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第8章 金級ダンジョン攻略
242.ナンパ?
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クルトさんの予想は大当たりで、サンドイッチを前にしたウーガさんの腹の虫が空腹を訴えたのを機に、部屋の空気が和らいだ。
「……悪い。感情的になり過ぎた」
エニスさん。
「あー……あああっくそ! 思い出すだけでも胸糞悪ぃしもう忘れよう! せっかくのレンの飯に申し訳ない!」
ドーガさん。
「だよね、だよね。うん、美味しいご飯食べて忘れよう!」
そう言って早速サンドイッチに手を伸ばそうとしたウーガさんをバルドルさんが止める。
「まずは手を洗え。それから、食べた後で良いから出先で何があったかは共有しろ。とてもじゃないが無かったことに出来る雰囲気じゃなかったぞ」
「えー。もう思い出したくないんだけど」
「それでもだ」
「……共有はする。だがまずは飯を食わせてくれ。これを前にお預けさせられたら益々機嫌が悪くなりそうだ」
すっかり落ち着いたらしいエニスさんの言葉にはバルドルさんも納得。
ウーガさんたちが手を洗って戻ってくる頃には暖かなカフェオレも完成してそれぞれの席へ配り終えていて、全員で「いただきます」をする。
「ん。この卵のやつ美味い!」
「ツナマヨ好きー!」
「たまにはこれ……カフェオレだっけ。甘いのも悪くないな」
美味しいといって笑顔で食べてくれるのは作り手としてとても嬉しい。
6人分だが、実質10人分くらいあったサンドイッチ、ポテトサラダ、ゆで卵、カットフルーツはあっという間になくなった。
「あ、ムカつき過ぎてお菓子買って来るの忘れた。デザートにしようと思って目を付けてたの、あったのに」
ウーガさんが眉を吊り上げて言う。
俺はダンジョン探索時に背負っていたリュックの中身を思い出す。昨日の荷解きの後に整理して……。
「歩きながらでも食べられるようにと思って作ったクッキーならまだあったはずですけど、いりますか?」
「いる!」
前のめりに返事するウーガさん。
少し待ってもらって神具『住居兼用移動車両』Ex.に戻り、時間停止・容量無限のパントリーに収納しておいたクッキーの袋を持って戻る。
チョコチップ、ナッツ、ドライフルーツ、プレーン……。16人分のおやつだから相当な量だ。
ちなみにこっちの世界でチョコレートは高級品だが、手に入りにくいというほどでもない。レイナルドさんに頼んだら少し待ったが平然と仕入れてくれた。
「お待たせしました。どうぞ」
「ありがとうレン!」
「俺も貰って良いかな」
「もちろんです」
袋から大きな皿に移し、すっかり空になったサンドイッチの皿と入れ替える。
「あと、コーヒーならもう少しあるんですが飲む人いますか?」
「貰う」
「俺も」
バルドルさんとエニスさんが手を挙げたので、残っていたそれを半分ずつ二人のカップに。
それから俺が食器を洗っている間に皆は小腹を満たし、クッキーの山が半分くらいになった頃にはヒユナさんとミッシェルさんが帰って来た。
彼女たちのお昼ももちろん別で用意しているので、それらを仕上げて提供している内に、ウーガさんたちもすっかり落ち着いたらしい。
「さっきはごめんね」
「俺も。もう少し頭冷やしてから帰って来るべきだった」
「反省する」
ウーガさん、ドーガさん、エニスさんと続く謝罪の言葉には戻って来たばかりのヒユナさんとミッシェルさんもびっくりだ。
「どうしたの。なんかあった? あまり酷い話なら兄も呼ぶし、グランツェたちにも集合掛けるけど」
言いながらメッセンジャーの魔石を取り出すミッシェルさん。
ヒユナさんも慌ててパーティメンバーへのそれを取り出した。
「あー……まぁ情報の共有はしといた方が良いんだろうが、グランツェさんたちはデート中だろ。その邪魔するのはな」
「そこまで急は要さない感じ?」
「言うなればナンパされただけだからな」
「ナンパ」
ミッシェルさんが復唱する。
俺も首を傾げた。
「それって、この間のルドルフさんみたいな?」
「今日のに比べたらルディのあれは公式の招待状みたいだよ」
ナンパに公式の招待状って一体なんだろう?
脳内でクエスチョンマークが飛び交う間にも話は進む。
「レンが言ってたろ。第15階層の魔法陣に魔力登録して出てきた時に外で会ったギルド職員。誰を見てたかは定かじゃないけど嫌な目をしていたって」
「ギァリッグ大陸のゼス、さん?」
「そうそいつ!」
「15から30階層までの魔物の素材なんかを売りに冒険者ギルドに寄ったら、そこにいたんだ」
大陸連合によって立て直しの真っ最中のマーヘ大陸だ。
各大陸から派遣されて来た職員がそこにいるのは当然だろう、と思ったら。
「あいつ! 俺たちが魔法武器持ってないのバカにして、自分の番になるなら手に入れさせてやるって言ったんだ」
はああああ?
「……悪い。感情的になり過ぎた」
エニスさん。
「あー……あああっくそ! 思い出すだけでも胸糞悪ぃしもう忘れよう! せっかくのレンの飯に申し訳ない!」
ドーガさん。
「だよね、だよね。うん、美味しいご飯食べて忘れよう!」
そう言って早速サンドイッチに手を伸ばそうとしたウーガさんをバルドルさんが止める。
「まずは手を洗え。それから、食べた後で良いから出先で何があったかは共有しろ。とてもじゃないが無かったことに出来る雰囲気じゃなかったぞ」
「えー。もう思い出したくないんだけど」
「それでもだ」
「……共有はする。だがまずは飯を食わせてくれ。これを前にお預けさせられたら益々機嫌が悪くなりそうだ」
すっかり落ち着いたらしいエニスさんの言葉にはバルドルさんも納得。
ウーガさんたちが手を洗って戻ってくる頃には暖かなカフェオレも完成してそれぞれの席へ配り終えていて、全員で「いただきます」をする。
「ん。この卵のやつ美味い!」
「ツナマヨ好きー!」
「たまにはこれ……カフェオレだっけ。甘いのも悪くないな」
美味しいといって笑顔で食べてくれるのは作り手としてとても嬉しい。
6人分だが、実質10人分くらいあったサンドイッチ、ポテトサラダ、ゆで卵、カットフルーツはあっという間になくなった。
「あ、ムカつき過ぎてお菓子買って来るの忘れた。デザートにしようと思って目を付けてたの、あったのに」
ウーガさんが眉を吊り上げて言う。
俺はダンジョン探索時に背負っていたリュックの中身を思い出す。昨日の荷解きの後に整理して……。
「歩きながらでも食べられるようにと思って作ったクッキーならまだあったはずですけど、いりますか?」
「いる!」
前のめりに返事するウーガさん。
少し待ってもらって神具『住居兼用移動車両』Ex.に戻り、時間停止・容量無限のパントリーに収納しておいたクッキーの袋を持って戻る。
チョコチップ、ナッツ、ドライフルーツ、プレーン……。16人分のおやつだから相当な量だ。
ちなみにこっちの世界でチョコレートは高級品だが、手に入りにくいというほどでもない。レイナルドさんに頼んだら少し待ったが平然と仕入れてくれた。
「お待たせしました。どうぞ」
「ありがとうレン!」
「俺も貰って良いかな」
「もちろんです」
袋から大きな皿に移し、すっかり空になったサンドイッチの皿と入れ替える。
「あと、コーヒーならもう少しあるんですが飲む人いますか?」
「貰う」
「俺も」
バルドルさんとエニスさんが手を挙げたので、残っていたそれを半分ずつ二人のカップに。
それから俺が食器を洗っている間に皆は小腹を満たし、クッキーの山が半分くらいになった頃にはヒユナさんとミッシェルさんが帰って来た。
彼女たちのお昼ももちろん別で用意しているので、それらを仕上げて提供している内に、ウーガさんたちもすっかり落ち着いたらしい。
「さっきはごめんね」
「俺も。もう少し頭冷やしてから帰って来るべきだった」
「反省する」
ウーガさん、ドーガさん、エニスさんと続く謝罪の言葉には戻って来たばかりのヒユナさんとミッシェルさんもびっくりだ。
「どうしたの。なんかあった? あまり酷い話なら兄も呼ぶし、グランツェたちにも集合掛けるけど」
言いながらメッセンジャーの魔石を取り出すミッシェルさん。
ヒユナさんも慌ててパーティメンバーへのそれを取り出した。
「あー……まぁ情報の共有はしといた方が良いんだろうが、グランツェさんたちはデート中だろ。その邪魔するのはな」
「そこまで急は要さない感じ?」
「言うなればナンパされただけだからな」
「ナンパ」
ミッシェルさんが復唱する。
俺も首を傾げた。
「それって、この間のルドルフさんみたいな?」
「今日のに比べたらルディのあれは公式の招待状みたいだよ」
ナンパに公式の招待状って一体なんだろう?
脳内でクエスチョンマークが飛び交う間にも話は進む。
「レンが言ってたろ。第15階層の魔法陣に魔力登録して出てきた時に外で会ったギルド職員。誰を見てたかは定かじゃないけど嫌な目をしていたって」
「ギァリッグ大陸のゼス、さん?」
「そうそいつ!」
「15から30階層までの魔物の素材なんかを売りに冒険者ギルドに寄ったら、そこにいたんだ」
大陸連合によって立て直しの真っ最中のマーヘ大陸だ。
各大陸から派遣されて来た職員がそこにいるのは当然だろう、と思ったら。
「あいつ! 俺たちが魔法武器持ってないのバカにして、自分の番になるなら手に入れさせてやるって言ったんだ」
はああああ?
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