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交易都市ロックロード
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「皆さん!!トンネルが見えてきたっす!!」
前方を歩いていたラックが嬉しそうにこちらに振り向いてくる。
俺達もラックに駆け寄り、その目でトンネルを確認した。
「デケェなぁ……。」
「あのトンネルは帝国とドワーフの里の架け橋みたいなものなのよ。トンネルの横道からは鉱石も採掘できるらしいし。」
「今日中にトンネル手前の町まで行って宿を確保しましょう。」
「ほんとだ、町があるな。久々にまともな飯が食えそうだな。」
「ご飯……。」
俺達はワクワクしていた。
それもそのはず、結局岩石地帯を抜けるまでに5日ほどかかったからだ。
それまでまともな飯は食えなかったし、水もギリギリだった。
「トンネル自体もかなり距離があるはずですし、しっかりと準備してから進みましょう。」
『交易都市ロックロード』
元々はドワーフの里側にあった町であり、鉱石を採掘する為に作られた町だった。
何十年も鉱石を採掘し続けた結果山を貫通し、人族達と協力して反対側にも都市が作られた。
気さくな者の多いドワーフと真面目な人族は相性が良く、都市は急速に発展し、帝都と比べても遜色ない規模にまで発展している。
「……って観光案内には書かれてたんだがな。」
俺達はロックロードの入口にあった観光案内のパンフレットを広げながら町に目をやる。
店の入口にはそこかしこに『ドワーフお断り!!』の文字が書かれ、とてもじゃないが仲が良い雰囲気には見えない。
「まぁ、アタシ達は人間だからこの町で差別されることは無いんでしょうけど、気分が良いものでは無いわね。」
「そうですねぇ……。とりあえず、早急に宿を探しますか。」
「んじゃあそっちは任せる。俺はちょっと探し物があるから町回ってるわ。」
「わ、私も一成さんと行きます。」
「了解っす!!じゃあ暫くしたらまた町の入口に集合で!!」
という事で俺とレインは他の3人と別れた。
通りを歩いていると、レインが俺に聞いてくる。
「一成さん。探し物って何ですか?」
「ああ、この間貰ったオリハルコンがあるだろ?それを加工できるドワーフを早い内に探しておきたかったんだよ。簡単に見つかるとは思えないし。」
「ルビィさんに貰った鉱石ですか。確か扱いが難しいって仰ってましたもんね。」
しかし町を回ったがそもそもドワーフの店が少ない。
というか無い。
あんな看板があったくらいだからドワーフ自体も殆ど見かけなかった。
帝国領側だからかと肩を落としていた時、大声でドワーフの女性を怒鳴りつけるガラの悪い男が目に入った。
「てめぇ、ドワーフがこの街で歩いてんじゃねぇよ!!」
「す、すみません!!」
女性は小さくなり、ひたすら頭を下げ謝っている。
男はその態度も気に食わないのか、女性の肩を突き飛ばして女性は倒れてしまう。
俺は俺で面倒事に巻き込まれるオチが見えていたのでそっとその場を通り過ぎようとしたんだが、こんな光景を聞いてレインが黙っているはずがなかった。
「あの!!この方に謝ってください!!」
「あぁ!?」
男はレインに近寄り、胸ぐらを掴もうとした手を俺の手が遮った。
「なんだてめぇら!!」
「まぁ、こうなるよな……。レイン、こういうのはもっとスマートに出来るようになろうな。」
男は興奮し今度は俺の胸ぐらを掴もうとするが、男が握る手の中に素早く火のついたタバコを差し込み、勢いのままそれを握ってしまった男は声を上げながら手を引っ込めた。
「あっつ!!」
「……てめぇ、何俺のタバコの火消してんだよ。」
俺は大して怖くもない顔で睨みをきかせ、自分より少し身長の高い男の胸ぐらを掴む。
そのまま軽々と持ち上げると男はジタバタと体を動かして抵抗するが、俺の力が強すぎて振り解けない様子だ。
「アンタ達こんなところで何してるの?……カツアゲ?」
背後から聞こえる声に俺とレインが振り向くと、見知った顔が立っていた。
いつかの女商人、ルビィである。
「人聞きが悪いぞ。どっからどう見ても暴漢から若い女性を助けるヒーローだろうが。」
「どっからどう見ても男から金を巻き上げてる悪党よ。」
「ち、違うんですルビィさん!!これには深い訳が……。」
俺が男を持ち上げている間にもレインと女性が丁寧に説明し、どうやら俺への誤解は解けたようだ。
「う、うぐっ……。」
「ああすまん。そろそろ酸欠か?」
2人が説明している間中持ち上げられていた男は顔が真っ赤になり、白目を向きかけている。
俺は男を路地裏のゴミ捨て場へ放り投げ、3人に駆け寄った。
前方を歩いていたラックが嬉しそうにこちらに振り向いてくる。
俺達もラックに駆け寄り、その目でトンネルを確認した。
「デケェなぁ……。」
「あのトンネルは帝国とドワーフの里の架け橋みたいなものなのよ。トンネルの横道からは鉱石も採掘できるらしいし。」
「今日中にトンネル手前の町まで行って宿を確保しましょう。」
「ほんとだ、町があるな。久々にまともな飯が食えそうだな。」
「ご飯……。」
俺達はワクワクしていた。
それもそのはず、結局岩石地帯を抜けるまでに5日ほどかかったからだ。
それまでまともな飯は食えなかったし、水もギリギリだった。
「トンネル自体もかなり距離があるはずですし、しっかりと準備してから進みましょう。」
『交易都市ロックロード』
元々はドワーフの里側にあった町であり、鉱石を採掘する為に作られた町だった。
何十年も鉱石を採掘し続けた結果山を貫通し、人族達と協力して反対側にも都市が作られた。
気さくな者の多いドワーフと真面目な人族は相性が良く、都市は急速に発展し、帝都と比べても遜色ない規模にまで発展している。
「……って観光案内には書かれてたんだがな。」
俺達はロックロードの入口にあった観光案内のパンフレットを広げながら町に目をやる。
店の入口にはそこかしこに『ドワーフお断り!!』の文字が書かれ、とてもじゃないが仲が良い雰囲気には見えない。
「まぁ、アタシ達は人間だからこの町で差別されることは無いんでしょうけど、気分が良いものでは無いわね。」
「そうですねぇ……。とりあえず、早急に宿を探しますか。」
「んじゃあそっちは任せる。俺はちょっと探し物があるから町回ってるわ。」
「わ、私も一成さんと行きます。」
「了解っす!!じゃあ暫くしたらまた町の入口に集合で!!」
という事で俺とレインは他の3人と別れた。
通りを歩いていると、レインが俺に聞いてくる。
「一成さん。探し物って何ですか?」
「ああ、この間貰ったオリハルコンがあるだろ?それを加工できるドワーフを早い内に探しておきたかったんだよ。簡単に見つかるとは思えないし。」
「ルビィさんに貰った鉱石ですか。確か扱いが難しいって仰ってましたもんね。」
しかし町を回ったがそもそもドワーフの店が少ない。
というか無い。
あんな看板があったくらいだからドワーフ自体も殆ど見かけなかった。
帝国領側だからかと肩を落としていた時、大声でドワーフの女性を怒鳴りつけるガラの悪い男が目に入った。
「てめぇ、ドワーフがこの街で歩いてんじゃねぇよ!!」
「す、すみません!!」
女性は小さくなり、ひたすら頭を下げ謝っている。
男はその態度も気に食わないのか、女性の肩を突き飛ばして女性は倒れてしまう。
俺は俺で面倒事に巻き込まれるオチが見えていたのでそっとその場を通り過ぎようとしたんだが、こんな光景を聞いてレインが黙っているはずがなかった。
「あの!!この方に謝ってください!!」
「あぁ!?」
男はレインに近寄り、胸ぐらを掴もうとした手を俺の手が遮った。
「なんだてめぇら!!」
「まぁ、こうなるよな……。レイン、こういうのはもっとスマートに出来るようになろうな。」
男は興奮し今度は俺の胸ぐらを掴もうとするが、男が握る手の中に素早く火のついたタバコを差し込み、勢いのままそれを握ってしまった男は声を上げながら手を引っ込めた。
「あっつ!!」
「……てめぇ、何俺のタバコの火消してんだよ。」
俺は大して怖くもない顔で睨みをきかせ、自分より少し身長の高い男の胸ぐらを掴む。
そのまま軽々と持ち上げると男はジタバタと体を動かして抵抗するが、俺の力が強すぎて振り解けない様子だ。
「アンタ達こんなところで何してるの?……カツアゲ?」
背後から聞こえる声に俺とレインが振り向くと、見知った顔が立っていた。
いつかの女商人、ルビィである。
「人聞きが悪いぞ。どっからどう見ても暴漢から若い女性を助けるヒーローだろうが。」
「どっからどう見ても男から金を巻き上げてる悪党よ。」
「ち、違うんですルビィさん!!これには深い訳が……。」
俺が男を持ち上げている間にもレインと女性が丁寧に説明し、どうやら俺への誤解は解けたようだ。
「う、うぐっ……。」
「ああすまん。そろそろ酸欠か?」
2人が説明している間中持ち上げられていた男は顔が真っ赤になり、白目を向きかけている。
俺は男を路地裏のゴミ捨て場へ放り投げ、3人に駆け寄った。
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