魂選塔

中釡 あゆむ

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鬼は誰

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まるで知っているように話しかける。今の見境がなくなったリスリには、それは導きの声に聞こえたのだろう、ぽつりぽつりと話し始めた。


「ユウカ、を……置いて、逃げたから……」


「どうして逃げたの?」


「神になるとか、死のうとか、そういう話をしてきて……ユウカが本当に誰かがいるように、誰もいない場所に手をかざすから、怖くなって……」


「それで、どうしたの?」


「あたしは……あたしは、あの葛藤ミキサーでまたユウカに言われたんだ。リスリは自分のことばっかりだねって……なあ!」


突然彼女は私に掴みかかり、今度は押し倒してきた。アッシュグレーの眩い髪が照明の下でキラキラと降り注ぐ。青い瞳から涙を流しそうなのに、実際は苦しそうに顔を歪めていた。


「自分のことを考えてなにが悪いんだっ? だって誰も、あたしのことなんか考えてくれないじゃんか!」
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