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第11話 なんと階段を見つけた!
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「なんだこれは…」
俺は目の前の光景が信じられなかった。
一体ここに何があるのかと思うほどの行列は数百メートルに及び、大勢の警備員が慌ただしく整理券を配るなど図書館前は大混乱だった。
「え、俺休日の学校くることほとんどなかったけど、いつもこんな感じなのか…」
「あ、今日パパのサイン会」
カレンが思い出したように呟いた。
そう、今日はこの学校の校長にしてラブコメ界の巨匠である、落葉武帝のサイン会なのだ。
熱狂的なファンが多く、本など出せば重版につぐ重版。
一人で100冊買っていくやつも多数いるとかいないとか…
その潜在ファンの数はおよそ2000万人とも言われ、世にラブコメの素晴らしさを広めた伝道師として神格化されている。
その彼が直々に現れサインと握手をすることになっているらしく、噂を駆けつけたファンが全国から押し寄せてきているそうだ。
「やっぱ校長ってすげえんだな…ただのアホなおっさんにしか見えんのだが。」
「パパはすごいわ。ママに浮気されまくってるけど」
「だからその情報いらないんですけど!」
ていうか俺に課題出しといて学校でこんなイベントやるなよ…
「と、とにかく校長に取り次いでもらって中に入ろう。」
行列を横目に入り口付近まで行き、警備員に話をするが通してくれない。
「ダメダメ、君たちここの学生さん?でも特例は認めるなって先生から言われてるんだ。だから明日出直してきなさい。」
警備員に追い払われてしまい帰ろうかと悩んでいたところにタキシードを着た60歳くらいの白髪の男性が現れた。
「あ、じい」
「おお、これはお嬢様。ご無沙汰しております。」
どうやらカレンの顔見知りのようだ。
「カレン、この人は?」
「じい」
「だからなんの人!?」
カレンに聞いてもダメだと思い右手にステッキを持ったその渋いジェントルマンの方を見ると、これまた渋い声で丁寧に挨拶をされた。
「ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。私めは落葉様のご自宅で執事をしておりますセバスチャン高村《たかむら》と申します。あなたが噂の桜庭様ですね?お嬢様がいつもお世話になっていると聞いております。」
「あ、ええと、桜庭快斗です。こちらこそカレンにはいつも…お世話になってるのかな?いえ、とにかくよろしくお願いします。」
俺たちが挨拶を交わしている間にも列に人が増えていっている。
「あ、そうだ。高村さん、僕たち中に入れてもらえませんかね?ちょっと大事な用事があって…」
「そんなことでしたら、私めにお任せください。話を通してきます。」
よかった、なんとかなりそうだ。
それに高村さん、渋くてかっこいいなぁ…
俺もあんな風に歳をとりたいと、初対面ながらに少し憧れた。
非常口を警備する係の人に話をしてくれている。
頼りになる大人って感じだなぁ。
「え、しかし先生からは誰も通すなと…」
「いえ、私めが許可しているのですから構わないのです。それにあのお方は落葉様の御息女様でございますよ。」
「いえ、しかし…」
なんかてこずってるけど大丈夫なのかな…
「おい、お前どこのもんじゃい!?このワシがかまん言うたらかまんのじゃ!早よ道あけさらせくそ青二才がぁ!」
「!?」
高村さんが急変した…
もう何人も人を殺したかのような殺気を放っていた。
そしてステッキからは何か光るものが抜かれようとしていた。
「あ、あ…はい…どうぞ…」
「おお、物分かりがええやないか。さぁお嬢様、桜庭様。こちらへどうぞ。」
また急変して紳士に戻った高村さんはこっちを見て微笑んだ。
「行こう、快斗。」
「あ、ああ…」
ニッコリと微笑む高村さんと膝がプルプル震える警備員を横目に俺たちは非常口から中に入った。
「あ、あのさカレン、高村さんってどんな人なの?」
「じいは私の召使い。昔は伝説の極道だった」
「そんなもん飼いならすなよ!」
あー怖かった…
やっぱりこいつらの周りには変な奴しかいない…
中に入ると長蛇の列の先に校長がいた。
いつものふざけた感じではなく、紳士的に対応をしている。
とても生徒に数千万円の借金を背負わせて蟹漁船に乗せるなどと言うような奴には見えないな…
昨日見つけたメモの通り、非常階段前に行くと辞書があった。
「これか…?」
俺がその本を押すとガコッと音がしてその本棚がゆっくり横にスライドした。
なんと階段を見つけた!
ってドラ○エか!
「本当にあったんだ…」
俺はこのよくわからない現実を目の当たりにして立ち尽くしていると、カレンがさっさと降りて行こうとする。
「おいおい、何があるかわからないんだから気をつけろよ。」
「大丈夫、快斗が一緒だから」
俺はなぜかキュンとしてしまった。
二人で階段を降りると、扉があった。
どうやら鍵はかかっていないようだ?
「あ、開けるぞ」
ゆっくり扉を開けるとそこにはとんでもない光景が広がっていた。
「こ、これは…」
10畳ほどの部屋の中央に机があり、その上にパソコンが1台置いてあった。
そして部屋の壁にはどこで撮ったんだとすぐにツッコミたくなるほどの無数のエロい写真が貼り付けられていた。
「あ、見て快斗、セックスしてる」
「見ちゃダメ!」
急いでカレンの目を手で塞いだ。
ここが生徒会室なのか?
だとしたらマジで生徒会とだけは名乗らないで欲しかった…
今は誰もいないのか?
だとしたらチャンスだ。
俺はパソコンの電源を入れてカレンの画像を探すことにした。
カレンには目隠しをしてパソコンを触るとパスワードが要求された。
クソッ…普通はそうだよな。
ダメ元でローマ字でseitokaiと打った。
画面が開いた…
いやちょっとは考えろよ!
そしてデスクトップのフォルダを探していると、『カレン』と書かれたフォルダがあった。
これだ!
俺は中を開いて写真を確認しようとして一瞬戸惑った。
ここにカレンの裸の画像が…
「ねえ快斗、まだ?快斗は目隠しプレイが好きなの?」
「ちょ、ちょっと待っててね。あと、目隠しプレイはちょっと興味あります!」
見ていいのだろうか…
しかも本人を目隠しして後ろに放置してその子の画像を…
いかん変な性癖が目覚めそうだ…
しかし確認する他にない。
カレンに心の中で謝りながら画像を開いた。
「え、これって…?」
一枚だけ入っていた画像は多分風呂場を撮ったもの、なのか?ブレブレでピントもあってなくて正直なんの写真かもわからなかった。
え、ちゃんと撮れてなくない?
拍子抜けしたところで誰かが部屋に戻ってきた。
「誰だ!?」
入ってきたのは三年の大石《おおいし》先輩だった。
この人は創立以来の秀才と言われ、世界中の言語をマスターしテニスでは国際大会にも出場する学校のスーパースターだ。
一応俺がチェリーとして有名になった頃に面識はあった。
「え、大石先輩ですよね?あんたが犯人なの!?」
「お、お前はチェリー!まさか俺のコレクションを狙ってこんなとこまで…」
「え、いやコレクションは知らんけど、カレンの画像に用事があったというか…もうないんですけど。」
ずっと目隠しされたままのカレンを放置し、俺は大石先輩に事情を聞いた。
「なんでこんなことしてるんですか?それに先輩は生徒会の人なんですか?」
「あ、ああ。俺がこの学校の生徒会長ってことになってる…。頼む!このことは黙っていてくれ!なんでも言うことを聞く。」
何か深いわけがありそうだ、と事情を聞いたらほんと浅くてどうでもいいことだった。
つまり盗撮癖のある大石先輩がそれをクラスのやつにバレて、秘密にしてもらう代わりに画像を流してましたとさ。以上…
「なにそれ!?ただの盗撮魔ってだけじゃん!それに生徒会の他の人は?この部屋は?」
「この部屋は俺が盗撮した画像を見て色々するために作った部屋だ。そして生徒会には会長の俺一人しかいない。なんで俺が生徒会長になってるのか俺も知らないんだよ!めんどくさい規約とか作る時だけさ、何故かみんな会長会長って…ただの雑用だよ!」
なんじゃそれ…
「はぁ…とにかくカレンの画像はブレブレでしたけどとりあえず消しておいてください。それで黙っておきます。」
そう言って削除するところを見届けてから俺はカレンを目隠ししたまま引っ張って出て行った。
大石先輩はそのまま部屋に残っていたが別に気にすることはなかった。
ん?しかしそうなるとあのメモは?
我々って書いてたけど大石さんの自作自演なのかな。
ふとそう思ったがどうせ大したことはないだろうと考えたのと、再びあの部屋に戻る気もしないので放っておいた。
「もういいぞ、目隠ししんどかったか?」
「ううん、ちょっと濡れたかも」
「何それお前の方こそ大好きだよね目隠しプレイ!」
そして地上に戻ると高村さんが待ってくれていた。
「桜庭様、落葉様から手紙を賜っております。」
手紙?なんだろうか。
渡された手紙を開けて、俺はすぐに破り捨てた。
『昨日ベロチューしたから棒引きなしね。』
はぁー!?何が約束を守るのが大人だよ!
「快斗、怒ってる?」
「ああ、怒ってますよあんたのクソ親父にね!」
せっかく一日で課題が終わったと思ったのに…
借金なくなったと思ったのにー!
「桜庭様、落葉様よりご伝言です。『せっかくの課題が一日で終わったらつまらないので、借金棒引きのためのチャンスとしてもう一つ課題を与えます』とのことです。」
え、もう一つ?
「高村さん、ちなみにその課題って…」
「はい、お嬢様のお母上、メラニー様が明日近くに来られるそうなのですが、夜までメラニー様のお相手をしてほしいとのことでございます。」
出た、ビッチ!
俺は嫌な予感しかなかった…
「そ、それで相手ってのは…」
「はい、明日は落葉様とメラニー様のご結婚記念日なのですが、明日だけでも他の殿方との交わりを阻止していただきたいとのことでございます。落葉様は明日もイベントで忙しいため是非桜庭様にお願いしたいと。」
聞かされたのは無茶苦茶な課題だった。
もうカレン関係ないじゃん…
ていうかそこまでビッチなの!?
「明日ママくるの?快斗も会いたいって言ってた。よかったね。」
「いや、興味はありまくりなんですけど会いたくは…」
俺の次なる課題が決まった。
なんで俺は母と娘の両方のセックスを阻止せにゃならんのだ…
胃が痛くなってきて高村さんに寮まで送ってもらった…
それでもこの時はまだカレンの母を侮っていた。
これから俺は化物と対峙することになるのだが、そんなことを知る由もなかった…というか知らずに過ごしたかった…
俺は目の前の光景が信じられなかった。
一体ここに何があるのかと思うほどの行列は数百メートルに及び、大勢の警備員が慌ただしく整理券を配るなど図書館前は大混乱だった。
「え、俺休日の学校くることほとんどなかったけど、いつもこんな感じなのか…」
「あ、今日パパのサイン会」
カレンが思い出したように呟いた。
そう、今日はこの学校の校長にしてラブコメ界の巨匠である、落葉武帝のサイン会なのだ。
熱狂的なファンが多く、本など出せば重版につぐ重版。
一人で100冊買っていくやつも多数いるとかいないとか…
その潜在ファンの数はおよそ2000万人とも言われ、世にラブコメの素晴らしさを広めた伝道師として神格化されている。
その彼が直々に現れサインと握手をすることになっているらしく、噂を駆けつけたファンが全国から押し寄せてきているそうだ。
「やっぱ校長ってすげえんだな…ただのアホなおっさんにしか見えんのだが。」
「パパはすごいわ。ママに浮気されまくってるけど」
「だからその情報いらないんですけど!」
ていうか俺に課題出しといて学校でこんなイベントやるなよ…
「と、とにかく校長に取り次いでもらって中に入ろう。」
行列を横目に入り口付近まで行き、警備員に話をするが通してくれない。
「ダメダメ、君たちここの学生さん?でも特例は認めるなって先生から言われてるんだ。だから明日出直してきなさい。」
警備員に追い払われてしまい帰ろうかと悩んでいたところにタキシードを着た60歳くらいの白髪の男性が現れた。
「あ、じい」
「おお、これはお嬢様。ご無沙汰しております。」
どうやらカレンの顔見知りのようだ。
「カレン、この人は?」
「じい」
「だからなんの人!?」
カレンに聞いてもダメだと思い右手にステッキを持ったその渋いジェントルマンの方を見ると、これまた渋い声で丁寧に挨拶をされた。
「ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。私めは落葉様のご自宅で執事をしておりますセバスチャン高村《たかむら》と申します。あなたが噂の桜庭様ですね?お嬢様がいつもお世話になっていると聞いております。」
「あ、ええと、桜庭快斗です。こちらこそカレンにはいつも…お世話になってるのかな?いえ、とにかくよろしくお願いします。」
俺たちが挨拶を交わしている間にも列に人が増えていっている。
「あ、そうだ。高村さん、僕たち中に入れてもらえませんかね?ちょっと大事な用事があって…」
「そんなことでしたら、私めにお任せください。話を通してきます。」
よかった、なんとかなりそうだ。
それに高村さん、渋くてかっこいいなぁ…
俺もあんな風に歳をとりたいと、初対面ながらに少し憧れた。
非常口を警備する係の人に話をしてくれている。
頼りになる大人って感じだなぁ。
「え、しかし先生からは誰も通すなと…」
「いえ、私めが許可しているのですから構わないのです。それにあのお方は落葉様の御息女様でございますよ。」
「いえ、しかし…」
なんかてこずってるけど大丈夫なのかな…
「おい、お前どこのもんじゃい!?このワシがかまん言うたらかまんのじゃ!早よ道あけさらせくそ青二才がぁ!」
「!?」
高村さんが急変した…
もう何人も人を殺したかのような殺気を放っていた。
そしてステッキからは何か光るものが抜かれようとしていた。
「あ、あ…はい…どうぞ…」
「おお、物分かりがええやないか。さぁお嬢様、桜庭様。こちらへどうぞ。」
また急変して紳士に戻った高村さんはこっちを見て微笑んだ。
「行こう、快斗。」
「あ、ああ…」
ニッコリと微笑む高村さんと膝がプルプル震える警備員を横目に俺たちは非常口から中に入った。
「あ、あのさカレン、高村さんってどんな人なの?」
「じいは私の召使い。昔は伝説の極道だった」
「そんなもん飼いならすなよ!」
あー怖かった…
やっぱりこいつらの周りには変な奴しかいない…
中に入ると長蛇の列の先に校長がいた。
いつものふざけた感じではなく、紳士的に対応をしている。
とても生徒に数千万円の借金を背負わせて蟹漁船に乗せるなどと言うような奴には見えないな…
昨日見つけたメモの通り、非常階段前に行くと辞書があった。
「これか…?」
俺がその本を押すとガコッと音がしてその本棚がゆっくり横にスライドした。
なんと階段を見つけた!
ってドラ○エか!
「本当にあったんだ…」
俺はこのよくわからない現実を目の当たりにして立ち尽くしていると、カレンがさっさと降りて行こうとする。
「おいおい、何があるかわからないんだから気をつけろよ。」
「大丈夫、快斗が一緒だから」
俺はなぜかキュンとしてしまった。
二人で階段を降りると、扉があった。
どうやら鍵はかかっていないようだ?
「あ、開けるぞ」
ゆっくり扉を開けるとそこにはとんでもない光景が広がっていた。
「こ、これは…」
10畳ほどの部屋の中央に机があり、その上にパソコンが1台置いてあった。
そして部屋の壁にはどこで撮ったんだとすぐにツッコミたくなるほどの無数のエロい写真が貼り付けられていた。
「あ、見て快斗、セックスしてる」
「見ちゃダメ!」
急いでカレンの目を手で塞いだ。
ここが生徒会室なのか?
だとしたらマジで生徒会とだけは名乗らないで欲しかった…
今は誰もいないのか?
だとしたらチャンスだ。
俺はパソコンの電源を入れてカレンの画像を探すことにした。
カレンには目隠しをしてパソコンを触るとパスワードが要求された。
クソッ…普通はそうだよな。
ダメ元でローマ字でseitokaiと打った。
画面が開いた…
いやちょっとは考えろよ!
そしてデスクトップのフォルダを探していると、『カレン』と書かれたフォルダがあった。
これだ!
俺は中を開いて写真を確認しようとして一瞬戸惑った。
ここにカレンの裸の画像が…
「ねえ快斗、まだ?快斗は目隠しプレイが好きなの?」
「ちょ、ちょっと待っててね。あと、目隠しプレイはちょっと興味あります!」
見ていいのだろうか…
しかも本人を目隠しして後ろに放置してその子の画像を…
いかん変な性癖が目覚めそうだ…
しかし確認する他にない。
カレンに心の中で謝りながら画像を開いた。
「え、これって…?」
一枚だけ入っていた画像は多分風呂場を撮ったもの、なのか?ブレブレでピントもあってなくて正直なんの写真かもわからなかった。
え、ちゃんと撮れてなくない?
拍子抜けしたところで誰かが部屋に戻ってきた。
「誰だ!?」
入ってきたのは三年の大石《おおいし》先輩だった。
この人は創立以来の秀才と言われ、世界中の言語をマスターしテニスでは国際大会にも出場する学校のスーパースターだ。
一応俺がチェリーとして有名になった頃に面識はあった。
「え、大石先輩ですよね?あんたが犯人なの!?」
「お、お前はチェリー!まさか俺のコレクションを狙ってこんなとこまで…」
「え、いやコレクションは知らんけど、カレンの画像に用事があったというか…もうないんですけど。」
ずっと目隠しされたままのカレンを放置し、俺は大石先輩に事情を聞いた。
「なんでこんなことしてるんですか?それに先輩は生徒会の人なんですか?」
「あ、ああ。俺がこの学校の生徒会長ってことになってる…。頼む!このことは黙っていてくれ!なんでも言うことを聞く。」
何か深いわけがありそうだ、と事情を聞いたらほんと浅くてどうでもいいことだった。
つまり盗撮癖のある大石先輩がそれをクラスのやつにバレて、秘密にしてもらう代わりに画像を流してましたとさ。以上…
「なにそれ!?ただの盗撮魔ってだけじゃん!それに生徒会の他の人は?この部屋は?」
「この部屋は俺が盗撮した画像を見て色々するために作った部屋だ。そして生徒会には会長の俺一人しかいない。なんで俺が生徒会長になってるのか俺も知らないんだよ!めんどくさい規約とか作る時だけさ、何故かみんな会長会長って…ただの雑用だよ!」
なんじゃそれ…
「はぁ…とにかくカレンの画像はブレブレでしたけどとりあえず消しておいてください。それで黙っておきます。」
そう言って削除するところを見届けてから俺はカレンを目隠ししたまま引っ張って出て行った。
大石先輩はそのまま部屋に残っていたが別に気にすることはなかった。
ん?しかしそうなるとあのメモは?
我々って書いてたけど大石さんの自作自演なのかな。
ふとそう思ったがどうせ大したことはないだろうと考えたのと、再びあの部屋に戻る気もしないので放っておいた。
「もういいぞ、目隠ししんどかったか?」
「ううん、ちょっと濡れたかも」
「何それお前の方こそ大好きだよね目隠しプレイ!」
そして地上に戻ると高村さんが待ってくれていた。
「桜庭様、落葉様から手紙を賜っております。」
手紙?なんだろうか。
渡された手紙を開けて、俺はすぐに破り捨てた。
『昨日ベロチューしたから棒引きなしね。』
はぁー!?何が約束を守るのが大人だよ!
「快斗、怒ってる?」
「ああ、怒ってますよあんたのクソ親父にね!」
せっかく一日で課題が終わったと思ったのに…
借金なくなったと思ったのにー!
「桜庭様、落葉様よりご伝言です。『せっかくの課題が一日で終わったらつまらないので、借金棒引きのためのチャンスとしてもう一つ課題を与えます』とのことです。」
え、もう一つ?
「高村さん、ちなみにその課題って…」
「はい、お嬢様のお母上、メラニー様が明日近くに来られるそうなのですが、夜までメラニー様のお相手をしてほしいとのことでございます。」
出た、ビッチ!
俺は嫌な予感しかなかった…
「そ、それで相手ってのは…」
「はい、明日は落葉様とメラニー様のご結婚記念日なのですが、明日だけでも他の殿方との交わりを阻止していただきたいとのことでございます。落葉様は明日もイベントで忙しいため是非桜庭様にお願いしたいと。」
聞かされたのは無茶苦茶な課題だった。
もうカレン関係ないじゃん…
ていうかそこまでビッチなの!?
「明日ママくるの?快斗も会いたいって言ってた。よかったね。」
「いや、興味はありまくりなんですけど会いたくは…」
俺の次なる課題が決まった。
なんで俺は母と娘の両方のセックスを阻止せにゃならんのだ…
胃が痛くなってきて高村さんに寮まで送ってもらった…
それでもこの時はまだカレンの母を侮っていた。
これから俺は化物と対峙することになるのだが、そんなことを知る由もなかった…というか知らずに過ごしたかった…
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