかの言葉に驚いてそう聞けば、了承の合図のようにその場でクルクルと回るレーヌ。
僕はお言葉に甘えることにした。
「えっと、それじゃあね。『リティルの実』を四つと『青の人喰い花の葉』を六枚、それと『五色虫の触覚』なんだけど……ないよね?」
あればラッキー、なければ予定通り、どこかのお店から購入すればいいだけだ。
そう考えていた僕の前で、レーヌがいつもの『ブーン』という羽音ではなくて、『ヴィーンッ!』という高音を出す。
すると、室内のいろいろな場所から小さな毛長蜂がピョコピョコと顔を出し、レーヌの元へとやってきた。
その数、ざっと見て二十匹くらいはいそうだ。
《『ごようぼうのしなのほかに、ちがうものも、ごよういいたしました』って、いってるよー》
ハーネの言葉を聞いてから小さな毛長蜂をよくよく見れば、その小さな手にはドングリのような木の実や色鮮やかな葉、不思議な色の触覚みたいなものが抱えられていた。
その他にも、数匹かがりで細長い木の枝を抱えていたり、鈴蘭のような可愛らしい花を持っていたり、そして、『G』から始まる黒光りする生物に酷似した虫を持っていたりと、いろんな素材を出してくれたようだ。
最後の生物には目を向けないようにしながらお礼を述べると、レーヌとエクエスが室内にある蔦のような植物で即席で籠を編んでくれて、その中に素材を全て入れてから僕に渡す。
「こんなに貰っちゃって、いいの?」
僕がそう聞けば、どうぞー! と言うようにレーヌ達がクルクルと飛び回る。
「ありがとう、それじゃあ遠慮なくいただいていくね! お礼に今度何か美味しいものでもご馳走するから」
僕がそう約束すると、レーヌ達はより一層元気に飛び回るのだった。
これで素材を購入するために町に行かなくてもよくなったので、物置を出た僕は部屋に戻ろうとする。
するとちょうど目の前で玄関が開いたと思ったら、フェリスさんが出てきた。
「あれ、フェリスさん……これから行かれるんですか?」
「えぇ、そうよ」
「それじゃあ、お菓子か何か手土産を用意しましょうか?」
「本当? 嬉しい! ――って言いたいところなんだけど、集合時間ギリギリで、すぐ行かなきゃならないから今回は諦めるわ……」
「そうだったんですね、分かりました」
「ケント君はこれからどこか行くの?」
「これから部屋に戻って、魔法薬師協会に提出するために魔法薬の調合をする予定です」
手に持つ籠を持ち上げてそう言うと、顎に手を当てて何か考え込むような表情をするフェリスさん。
いったいどうしたんだろう?
「ケント君、もし良かったら、これから一緒に私の友人の家に行かない?」
「……え? 僕がですか?」
急なお誘いに驚いていると、続いてフェリスさんの口から出てきた言葉に、もっと驚くことになった。
「実は私の友人の一人が、魔法薬師協会のトップなの! だから、魔法薬を提出するなら協会じゃなくて直接渡せばいいじゃない」
いきなりトップに渡しちゃって大丈夫なのか、なんてことよりも、別のことに驚いてしまった。
「えぇっ!? フェリスさん、魔法薬師協会のトップとご友人なんですか!? 凄くないですか!?」
「まぁね!」
ふふん! と自慢げに笑うフェリスさん。
「でも、ご友人の方と久し振りに会うのに、僕がいたら、邪魔になりませんか?」
「ぜんぜん大丈夫よ!」
少し心配になって聞いてみたんだけど、あっさりと手を振られる。
よくよく聞けば、魔法薬師になった僕に、協会のトップの方々が興味を持っているらしい。それから、いつもお土産に持たせていたお菓子がそのご友人方に大好評だったらしく……「見てみたい」「早く連れてこい」「お菓子を持ってこい」と、せがまれていたそうだ。
「ケント君が調合以外に用があったら別だけど、何もないなら一緒に行きましょ?」
魔法薬師協会のトップに直接会うのは凄く緊張するけど、この後の予定は特に何もないからな~。
ということで、フェリスさんと一緒に行くことにした。
ちなみに、ハーネも一緒に行きたいと言うからフェリスさんに許可を取れば、「いいわよ!」と言ってくれたので、ハーネはとても喜んでいた。
「あ、ちょっとだけ待っててもらえますか? 皆さんで食べられるものを用意してくるので!」
急いで家の中に入り、台所へと直行する。
タブレットを開いて、何か手軽に出来るものはないかとアプリでレシピを探して――
「お、いいものみっけ!」
見付けたのは、『フルーツチョコフォンデュ』であった。
うん、これならそんなに時間もかからないし、いいでしょ!
しかも、地球産チョコレートを使ったものと、こちらの世界のチョコレートに似たもの、両方を使用したレシピが載っていた。
せっかくなので、この両方を使ったレシピで作ろうかな。
『ショッピング』アプリで、固形燃料付きのフォンデュ用鍋のセットと可愛らしいピックを購入し、その他にチョコレート類と生クリーム、牛乳やマシュマロを購入した。
冷蔵庫の中にあったイチゴ、パイナップル、バナナ、キウイフルーツなどは食べやすい一口サイズにカットしてあったので、そのまま器に盛り付けて蓋をしてから腕輪の中に収納する。
「よし、使うお皿とかも腕輪に入れたし……それじゃ、行きましょうか!」
こうして、僕はフェリスさんと一緒にお友達の家に向かったのであった。
「こんな朝早くから何の用なのさ。てか、もう移動してたんじゃないの?」
「これからですわ。その前にお兄様にもう一度ご挨拶しようと思いまして……あぁ、お兄様とまた離れ離れになると思うと、胸が張り裂けそうに痛いですわっ!」
「あっそ……それより、出発に遅れると相手方が困るだろうから、早く行きなよ」
この二人の会話も、だいぶ慣れてきた。
ケルヴィンさんの方を見れば、妹さん――クルゥ君の腕に抱きつくクリスティアナさんを前に珍しくビックリしたような顔をしていた。
「同じ顔……妹がいたのか」
そう呟くケルヴィンさん。
そっか、まだ顔を合わせてなかったんだっけ。どうやら、クルゥ君に妹がいたとは知らなかったらしい。
「本当にそっくりですよね~」
「あぁ、そうだな」
なんて僕とケルヴィンさんが話していると、ふと、こちらへ視線を向けたクリスティアナさんが、目を見開いて動きを止めた。
「――っ――わ」
何かを呟いたようなんだけど、上手く聞き取れなかった。
それは近くにいたクルゥ君も同じだったようで、不思議そうな顔をしながらクリスティアナさんを見ていた。
「ふ、ふふふふ……やっぱり、お兄様と一緒にいると――」
「……クリスティアナ?」
「あぁ、もうこんな時間。残念ですが、私はここでお暇いたします」
今までの行動が嘘のように、クリスティアナさんはクルゥ君に抱きついていた腕をあっさり離し、今までとは違った微笑を顔に張り付ける。
「愛するお兄様と久々に再会出来ましたし、昨日は美味なる食べ物をいただいたので、今日はこのまま行きますわ」
クリスティアナさんの突然の言葉に、僕達は揃って怪訝な表情を浮かべる。
クルゥ君へと視線を向けてみたけど、意図が全く分からないと首を横に振られてしまった。
「次にお会いした時、手心は一切加えない……ということだけ、覚えていてくださいませ」
「ちょっと、それはどういう意味なのさ」
「ふふふ……今はまだ秘密ですわ」
クリスティアナさんはクルゥ君を見てそう宣言し、クスクスと楽しそうに笑う。
そして、最後にもう一度クルゥ君にギュッと抱きついてから、今度は僕達の方へ体を向け――
唇に手を当て、僕達に向けて投げキッスをした。
「うふふ。それでは皆さん、ごきげんよう」
い、今、僕に投げキッスをしてくれた!?
最後の最後でようやく僕にも気を許してくれた――と、自分で顔がニヤけてしまっているのが分かる。
だけどご機嫌な様子のクリスティアナさんは、そんな僕を気にした様子もなく、スカートの裾を持つと腰を落として挨拶をし、そのまま町中へと消えていったのだった。
まるで嵐が去ったかのように、クルゥ君の周囲に一気に疲労感が漂ったように見えた。
「今の言葉は……どういう意味だったんだろうね?」
頭にハーネを乗せ、足元に来たライを抱っこした僕が首を傾げながらそう聞けば、クルゥ君は首を横に振って「分からない」と呟く。
「もしかして……次に会ったら、何が何でもクルゥ君を実家に連れて帰るってことなのかな?」
「それは嫌過ぎる……」
うげぇーっと苦虫を噛み潰したような表情をするクルゥ君を見ながら笑っていると、ふと、隣でケルヴィンさんが胸元を擦っているのが目に入った。
「ケルヴィンさん、どうしたんですか?」
「いや……たぶん、朝食を食べ過ぎたせいで胸焼けがするんだ」
「ほんとですかっ!? それじゃあ、僕が作った魔法薬でよければ飲みますか?」
「そんなに酷くはないから大丈夫だ。それよりも……食料調達、よろしく頼んだぞ」
ケルヴィンさんは僕の頭にポンと手を置くと、ホテルの方へと歩いていってしまった。
あ、すっかりケルヴィンさんに一緒に行きませんかと誘うのを忘れてたよ……
「ケント、買い物に行くならボクも行くよ」
「ほんと? じゃあ一緒に行こっか」
「何を買うの?」
「ん~、何を買おうか悩むね……」
「出来れば、昨日行ってないお店を回りたいよね」
「確かに」
「じゃあさ、ここなんてどう?」
僕とクルゥ君はガイドマップを見ながら、これから行くところに印を付けていく。
「ハーネ、ライ。これからちょっと買い物に行ってくるんだけど、またお留守番しててくれる?」
《は~い!》
《わかった》
美味しそうなお菓子があったら買ってくるからねと約束してから、僕達は出掛けたのであった。
リジーさんの商談は予想通り上手く行ったらしく、夕方にはこの国を出発した。
帰りの護衛活動は、行きに比べても平和だった。
お菓子のおかげでやる気がいっぱいだったのか、僕達が動く前にライやハーネが事前に察知し、危険を回避出来たからだ。
途中、村や小さな田舎町へ立ち寄ることもあった。
しかもそこでリジーさんは、知り合いの魔法薬店へ僕を連れていって、「俺おススメの、期待の新人魔法薬師だ!」と行く先々の店主達に紹介してくれたんだよね。
もちろん自分で効果を試してはいたけれど「リジーさんが紹介してくれたのなら、間違いはないな」と言って、僕の魔法薬を数種類、買い取って置いてくれることとなった。
しかもリジーさんと同じく、結構良い値段で買い取ってくれたので、かなり儲りました。
僕が住んでいるファオル町からは離れているため、定期的に卸すことは出来ないが、立ち寄った冒険者に僕の魔法薬を紹介するって言ってくれた。
もしも高ランクの冒険者に定期購入してもらえたら……今よりもっと高い収入を見込めるようになるだろうから、頑張れと背中を叩かれたのだった。
道中そんなこともあったけど、随分あっさりとファオル町に帰り着き、リジーさんの店の前に馬車をつける。
馬車から降りてきたリジーさんは、大変満足してくれているようだ。
「いやぁ~、こんなにすんなり移動や商談が出来たのは初めてだったよ! また、ぜひ暁の皆さんにお願いしたいものだ」
「ふふ、そう言っていただけて嬉しいです。今後とも暁をよろしくお願いいたしますね」
フェリスさんはそう言って、優しい微笑みを浮かべる。
「おぅ! ――っと、それじゃあ報酬の件だが、今回は提示金額の報酬の他に、五十万レンをさらに上乗せさせてもらうよ」
「まぁっ!」
胸元で両手を合わせて喜ぶフェリスさんの目は輝いており、さっきまでの優しい雰囲気はどこへやらだ。
そんな彼女を尻目に、リジーさんは僕の方を向く。
「ケント、ダメ元でもお前に護衛の依頼を頼めるか聞いて、本当に良かったぜ」
「お役に立てたようで良かったです。……逆に、リジーさんのお知り合いの方々に僕の魔法薬を紹介していただき、ありがとうございました」
「あれくらい、なんてことねーよ! じゃあ、俺はこれから店の商品の整理をしなきゃならんから、これで最後の挨拶とさせてもらうよ」
「はい。それでは私達はこれで失礼いたします――さ、それじゃあ皆、帰りましょう!」
フェリスさんの号令で、僕達は懐かしのわが家へと帰るのだった。
提出する魔法薬の材料を揃えよう
「はぁ~、何もない一日もいいもんだな~」
リジーさんの護衛依頼を終えてから数日が経った。
帰ってすぐに、ある程度お金が貯まったので、しばらく暁として動くことは控える……とフェリスさんが決めていた。
そのためここ数日は、各々が好きな時にギルドで単独依頼を受けたり、今日の僕みたいにまったり過ごしたりしている。
加えて今日は夕食を作らなくてもいいことになっていたので、昼食を食べ終えた後、特にやることがなくなってしまった。
フェリスさんは午後からお友達とお茶会があるからと、嬉しそうにしながら自室で準備していたし、ラグラーさんは武器を新調するというクルゥ君と一緒に武器屋に行っている。
グレイシスさんは、魔法薬師協会に卸すための魔法薬の素材を調達しに出掛ける、みたいなことを言ってたっけ……なんて考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「はーい!」
ドアを開ければ、そこにいたのはケルヴィンさんだった。
よく見れば腰に剣を佩いている。
「あれ? これからダンジョンに行くんですか?」
「グレイシスに護衛を頼まれてな」
「そうだったんですね。あ、それより、僕に何か用がありましたか?」
「いや、外に出ようと思ったら、ポストにケント宛の手紙が入っていたから届けに来たんだ」
ケルヴィンさんはそう言って、封筒を渡してくれる。
「ありがとうございます」
「あぁ。それじゃあ、行ってくる」
「はい、気を付けて行ってきてくださいね!」
歩きながら片手をヒラヒラと振るケルヴィンさん、ほんとカッコイイな~。
僕もいつかあんなカッコイイ男になりたいものだぜ……と思いながら、手渡された封筒に視線を落とす。
「手紙なんていったいどこから……って、魔法薬師協会からだ」
封筒に刻印されている『魔法薬師協会』の字を見て、ピンときた。
封印を切り、中から紙を取り出して内容を確認すれば――
美辞麗句でズラーッと埋め尽くされていたけど、要約すれば……僕が作った魔法薬をそろそろ魔法薬師協会に提出してね? ってなものだった。
うん。ここ最近、長期の遠征討伐だったり護衛依頼だったりが入っていて、協会に魔法薬を提出する期間が少し空いていたんだよね。
自分でもちょっと気になってはいたから、魔法薬師のお師匠様でもあるグレイシスさんに「そろそろ提出しなきゃヤバいですよね!?」って確認してたんだ。
その時は、稀に僕みたいに冒険者と魔法薬師を兼業する人がいるらしく、冒険者として長期出張することも見越して、普通の魔法薬師よりも少しだけ、提出期限が緩くなる場合がある……って聞いていたから、まだ大丈夫だろうと油断していた。
ちょうど今日はやることもなかったし、これから提出する魔法薬――『傷薬』と『鎮痛剤』、それから『解熱剤』でも作りましょうかね。
作る魔法薬の材料は、何種類かは手元にあるもので足りるけど、三種類ほど足りない。
足りない材料はレベルを上げた『ショッピング』のアプリで購入してもいいんだけど、材料を売っている店主さんと会話をするのもいいものなのだ。
まだ『情報』のアプリには載っていない効果や、『魔法薬の調合』以外にも使える生活の知恵的な使用方法を教えてもらえるからね。
「今日はどこの素材屋に行こっかな~」
僕は立ち上がり、一度背伸びをしてから身支度を始めたのだった。
どこに行くか考えながら家から出た瞬間――僕の目の前を、小さな毛長蜂が横切った。
毛長蜂は手に小さな植物の枝を抱えていて、そのまま裏庭の方へと消えていく。
気になって毛長蜂が向かった先へと行ってみると、僕の契約獣であるレーヌとエクエスがいる物置の中へと入っていくのが見えた。
《あるじー! どこいくのぉ~?》
そちらへ足を運ぼうとした時、外で遊んでいたらしいハーネが僕の元へやってきた。
「あれ? ハーネ、ライは一緒じゃないの?」
《んとね、ひとりでおさんぽにでかけちゃった~》
「そうだったんだ。僕はちょっとレーヌ達の所に顔を出そうかと思っていたところだったんだけど、ハーネも行く?」
《いくー!》
と、いうことでハーネと一緒にレーヌ達の巣へ向かう。
物置の扉の前に立ち、コンコンとノックすれば、エクエスが小さな入口からぴょこんと顔を出した。
久し振り~といった感じで手を振ると、羽を振るわせて飛び立ったエクエスが、僕の周りをグルグルと回る。
《あるじ、えくえすが『どうぞ、なかにおはいりください!』だって!》
「いいの? じゃあ、おじゃましま~す」
実は最初にこの物置を用意して以来、中を確認したことがなかったんだよね。
エクエスが小さな入口から巣の中へと入ったのを見てから、人間用の扉を開けて中へ入る。
すると中は――
「うわぁ~! 少し見てなかっただけで、ずいぶん中が変わったね」
以前とは違って、物置の中は『小さな森』と言えるような状態になっていた。
床は腐葉土が敷き詰められているのかフカフカだ。
天井に視線を移せば、スズメバチの巣のような形をしたものが二、三個ある。
そこから、さっき見たのと同じ小さな毛長蜂が出入りしている。
中をキョロキョロ見回していると、僕の目の前にレーヌとエクエスが飛んできた。
《んとね……れーぬが、『なにかごようでしょうか?』っていってるよ!》
「あぁ、特別用があって来たわけじゃないんだ……ただ、魔法薬の材料を買いに行こうと思って外に出たら、目の前を毛長蜂が飛んでてね。そういえばレーヌ達は元気かな~? と思って、寄ってみただけなんだ」
僕がそう言えば、レーヌが小さな頭をコテンと傾げるようにしてから、僕の周りをブンブンと飛ぶ。
《あるじ~、れーぬが『そのまほうやくのそざい、てもとにあれば、おわけいたしましょうか?』だって》
「えっ、いいの?」
まさかの言葉に驚いてそう聞けば、了承の合図のようにその場でクルクルと回るレーヌ。
僕はお言葉に甘えることにした。
「えっと、それじゃあね。『リティルの実』を四つと『青の人喰い花の葉』を六枚、それと『五色虫の触覚』なんだけど……ないよね?」
あればラッキー、なければ予定通り、どこかのお店から購入すればいいだけだ。
そう考えていた僕の前で、レーヌがいつもの『ブーン』という羽音ではなくて、『ヴィーンッ!』という高音を出す。
すると、室内のいろいろな場所から小さな毛長蜂がピョコピョコと顔を出し、レーヌの元へとやってきた。
その数、ざっと見て二十匹くらいはいそうだ。
《『ごようぼうのしなのほかに、ちがうものも、ごよういいたしました』って、いってるよー》
ハーネの言葉を聞いてから小さな毛長蜂をよくよく見れば、その小さな手にはドングリのような木の実や色鮮やかな葉、不思議な色の触覚みたいなものが抱えられていた。
その他にも、数匹かがりで細長い木の枝を抱えていたり、鈴蘭のような可愛らしい花を持っていたり、そして、『G』から始まる黒光りする生物に酷似した虫を持っていたりと、いろんな素材を出してくれたようだ。
最後の生物には目を向けないようにしながらお礼を述べると、レーヌとエクエスが室内にある蔦のような植物で即席で籠を編んでくれて、その中に素材を全て入れてから僕に渡す。
「こんなに貰っちゃって、いいの?」
僕がそう聞けば、どうぞー! と言うようにレーヌ達がクルクルと飛び回る。
「ありがとう、それじゃあ遠慮なくいただいていくね! お礼に今度何か美味しいものでもご馳走するから」
僕がそう約束すると、レーヌ達はより一層元気に飛び回るのだった。
これで素材を購入するために町に行かなくてもよくなったので、物置を出た僕は部屋に戻ろうとする。
するとちょうど目の前で玄関が開いたと思ったら、フェリスさんが出てきた。
「あれ、フェリスさん……これから行かれるんですか?」
「えぇ、そうよ」
「それじゃあ、お菓子か何か手土産を用意しましょうか?」
「本当? 嬉しい! ――って言いたいところなんだけど、集合時間ギリギリで、すぐ行かなきゃならないから今回は諦めるわ……」
「そうだったんですね、分かりました」
「ケント君はこれからどこか行くの?」
「これから部屋に戻って、魔法薬師協会に提出するために魔法薬の調合をする予定です」
手に持つ籠を持ち上げてそう言うと、顎に手を当てて何か考え込むような表情をするフェリスさん。
いったいどうしたんだろう?
「ケント君、もし良かったら、これから一緒に私の友人の家に行かない?」
「……え? 僕がですか?」
急なお誘いに驚いていると、続いてフェリスさんの口から出てきた言葉に、もっと驚くことになった。
「実は私の友人の一人が、魔法薬師協会のトップなの! だから、魔法薬を提出するなら協会じゃなくて直接渡せばいいじゃない」
いきなりトップに渡しちゃって大丈夫なのか、なんてことよりも、別のことに驚いてしまった。
「えぇっ!? フェリスさん、魔法薬師協会のトップとご友人なんですか!? 凄くないですか!?」
「まぁね!」
ふふん! と自慢げに笑うフェリスさん。
「でも、ご友人の方と久し振りに会うのに、僕がいたら、邪魔になりませんか?」
「ぜんぜん大丈夫よ!」
少し心配になって聞いてみたんだけど、あっさりと手を振られる。
よくよく聞けば、魔法薬師になった僕に、協会のトップの方々が興味を持っているらしい。それから、いつもお土産に持たせていたお菓子がそのご友人方に大好評だったらしく……「見てみたい」「早く連れてこい」「お菓子を持ってこい」と、せがまれていたそうだ。
「ケント君が調合以外に用があったら別だけど、何もないなら一緒に行きましょ?」
魔法薬師協会のトップに直接会うのは凄く緊張するけど、この後の予定は特に何もないからな~。
ということで、フェリスさんと一緒に行くことにした。
ちなみに、ハーネも一緒に行きたいと言うからフェリスさんに許可を取れば、「いいわよ!」と言ってくれたので、ハーネはとても喜んでいた。
「あ、ちょっとだけ待っててもらえますか? 皆さんで食べられるものを用意してくるので!」
急いで家の中に入り、台所へと直行する。
タブレットを開いて、何か手軽に出来るものはないかとアプリでレシピを探して――
「お、いいものみっけ!」
見付けたのは、『フルーツチョコフォンデュ』であった。
うん、これならそんなに時間もかからないし、いいでしょ!
しかも、地球産チョコレートを使ったものと、こちらの世界のチョコレートに似たもの、両方を使用したレシピが載っていた。
せっかくなので、この両方を使ったレシピで作ろうかな。
『ショッピング』アプリで、固形燃料付きのフォンデュ用鍋のセットと可愛らしいピックを購入し、その他にチョコレート類と生クリーム、牛乳やマシュマロを購入した。
冷蔵庫の中にあったイチゴ、パイナップル、バナナ、キウイフルーツなどは食べやすい一口サイズにカットしてあったので、そのまま器に盛り付けて蓋をしてから腕輪の中に収納する。
「よし、使うお皿とかも腕輪に入れたし……それじゃ、行きましょうか!」
こうして、僕はフェリスさんと一緒にお友達の家に向かったのであった。
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