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お値段ゲーム
七
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髪は排泄物のような色だとか、肌は血の通っていない死体だとか、目は人を騙す嘘つきの目をしているだとか。全てがひっくり返され、褒められた時よりも貶された時の方が真実味を帯びて私に襲いかかる。
その通りだ、そうだ、頷くことしか出来なくて、私は俯いた。
「でも、投げ捨てた命を拾おうとしてる。また生きようとしてるじゃん」
俯いていた視界の中で、ムロルが言い放った。絶望で離さなかった真実の中から、離したくない光が差し込む。私は顔を上げた。
「だからメロルはここにいる。そうでしょ? 自殺した自分に価値がないと思わないで」
「ムロル……」
どうしようもない光が私の中に流れ込む。生き返っていいのか、と悩んでいた暗いものが柔らかな光で溶けていくよう。ムロルはおもちゃたちに向き直った。
「私はこの子が一円の価値もないと思わない。この子がもし一円で売られていたら、私は私の綿を全部売って買うわ」
その通りだ、そうだ、頷くことしか出来なくて、私は俯いた。
「でも、投げ捨てた命を拾おうとしてる。また生きようとしてるじゃん」
俯いていた視界の中で、ムロルが言い放った。絶望で離さなかった真実の中から、離したくない光が差し込む。私は顔を上げた。
「だからメロルはここにいる。そうでしょ? 自殺した自分に価値がないと思わないで」
「ムロル……」
どうしようもない光が私の中に流れ込む。生き返っていいのか、と悩んでいた暗いものが柔らかな光で溶けていくよう。ムロルはおもちゃたちに向き直った。
「私はこの子が一円の価値もないと思わない。この子がもし一円で売られていたら、私は私の綿を全部売って買うわ」
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