転生

福猫

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最終話

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ベニーがあの世に帰って1年後、恭介は蓮と夜空を別荘に呼んだ。

「久しぶりだな恭介」

「蓮と夜っちゃんも元気そうで」

「大事な話って何だよ」

夜空が口にすると恭介が口を開いた。

「ベニーがあの世に帰って1年たつけど忘れられないんだ」

「恭介」

「ベニーを忘れるために外国に行こうと思う」

「外国に!」

蓮と夜空が驚いた口調で口にすると恭介が口を開いた。

「それが俺の大事な話だ」

「恭介が決めたのなら俺達は笑顔で送り出すよ」

「ありがとう」

「今日は楽しい1日を過ごそう」

「そうだね」

蓮の会話後、恭介と蓮と夜空は酒を飲み食事をしながら楽しいパーティーを開始した。

同じ頃、砂浜で立ったまま海をワンピース姿の女性が見つめていた。

「……」

その後、女性は別荘に向かって砂浜を歩き始めた。

その頃、恭介と蓮と夜空は酒を飲みながら楽しんでいた。

「恭介、ワインはないの?」

「ワインはないな」

「蓮さん、飲みすぎですよ」

「飲みすぎてませんよ」

そう言って蓮は酒が入ったコップを持ったまま夜空に抱きつきその後、眠りにつきコップを落とした。

「蓮さん!」

「夜っちゃん、蓮を部屋に寝かせたら」

「そうだな」

そう言って夜空が蓮をお姫様抱っこし螺旋階段を上がっていくと恭介はコップを片づけこぼれた酒をタオルで拭き始めた。

5秒後、インターホンが鳴った。

「誰だろ」

玄関に向かいドアを開くとベニーそっくりの女性に驚いた。

「ベニー」

「……」

「すみません、知り合いの女性に似てたもので」

「1年たつまえに会いに行きたかったけど神様が1年たってから会いに行けって言うから」

「……」

「どうしたの?」

「ベニー?」

「そうよ」

「会えると思ってなかったから驚いてる」

「恭介、お客さんか」

そう言って恭介に近づいた夜空は女性の顔を見て驚いた。

「蓮さんは?」

「酒に酔って部屋のベッドで寝てる」

夜空がそう説明すると女性は玄関先で恭介と夜空に話し始めた。

「神様がベニーとして生きなさいって私を普通の人間にしたの」

「天使の力は?」

「天使の力は失ったけど記憶はある」

「そうか」

「恭介、外国に行かずにすんだな」

「外国ってなに?」

夜空の言葉にベニーが恭介に問いかけると恭介が口を開いた。

「あの世に帰ったベニーを忘れるために外国に行こうとしてたんだ」

「恭介、外国に行かないでここで一緒に暮らしましょう」

「あぁ」

夜空の前で恭介とベニーは見つめ合いその後、唇を重ねた。

「……」

無言で夜空が玄関を離れ螺旋階段を上がり部屋の中に入ると恭介はベニーを連れてリビングに向かいソファーに向かい合って座った。

「永遠に会えないと思ってたから会えて嬉しいよ」

「私も」

「ベニー」

「蓮さんと夜空さんがいるよ」

ワンピースを脱がそうとする恭介にベニーがそう口にすると恭介が口を開いた。

「今頃、夜っちゃんと蓮も部屋で愛し合ってるから来ないよ」

「わかった、私達も愛し合いましょう」

そう言ってベニーと恭介は全裸になり口づけを交わすと身体を重ねた。

ー部屋の中ー

恭介が言った通り夜空は酔って眠っている蓮を全裸にし肌に触れ身体を重ねた。

その夜、夜空は酔いが覚めた蓮を連れてリビングのソファーで寝ている恭介とベニーに築かれないように別荘から出ていくと恭介は目を覚まし寝ているベニーを抱き寄せながら小さな声で口を開いた。

「俺も幸せになるから夜っちゃんも蓮と幸せになれよ」

そう言って恭介は目を閉じベニーと共に眠りについた。

黒天使ベニーが転生した姿の恭介は元黒天使だった普通の人間ベニーと永遠に結ばれた。

白天使アダンとガイコツのブライアンは結ばれなかったが蓮と夜空は永遠に結ばれた。

ー50年後ー

70代になった恭介と蓮は病気になり死が近づいていた。

ベニーは別荘で恭介を見守り恭介が永遠の眠りにつくとベニーは恭介の唇に唇を重ね寄り添いながらベニーも永遠の眠りについた。

そして蓮も夜空に見守られながら永遠の眠りについた。

「蓮さん、俺もすぐ逝くから」

そう言って蓮の唇に唇を重ねると夜空も蓮に寄り添いながら目を閉じ永遠の眠りについた。

       完結
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