猫王子に拉致された男

福猫

文字の大きさ
5 / 5

最終話

しおりを挟む
光琉は身体を起こし左右で寝ている全裸姿の望と冬馬の姿に頬を赤らめベッドから離れた。

そして自分の全裸姿に驚いた。

「俺…男と…」

本気で望、冬馬と身体を重ねたことに光琉はドキドキしながら背を向けた。

その時、望と冬馬がベッドから声をかけた。

「光琉」

「服を着ないと風邪を引くぞ」

「……」

頬を赤らめながら振り向くと光琉は望と冬馬に向かって口を開いた。

「俺達、身体を…重ねた…のか?」

光琉の言葉に望と冬馬は全裸姿でベッドから離れ光琉に近づき望と冬馬が口を開いた。

「光琉と俺達は結ばれた」

「光琉は望と俺の妻になった」

「俺が妻?何でそうなるんだよ」

「俺はムリヤリ光琉の身体を奪ったけど、今度の交わりは夫婦としての交わりだから光琉は俺と望の妻になった」

「……」

訳がわからず勝手に妻になった光琉は諦めモードになり口を開いた。

「もう1回、薬作れる?」

望に向かって光琉が問いかけると望が口を開いた。

「何の薬だ」

「記憶を消す薬、優芽との記憶を消してほしいんだ」

「作れるが」

「作ってくれ」

「わかった」

「……」

脱いだタキシードを着て光琉は望と冬馬に向かって口を開いた。

「あんた達と永遠にここで暮らすんだ、優芽の記憶があると嫌だろ」

光琉が口にした後、冬馬は落ちている指輪に築き拾った。

そして冬馬は望に耳元で囁いた。

「この指輪を俺達から渡さないか」

「それ良いかもな」

そう言って望と冬馬は全裸姿で光琉の前に立ち冬馬が口を開いた。

「光琉、左手を出してくれ」

「……」

言われた通り光琉は左手を差し出した。

すると冬馬が口を開いた。

「光琉、俺達の妻になる決意をしてくれてありがとう」

「……」

「光琉、幸せにするから」

「俺も光琉を幸せにするから」

望の言葉後、冬馬は差し出された光琉の左手の薬指に指輪をはめた。

「この指輪」

驚いた顔で光琉が指輪を見つめると冬馬が口を開いた。

「その指輪は俺達の気が入った指輪だ」

「ありがとう」

優しく微笑みながら光琉が指輪を見つめると望が口を開いた。

「薬を作るか」

「俺も手伝うよ」

「2人とも」

全裸姿で部屋を出ようとする望と冬馬に声をかけると再び口を開いた。

「全裸姿で外に出る気か」

「服を着るの忘れてた」

そう言って望と冬馬は全裸からタキシードを着て部屋を出ていった。

1人になった光琉はベッドに座りポケットからスマホを取り出し優芽と一緒に写った写真を見つめた。

「優芽、俺のことは忘れて幸せになってくれ…ゴメンな…優芽…さようなら」

そう言って光琉は優芽と一緒に写った写真を全て消した。

5時間後、望と冬馬が記憶を消す薬を持って現れ光琉に近づいた。

「光琉、2個作った」

「2個も何で」

「俺が持ってる薬は優芽との記憶を消す薬」

小さな玉の薬を見せながら望が口にすると冬馬も小さな玉の薬を見せながら口を開いた。

「俺の薬は永遠の命の薬だ、俺と望も飲んだ」

「そんな薬も作れるんだ」

「光琉」

「ちょうだい」

「俺が飲ませてやる」

そう言って望は記憶を消す薬を口に含みそのまま光琉の唇に唇を重ね薬を飲ませた。

その後、望が唇を離すと永遠の命の薬を口に含んだ冬馬が光琉の唇に唇を重ね薬を飲ませた。

「……」

冬馬が唇を離すと望が声をかけた。

「光琉、大丈夫か?」

「大丈夫」

口にした後、光琉の記憶から優芽の記憶は全て消えた。

そして光琉は望と冬馬の妻として2人の猫王子を永遠に愛した。

       完結
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

僕はお別れしたつもりでした

まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!! 親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。 ⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

魔王の息子を育てることになった俺の話

お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。 「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」 現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません? 魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。 BL大賞エントリー中です。

処理中です...