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騒がしい始まり㉖
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しかし、なんでそんな危険を冒すかね。
ザイーム殿下は現在のこの国シーラの王様の弟になる。その人のお屋敷に忍び込むって。警備が厳しいことはわかっているだろうに。
「やつらの最たる目的はこれでしょうが、ほかにも宝飾品などを狙っているのでしょうね」
ザイーム殿下は短刀を懐にしまう。
なんでも、奥様、サフィラさんはシーラでも有数の資産を持つ侯爵家の出身で、嫁入りの際にいろいろ持参したとのこと。ザイーム殿下も冒険者時代に得た宝飾品や武具類を多数保有している。もちろん美術品だってある。警備は万全にしているが、そういったものが全くなかったら向こうも罠と気づくので、大切なものだけ持ってきた。確かにお屋敷に残しているもののそれぞれ価値はすごいが、ザイーム殿下はこの短刀、サフィラさんはザイーム殿下からプロポーズの時に贈られたダイヤモンドの指輪と母親の形見のイヤリング、これだけは絶対に奪われたくないので、身に着けて持ってきたそうだ
「連中は本部が壊滅状態となり、資金繰りに焦っているようで、今回のことに踏み切ったようです」
本部ね。確か、ユリアレーナに本部があったよね。
今日は時間がないので、後日この組織について説明してくれるって。
なんだかね、気になるしね。
「さて、そろそろ着きますな」
山羊馬車がゆっくり止まる。窓から見ると、新しい灰色の屋根の洋館が建っていた。すでの数台の馬車が止まり、それぞれの御者さんや従者さん達がびっくりした顔でこちらを見ている。ビアンカとルージュにびっくりしているんだよね。
緊張してきた。
さすがにザイーム殿下とサフィラさんは慣れたているようで、スムーズに下車する。私たちも順番に降り、最後に晃太が降りる。すっ、とビアンカをルージュがそばに来てくれる。ホークさんとテオ君は、ノワールから降りた後に手綱を預けてから来てくれる。ノワールの手綱を預かった人、ノワールの大きさに驚いるようだけど、丁寧に誘導してくれている。
出迎えてくれたのは初老の夫婦だ。ザ・仕事ができる旦那さんとそれを支える奥様って感じの方たちだ。どーん、構えているビアンカとルージュに一瞬目を奪われているが、すぐにザイーム殿下に礼の姿勢を取る。
「ザイーム殿下、サフィラ妃殿下。ようこそおいでくださいました」
「ご招待にあずかり光栄です」
ザイーム殿下とザ・仕事ができる旦那さんがご挨拶。サフィラさんも奥様もご挨拶。それから私たちの番となる。
「紹介しましょう。ミズサワ名誉伯爵ご一家です。ミルド伯爵はご存じでしょう。ご当主のリュウタ・ミズサワ殿。奥方のケイコ夫人。ご息女ユイ嬢、嫡男コウタ殿」
そろってぺこり、とする。
「ようこそミズサワ様。ユリアレーナでのご活躍はここシーラまで届いております。わたくしはこのユリアレーナ大使館代表ミルドでございます。こちらは我が妻リリックでございます」
夫婦そろってきれいなお辞儀をしてくれるので、私たちも改めてペコリ。父が代表してご挨拶。
「この度はお招き預かり光栄でございます」
今回、例の組織の壊滅作戦に私たちが急遽参戦するために、ここユリアレーナ大使館の新装開店オープンパーティに来ている。建前上、私たち水澤家がこのパーティの招待されて、ザイーム殿下と一緒に来ました、って態をとる。襲撃される予定のザイーム殿下のお屋敷に、ものすごく強いザイーム殿下がいたら向こうが侵入を中止するだろうからね。
ここで手土産の出番だ。ザイーム殿下は有名な銘柄のウイスキーだそうで、綺麗に包装された箱を随行していた初老のドワーフ従者さんが渡している。なかなか手に入らない逸品だそう。
「これはなんと嬉しいことでしょう。夫婦ともども一度は口にしたいと願っておりました」
と、嬉しそう。ご夫婦でウイスキーを嗜むって、なんだか素敵だね。
で、次に私たちだ。
「こちらは我が水澤家より。スライムダンジョンから得ました赤松茸です」
と父が説明し、待機していた晃太が風呂敷に包まった赤松茸入りの箱を差し出す。
「なんと、この時期に赤松茸でございますか」
赤松茸は時期的に秋だけど、もともとが高級品だしね。
ご夫婦ともに興味津々な雰囲気で受け取ってくれる。
「赤松茸もですが、このハンカチーフも素晴らしいですわ」
と、控えめにいた奥様には風呂敷に使用したスカーフも好評みたい。よかった、赤松茸もスカーフも大丈夫みたいやね。
「このような貴重な品をありがとうございます、ミズサワ様。さあ、皆様どうぞ中へ。新装したユリアレーナ大使館をぜひご覧ください」
ミルド伯爵の案内で、ユリアレーナ大使館へ。
まずザイーム殿下がサフィラさんが腕を組んでね、エスコートね。後ろに父と母が同じように腕を組み、私は晃太と腕を組む。これが一応マナーだと。すぐ後ろにビアンカとルージュが付き、最後尾にホークさんとテオ君だ。
入って、扉が閉まると、穏やかにいたミルド伯爵の雰囲気が変わる。
「ザイーム殿下、ユイ・ミズサワ様はこちらへ。リリック、ほかの皆様を広間へ」
「はい。旦那様。皆様、こちらへ」
穏やかな初老夫婦とは思えない動きを見せ始めた。
しかし、なんでそんな危険を冒すかね。
ザイーム殿下は現在のこの国シーラの王様の弟になる。その人のお屋敷に忍び込むって。警備が厳しいことはわかっているだろうに。
「やつらの最たる目的はこれでしょうが、ほかにも宝飾品などを狙っているのでしょうね」
ザイーム殿下は短刀を懐にしまう。
なんでも、奥様、サフィラさんはシーラでも有数の資産を持つ侯爵家の出身で、嫁入りの際にいろいろ持参したとのこと。ザイーム殿下も冒険者時代に得た宝飾品や武具類を多数保有している。もちろん美術品だってある。警備は万全にしているが、そういったものが全くなかったら向こうも罠と気づくので、大切なものだけ持ってきた。確かにお屋敷に残しているもののそれぞれ価値はすごいが、ザイーム殿下はこの短刀、サフィラさんはザイーム殿下からプロポーズの時に贈られたダイヤモンドの指輪と母親の形見のイヤリング、これだけは絶対に奪われたくないので、身に着けて持ってきたそうだ
「連中は本部が壊滅状態となり、資金繰りに焦っているようで、今回のことに踏み切ったようです」
本部ね。確か、ユリアレーナに本部があったよね。
今日は時間がないので、後日この組織について説明してくれるって。
なんだかね、気になるしね。
「さて、そろそろ着きますな」
山羊馬車がゆっくり止まる。窓から見ると、新しい灰色の屋根の洋館が建っていた。すでの数台の馬車が止まり、それぞれの御者さんや従者さん達がびっくりした顔でこちらを見ている。ビアンカとルージュにびっくりしているんだよね。
緊張してきた。
さすがにザイーム殿下とサフィラさんは慣れたているようで、スムーズに下車する。私たちも順番に降り、最後に晃太が降りる。すっ、とビアンカをルージュがそばに来てくれる。ホークさんとテオ君は、ノワールから降りた後に手綱を預けてから来てくれる。ノワールの手綱を預かった人、ノワールの大きさに驚いるようだけど、丁寧に誘導してくれている。
出迎えてくれたのは初老の夫婦だ。ザ・仕事ができる旦那さんとそれを支える奥様って感じの方たちだ。どーん、構えているビアンカとルージュに一瞬目を奪われているが、すぐにザイーム殿下に礼の姿勢を取る。
「ザイーム殿下、サフィラ妃殿下。ようこそおいでくださいました」
「ご招待にあずかり光栄です」
ザイーム殿下とザ・仕事ができる旦那さんがご挨拶。サフィラさんも奥様もご挨拶。それから私たちの番となる。
「紹介しましょう。ミズサワ名誉伯爵ご一家です。ミルド伯爵はご存じでしょう。ご当主のリュウタ・ミズサワ殿。奥方のケイコ夫人。ご息女ユイ嬢、嫡男コウタ殿」
そろってぺこり、とする。
「ようこそミズサワ様。ユリアレーナでのご活躍はここシーラまで届いております。わたくしはこのユリアレーナ大使館代表ミルドでございます。こちらは我が妻リリックでございます」
夫婦そろってきれいなお辞儀をしてくれるので、私たちも改めてペコリ。父が代表してご挨拶。
「この度はお招き預かり光栄でございます」
今回、例の組織の壊滅作戦に私たちが急遽参戦するために、ここユリアレーナ大使館の新装開店オープンパーティに来ている。建前上、私たち水澤家がこのパーティの招待されて、ザイーム殿下と一緒に来ました、って態をとる。襲撃される予定のザイーム殿下のお屋敷に、ものすごく強いザイーム殿下がいたら向こうが侵入を中止するだろうからね。
ここで手土産の出番だ。ザイーム殿下は有名な銘柄のウイスキーだそうで、綺麗に包装された箱を随行していた初老のドワーフ従者さんが渡している。なかなか手に入らない逸品だそう。
「これはなんと嬉しいことでしょう。夫婦ともども一度は口にしたいと願っておりました」
と、嬉しそう。ご夫婦でウイスキーを嗜むって、なんだか素敵だね。
で、次に私たちだ。
「こちらは我が水澤家より。スライムダンジョンから得ました赤松茸です」
と父が説明し、待機していた晃太が風呂敷に包まった赤松茸入りの箱を差し出す。
「なんと、この時期に赤松茸でございますか」
赤松茸は時期的に秋だけど、もともとが高級品だしね。
ご夫婦ともに興味津々な雰囲気で受け取ってくれる。
「赤松茸もですが、このハンカチーフも素晴らしいですわ」
と、控えめにいた奥様には風呂敷に使用したスカーフも好評みたい。よかった、赤松茸もスカーフも大丈夫みたいやね。
「このような貴重な品をありがとうございます、ミズサワ様。さあ、皆様どうぞ中へ。新装したユリアレーナ大使館をぜひご覧ください」
ミルド伯爵の案内で、ユリアレーナ大使館へ。
まずザイーム殿下がサフィラさんが腕を組んでね、エスコートね。後ろに父と母が同じように腕を組み、私は晃太と腕を組む。これが一応マナーだと。すぐ後ろにビアンカとルージュが付き、最後尾にホークさんとテオ君だ。
入って、扉が閉まると、穏やかにいたミルド伯爵の雰囲気が変わる。
「ザイーム殿下、ユイ・ミズサワ様はこちらへ。リリック、ほかの皆様を広間へ」
「はい。旦那様。皆様、こちらへ」
穏やかな初老夫婦とは思えない動きを見せ始めた。
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