新たな人生〜初恋〜

福猫

文字の大きさ
5 / 10

第5話

しおりを挟む
翌日、全裸姿の広勝は全裸姿の筧に寄り添いながら眠っていた。

筧のスマホが鳴った。

筧は目を覚まし側で眠っている広勝を起こさないようにベッドから離れ机の上に置いているスマホを掴み出た。

「もしもし筧です」

「筧先生、羽場勝也先生が」

「羽場先生が…」

通話を切ると筧は広勝を起こさず上服を着てズボンを穿き家を出ていった。

ー病院、霊安室ー

事故で亡くなった勝也の側で広子が悲しんでいた。

そこへ白衣に着替えていない筧が霊安室に現れた。

「羽場勝也先生…」

筧はベッドに近づき勝也を見つめた。

「広勝と連絡が取れないんです、筧先生、広勝がどこに居るか知りませんか?」

「知ってます」

「教えてください」

「俺の家に居ます」

「筧先生の家に居るなら何で連れてきてくれなかったんですか」

「広勝さんと俺は身体の関係になりました、それに広勝さんは酔っているだから連れてきませんでした」

「……」

突然の筧の告白に広子は驚きで言葉を失った。

「悲しい思いをさせることになっちゃったわね」

「誰?」

「……」

広子と筧以外の声に広子と筧はキョロキョロしながら周辺を見つめた。

その時、魔法使いの寿子が現れた。

「あなたは?」

筧が問いかけると寿子が口を開いた。

「私は魔法使いの寿子」

「魔法使い…」

「魔法使いが何しに来たんですか?」

広子が問いかけると寿子が口を開いた。

「ちょっとの間、眠っててね」

寿子は魔法の杖を使って広子を眠らせ広子は倒れた。

「羽場さん!」

筧が広子に触れると寿子が口を開いた。

「眠ってるだけだから心配しないで」

「……」

筧は立ち上がり寿子を見つめた。

「三毛猫を幸せにしたくて人間にしたんだけど悲しませちゃったわね」

「三毛猫を人間にしたって何を言ってんだ」

「羽場広勝は私が魔法の杖で人間にしたの、羽場広勝は元、三毛猫」

「嘘だろ」

「身体の関係になったこと後悔した?」

「……」

筧は寿子の問いに答えないまま霊安室を出ていき駐車場に向かった。

寿子は魔法の杖を使って眠っている広子を目を覚まさせ寿子は姿を消した。

その頃、広勝は黒の上服を着て茶色のズボンを穿いていた。

「……」

広勝は部屋を出てリビングやキッチンに向かった。

「筧さん、居ない、病院に行ったのかな」

キッチンから玄関に向かった広勝が靴を履きドアを開こうとしたその時、ドアが開き筧と広勝は出くわし見つめ合った。

「筧さん!」

「聞きたいことがある」

「何ですか?」

「部屋に来てくれ」

ドアを閉め靴を脱ぐと筧は玄関を離れ部屋に向かった。

「……」

広勝も靴を脱ぎ玄関を離れると部屋に向かった。

「聞きたいことって何ですか?」

背を向けながら立っている筧に広勝が問いかけると筧の口から驚きの言葉が発せられた。

「魔法使いの魔法で人間になったんだって」

「君を人間にした魔法使いから聞いた」

「俺は名も無い野良猫の三毛猫です」

「羽場勝也先生が事故で亡くなられたお母さんが1人で悲しんでる行ってあげて」

「……」

「羽場勝也先生は霊安室に居る」

「……」

無言で広勝が部屋を出ていくと筧はベッドに座り頭を抱えた。

その頃、広勝は走りながら病院に向かっていた。

ー霊安室ー

広子は勝也に抱きつきながら涙を流した。

「はぁはぁ…はぁはぁ…」

病院に着いた広勝は荒れた息を落ち着かせ霊安室に向かった。

そして広勝は亡くなっている勝也と対面し思わず霊安室から離れ屋上に向かった。

「……」

広勝はうつ向きながら立ち尽くした。

そこへ魔法使いの寿子が現れ広勝を見つめた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか

BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。 ……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、 気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。 「僕は、あなたを守ると決めたのです」 いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。 けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――? 身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。 “王子”である俺は、彼に恋をした。 だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。 これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、 彼だけを見つめ続けた騎士の、 世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

君に望むは僕の弔辞

爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。 全9話 匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意 表紙はあいえだ様!! 小説家になろうにも投稿

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

過去のやらかしと野営飯

琉斗六
BL
◎あらすじ かつて「指導官ランスロット」は、冒険者見習いだった少年に言った。 「一級になったら、また一緒に冒険しような」 ──その約束を、九年後に本当に果たしに来るやつがいるとは思わなかった。 美形・高スペック・最強格の一級冒険者ユーリイは、かつて教えを受けたランスに執着し、今や完全に「推しのために人生を捧げるモード」突入済み。 それなのに、肝心のランスは四十目前のとほほおっさん。 昔より体力も腰もガタガタで、今は新人指導や野営飯を作る生活に満足していたのに──。 「討伐依頼? サポート指名? 俺、三級なんだが??」 寝床、飯、パンツ、ついでに心まで脱がされる、 執着わんこ攻め × おっさん受けの野営BLファンタジー! ◎その他 この物語は、複数のサイトに投稿されています。

【bl】砕かれた誇り

perari
BL
アルファの幼馴染と淫らに絡んだあと、彼は医者を呼んで、私の印を消させた。 「来月結婚するんだ。君に誤解はさせたくない。」 「あいつは嫉妬深い。泣かせるわけにはいかない。」 「君ももう年頃の残り物のオメガだろ? 俺の印をつけたまま、他のアルファとお見合いするなんてありえない。」 彼は冷たく、けれどどこか薄情な笑みを浮かべながら、一枚の小切手を私に投げ渡す。 「長い間、俺に従ってきたんだから、君を傷つけたりはしない。」 「結婚の日には招待状を送る。必ず来て、席につけよ。」 --- いくつかのコメントを拝見し、大変申し訳なく思っております。 私は現在日本語を勉強しており、この文章はAI作品ではありませんが、 一部に翻訳ソフトを使用しています。 もし読んでくださる中で日本語のおかしな点をご指摘いただけましたら、 本当にありがたく思います。

処理中です...