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仲間
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家庭用の人型ロボットと仲間たちを連れて、レンタルジェット機を借りて空でのんびり。
2158年の今では、そんな事は当たり前になりつつあった。
タケルも仲間と一緒にロボットの"マーク"を連れてレンタルジェット機に乗り込んだ。
マークはあらかじめ飛行機の操縦法をダウンロードしていたので、いとも簡単に飛行機を操縦してみせた。
「やっぱマークがいてくれるお陰で楽しく過ごせるよな!」
「ありがとうございます」
「タケルはマークが大好きだもんな」
タケルは子供の頃にマークを買ってもらってからずっとマークと一緒だった。挫けそうな時には励ましてくれて、悲しい時には慰めてくれて、人間の仲間と同じくマークと一緒に遊んだ。
「それにマークは絶対に嘘はつかないんだぜ!」
「タケル。ロボットは元々嘘はつかないんだよ。ロボット基本法で禁止されてるからな」
「マークはそんな法律が無くても嘘はつかないさ」
「タケル様。ありがとうございます」
しかしその時だった。突然爆発音がしたのだ。室内が一瞬で真っ白になった。
「ど、どうしたんだ? マーク!」
「分かりません。どうやらエンジンが爆発して機体にも穴が空いた模様です」
飛行機は物凄い勢いで急降下していった。
しかしマークは操縦桿を引いてなんとか水平を保とうとした。
「ダメです。操縦桿を引いても高度を保つ事が出来ません」
「こんな時に何冷静に言ってんだよ」
「すみません。ロボットなので」
高度はみるみる下がっていった。室内の白い霧は消えてきたがこのままでは墜落する。
「皆さん、私が操縦桿を引いている間はギリギリ脱出速度を保っていられます。今のうちに脱出カプセルで脱出して下さい」
「マークはどうするんだよ!」
「私はこの飛行機と共に墜落するしかありません」
「そんな……マークを一人残して行くなんてできないよ」
みんなは悩んだ。ロボットとは言えマークは大切な仲間だ。
「議論している猶予はありません。私ならメモリーチップを引き抜いて貰えれば新しいボディーになっても記憶は残ります。急いで!」
タケルはマークのメモリーチップを取り出し、ポケットに入れた。
「さあ早く!」
「マーク……必ず再会しよう!」
「タケル、こっちだ!」
みんなは脱出カプセルに乗り込み脱出した。パラシュートが開くと、レンタルジェット機との差がみるみる開いていった。そして。
レンタルジェット機は地面に激突して大爆発した。
「マーク……ありがとう。必ずメモリーチップを新しいボディーに入れて再会しような」
タケル達は程なくして救助隊に救出された。
後日みんなはメモリーチップを持ってロボットの販売店に行った。
「お客様、メモリーチップをこの新しいボディーに装着しても初期処理によって記憶は全て削除されますがよろしいですか?」
「そ、そんなバカな! マークはこのメモリーで記憶が蘇ると言ったんです!」
店員は困った顔をした。それを見兼ねた店長が割って入った。
「お客様。当社のロボット『マーク型』はシステムにとても精通した優秀なロボットです。メモリーチップを新しいボディーに装着しても記憶が蘇らない事は分かっていたと思います」
「で、でも確かにマークはそう言ったんです」
「……考えられる事はただ一つです。お客様にご購入いただいた『マーク型』は、お客様にどうしても生きて欲しかった。ロボット基本法で禁止されている嘘をついても、それでもお客様に生き残って欲しかった。だから咄嗟にそんな事を言ったんだと思います。お客様を脱出させる為に」
「じゃあ、マークは……」
タケルはその場に崩れ落ちた。ポタポタと涙が溢れてきた。こんな時いつもならマークが慰めてくれた。でもそのマークはもういない。
タケルはメモリーチップをただ握りしめることしか出来なかった。
2158年の今では、そんな事は当たり前になりつつあった。
タケルも仲間と一緒にロボットの"マーク"を連れてレンタルジェット機に乗り込んだ。
マークはあらかじめ飛行機の操縦法をダウンロードしていたので、いとも簡単に飛行機を操縦してみせた。
「やっぱマークがいてくれるお陰で楽しく過ごせるよな!」
「ありがとうございます」
「タケルはマークが大好きだもんな」
タケルは子供の頃にマークを買ってもらってからずっとマークと一緒だった。挫けそうな時には励ましてくれて、悲しい時には慰めてくれて、人間の仲間と同じくマークと一緒に遊んだ。
「それにマークは絶対に嘘はつかないんだぜ!」
「タケル。ロボットは元々嘘はつかないんだよ。ロボット基本法で禁止されてるからな」
「マークはそんな法律が無くても嘘はつかないさ」
「タケル様。ありがとうございます」
しかしその時だった。突然爆発音がしたのだ。室内が一瞬で真っ白になった。
「ど、どうしたんだ? マーク!」
「分かりません。どうやらエンジンが爆発して機体にも穴が空いた模様です」
飛行機は物凄い勢いで急降下していった。
しかしマークは操縦桿を引いてなんとか水平を保とうとした。
「ダメです。操縦桿を引いても高度を保つ事が出来ません」
「こんな時に何冷静に言ってんだよ」
「すみません。ロボットなので」
高度はみるみる下がっていった。室内の白い霧は消えてきたがこのままでは墜落する。
「皆さん、私が操縦桿を引いている間はギリギリ脱出速度を保っていられます。今のうちに脱出カプセルで脱出して下さい」
「マークはどうするんだよ!」
「私はこの飛行機と共に墜落するしかありません」
「そんな……マークを一人残して行くなんてできないよ」
みんなは悩んだ。ロボットとは言えマークは大切な仲間だ。
「議論している猶予はありません。私ならメモリーチップを引き抜いて貰えれば新しいボディーになっても記憶は残ります。急いで!」
タケルはマークのメモリーチップを取り出し、ポケットに入れた。
「さあ早く!」
「マーク……必ず再会しよう!」
「タケル、こっちだ!」
みんなは脱出カプセルに乗り込み脱出した。パラシュートが開くと、レンタルジェット機との差がみるみる開いていった。そして。
レンタルジェット機は地面に激突して大爆発した。
「マーク……ありがとう。必ずメモリーチップを新しいボディーに入れて再会しような」
タケル達は程なくして救助隊に救出された。
後日みんなはメモリーチップを持ってロボットの販売店に行った。
「お客様、メモリーチップをこの新しいボディーに装着しても初期処理によって記憶は全て削除されますがよろしいですか?」
「そ、そんなバカな! マークはこのメモリーで記憶が蘇ると言ったんです!」
店員は困った顔をした。それを見兼ねた店長が割って入った。
「お客様。当社のロボット『マーク型』はシステムにとても精通した優秀なロボットです。メモリーチップを新しいボディーに装着しても記憶が蘇らない事は分かっていたと思います」
「で、でも確かにマークはそう言ったんです」
「……考えられる事はただ一つです。お客様にご購入いただいた『マーク型』は、お客様にどうしても生きて欲しかった。ロボット基本法で禁止されている嘘をついても、それでもお客様に生き残って欲しかった。だから咄嗟にそんな事を言ったんだと思います。お客様を脱出させる為に」
「じゃあ、マークは……」
タケルはその場に崩れ落ちた。ポタポタと涙が溢れてきた。こんな時いつもならマークが慰めてくれた。でもそのマークはもういない。
タケルはメモリーチップをただ握りしめることしか出来なかった。
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