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魂選塔
十四
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叫んでしまったのに店員は動じもせず、やはり卑屈に笑って近付いて俺の目の前で屈んだ。
「そうだよ。オレたちは魂の宿った、主人がいなくなった人形だ。チルギ様に拾われ、オレの宿った魂は前の主人の姿になった」
彼は俺の額を人差し指で突くと、今度は両肩を掴んできた。
「人の死は絶対に起きる。オレの主人は病死だ。辛かったさ、それなのにオレには死ぬことができない。主人と共に死んでやることも出来なかった。なのに、生きられるのに、お前たちは自分でその命を絶ったんだ!」
人形は叫ぶと俺を突き放し、風船を持った。俺が持っていた風船だ。そして巾着袋からビー玉を取り出すと俺を見下ろした。
「買えよ。向き合えよ。そのためにこの思い出ショッピングはあるんだ」
「まっ……」
レジで会計され、風船が俺の元へ飛んできた。拒絶する間もなく、俺は風船に吸い込まれて中に入ってしまう。
青い視界、その向こうに店員が笑っているのが見える。やがて視界は、青く、分厚くなっていき、俺の内側へ入ってきて目をつぶった。
「そうだよ。オレたちは魂の宿った、主人がいなくなった人形だ。チルギ様に拾われ、オレの宿った魂は前の主人の姿になった」
彼は俺の額を人差し指で突くと、今度は両肩を掴んできた。
「人の死は絶対に起きる。オレの主人は病死だ。辛かったさ、それなのにオレには死ぬことができない。主人と共に死んでやることも出来なかった。なのに、生きられるのに、お前たちは自分でその命を絶ったんだ!」
人形は叫ぶと俺を突き放し、風船を持った。俺が持っていた風船だ。そして巾着袋からビー玉を取り出すと俺を見下ろした。
「買えよ。向き合えよ。そのためにこの思い出ショッピングはあるんだ」
「まっ……」
レジで会計され、風船が俺の元へ飛んできた。拒絶する間もなく、俺は風船に吸い込まれて中に入ってしまう。
青い視界、その向こうに店員が笑っているのが見える。やがて視界は、青く、分厚くなっていき、俺の内側へ入ってきて目をつぶった。
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