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プロローグ
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夜の学校を歩いている。廊下は暗く、唯一窓から差し込んだ月光が一点を白く浮き上がらせていた。
廊下と靴下がこすれ合い、歩く度に微かに耳に届いた。スリッパは足音が響くため履いてこなかった。こういう場所に来るときはいつも履かないし、借りようとも思わない。
青年は携帯画面をつけ、昼に届いたメールを確認して教室の戸を横に引いた。指定された場所に間違いはなかったらしく、中には依頼人の女性がいた。
女性は虚ろな瞳を窓に向けていて、青年を見ようともしない。滑るように彼女は窓に近付き、青年は持参したカメラを向けた。
ファインダーの向こうで彼女が窓を開ける。吹き抜ける風が長い髪を通り、カーテンが空を舞う。月光に晒された彼女の身体が憂いで帯びる。引っ張られるように、あるいは闇の呪縛から抜け出して光に向かっていくように、彼女は自然と窓の外へ傾き……瞬間、シャッターを切った。無機質なシャッター音が彼女の耳に届いたかわからない。
死の音は、夜の教室にいつまでも残った。
廊下と靴下がこすれ合い、歩く度に微かに耳に届いた。スリッパは足音が響くため履いてこなかった。こういう場所に来るときはいつも履かないし、借りようとも思わない。
青年は携帯画面をつけ、昼に届いたメールを確認して教室の戸を横に引いた。指定された場所に間違いはなかったらしく、中には依頼人の女性がいた。
女性は虚ろな瞳を窓に向けていて、青年を見ようともしない。滑るように彼女は窓に近付き、青年は持参したカメラを向けた。
ファインダーの向こうで彼女が窓を開ける。吹き抜ける風が長い髪を通り、カーテンが空を舞う。月光に晒された彼女の身体が憂いで帯びる。引っ張られるように、あるいは闇の呪縛から抜け出して光に向かっていくように、彼女は自然と窓の外へ傾き……瞬間、シャッターを切った。無機質なシャッター音が彼女の耳に届いたかわからない。
死の音は、夜の教室にいつまでも残った。
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