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答え
三
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「分かっている、お前が苦しんでることだって悔しいことだって。分かっているんだ、けれど……母さんがいなくなったら、俺は、生きていけない……」
――今、その包丁を伝ってテレパシーを送ってるんだ。君には消えられたら困るからね、もし君が葛藤に負け、飲み込まれそうになったら、原因をその包丁で刺してよ。
「……刺し、たら……?」
緊張で僅かに言葉が詰まってしまう。父がついに泣き出した。その涙に既視感を覚え、記憶と記憶の線が繋がって思い出す。
死ぬきっかけを与えたのは、父だった。夕焼けの中で今にも死んでしまいそうな危うい父を、私は病室の前で見つけた。彼が単独で病室に来ることが珍しく、不思議に思っているとおもむろに告げられたのだ。
「これ以上母さんに心配をかけないでくれ」
――今、その包丁を伝ってテレパシーを送ってるんだ。君には消えられたら困るからね、もし君が葛藤に負け、飲み込まれそうになったら、原因をその包丁で刺してよ。
「……刺し、たら……?」
緊張で僅かに言葉が詰まってしまう。父がついに泣き出した。その涙に既視感を覚え、記憶と記憶の線が繋がって思い出す。
死ぬきっかけを与えたのは、父だった。夕焼けの中で今にも死んでしまいそうな危うい父を、私は病室の前で見つけた。彼が単独で病室に来ることが珍しく、不思議に思っているとおもむろに告げられたのだ。
「これ以上母さんに心配をかけないでくれ」
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