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魂選塔
七
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「ミルビー……」
しかしミルビーだけは動じていないことに気がついた。ただ遠くの男と女を眺めている。
習って見てみれば、女は耐えきれなくなったのか上に銃声を放った。瞬く間に魂の叫びは止む。
「やれやれ」
男が肩を竦め、首を横に振った。女は銃を下へ降ろす。魂たちの怯えが伝わる。なのに、男は更に顔を強ばらせ、薄目を開いた。
「関係ないわけないんだよ」
先程よりも低くなった声に思わず肩が揺れた。恐る恐る、男に視線を送った。
「一人死んだことで二人、三人、四人と自殺を選ぶようになった。自殺が当たり前の術になって連鎖は止まることなく世界に伝染した。死因一位に自殺が入ったのはその負の連鎖のせいだ」
男はどこまでも冷徹な顔をしていた。その視線は一つ一つの魂へ投げかけられている。俺と目が合ったとき、胸を突き刺す痛みを覚えた。肉体はないからそうではなくてただ後ろめたいはずなのに、痛かった。
ゴミを見る目だ。
胸を抑え、目を逸らした。
しかしミルビーだけは動じていないことに気がついた。ただ遠くの男と女を眺めている。
習って見てみれば、女は耐えきれなくなったのか上に銃声を放った。瞬く間に魂の叫びは止む。
「やれやれ」
男が肩を竦め、首を横に振った。女は銃を下へ降ろす。魂たちの怯えが伝わる。なのに、男は更に顔を強ばらせ、薄目を開いた。
「関係ないわけないんだよ」
先程よりも低くなった声に思わず肩が揺れた。恐る恐る、男に視線を送った。
「一人死んだことで二人、三人、四人と自殺を選ぶようになった。自殺が当たり前の術になって連鎖は止まることなく世界に伝染した。死因一位に自殺が入ったのはその負の連鎖のせいだ」
男はどこまでも冷徹な顔をしていた。その視線は一つ一つの魂へ投げかけられている。俺と目が合ったとき、胸を突き刺す痛みを覚えた。肉体はないからそうではなくてただ後ろめたいはずなのに、痛かった。
ゴミを見る目だ。
胸を抑え、目を逸らした。
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