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生霊

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短い話だ。

あるサイトで
「自分の生霊戻ってこい」
そう寝る前などに念じると、日中に無意識で色んな人に
飛ばしている恨みや妬み、愛欲の渇望などの念のこもった自らの生霊が
自分の魂の中に帰ってきて
外に設置された生霊が本体から吸い出しているパワーが
魂に再び戻ることにより、本来もつ活力が回復すると書かれていた。
当時すでにいい大人だった自分(バカ)はさっそく
試してみることにした。

そして律儀にも、毎日、寝る前に試してみたのだが
なんとなく、日ごろの恨みつらみが浄化された気がして
いつの間にか日課のようになっていた。

そんなある日、先に書いてしまうと「自分の」の部分を忘れて
「生霊戻ってこい」
と飲み過ぎて酔っ払った自分は呟いてそのまま寝入った。

その夜の夢は未だに覚えているが
老若男女のあらゆる知らない人たちが
あけっぱなしにしている寝ている自分の口を
無理やり押し広げて入ってこようとしているという内容だった。
嫌な汗を大量にかいて、目覚めると、その瞬間に
「チッ」「チッ」「チッ」「チッ」
何重にも重なった別人たちのものであろう舌打ちが
聞こえたことを覚えている。

くれぐれも皆さんは同じことを試すときに
「俺の」とか「私の」をつけ忘れないように
していただきたい。
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