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その14、バレないと思ったが即バレした。
しおりを挟むっで、早速、この前のエッチの様子を撮った動画を見つかりました、ジ・エンドっ!
「ねぇ、なんで、勇士のスマホのフォルダーの中に、この前のはいってんの?もしかして、撮ってた?俺に内緒で?」
仁王立ちの激おこな啓太。あ、すげー怒ってんだけど、迫力はないよ、本気モードじゃないからね。
「仕方がないだろ?スライムのぬいぐるみより、俺が啓太の傍でいちゃいちゃのラブラブをする権利があるのに。
お前、勉強のときだって、それを抱っこしたままでやってんだよー。
俺だって、啓太が俺のとったぬいぐるみを大事にしてくれてんのは知ってるけど、俺と一緒にいる時は、俺が優先なの。」
啓太は、時にひどいことを言うのだ。
「...勇士...お前、すげーうざいな」と。
「ひっどっ!!...あのときだって、俺がぬいぐるみのかわりに啓太にだっこしてもらえるかなーとか、俺が啓太のことを甘やかしてくれるかなーって、ちょっと期待したのにっ!...だからっ...ちょっと、カメラを動かしてただけだし…」
残念そうに話す俺を見て、それ以上、何も言えない啓太。
「...わーかったよっ!。俺が、お前を甘やかせばいいんだろ?いいよ、やってやるよっ!やればいいんだろっ!」
ぷっくりと頬を膨らませて照れながら受け入れる啓太。
この際、オマケの言葉なんて気にならない。だって、本心ではないからね。
啓太は俺の傍にストンと座り、自分の膝をポンポンと叩いた。
―?
「...膝枕」
おっ?おぉぉ。
啓太の甘やかすとはいったい、どんな感じなのか、気になった俺は、啓太の意向にそってみた。
膝の上に頭をのせると啓太はゆっくりと撫でてくれる。
...。
あ、なんかすげー懐かしい。
想い出した。
幼馴染の俺たちだけど、生まれた時から親しかったわけじゃない。俺が2歳の頃に、この家に住むようになって、啓太たちは、それより前に住んでいたみたいだ。庭で遊んでたら道を挟んで自分と同じぐらいの子どもがいれば気になって。
一人で遊べる年齢になって初めて啓太と言葉を交わしたのは小学校に入る前だったと思う。そっから急激に仲良くなって、学校の帰りにバカのことをしたり学校でも一緒にいるのが当たり前だった。
でも、俺は母親がクラブのママをしているせいで、他の奴らに揶揄われてたことが一時ある。まぁ、たぶん、自分たちの身近にいない存在だったママに関心を持ってた保護者が噂してんのを聞いてたからだと思うんだけど、意味の分からない揶揄いはやむことがなかった。
今、見たいに、誰もいない家に子どもを帰らせるっていうのが当たり前だった時。
帰って一人で宿題するのが嫌だった。静まり返った室内で考えてしまうのは、揶揄ってきたやつらのことばかりで、よく思い出してはべそをかいてた。でも、それに啓太が気づいてくれて、学校から帰ったらすぐに啓太の家に帰るのが当たり前だった。
「...お前、学校で我慢するのもいいけど、家で一人で泣くなよな?...どんどん、我慢することしか考えられないだろっ?」
啓太は俺を見てくれていた。それが、俺はすごく嬉しかった。
「俺も、どうしてやろうかっていつも思ってたんだけど。なぁ、勇士。
お前のかーちゃんって、別に悪いことなんてしてないんだよな?」
―!!!
啓太の言葉に、俺は一番大切なことを忘れていた。
「うん、悪いことはしてない。
だけど、綺麗な人を集めて、そこでお酒を飲ませたりするらしいんだけど...俺にはよくわからない」
「まぁ、それが当たり前だし、仕方がないけど、俺、傍で聞いてて思うのよ。
揶揄ってくる奴って、結局何が言いたいの?って。」
―!!!
驚く俺に啓太が言葉を続ける。
「だって、クラブ?ママ?よくわかんねーけど、それって仕事だよ?
派手だって言われてたけど、それって、仕事の服だろ?
俺のかーちゃんなんて、可愛くねークマの絵がついてる服を着て、「かわいいでしょ?」って言ってるけど、あれの方が、意味わからん。」
真剣に悩んでいる啓太の様子を見て俺は、自分が何に対して悩んでいるのかがわからなくなった。
「だからさ、もし、今度、あいつらが揶揄ったら、俺、言ってやるっ!
勇士のかーちゃん、めっちゃいい匂いするんだぞっ!しかも、いつ見ても、超綺麗っ!って。」
は?そんなことを言ってもあいつらはなんとも思わないんじゃ...。
「だってさー。家に帰って、普通のかーちゃんもいいけどさ、やっぱ綺麗なかーちゃんだと、あぁ、頑張ってるんだなってのが、すげーわかるじゃん。化粧だって、髪だって。本当は何もしなくていいのが一番って言うけど、それをしないで、いるって、結局、自分のため、あと、勇士のためじゃない?」
―?!
「俺の為?」
啓太は、迷いもなく答えた。
「だって、お前のかーちゃん、綺麗だなっ!って言ってもらえるだろ?それに、お前のかーちゃんが綺麗だって知ってたら、クラスの奴らのとーちゃんとか、かーちゃんとか、どんなお店かなって興味を持つだろ?で、変なお店じゃないんだから、揶揄ったりするやつなんてでてこなくなるって。それでもなくならないんだっただ、俺が言われてすぐに言い返してやるっ!「えー、どうして、お前がそんなことを言うの?営業妨害する気?」って。」
うわ...、啓太、大胆。
「別に、そんな厳しいことを言わなくても...」
「...でも、揶揄われてるの先生はしらないだろ?だったら、言われた時に、大きい声でみんなが聞こえるように言うんだ。俺は今、目の前の奴にこんなことを言われてますって。」
―!!!
啓太の予想してなかった言葉に、俺は驚くしかなかった。
「...それで本当にうまくいく...かな?」
「...いってほしいけど...人間が相手だからな。でも、ねーちゃんが言ってた。
女は集団で何かを言ってくるけど、男は多くても3人だって。
あいつらも、3人だろ?...できる。俺も、傍にいるから」
啓太は力強い言葉を俺にくれた。そして、その時、俺に向かって腕を広げていったのだ。
「...甘やかせてやる。こっちにこいっ」って。
さすがに、同級生に抱き着くことは躊躇ったけど、膝枕を強制的にさせられたのを覚えてる。
頭をトントンってしてくれるのが心地よくて、その日は、いつの間にか啓太の膝の上で寝てて、宿題ができてないのに次の日、大慌てだった。それも、啓太がしてくれてて、次の日の提出には間に合ったんだけど、その時、啓太の懐のデカさを知ったんだ。
揶揄いは結局、すぐに終わった。それも、揶揄ってきた奴らから終わった。気が済んだのかな?って思ってたんだが、後で知ったのは、啓太が、うまく立ち回ってくれてたことだ。
学年で金持ちだって有名だったヤツの親に話が行くよう、そいつの前で、俺の母親の事を話したらしい。
『勇士のかーちゃんの店に出入りするには、すげー厳しいんだっ。普通の客は入れないらしいよ』ていう箔をつけてくれた。
奴らのイメージは、それより下の店だったらしいから、俺の学校での位置は、高級クラブを経営しているママの息子となっていた。
想い出して俺はふふって笑みを溢す。
「...懐かしい...」
「あぁ、俺も今思った。これって、一回、やったことがあったな?」
目が合い俺と啓太は、懐かしさ混じりの言葉を交わす。
「啓太、あの時はありがとう」
啓太もあの頃を思い出して、笑って言ったんだ。
「...お前、老け顔だったんだな」
...
あれ?
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