もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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連載

騒がしい始まり㉕

 ザイーム殿下が先程と違う衣装で、いらっしゃる。
 黒に、緑と金色の飾りの入ったのは、シーラの伝統的民族衣装。ドワーフであるがっちりした体格であるザイーム殿下に、よく映えている。そして隣には、白髪混じりの茶髪の女性、うん、ドワーフさんだけど。深い緑色の民族衣装には、襟や裾は緑色の生地に映えるように黄色の縁取り。
「ミズサワ殿、よくお似合いですな。紹介しましょう、妻のサフィアです」
 茶髪の女性、サフィアさんは上品に礼をする。
「サフィアでございます」
 ご丁寧にありがとうございます。
 私達も正式なご挨拶が分からないけど、ぺこり、してから父が代表してお返事する。
「さあ、参りましょう」
 ザイーム殿下が私達を馬車に案内してくれた。予想していたが、牽くのは山羊さん。馬車じゃない山羊車と呼ぶべきなんだろうか? さっきの黒山羊さんはいない。ビアンカとルージュは、山羊車の左右を固め、ホークさんとテオ君は、ノワールに騎乗して最後尾でついてくることになってる。何があっても大丈夫やね。
 どうぞ、と案内されて山羊車に乗り込むと、流石ザイーム殿下の乗る山羊車、素敵な内装だ。座席はふかふか、レースのカーテンもお洒落や。やはり、ぺーぺーの一般人である私達は、どうしても、挙動不信感が滲み出していく。山羊車内は広くて、私達四人が並んで座れる広さだ。
 隣の晃太が、何度か拳を握ったりしているのを見て、私もちょっと緊張感がましてきた。
「ミズサワ殿、手土産を用意されたとお聞きしましたが」
「あ、はい。弟が持っています」
 咄嗟に私が答える。
「では、馬車から降りる先に、手にお持ちください」
 これは手土産のマナーなんだって。
 いきなりアイテムボックスに手を入れて取り出すのは、NG。武器を携帯していると思われると。晃太はそそくさと手土産を取り出す。赤松茸の入った箱は、セレクトショップダリアのスカーフを風呂敷代わりにして包んでいる。
 晃太はしっかり膝の上に手土産を置く。本当は同行する執事さんとかが持って付いてくるんだけど、うちにはいないからね。
「素敵な包み方ですわね」
 と、サフィアさん。私達の生まれ故郷で古くからある、贈り物の包み方だと説明すると、サフィアさんは興味深く聞いてくれた。サフィアさんはそれから母の手作りワンピースを褒め、私のアップされた髪や、ワンピースを褒めてくれる。
「まあっ、御息女のネックレス、ダンジョン産なんですね」
「はい。マーファの冷蔵庫ダンジョンから得ました」
 ちょっと和やかに空気が流れる。
 そう言えば、本日襲撃予定のザイーム殿下のお屋敷は大丈夫なのかな? 襲撃される理由も、気になるし。
「あのザイーム殿下、お屋敷は大丈夫なんですか?」
「ええ、万全の体勢でおります。ま、襲撃理由のものは私が持っておりますしね」
 ? ? ?
「ああ、ご説明がまだでしたね。やつらが狙うのはこれです」
 と、ザイーム殿下は懐から、黒い筒を取り出す。まっすぐではなく、ちょっと湾曲している。
「これは、かつて勇者パーティに所属していた剣聖が、シーラに滞在した際、世話役を賜った父に贈られたものです」
 お久しぶりの勇者パーティ。
 よく見たら、脇差みたいな感じだ。
「剣聖、と言うと、あれですよね。サエキ様のお母様のユリ様の」
「はい。パーティメンバーです」
 勇者パーティは、解散後にそれぞれ各地活躍をしている。勇者はディレナスで現在のギルドの形にまとめ上げた。聖女は治療院・孤児院の立ち上げ、公衆衛生の周知。サエキ様のお母様のユリさんは、ユリアレーナの国としての立ち上げの際に尽力を尽くした。大賢者と大魔道士、この二人は兄妹でシーラで最後の時まで過ごした。この兄妹が様々なポーションや、ソルトで見た自転車をエンジンにした魔道具なんかを開発した。勿論それ以外にも色んな事をしている。公共事業、住民票の仕組み、年金など様々な事をしている。
 この勇者パーティのおかげでこの大陸の文化的な発達に繋がった。その中で剣聖だけが行方が分からない。シーラにしばらく滞在して、鍛冶の革命を起こして、晩年になって、かつて訪れた先に回ると言って旅立ち、しばらくしてから連絡が取れなくなってしまったと。
「剣聖ヤナギバ様が、シーラを出立される折に、我が父にと賜ったのです。もう二百年以上前のものにも関わらず、輝きは失われておりません」
 それは、きちんとお手入れしているからでは?
「連中の狙いはこれです。かつて勇者パーティが所有していた品々は、すべて秀逸ですからね。我がシーラにはこの短刀を私が引き継いでおります」
 へー。
 大賢者と大魔道士の残したポーション、特に蛇の目玉回復ポーションは、今でも人々を救っている。今では当たり前にある上級ポーションや魔力回復ポーション、ドーピング剤も開発して、その功績を讃える石碑があるそうだ。今度見に行こう。
「やつらはこの短刀を手に入れて、コレクターか闇オークションにでもかけるつもりなんでしょう」 
 やっぱり、結局そうなるんやね。
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