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選択の時
六
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ユキナリが目を見開き、口を噤んだ。二つの身体がちぐはぐに動き、ミルビーは私に視線を向け、包丁を手渡した。
「メロル、刺して」
私は耳を疑った。しかし、ミルビーはもう一度繰り返す。ユキナリの意思だろうか、彼の身体は傾くように後ずさった。
「彼に言ったけどボクも同じだ。記憶が混濁していたとはいえ、結局ボクを殺したのはボクだった。自殺が嫌いだったのに、ボクは……自殺をしてしまっていた。それにチルギも言ってたけど、消えるはずのなかった魂を無理やりに消した」
「それは……その男が……」
「ユキナリに乗り移られていたのはあるけど、ボクの意思、ボクの手でもあるんだ。だから……」
お願い。ミルビーは呟くと、口を真一文字に結んだ。ユキナリがもごもごと呻き声を上げ、後ずさろうとしていたが踏ん張っている。ユキナリとミルビー、二人の魂が内側で葛藤しているのがわかった。
私は包丁を握りしめ、彼らを見つめた。
「メロル、刺して」
私は耳を疑った。しかし、ミルビーはもう一度繰り返す。ユキナリの意思だろうか、彼の身体は傾くように後ずさった。
「彼に言ったけどボクも同じだ。記憶が混濁していたとはいえ、結局ボクを殺したのはボクだった。自殺が嫌いだったのに、ボクは……自殺をしてしまっていた。それにチルギも言ってたけど、消えるはずのなかった魂を無理やりに消した」
「それは……その男が……」
「ユキナリに乗り移られていたのはあるけど、ボクの意思、ボクの手でもあるんだ。だから……」
お願い。ミルビーは呟くと、口を真一文字に結んだ。ユキナリがもごもごと呻き声を上げ、後ずさろうとしていたが踏ん張っている。ユキナリとミルビー、二人の魂が内側で葛藤しているのがわかった。
私は包丁を握りしめ、彼らを見つめた。
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