金になるなら何でも売ってやるー元公爵令嬢、娼婦になって復讐しますー

だんだん

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三人目の勇者?

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それからも祭り騒ぎは続いた。


城内外問わずのその浮かれぶりに、私は背筋が凍るような思いがする。


先日までの小競り合いは帝国は本気ではなかった。


師匠がまだ本格的に動いていないのを見ても、その判断は間違えないだろうと思う。


私との戦闘なんて彼女は本気を出していない。


あの人が本気を出せば地形すら変わってしまうことを知っている分だけ、彼女のいる帝国軍に恐ろしさを感じる。


もしも帝国に師匠レベルの人が数人いるのならば、いくら勇者がいたとしても王国に勝ち目など無いのではないか。そんな風にも思ってしまう。


そして問題はその勇者だ。


聞けば宮廷魔法使いが使うのを見てすぐに上級レベルの魔法を使えたという話であるが、戦闘の経験は無いのだという。

城内の貴族達、ー主に第一王子派閥の貴族達だがーに囲われているというから詳細なことは分からない。


今後徐々に戦闘経験を積ませるという話であるが、戦闘の素人を戦争に巻き込んで大丈夫なのだろうか。


ある程度の戦闘経験を積んだSランク冒険者でさえ、戦争は辛いものだった。


マスターもロア君も停戦、と聞いてほっとした顔をしていたくらいだ。


私だって、帝国の人を殺す前の怯えたような瞳、憎しみの籠った瞳を忘れることが出来ない。

夜中に夢を見て飛び起きることだってある。


敵とは言え、人を殺すのだ。

果たして勇者達はそれに耐えられるのだろうか。


宿屋のベッドに横たわりながら、そんなことを考えていると、




「大変だ!急いで来てくれ。」



と第二王子の使い魔が飛んでくる。


何を、と思うが急ぎ準備して現在第二王子の滞在する彼が幼い頃に母君と過ごした別宮に向かった。




ーーーーー




「お呼びでしょうか。」



魔法で飛んでいき、窓から入る。

他の人には絶対しないが、第二王子は面倒な手順を踏むよりも早急な対応を求めることが多いため暗黙の了解でこういった常識から外れているような行動も許される。



「それが....。」



困ったように眉を下げる王子が、とんでもないことを言った。



「陛下が勇者のうちの一人を、公娼にしようと言うのだ。」



余りの意味不明さに、頭痛が痛いな、と訳の分からないことを思う。


一体、どうしたことだろうか。




「俺も事情を詳しくは知らないのだが.....どうやら勇者は二人ではなく、三人だったようで。」




そういえば、陛下が余分なものが一人付いてきた、と言っていた。




「まさかとは思いますが、その方は女性ですか?」


「良く分かったな。」




溜め息混じりで言われる言葉に、本当に頭痛がする。


つまりはこういうことだ。


実際には勇者は三人召喚された。うち二人は男だったので勇者として遇しているが、一人は女だったので公娼にしようと。


男尊女卑の強い国だからそんなこともあり得るかも、と思っていたことが事実だったことに絶望する。



「それってかなりまずいのでは?」


「まずいどころではないだろうな。お前や蒼の使者のような者もいるというのに。失策も失策だろう。」


「そうですよね。」



勇者として召喚されたのならその女性も同時に召喚された勇者と同様強くなる可能性があるのに一体何を考えているのだろう。


勝手に召喚したのに娼婦にするなんて倫理観の欠片もない。


この国のほとんどの男性には女性に対する倫理観なんて期待してないが余りにも酷いのではないか。



「本日会議にて可決されるらしいのだが、止めようと思ってな。お前も共に来い。」


「嫌です。何でですか。」


「女の有用性を証明するのに必要なんだ。」



そう言われれば納得するしかなく。私はまた宮廷に赴くことになるのだった。


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