黒猫に選ばれた見習い魔法使い

福猫

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第9話

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「どうしてここに」

怒った口調でレイナが口にすると近づきながら口を開いた。

「寿朗君のことで来たんだ」

「どうして寿朗君のことを」

「俺は最強の魔法使いだ、何でもわかるさ」

レナはレイナの側に近づき耳元で囁いた。

「お前からシーラを奪ったがシーラとは別れた」

「……」

「寿朗君は良いお付き合いができそうだ」

「寿朗君はトトのパートナーだ、俺のパートナーじゃない」

「お前のパートナーじゃないけど、お前は寿朗君に惚れてる」

「俺が寿朗君に惚れてる?何、言ってんだ」

「涼、俺とレイナの会話を聞いてたよな」

「……」

「お前も惚れてる、だから俺は寿朗君を手に入れる」

「寿朗を返せ」

人間姿のトトが声をかけるとレナがトトと涼とレイナに向かって口を開いた。

「お前達の大切な寿朗は俺が頂く」

口にした後、レナは微笑みながらその場から姿を消した。

「レナがいる限り俺は救われない」

「レイナ」

「涼、俺はレナと戦い勝つ」

「……」

離れていくレイナの姿を見つめながら涼が口を開いた。

「今度こそレイナが作った魔法使いが住む森林は破壊する」

「え…」

「トト、レイナとレナの戦いを止め寿朗君を助けるぞ」

「はい」

人間姿から黒猫のトトに戻るとトトは涼と共にシーラの家に向かった。

ーレナが作った大きな倉庫ー

シーラから寿朗を連れ去ったレナは眠っている寿朗を宙に浮かせながらレナは見つめた。

「黒と白の魔法使い同士が交われば無敵の魔法使いが誕生する」

レナが口にし微笑む頃、シーラは地下の部屋で倒れていた。

そこへ黒猫のトトと足首まで長い黒い服に黒いマントを身に付けた魔法使い、涼が現れた。

「シーラ!」

涼はシーラに近づき身体を抱き起こし声をかけた。

「シーラ、寿朗君はどこだ」

「レナが連れ去った」

「何があったんだ」

「突然、レナが私に攻撃してきて寿朗君を連れ去ったの…ムカつく」

「俺とトトは寿朗君を助けに行く、1人で大丈夫か?」

「敵の女を心配するなんて涼は相変わらず変ね」

「俺はお前のこと敵だと思っていない」

「私は大丈夫だから寿朗君を助けに行きなさい」

シーラが涼から離れ立ち上がると涼も立ち上がり口を開いた。

「本当に大丈夫か?」

「シーラは俺が見るから涼とトトは寿朗を助けに行け」

私服姿のララが現れると涼とトトはシーラをララに任せその場から離れた。

「……」

「……」

ララとシーラが見つめ合う頃、大きな倉庫の前に足首まで長い黒い服に黒いマントを身に付けた魔法使いレイナと足首まで長い黒と白の服に黒と白のマントを身に付けた魔法使い青楽が現れた。

「ここにレナと寿朗君がいる」

「本当にレナと戦うのか?レナはお前の兄貴だろ」

「兄でもレナがやってきたことは許せない」

レイナが口にしたその時、倉庫のドアが開いた。

レイナと青楽は同時に目線を向け青楽が口を開いた。

「レイナ」

「行こう」

レイナと青楽は倉庫の中に入り宙に浮かびながら眠っている寿朗に目線を向けた。

「寿朗君!」

「動くな」

黒と白の長い魔法の杖を眠っている寿朗に突きつけながらレナが口にすると涼と黒猫トトが現れた。

「寿朗に惚れている黒猫と魔法使いども揃ったか」

その時、寿朗が目を覚まし身体を起こした。

高いところが苦手な寿朗は恐ろしくなった。

「何で宙に浮いてんだよ」

「目覚めよ、無敵の魔法使い」

寿朗に突きつけている魔法の杖から黒と白のオーラを出現させ寿朗の身体に纏わりつかせた。

「何だよこれ」

寿朗が黒と白のオーラを離れさせようともがき始めると黒猫トトは助けようと飛んで寿朗に近づいた。

「寿朗!」

「トト、何とかしてくれ」

「寿朗」

黒猫トトは人間姿のトトに変身し手を伸ばしながら口を開いた。

「俺の手を掴め」

「ダメだ」

トトの手を掴もうと手を伸ばすも掴めず寿朗は黒と白のオーラに包まれトトは吹き飛ばされ倒れた。

「大丈夫か?」

「はい」

レイナの言葉に返事をしながら立ち上がるとトトとレイナと涼と青楽は寿朗を見つめた。

レナも見つめ笑みを浮かべると口を開いた。

「現れろ無敵の魔法使い」

言葉と同時にレナが黒と白の魔法の杖で床を1回、叩いた。

その時、足首まで長い黒と白の髪に足首まで長い黒と白の服に足首まで長い黒と白のマントを身に付けた無敵の魔法使い寿朗が誕生した。

「……」

寿朗は長い黒と白の杖を掴み無言で降り立った。

レイナと青楽と涼とトトは驚きレナは笑みを浮かべた。
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