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マックスマッハ号3
しおりを挟むミキ様が剣戟を繰り広げながら大男に突っ込むのを、ラダとルイがよくフォローしていた。
ランダは妹の方と弓使いを魔法で牽制しつつ支援魔法を使い全体を強化している。火力になる魔法はラダに任せて、回復や支援に重点を置いているようだった。妹の方が時折、メンバーの中の誰かに呪術を掛けるも慌てずに解呪を使っている。
ロア君はというと…剣を握りしめ、魔法使いと対峙していた。 魔法を使用される前に攻撃を繰り出す。それを魔法で防がれては、また振り出しに戻る。
これを繰り返していた。
「ロア!!何でお前はそっちにいるんだ??王国を裏切ったのか?」
「別に…裏切った訳ではありませんが。」
「おいおい…それは苦しいだろ。」
貴族が魔法を繰り出しながらロア君に問いかける。お前は裏切り者だと、周囲に聞こえるように大きな声で。
「……。」
何も反応しないロア君につまらなさそうにしている。
「まあ良いか!お前がそっちに寝返ってくれたお陰で、俺は美味しい思いが出来るわけだしなあ?」
貴族がちらりと私とマスターを見た。
マスターが中指を立てた。
「……いちいち癪に障る女共だが、顔も体も一級品だ。捕まえて俺の奴隷にしてやるよ。」
それを聞いてしまったのか、ルイが死ね!!と叫びながら魔法使いに向かって槍を振り回した。カンっと魔法壁で弾かれる。
「ルイ~、減点だよ~。」
マスターの緊張感のない声が戦場に響く。それを聞いたルイが顔を青褪めさせながらも元の位置に戻った。ルイは冒険者ギルドに入ってからも、ヨウラドウにいる間も度々マスターに教えを請うていた。毎回、完膚なきまで叩き潰されていたのでマスターには弱い。
「そろそろ、動きが欲しいね~。」
飽きたのかマスターが地面にべたりと座り込んだ。しかしその瞳はしっかりと各々を見つめている。何かあれば迷いなく飛び込んでいくだろう。
彼女が出れば瞬時に解決してしまいそうな状況だが、じっとしているのは彼らの成長を見守る為だろうか。
ふと、ロア君が駆けた。
高く飛び上がり、剣を構えた。それに気が付いたランダが支援魔法を掛ける。
そんなランダに向かってふっと微笑むと真剣な眼差しで魔法使いに斬り掛かった。
「お前の剣じゃ俺の魔法は…」
何かを言いかけた魔法使いが腹から血を吹き出して、後ろに吹き飛ぶ。ロア君の振るった剣がしっかりと彼の腹部を捉えたのが見えた。
「あの頃の僕は弱かった。それでもそんな僕に期待してくれた人達がいた。……ずっとあの時と同じままだとは思わないで下さい。」
マックスマッハ号にいた時のロア君のランクはBランク。Aランクに上がったのはアルムブルクに来てからだった。
そして彼は順調に強くなり、冒険者の高みへと登り詰めた。
そんな彼が、あの魔法使い如きに遅れを取る筈も無かった。
「大切な仲間を侮辱する貴方を、僕は許せない。」
のろのろと起き上がる魔法使いを見て、治癒魔法使いが、お兄様!!!と悲鳴のような声を挙げて駆け寄ろうとするもラダが魔法で牽制する。
「行かせませんわ!!」
「何ですの!!!ロアのくせに許しませんわ!!!」
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