永遠にあなたを愛する

福猫

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第1話

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ー中学校ー

午前の授業を終え麗(れい)と英輔(えいすけ)と敬一(けいいち)は屋上に向かった。

「帰りカラオケに行かないか?」

地べたに座りながら英輔が問いかけると敬一が返事をした。

「俺は行く、麗は?」

「俺は…」

「行こうぜ」

敬一が抱き寄せると麗が「わかった、行く」と返事をした。

地べたに座っていた英輔は立ち上がり麗から敬一を離れさせた。

「何だよ」

「麗を抱き寄せるな」

「別に良いだろ」

「良くない」

「2人とも喧嘩やめろ」

「……」

「……」

麗に怒られ英輔と敬一は喧嘩をやめた。

その後、3人は屋上を離れ教室に戻り午後の授業を受けた。

ー放課後ー

他の生徒達が教室から出ていくなか帰りの準備をしている麗に英輔と敬一が近づいた。

「麗、行こうぜ」

「うん」

鞄を持ち麗と英輔と敬一が席を離れようとしたその時、女子生徒に人気のイケメン生徒、泉谷甲子(いずみやこうし)が現れた。

「岩崎君」

「泉谷君、どうしたの?」

「君に話があるんだ」

「何?」

「2人きりで話がしたいんだけど」

「今からカラオケに行くんだゴメンな」

英輔と敬一が麗を連れて教室を出ていくと泉谷甲子は笑みを浮かべた。

廊下を歩き階段を下り麗が口を開いた。。

「泉谷君が話があるって言ってたのに何で離れたの?」

「麗は鈍感すぎる」

「え?」

「……」

「……」

英輔と敬一は麗を男子トイレに連れていき個室の中に入り鍵をかけた。

「3人で入って誰か来たらどうするんだ」

「誰も来ないよ」

英輔は麗を壁に押しつけ唇を重ねた。

「……」

麗は英輔の身体を押し離し頬を赤らめながら口を開いた。

「何、考えてんだ」

「麗、俺と英輔はお前が好きだ」

「泉谷もお前のことが好きだ」

「だから俺達は泉谷からお前を離れさせた」

「あり得ない」

「英輔」

「あぁ」

信じられない麗を英輔は麗のズボンと自分のズボンを下ろし敬一は麗の唇を奪った。

その後、英輔も麗の身体を奪った。

それから暫くして麗が気を失い倒れかけると敬一が抱き止めた。

「攻めすぎたかな」

「今日はカラオケ無しだな」

「そうだな」

「まだ保健の先生いるかもしれないから麗が起きるまで休ませてもらおうか」

「そうだな」

乱れた自分のズボンを敬一と英輔は直し麗のズボンも直すと保健室に向かった。

ー保健室ー

英輔はドアを開き声をかけた。

「先生、いますか」

「いたか」

「いないみたいだ」

「……」

敬一は麗の身体を支えながら中に入りベッドに近づいた。

その後、敬一は麗を仰向けでベッドに寝かせた。

そして敬一が側のベッドに座ると英輔が近づき口を開いた。

「鍵がかかってなかったから保健の先生、戻ってくるかもな」

「そうか」

30分後、女性の保健の先生が現れた。

「あなた達、どうしたの?」

「麗が倒れたから保健室に運びました」

「倒れたって」

保健の先生は麗に近づき声をかけた。

「麗さん、聞こえる?」

「……」

麗が目を覚ますと保健の先生が口を開いた。

「倒れたんだって大丈夫?」

「倒れた…」

麗が身体を起こしたその時、英輔と敬一は麗を連れて「俺達が送ります」と言って保健室出ていった。

「どうしたんだよ」

麗が立ち止まると英輔と敬一も立ち止まり口を開いた。

「トイレでの出来事、保健の先生に言いそうだったから連れ出した」

「恥ずかしくて言えるわけないだろ」

麗が歩き出すと英輔と敬一も歩きだし学校を離れた。

道を歩きながら麗が口を開いた。

「トイレでしたこと許さないから」

「男同士なんだから良いじゃないか」

「……」

麗は立ち止まり振り向き英輔に目線を向け頬を叩いた。

「何すんだよ」

「男でもむりやりあんなことをされたら傷つくんだ、英輔のバカやろう」

麗は走って離れていった。

「今のは英輔が悪い、じゃあな」

敬一も歩いて離れていくと英輔は叩かれた頬に触れながら立ち尽くした。

ー翌日、麗の家ー

「……」

麗はベッドで眠っていた。

「麗、早く起きなさい、遅刻するわよ」

「今日、休む」

「具合でも悪いの?」

「1日だけ休ませて」

「病院に行かなくて大丈夫?」

「……」

麗は身体を起こし「ゆっくり休めばよくなるから」と口にすると母親は「わかった」と言って部屋を出ていった。

午前8時、私服姿で部屋を出た麗は誰もいない家の中を歩き玄関に向かった。

靴を履き麗がドアを開こうとしたその時、インターホンが鳴った。

麗はドアを開き目の前に立っている私服姿の泉谷甲子に驚いた。

「泉谷君!…学校は?」

「休んだ」

「具合でも悪いの?」

「あなたと同じずる休み」

「俺はずる休みじゃ」

「今から俺とデートしない」

「え…」

「決まり、行こう」

泉谷甲子は麗の手を握り家を離れると道を歩いた。

「泉谷君、どこに行くの?」

「映画館で映画を見たり喫茶店で食事をしたり」

「……」

麗は泉谷甲子に手を握られたまま映画館に向かい映画を見た。

その頃、英輔と敬一は麗のことが気になり授業どころではなく英輔と敬一は同時に席を立った。

「矢島、中村、どうした」

「先生、早退します」

「俺も早退します」

英輔と敬一は教室を出ていき学校を離れると麗の家に向かった。

英輔がインターホンを鳴らそうとしたその時、敬一がドアを開いた。

「開いてる」

「麗、いるか麗…麗…」

「誰もいないな」

「そうだな」

「どうするここで待つか、それとも」

「探しに行こうか」

「別々で?」

「麗を見つけたら知らせる良いな」

「わかった」

英輔と敬一は麗の家を離れ別々で麗を探し始めた。

その頃、麗と泉谷甲子は喫茶店に向かって歩いていた。

「昔の恋愛映画、良かったですね」

「俺は君に見とれていて映画を見てなかった」

「え…」

驚きで麗が立ち止まると泉谷甲子も立ち止まり見つめ合った。

「岩崎君」

「……」

「俺と」

「麗!」

「英輔!」

麗が近づいてくる英輔に目線を向けると泉谷甲子も目線を向けた。

「何で麗と泉谷が一緒にいるんだ」

「デートだよ」

「麗、学校を休んでるだ家に帰るぞ」

麗の手首を掴み英輔が連れていこうとしたその時、泉谷甲子が止め麗と英輔を離れさせた。

「今、俺と岩崎君はデート中だ邪魔をしないでくれ」

「学校を休んでるのに何がデートだ」

「俺と岩崎君がデートしてるからうらやましいんだろ」

「俺だって麗とデートくらいしたことある」

「本当かな」

「何だと」

言い合いをする英輔と泉谷甲子の姿を見つめながら麗はイライラし口を開いた。

「俺、帰る」

麗が歩いていくと英輔と泉谷甲子は言い合いを止め立ち尽くした。

「何で喧嘩するんだろ」

ぶつぶつ言いながら麗が歩いていると暴走車が現れ麗はその車にひかれ倒れた。

「誰か救急車を呼んでくれ」

「……」

「……」

騒ぎ声に英輔と泉谷甲子は近づき倒れている麗に驚いた。

「麗!」

「岩崎君!」

「麗!」

別の方向から現れた敬一は救急車に近づき乗り込んだ。

その後、救急車は動き病院に向かった。

ー病院ー

麗は手術室に運ばれ敬一は椅子に座り祈った。

そこへ麗の両親が現れた。

「敬一君、麗は?」

「手術中です」

椅子から立ち上がり敬一が口にするとスマホが鳴った。

「すみません」

敬一は離れ通話ボタンを押し出た。

「もしもし」

「病院の前にいるんだけど怖くて行けないんだ」

「まだ手術中だ」

「手術が終わったら知らせてくれ」

「わかった」

「……」

通話を切ると英輔は泉谷甲子と一緒に外で麗の無事を祈った。

敬一も手術室に戻り麗の無事を祈った。

ー10時間後ー

手術室からベッドに乗せられた麗と先生が現れた。

「先生、麗は」

「てはすくしたんですが息を引き取りました」

「そんな」

「麗」

「……」

敬一はその場を離れ外で待っている英輔と泉谷甲子の元に向かった。

「中村」

「敬一」

「……」

敬一が近づくと英輔が「麗は?」と問いかけた。

「麗は…麗は…」

敬一が涙を流すと泉谷甲子が口を開いた。

「亡くなった」

「嘘だろ、敬一、嘘だよな」

「麗は死んだ…うあああー」

「うあああー」

「うあああー」

敬一が泣き叫ぶと泉谷甲子と英輔も泣き叫んだ。

ー翌日ー

学校で麗の死を生徒達は悲しんだ。

泉谷甲子に呼ばれた英輔と敬一は屋上に向かった。

「大事な話って何だ」

英輔と敬一はドアを閉め泉谷甲子に近づいた。

「俺は岩崎麗さんが本気で好きだった、大人になっても好きだろう」

「何が言いたいんだ」

「俺は永遠に岩崎麗さんを愛する、君達は?」

「永遠って死ぬまで好きな人を作らない」

「……」

英輔の言葉に真剣な顔で泉谷甲子は頷いた。

「俺も永遠に麗を愛する」

「俺も永遠に麗を愛する」

敬一の言葉に英輔も口にした。

「俺達が20歳になったら麗さんのお墓の前で再会しよう」

泉谷甲子の言葉に英輔と敬一は頷いた。

それから月日が流れ英輔と敬一と泉谷甲子は20歳になり麗のお墓の前で花を持って再会した。

「久しぶりだな」

「英輔と泉谷、イケメンになって」

「お前もイケメンじゃないか」

「敬一、泉谷、話はあとだ」

「そうだな」

英輔と敬一と泉谷甲子は花を供え手を合わせた。

麗に挨拶を終えると英輔が口を開いた。

「2人とも仕事は何をしてんだ、俺はホスト」

「俺は医者だ」

「俺はコンビニで働いてる」

「泉谷は医者か」

「泉谷らしいな」

「英輔と敬一、用事がないなら食事でもしないか」

「食事をしながら麗の話しでもするか」

「それ良いな」

「麗、また来るからな」

英輔と敬一と泉谷甲子が話をしながらお墓から離れていくと麗の幽霊が現れ微笑みながら英輔と敬一と泉谷甲子の姿を見つめた。

そして幽霊の麗は消えていった。

                               完結
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