だいしゅき

よしだひろ

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だいしゅき

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 一人っ子の勇気君は今日も楽しく遊んでいました。公園中駆け回ってはお母さんを困らせていました。
「勇気、走ると危ないわよ」
 それでも勇気君は御構い無し。とうとう小石に躓いて転んでしまいました。
 お母さんは慌てて駆け寄りますが勇気君は自分で起き上がり笑って見せるのでした。
「もう、心配かけて」
「おかあしゃん、だいしゅき」
 そう言って勇気君はお母さんをギュッとして甘えました。
 夜になったらお父さんが仕事から帰ってきて、勇気君とお風呂に入りました。
「勇気。ちゃんと肩まで浸かって十数えるんだぞ」
「うん! おとうしゃん、だいしゅき」
 そう言って数を数えずにお父さんに甘えるのでした。
 翌日、お母さんとまた公園に来ました。
 ブランコの所で里美ちゃんが遊んでいました。勇気君は里美ちゃんが大好きです。
 勇気君がブランコに駆け寄ると里美ちゃんも気付いてブランコから降りました。
「里美ちゃん、だいしゅき」
 勇気君がそう言って里美ちゃんにギュッとしようとすると、里美ちゃんはそれをはねのけて言いました。
「勇気君。弥生ちゃんにも好きって言ってたじゃない」
「うん、言ったよ」
「まぁ酷い。私と弥生ちゃんどっちが本当は好きなの?」
「弥生ちゃんの事はしゅき~、でも里美ちゃんの事はだいしゅき~」
「私の方が大好きなのね。良かった。私も勇気君大好きよ」
 そう言って二人はブランコで遊びました。
「里美ちゃんは妹がいていいなぁ」
「なんで?」
「お家でも一緒に遊べるでしょ。僕も弟か妹がいたらなぁ」
 そんな勇気君の誕生日の事でした。誕生日のお祝いをしてケーキを食べました。
「勇気、お父さんとお母さんからプレゼントだよ」
 それは小さな箱でした。開けてみると勇気君が着るのにちょうどいいくらいのTシャツとそれよりも小さなTシャツが入ってました。
「名前が刺繍してあるだろう? 読んでみて」
「ゆうきおにいちゃん? お兄ちゃんって書いてあるけど僕はお兄ちゃんじゃないよ」
「お兄ちゃんなんだよ」
「どうして?」
 するとお母さんが勇気君の手を取って自分のお腹に当てて言いました。
「お母さんのお腹の中にはね、勇気の妹がいるのよ」
「え? 妹が? お母さんのお腹の中に妹がいるの?」
 もう一つのTシャツを見てみると小さな女の子のTシャツで、ゆうなと刺繍がしてありました。
「妹の名前?」
「そうだよ、ゆうなちゃんだよ」
 勇気君はそれはもう大喜びでした。お母さんのお腹にそっと触れてはお父さんに抱っこしてもらうのでした。勇気君はその日は大はしゃぎで中々眠りませんでした。
 勇気君は赤ちゃんが産まれてくるのが楽しみで仕方ありません。
 そしてとうとう赤ちゃんが産まれました。勇気君はお母さんに抱かれている小さな赤ちゃんを見てこう言いました。
「ゆうなちゃん、だいしゅき!」
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