猫達の日常

福猫

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温泉

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 魔法使いの明花(さやか)から温泉ができたことを聞いた三毛猫のミケは友達の元に向かった。

灰色のハチワレ猫ハッチと黄色のキジトラ猫のチャチャは野原でカニカマとたい焼きを食べていた。

「カニカマ、美味しいよ、食べる?」

「たい焼き、あげる」

「ありがとう」

「カニカマ、美味しい」

「たい焼きってあんこだけじゃないんだね、クリームが入ったたい焼き、美味しい」

ハッチとチャチャがカニカマとたい焼きで盛り上がっているとミケが現れた。

「ハッチ、チャチャ」

「ミケもたい焼き食べよう」

「ありがとう」

クリームのたい焼きを受け取るとミケは食べた。

「美味しい」

「カニカマも食べて」

カニカマも受け取りミケはたい焼きとカニカマを交互に食べた。

「あ~、美味しかったってそうじゃなくて、ハッチ、チャチャ、今から温泉に行こうよ」

「お風呂、嫌いだから俺は行かない」

「俺も行かない」

「ハッチ、チャチャ」

野原を歩いていくハッチとチャチャを悲しげな顔でミケは見つめた。

銀の髪に白いノースリーブワンピース姿の魔法使い、明花が現れ声をかけた。

「ミケ、こんな所で何をしてるの?」

「ハッチとチャチャに一緒に温泉に行こうと誘ったら嫌いだから行かないって」

「猫は身体が濡れるの嫌いだからね」

「お風呂に入るとホッとするのに」

「さっき温泉を見に行ったらシロタマとクロネコが満足げな顔で温泉に浸かってたわよ」

「本当」

「えぇ」

「まだ、居るかな」

「楽しんでたからまだ、居ると思うわよ」

「……」

嬉しそうな顔でミケは走って温泉に向かった。

「……」

明花は微笑み野原を歩きながら離れて行った。

その頃、白猫のシロタマと黒猫のクロネコは温泉の中で泳ぎながらはしゃいでいた。

「シロタマ、クロネコ」

「……」

「……」

はしゃいでいたシロタマとクロネコははしゃぎを止め走りながら近づいてくるミケを見つめた。

「ミケ、一緒にはしゃごうぜ」

「……」

走りながら温泉に近づきミケは温泉の中に飛び込んだ。

その後、ミケは疲れるまで温泉の中でシロタマとクロネコと一緒にはしゃぎ続けた。
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