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思い出の中
四
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「それは私にも出来るの?」
首を横に振った。
「無理だ。君たちには思い出がないからどうしても買うのは自分の思い出だけになる」
メロルは首を傾げ、それなら、と続けた。
「それなら、お兄さんには思い出があるみたいね」
「そうだよ。だってボクは」
答える前に近くで破裂音がした。この棚の裏だ。彼女と顔を見合わせて回り込む。やはり風船が破裂したらしく、破片だけが散らばっている。
その近くで顔が情けなく垂れ下がった女が喚いていた。どうやらこの光景を目の当たりにして怖かったらしい。うるさいくらいに喚き散らす彼女にボクは顔をしかめた。
「もう嫌よ! どうでもいいから早く天国へ送ってよ! どうしてこんなことさせられてるのっ? 自殺してからも苦しむなんて聞いてないわよ!」
膝をついてヒステリックに叫ぶ女。メロルに視線を向け、やはり無表情に見ていた。
首を横に振った。
「無理だ。君たちには思い出がないからどうしても買うのは自分の思い出だけになる」
メロルは首を傾げ、それなら、と続けた。
「それなら、お兄さんには思い出があるみたいね」
「そうだよ。だってボクは」
答える前に近くで破裂音がした。この棚の裏だ。彼女と顔を見合わせて回り込む。やはり風船が破裂したらしく、破片だけが散らばっている。
その近くで顔が情けなく垂れ下がった女が喚いていた。どうやらこの光景を目の当たりにして怖かったらしい。うるさいくらいに喚き散らす彼女にボクは顔をしかめた。
「もう嫌よ! どうでもいいから早く天国へ送ってよ! どうしてこんなことさせられてるのっ? 自殺してからも苦しむなんて聞いてないわよ!」
膝をついてヒステリックに叫ぶ女。メロルに視線を向け、やはり無表情に見ていた。
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