幻想郷への案内人

バイト募集中！

扉は、案外簡単に開けられた。中に入ると『こちらです！』という看板があるのを目にした。どうやら、２階らしい。遥也は、泥棒に来たかのように足音一つ経てずに２階に上がっていった。２階に上がると今度は『左に進んでください！』という看板があった。遥也は、不気味だけど案外親切な人なのかなと思っていた。看板通りに左に進んでいくと奥に扉があるのが見えた。遥也は、そこの扉をおそるおそる開けた。すると、中にいたのは、女性だった。
「え？」
遥也は、思わず声を出してしまった。どうやら、男性だと思っていたらしい。
すると、そこで仕事をしている女性は、
「ん、なんだい急に？あ！もしかして、バイトさん？」
「え、バイトってなんのことですか？僕は、こいつがなんなのか知りたいだけですけど、」
遥也は、びっくりしてしまった。バイトとはなんのことなのか理解できなかったようだ。
「きみ、ポスター見てきたんでしょ？」
「そうですけど、」
話をしているうちに段々わかってきた。どうやら、あのポスターは、バイト募集をしていたらしい。慌てていた遥也は、そんなことが書いてあるのに気づかなかったのだ。女性が持っているポスターに確かにバイト募集ということが右下に書いてあった。
遥也は、やちまったなと後悔した。そういえば、狐のことをすっかり忘れていた。
遥也は、女性に尋ねた。
「あの、この狐みたいなのって妖怪ですか？」
すると、女性は、
「そうだよ。まあ、バイトしないんだったら帰ってくれたまえ。」
「いや、こいつのせいで毎日困ってるんです。」
「そう。それは、大変ね。」
なんだか、女性は、冷たい。
「私の仕事はね、こちらの世界で困ってる妖怪を妖怪が幸せに暮らせるあちらの世界に送り届ける仕事なの。だから、あなたたち人間のことは、知らないわ。」
「え！」
遥也は、思わず声を出してしまった。
「冗談よ。そういう仕事が主だけど人間に取り付いた妖怪を払いその妖怪をあちらの世界に案内する仕事もしているわ。いわいる、隠世ってとこね！」
どうやら、この女性は冗談が好きなようだ。
「それじゃあ、本題ね」
ようやく、話が進んだ。