輝き

福猫

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第1話

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現在に不思議な力を持った白猫、ミルクが人混みの中に降り立った。

周辺を見つめながら「この人間達の中に輝くハート型のダイヤモンドの持ち主がいるはず、闇より先に見つけないと」と言ってミルクは人混みの中を走って行った。

1時間後、上空に黒い闇が現れ行き交う人々は立ち止まり見つめた。

「あれ、何だろ」

友達と鈴木音美(すずきおとみ)が見つめると黒い闇が口を開いた。

「俺のパートナー見つけた」

黒い闇は上空から降りながら黒猫に変身し音美の前に降り立った。

「黒猫が上空から…」

音美が驚いた顔で見つめると黒猫が口を開いた。

「お前、名前は?」

「俺?」

「そうだ」

「鈴木音美」

「音美、俺のパートナーになれ」

そう口にすると黒猫は音美以外の人間達の動きを止め闇でできた黒いハート型の黒水晶を出現させ音美に放った。

黒いハート型の黒水晶は音美の身体の中に入り込み心を闇に染め始め。

「うあああ」

叫びながら音美はうつ伏せで倒れた。

「音美、起きろ」

「……」

黒猫の声に反応し目を覚まし立ち上がった音美の顔は化け物に変身していた。

「音美、行くぞ」

「はい」

音美が黒猫と共にその場から姿を消すと止まっていた人々が動き出した。

廃墟ビルの屋上から周辺を見つめていたミルクは闇を感じた。

「闇の黒猫が現れたか…それと人間が闇に染められた…早く輝くハート型のダイヤモンドの持ち主を探さないと」

そう口にするとミルクは屋上から姿を消した。

ー人気のない場所に黒猫が建てた秘密基地ー

黒猫は玉座に座り口を開いた。

「音美、お前の仕事は輝くハート型のダイヤモンドを見つけることだ」

「はい」

「音美、左手を差し出して」

「はい」

音美が左手を差し出すと黒猫は黒いハート型の黒水晶を放り投げた。

黒いハート型の黒水晶はブレスレットに変身し音美の左手の手首に身についた。

「……」

音美が左手の手首を見つめていると黒猫が口を開いた。

「輝くハート型のダイヤモンドが見つかるまで戻ってくるな、わかったな」

「はい」

黒猫にお辞儀をすると音美はその場から姿を消した。

ミルクは街を歩きながらパートナーを探していた。

「パートナーになってくれる人間いないかな」

口にした後、ミルクは立ち止まり近づいてくる男性を見つめた。

「……」

「……」

男性とミルクはすれ違いミルクは振り返り口を開いた。

「あの人に決めた」

ミルクは男性のあとを追いかけた。

その頃、音美は化け物顔ではない姿で女性をナンパしていた。

「お嬢さん、私と一緒にお茶をしませんか?」

「お茶なら良いですよ」

音美のイケメン顔に心を奪われた女性は音美と一緒に歩き出し人気のない場所に向かった。

「あの?喫茶店に行くんじゃないんですか?」

「……」

女性の問いかけに先を歩いていた音美は立ち止まりイケメン顔から化け物の顔に変身し振り返った。

女性は驚き背を向け走り出した。

音美は左手の手首を女性に向け黒い光線を放った。

黒い光線は女性の身体を貫き「キャー」と叫びながら倒れた。

黒い光線は光を帯びた宝石を音美に運び音美は光を帯びた宝石を見つめた。

光が消え輝きがないハート型の水晶が現れた。

「ただのハート型の水晶か」

ハート型の水晶を闇に染めその後、女性の身体の中に返した。

それから暫くして女性は化け物に変身した。

「輝くハート型のダイヤモンドを探せ」

「……」

音美の命令を受け化け物が動き出そうとしたその時、「待ちなさい」と言ってミルクとパートナーに選ばれた光輝(こうき)が現れた。

「化け物、あとよろしく」

音美が姿を消すと化け物はミルクと光輝に向かっていきミルクと光輝は離れた。

「光輝、矢を放て」

「動いてうまく矢が放てない」

「わかった」

ミルクは化け物に飛びかかり戦い始めた。

「光輝、今だ」

「……」

光輝は弓矢を構え化け物の身体に向けて矢を放った。

放たれた矢は化け物の身体に突き刺さりミルクは化け物から離れ化け物は倒れた。

その後、矢が消え化け物から人間の女性に戻り闇に染まったハート型の水晶も浄化され元のハート型の水晶に戻った。

女性は目を覚まし立ち上がり何もなかったかのように歩いていった。

「良かった」

光輝とミルクは女性を見送った。

全てを黒水晶で見ていた音美は化け物の顔からイケメン顔に変身し人混みの中に消えていった。
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