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自分のために
七
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顔を覗き込めば、あ、あ、と小さく声を漏らした。
そして頭を振り始め、自分の頭を抑え、泣き喚いた。なにかを言っているが聞こえたのはエリーという名前だけ。
ボクは横倒れになった電車に視線を向け、彼女を一瞥し、目をつぶって包丁を握りしめた。彼女の意志を聞きたかった。
「無理よっ、エリーがいない世界なんて、生きている意味がないわ!」
訳の分からない言葉からようやく聞き取れた言葉に、ボクは頷いた。早く死んでしまえ、と思った。永久にいなくなってしまえば、いいのだ。
「だったらボクのために消えてよ」
彼女にボクの言葉は聞こえていない。ボクは包丁を振り上げた。
「君が死にたい今日をボクが生きてあげよう」
包丁を、振り下ろした。その途端、音も色も彼女の内側に吸収され、彼女自身の色も頭のてっぺんへ吸い込まれ、元の白い魂に戻り、爆発した、白い粒子は上空へ散乱していくが色のなくなった世界ではそれらはもはや同化していて見えない。
「せめて安らかに」
そして頭を振り始め、自分の頭を抑え、泣き喚いた。なにかを言っているが聞こえたのはエリーという名前だけ。
ボクは横倒れになった電車に視線を向け、彼女を一瞥し、目をつぶって包丁を握りしめた。彼女の意志を聞きたかった。
「無理よっ、エリーがいない世界なんて、生きている意味がないわ!」
訳の分からない言葉からようやく聞き取れた言葉に、ボクは頷いた。早く死んでしまえ、と思った。永久にいなくなってしまえば、いいのだ。
「だったらボクのために消えてよ」
彼女にボクの言葉は聞こえていない。ボクは包丁を振り上げた。
「君が死にたい今日をボクが生きてあげよう」
包丁を、振り下ろした。その途端、音も色も彼女の内側に吸収され、彼女自身の色も頭のてっぺんへ吸い込まれ、元の白い魂に戻り、爆発した、白い粒子は上空へ散乱していくが色のなくなった世界ではそれらはもはや同化していて見えない。
「せめて安らかに」
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