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曖昧
二
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ふとミルビーを見ると、彼は淡々とミキサーを眺めていた。今、これを見ても彼は何も思わないのだ。本当に、痛みを失ってしまっているのだろうか。
「ねえ、あなたの死ぬ間際のことを教えてよ。覚えてるんでしょ? 犯人の顔は覚えてなくても、さ」
隠れて耳打ちすれば、彼はなんでもないように答えた。
「撲殺された」
「撲殺? 殴られてって……それって」
一瞬のことだった、と言ってなかったっけ、言葉にしようとした時、銃声が鳴り響く。
魂たちのざわめきは止まるかと思いきや、より強い混沌を招いた。これからあの中に入れられる、そのことがみんなにとって恐怖でしかないのがわかる。
せっかく死んだのに、こんなことに巻き込まれ、それでもようやく辛いながらも思い出を手に入れたのに、今度はそれと戦わなければならない……。
「ねえ、あなたの死ぬ間際のことを教えてよ。覚えてるんでしょ? 犯人の顔は覚えてなくても、さ」
隠れて耳打ちすれば、彼はなんでもないように答えた。
「撲殺された」
「撲殺? 殴られてって……それって」
一瞬のことだった、と言ってなかったっけ、言葉にしようとした時、銃声が鳴り響く。
魂たちのざわめきは止まるかと思いきや、より強い混沌を招いた。これからあの中に入れられる、そのことがみんなにとって恐怖でしかないのがわかる。
せっかく死んだのに、こんなことに巻き込まれ、それでもようやく辛いながらも思い出を手に入れたのに、今度はそれと戦わなければならない……。
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