校長からの課題が娘の処女を守れ…だと!?

明石龍之介

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第19話 裸の付き合い

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とんでもないことになってしまった。

どうしてこうなった…

俺は確かに脱衣所と風呂場のカギを両方かけたはずだ。

「なのにどうしてお前入ってこれるんだよ!」

「鍵、開けた」
「いやなんの盗賊スキル!?もう鍵の意味ないじゃん!」

俺はカレンと風呂場にいる。

ここの風呂は広くて大人10人くらいは入れそうな大きさだ。
その風呂がこの寮の唯一と言っていいほどの俺の楽しみだったのだが、今日はリラックスどころか全身がガチガチだ…

「とにかく絶対そっちは向かないからな。体洗ったら出ろ!」

「快斗、他の人の裸は平気で見るのに」
「平気じゃないって!それにあれは事故だって言ってるだろ!?」

俺は湯舟の隅で壁を見ながら話している。
しかし裸のカレンがそこにいると思うと、もうどうしようもないくらいにやばい。
動けない。

「どうしたらいいんだよ?」

「こっち見てくれたらいいよ」

「ダメだって俺が暴走しちゃうって!」

「じゃあ襲えばいいのに」

「それが一番ダメだって!」

カレンの響く声すらもなぜかいやらしく感じてしまう…
詰んでいる…
この状況はまじで詰みだ…

将棋で言えば飛車角金銀から同時に王手をかけられたような(そんなことあり得ないんだけど)、それくらい逃げ場がない…


…いや?何を焦っているんだ俺は。
俺が風呂場から飛び出せばいいじゃないか。

裸のカレンが入ってきてつい焦ってしまったが、詰みどころか王手すらかかってないじゃないか。
なんだ、冷静になればずいぶんと簡単な問題だったな。

甘いぞカレン、俺は今この呪縛から解放される!

「お前は風呂に入ってろ、俺は先に出るからな!」

勢いよく湯舟を出て入り口に向かってダッシュした。

あぶねー、ほんとに死ぬかと思った…

ガチャ、ガチャガチャガチャッ

あれ?開かない…
焦るな俺、焦るな!

なんで、なんで開かないの!?

「鍵、細工しておいたよ」
「いやだからなんのスキルなんだよそれ!?それもあなたの家の秘伝ですか!?」

やばい、今カレンに出てこられたら逃げ場がない…
もう麻雀で言えば字牌しか持っていないのに国士13面待ちのやつがいるくらい詰んでる…てかそれは詰んでるわ!

ザバンとカレンが湯舟からあがる音がした。
ペタペタとこっちに足音が近づいてくる。
やばいやばいやばいやばい…
ドアがガラスじゃなくて幸いだったが、しかし気配が近づくのがわかる…

そしていつかの時よりも柔らかい感触のものがおれの背中に触れた。

「カ、カレン…?」
少し控えめに、でもしっかりとわかるくらいに触れるその感触はもしや…

生乳

これはもう言うまでもない。ただひたすらエロい。
そしてそんなものに触れてしまうともう冷静に何かを考えるなど不可能。そんなことができる輩がいるとするならば、そいつはきっと人をやめている。

「や、やばいって。洒落にならないから、お願いだから離れてよ!!」

「快斗、私だけいつも避ける。寂しい…」

え、そうか!?お前にだけ特別過保護じゃない!?
でも校長との約束があるから一線を越えることだけはしては絶対にいけないと、どこかで避けようとしていたのは確かだ。
それをこいつはわかって…

「い、いやそうじゃない。そうじゃないの!」

「じゃあ私のも、見たい?」

「見たい見たい!なんなら一番見たい!他の奴のなんか見たくない!」

これは全部本音だ。裸の付き合いをすれば本音をさらけ出せるというやつは、おそらくこれとは違うのだろうが…

「ほんと?嬉しい!」

そういってカレンは俺の背中にギュッと抱きついてきた。

思いっきりムニュッとした感触が俺の背後を襲う。

その瞬間俺の強靭な狂人並みの理性が吹っ飛び俺は凶刃と化した。

「カレン!」
俺は勢いよく振り返った、はずだった…

俺は一体何をしようとしたのだろうか。
多分カレンを押し倒そうとしたのだろう。
もうどうにでもなれと思っていたのだろう。

そんなことが走馬灯のようにスローモーションで頭に浮かびながら、床の石鹸で足を滑らせた俺は裸のカレンを少しだけ垣間見ながら床に頭を打った。

「がはっ!」

俺は気絶してしまった…


「…うう、いてて。あれここは?」

「快斗、目が覚めた。ずっと目が覚めないから心配だった…」

まだ視界がぼやけているが、どうやら俺の部屋のようだ。
もう夜中になっていた。

「カレン!さっきのはどういうつもりだよ!悪ふざけもいい加減にしろよ!何かあったらどうするんだよ!」

俺は焦っていた。
カレンを押し倒そうとしてしまったのだから当然だ…

「快斗、まだフラフラしてる。大丈夫?」
「もう大丈夫だから!とりあえずこの部屋から出てけよ!」

俺はカレンを怒鳴ってしまった。
別にこいつは悪いことはしてない…いやあれは悪ふざけじゃ済まないぞ…

「うん…ごめんなさい…」

カレンはゆっくり立ち上がって部屋を出た。

あれ?今泣いてた…?

いや、甘やかすからいけないんだ。
俺はもうキスもしないぞ。ただ校長に言われてるから、借金課せられて脅されてるから、ただそれだけだから…

…本当にそうか?
俺は案外カレンが大事なんじゃないか?
だから変なこともしたくないというか…

あーもう!ぐちゃぐちゃだ!
寝よう!

俺はベッドに横たわった。

そうだ、あいつがいけないんだ。
しばらく反省すればいいんだ…

ほら、すぐに眠くなってきた。
だんだん視界がぼやけてきた
ぐーるぐるぐーるぐる

「ぐーるぐるぐーるぐる」

「!?」

俺は飛び起きた!
横を見るとまた白衣の幸薄そうなやつが立っている。

「あ、お前!この前はよくも!」

白衣の男はニッコリと笑う。

「で、今日は何しに来たんだよ」

白衣の男はニッコリと笑う。
「いやだから喋れやって!!」

するとまた通訳のように高村さんが入ってきた。
いやあんたもいつ寝てるんですか…

「桜庭様、お嬢様がご迷惑をおかけしたようで申し訳ございません。しかし桜庭様の身を案じ、我々に緊急招集をかけるほどお嬢様は心配しておられました。アンも明日は大切な用事があったのですが、お嬢様が無理を言って連れてこられたのです。」

「大切な用事?それって…」
「明日は世界チャンピオンをかけたタイトルマッチです。」
「いやそれは優先して!?ていうかこいつそんなにすごいの!?今度サインください!!」

白衣の男はニッコリと笑う。
「いやそれしかできんのかい!」

でもカレンも反省してたんだな…それを俺はあんな風に…

「あ、そうだ!高村さんカレンは!?」

「自室で一人閉じこもっておられます。桜庭様に叱咤されたことがよほど堪えたのでしょう。」

「そうか…でも高村さんは怒らないの?俺が大事な主人を泣かせたってのに…」

「事情は聞いております。桜庭様はお嬢様のことを思ってのことでしょう?なら私めが怒る理由などどこにありますか。むしろ感謝せねばならぬくらいです。」

「高村さん…」

やっぱり良い人だ…この人は知的で紳士的でかっこいい。
やっぱりこういう歳の取り方をしたいなぁ。

「…くせもの」

白衣が呟いた。

「え、なに!?曲者!?」

「お嬢様のお部屋か!?アン・ジールよ、お嬢様を助けるのじゃ!」

なにかがカレンの部屋に侵入してきたようだ。

その瞬間俺の上を格ゲーのキャラのような飛び蹴りで飛んでいく白衣がいた。

「侵入者、排除」

ドーン!!

思いきり壁に穴をあけて隣の部屋に白衣が飛び込んでいった…
って何今の!?すげえ飛んでたよね!?てか壁が薄かったのかな!?薄いと蹴りで穴があくのかな!?
あんた絶対明日のタイトル取れるからサイン置いて帰って!!

「ななななんだお前!」

「侵入者、排除」

俺と高村さんがその穴から隣に行くとまたしてもYBIと書いたシャツを着た男三人が突然現れた白衣に腰を抜かしている。

カレンはなぜかポテチを食べている…
いやなんでだよ!?

いやもうどんな状況だよ…

「く、くそなんなんだこの寮は!?センサーをかいくぐったはずなのに!」

「侵入者、排除」

「う、うわー。もう二度と来ませんすみませんでしたー!」

男たちは逃げていった。

カレンの処女は、アン・ジールの奇跡の足によって守られた…

「お嬢様、ご無事ですか?」

「あ、じい。うん、大丈夫。快斗、もう元気なの?」

なんで俺の心配なんだよ…

俺はカレンのところにいって軽く頭を小突いた。

「痛い!快斗、まだ怒ってるの?」

「怒ってるよ!なんで声出さないんだよ!変なやつ来たら呼べって言っただろ!?」

「ポテチくれたから」
「いやあいつらからもらったんかい!知らない人からものもらったらだめなの!!」

俺はカレンが心配なんだ。大事なんだ。だから借金とかどうでもいいんだよ…
一緒にいたいから校長との約束を守るし、そうしないと一緒にいれないから…

クソッ言いたいことがたくさんあるのに言えない…俺って情けない男だ…

「快斗、泣いてる?」
「泣いてない!なんでお前のために泣かないといけないんだよ…俺はもっと無茶苦茶だってのに…」

カレンが俺に優しくキスをしてくれた。

「え?」
「仲直りのチュー、これで仲直り、ね?」

俺はもうその朱色に染まった顔にメロメロだった。
これは無理だよ…可愛すぎるだろうがー!

心の中で思いきり叫んだあと、冷静を保ちながらカレンに謝った。

「ごめんよ、もう怒ったりしないから。でも俺が困ることは控えてくれると嬉しいな…」

「困ることはしない…うん、わかった。」

何か知らんが仲直りできた。
雨降って地固まったということか…

「そうだ、高村さんもアンさんもありがとうございます。ていうかよく気配を察知できましたね、やっぱり格闘家の本能とかいうやつですか?」

「彼には以前こちらに来た際に、お嬢様の部屋に侵入者が来た時に自動的に敵を排除するようにと自己暗示をかけさせておきました。」
「え、なにそれそんなことできるの!?この人ロボットとかじゃないよね!?」

まぁなんとも頼もしいボディガードだな…
いや待てよ?なんか似たようなことがあったようななかったような…

「あのー高村さん、侵入者の基準ってどこですか?」
「落葉様に使える我々とお嬢様以外となっておりますが?」

やっぱり…

そう思った瞬間には白衣の中断蹴りが俺にさく裂していた。

「侵入者、排除」

「いやだから俺はいいんだってー!ぐふっ!」

俺は再び気を失った。

目が覚めたら朝だった。

夢か…とはならないほどの惨状だった。
壁に開いた大きな穴、散らばった破片、そして食べかけのポテチ…
いや、これはちゃんと捨てなさい!

カレンは俺の横で珍しくまだ寝ていた。

「おい、起きろ!朝だぞ。」

「う、うん?おはよう快斗、昨日は楽しかったね」

「いやあれ楽しいか!?」
「快斗と一緒だと、楽しい。」

そう言われて俺は照れてしまった。
クソッ、なんか踊らされてる気がする…

「今日は早めに学校行って視聴覚室調べないと。じゃないと俺やばいんだよ…」

「快斗困ってる…わかった、行く。」

すっかり携帯を見るのを忘れていたが、見たところでもう借金は膨れ上がって1億どころじゃない…

徳政令を発動させない限り、この生活も守られない…
でもこれをクリアすれば…キスし放題…じゃなくてとりあえず借金をなんとかするんだ!

「行くぞ!」

「うん」

そう勢いよく学校に向かったのだが、ある意味昨日以上に最大のピンチに陥ることになる…

正直、真生徒会のこと、舐めてました…






















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