魔法使いの息子

第5話

森の中を走りながら林太郎は狼男のリーダーに身体を支えられながら近づいてくる茶々丸を見かけ駆け寄った。

「茶々丸！」

「無事で良かった」

「茶々丸、凛が」

「やっと追いついた」

そう言ってモハが現れるとリーダーが林太郎に向かって口を開いた。

「封印を解いたのか」

「……」

怒った口調でリーダーに言われ驚いた顔で林太郎が見つめるとモハが口を開いた。

「お前か凛の父親は」

「……」

険しい顔で見つめるとリーダーは茶々丸に向かって口を開いた。

「どこでも良い遠くへ林太郎を連れて逃げろ」

そう言って狼男のリーダーが離れると茶々丸は林太郎の手を掴み走り出した。

「茶々丸！」

「あいつが林太郎を連れて逃げろと言ったんだ」

茶々丸の会話後、茶々丸と林太郎は遠くへ逃げるべく走り続けた。

「お前、林太郎の身体を奪ったんだろ良かったか？」

「狼の中であんたは危険な狼だと教わった」

「だから？」

「お前を再び封印する」

「それはできない」

「何だと」

「封印される前に俺が魔法使いの命を奪った」

「それでも封印する」

そう言って手に力を込めるとリーダーはモハに向けて光線を放った。

モハはその光線を手で防ぎリーダーの前に近づくと手を向け口を開いた。

「俺の敵は消す」

そう言ってモハは向けている手を腹に向け毒の放ち身体の中に入れた。

その後、リーダーがうつ伏せで倒れるとモハはその場から姿を消した。

その光景を見ていた凛はリーダーに近づき声をかけた。

「父さん」

「……」

「勝てないのに攻撃するから命を失うんだ」

そう言って凛は指を鳴らしリーダーの姿を消し去った。

その頃、茶々丸と林太郎は走りながら凛が魔法陣を出現させた場所に向かっていた。

「あの魔法陣なら遠くに逃げられる」

「大丈夫なのか？」

「わからないけど今は逃げるしかないだろ」

「そうだけど」

走りながら会話を終えると林太郎と茶々丸は地面に突き刺さっている魔法の杖に近づいた。

林太郎は魔法の杖を掴み口を開いた。

「茶々丸も掴んで」

「わかった」

返事をし茶々丸も魔法の杖を掴むと林太郎は力を込め魔法陣を出現させた。

その時、モハが現れた。

「何だあれは」

「林太郎」

「……」

目を閉じ念じると魔法陣は林太郎と茶々丸を消しその後、魔法陣は消えた。

モハは驚いた。

「消えた！」

「俺が作った魔法陣です」

「魔法陣？」

側に立つ凛にモハが目線を向けると凛が口を開いた。

「魔法陣で林太郎達を追えますよ」

「本当か？」

「はい、魔法の杖を掴み念じれば瞬間移動できますよ」

「……」

モハは魔法の杖に近づき掴むと林太郎の元に行きたいと念じた。

すると魔法陣が現れモハを消した。

その頃、モハから逃れた林太郎と茶々丸は東京の森の中を歩いていた。

「にゃんこ島の空気じゃないな」

「そうだな」

キョロキョロしながら歩きながら林太郎は古い小屋を見つけた。

「茶々丸、あそこで休まないか」

「あぁ」

茶々丸と林太郎は古い小屋に向かって歩いた。

「ここはどこだ！」

魔法陣に運ばれたモハは公園の中央に立ち人々の注目を浴びた。