文字の大きさ
大
中
小
53 / 877
連載
すべきこと②
パーティーハウスに戻り、母に事情説明。
母はすぐに納得してくれた。
「お母さん大変やけど、抗生剤と解熱剤を作るのには、お母さんの魔法が必要なんよ」
「そうね、分かった」
「姉ちゃん、わい、なんばすればいい?」
「そうやね。あ、記録お願いね」
「ん」
よし、ルームを開けて、異世界への扉を開ける。
ディレックスだ。
カゴ片手に回る。
さて、どうしよう。
こんな時はどうしたらいい?
のど越しのいいゼリーかな? 冷たいのは、うーん、いや、そう言ってはいられない。とりあえず、口に出来そうな物を思いつく限りカゴに入れる。
まずは子供用の内服ゼリー。それからパックに入った栄養ゼリー、プリン。かなり迷ったけどアイスクリームにシャーベット。一口くらいなら、いいかな? とりあえず、カゴに入れる。念のためスープのもとも入れる。最後に額に貼る冷却材だ。怪しまれるかもしれないけど、誤魔化そう。
ビニール袋を下げて出る。買ったゼリー等を器に移しアイテムボックスに入れる。準備したはいいが、ダイアナちゃんが起きてくれないと話にならない。無理に起こすのはかわいそうだが、どうしたものか。
無理に起こして嫌がられたら、それこそもともこもない。どうしよう?
悩みながらルームを出る。
「お父さんは?」
「まだたい」
「なら、私一旦パーカーさんとこに行って来るけん」
ビアンカには残ってもらい、私はルージュとパーティーハウスを出る。もし遅くなったら灯りを出してもらわないといけないし。そろそろロッシュさん達も帰る時間だ。
「俺達は大丈夫ですよ」
そうシュタインさんは言ってくれたけど、そこまで甘えられないが、付いてきてくれた。
『ねえ、ユイ、どうしてそこまでするの? あの子供の雌、かなり弱ってるわよ』
歩きながらルージュが聞いてきた。
「そやねえ、自己満足とか、偽善とかかな? なんかね、せんといかんって思うんよ。上手く説明出来んけどね」
『よく分からないわ、何かいいことあるの?』
「そうね。そうや、ねえルージュ、ルージュにお乳をくれて育ててくれたお母さん。ルージュが大人になってから、あれが欲しいとか、これしてとか言ってきた?」
『いいえ、ないわ』
「それと一緒たい」
ルージュが首を傾げる。
「何か返して欲しいわけやないと。ダイアナちゃんにね、よくなって欲しいだけよ」
ただ、それだけ。
ルージュは目を細める。
『そう。なら、いいわ。私はユイの従魔だから、従うだけよ』
「頼りにしてるけんね。でも、私はルージュやビアンカを従えている気はないけんね。家族やけんね」
『ふふふ、分かっているわ』
ルージュが頭をすり寄せてきた。私は腕を抱き寄せるように回した。
パーカーさんの家に到着。ルージュに外で待ってもらう。
「ミズサワさん」
ジョシュアさんが出てきた。
「フィナさんは?」
「母は今休んでます。父は店に戻りました。パトリックがいまダイアナについてます」
「そうですか」
子供部屋を覗くと、パトリックさんがベッド横の椅子に腰かけて、ダイアナちゃんをじっと見ている。
「失礼します」
ドアを小さくノックする。
顔を上げるパトリックさん。
「ダイアナちゃん、目を覚ましました?」
「いいえ」
疲労の滲んだ顔で、パトリックさんは首を振る。
私はアイテムボックスから色々出す。ゼリーに冷却材。
「これは何です?」
ジョシュアさんが額に貼る冷却材を見て聞いてくる。
「おでこに貼るんですよ。冷たくて気持ちいいですよ。どうぞ、貼ってみてください」
1枚渡す。パトリックさんが貼ってみて驚いている。
「冷たいけど、気持ちいい」
では、1枚ダイアナちゃんのおでこにぺたり。
さと、これからどうしよう?
悩んでいると、パトリックさんが声を上げる。
「ダイアナッ、ダイアナッ」
え、目が覚めた? あ、冷却材で目が覚めたかな?
ダイアナちゃんはぼんやりしたような顔で、私達を見ている。
「ダイアナちゃん、分かる?」
「…………だれ?」
掠れた声のダイアナちゃん。パトリックさんが慌てて出ていく。
「ミズサワよ。お父さんから聞いてない? 大きなウルフとジャガーのテイマーよ」
私の言葉に思い出したのか、ダイアナちゃんはキョロキョロ。
「どこ?」
「外で待ってもらってるよ」
「いないの?」
「いるよ。会ってみたい?」
なんとなく聞いたけど、ダイアナちゃんの目が少し輝く。あ、いい感じかな。
「うん」
興味を引くことができたけど、どうしよう? 流石に家に入れるわけにはなあ。ちょっと狭いし。うーん、うーん、どうしよう? 病人の部屋に動物は、うーん、でも、期待に満ちた目に見上げられて、少しなら良かろうと思う。少しだけ。
後はどうやって会わせよう。いやまず、ご家族の許可を。
あ、そういえば、ここ1階だ。庭に面した窓がある。
「ジョシュアさん、お庭にルージュを入れてもいいですか?」
「え、ええ、いいですが」
ジョシュアさんが迷うが、ダイアナちゃんからじっと見上げられて、答えてくれる。
「はい、大丈夫です。誘導してきますね」
「お願いします。さて、ダイアナちゃん、ゼリー持ってきたけど食べれるかな?」
ダイアナちゃんは小さく首を横に振る。うーん、どうしよう?
「ああ、ダイアナッ、ダイアナッ」
フィナさんが子供部屋に駆け込んで来た。
震える手でダイアナちゃんの頭を撫でるフィナさん。
そんなフィナさんを見て、なんて、声をかけよう。多分、亡くなったローナちゃんとダイアナちゃんが被って見えるんだろうけど。子供が先に逝く、私には想像できない苦しみを抱えているのだろう。
私は、なんて、声を掛けたら、いい?
ゼリーの器を持ち、突っ立ったままで悩む。
「あのミズサワさん、ダイアナのおでこのは?」
「冷却材ですよ。冷たくて気持ちいいんです」
迷っているとフィナさんが聞いてきたので説明していると、窓から、ぬっとルージュが顔を出す。
ひい、とフィナさんが引く。大丈夫ですよと、声をかける。
『ユイ、どうしたの?』
「ちょっとね、ダイアナちゃん、クリムゾンジャガーのルージュよ。綺麗な目でしょう?」
『毛並みも自慢なのよ』
「はいはい」
ダイアナちゃんの顔を見ると、興味津々な様子だ。
「触ってみる?」
「うん」
「ルージュ、ちょっと寄って」
首を伸ばすルージュ。
「ほら、触ってみて、すべすべよ」
ゼリー片手に撫でると、ダイアナちゃんはおずおずと手を伸ばす。鼻先にちょっと触れている。
「すべすべだあ」
「でしょう?」
ルージュは大人しく撫でられていたが、急に私の持つゼリーの器に顔を寄せる。
「あらあら、ダイアナちゃん、食べないとルージュが食べちゃうよ」
そう言うと、ダイアナちゃんは何故か抵抗なく頷く。
良かった、食べる気になってくれた。
フィナさんが驚いた表情になっている。何日も口にしていない、フィナさん達も試行錯誤したはずなのに、あっさりダイアナちゃんが頷いたのに、驚いているのだろう。
「ちょっと起きようか。フィナさん、支えてください」
「は、はい」
ダイアナちゃんをフィナさんが支えて、私はゼリーを少しずつスプーンで口に運ぶ。
ぱくん、こくん、ぱくん、こくん。
喉とか大丈夫かな?
「もういい」
「はい、よく食べました。じゃあ、もうちょっと寝よっか」
「うん。ウルフは?」
「明日、連れてくるからね」
ダイアナちゃんを横たえて、布団を掛けなおす。
眠ったのを確認しフィナさんが、わなわな泣き出す。
「ああ、ミズサワさん、ありがとうございます。ダイアナが食べました。食べました」
「フィナさん、これからですよ」
第一段階かな。
母はすぐに納得してくれた。
「お母さん大変やけど、抗生剤と解熱剤を作るのには、お母さんの魔法が必要なんよ」
「そうね、分かった」
「姉ちゃん、わい、なんばすればいい?」
「そうやね。あ、記録お願いね」
「ん」
よし、ルームを開けて、異世界への扉を開ける。
ディレックスだ。
カゴ片手に回る。
さて、どうしよう。
こんな時はどうしたらいい?
のど越しのいいゼリーかな? 冷たいのは、うーん、いや、そう言ってはいられない。とりあえず、口に出来そうな物を思いつく限りカゴに入れる。
まずは子供用の内服ゼリー。それからパックに入った栄養ゼリー、プリン。かなり迷ったけどアイスクリームにシャーベット。一口くらいなら、いいかな? とりあえず、カゴに入れる。念のためスープのもとも入れる。最後に額に貼る冷却材だ。怪しまれるかもしれないけど、誤魔化そう。
ビニール袋を下げて出る。買ったゼリー等を器に移しアイテムボックスに入れる。準備したはいいが、ダイアナちゃんが起きてくれないと話にならない。無理に起こすのはかわいそうだが、どうしたものか。
無理に起こして嫌がられたら、それこそもともこもない。どうしよう?
悩みながらルームを出る。
「お父さんは?」
「まだたい」
「なら、私一旦パーカーさんとこに行って来るけん」
ビアンカには残ってもらい、私はルージュとパーティーハウスを出る。もし遅くなったら灯りを出してもらわないといけないし。そろそろロッシュさん達も帰る時間だ。
「俺達は大丈夫ですよ」
そうシュタインさんは言ってくれたけど、そこまで甘えられないが、付いてきてくれた。
『ねえ、ユイ、どうしてそこまでするの? あの子供の雌、かなり弱ってるわよ』
歩きながらルージュが聞いてきた。
「そやねえ、自己満足とか、偽善とかかな? なんかね、せんといかんって思うんよ。上手く説明出来んけどね」
『よく分からないわ、何かいいことあるの?』
「そうね。そうや、ねえルージュ、ルージュにお乳をくれて育ててくれたお母さん。ルージュが大人になってから、あれが欲しいとか、これしてとか言ってきた?」
『いいえ、ないわ』
「それと一緒たい」
ルージュが首を傾げる。
「何か返して欲しいわけやないと。ダイアナちゃんにね、よくなって欲しいだけよ」
ただ、それだけ。
ルージュは目を細める。
『そう。なら、いいわ。私はユイの従魔だから、従うだけよ』
「頼りにしてるけんね。でも、私はルージュやビアンカを従えている気はないけんね。家族やけんね」
『ふふふ、分かっているわ』
ルージュが頭をすり寄せてきた。私は腕を抱き寄せるように回した。
パーカーさんの家に到着。ルージュに外で待ってもらう。
「ミズサワさん」
ジョシュアさんが出てきた。
「フィナさんは?」
「母は今休んでます。父は店に戻りました。パトリックがいまダイアナについてます」
「そうですか」
子供部屋を覗くと、パトリックさんがベッド横の椅子に腰かけて、ダイアナちゃんをじっと見ている。
「失礼します」
ドアを小さくノックする。
顔を上げるパトリックさん。
「ダイアナちゃん、目を覚ましました?」
「いいえ」
疲労の滲んだ顔で、パトリックさんは首を振る。
私はアイテムボックスから色々出す。ゼリーに冷却材。
「これは何です?」
ジョシュアさんが額に貼る冷却材を見て聞いてくる。
「おでこに貼るんですよ。冷たくて気持ちいいですよ。どうぞ、貼ってみてください」
1枚渡す。パトリックさんが貼ってみて驚いている。
「冷たいけど、気持ちいい」
では、1枚ダイアナちゃんのおでこにぺたり。
さと、これからどうしよう?
悩んでいると、パトリックさんが声を上げる。
「ダイアナッ、ダイアナッ」
え、目が覚めた? あ、冷却材で目が覚めたかな?
ダイアナちゃんはぼんやりしたような顔で、私達を見ている。
「ダイアナちゃん、分かる?」
「…………だれ?」
掠れた声のダイアナちゃん。パトリックさんが慌てて出ていく。
「ミズサワよ。お父さんから聞いてない? 大きなウルフとジャガーのテイマーよ」
私の言葉に思い出したのか、ダイアナちゃんはキョロキョロ。
「どこ?」
「外で待ってもらってるよ」
「いないの?」
「いるよ。会ってみたい?」
なんとなく聞いたけど、ダイアナちゃんの目が少し輝く。あ、いい感じかな。
「うん」
興味を引くことができたけど、どうしよう? 流石に家に入れるわけにはなあ。ちょっと狭いし。うーん、うーん、どうしよう? 病人の部屋に動物は、うーん、でも、期待に満ちた目に見上げられて、少しなら良かろうと思う。少しだけ。
後はどうやって会わせよう。いやまず、ご家族の許可を。
あ、そういえば、ここ1階だ。庭に面した窓がある。
「ジョシュアさん、お庭にルージュを入れてもいいですか?」
「え、ええ、いいですが」
ジョシュアさんが迷うが、ダイアナちゃんからじっと見上げられて、答えてくれる。
「はい、大丈夫です。誘導してきますね」
「お願いします。さて、ダイアナちゃん、ゼリー持ってきたけど食べれるかな?」
ダイアナちゃんは小さく首を横に振る。うーん、どうしよう?
「ああ、ダイアナッ、ダイアナッ」
フィナさんが子供部屋に駆け込んで来た。
震える手でダイアナちゃんの頭を撫でるフィナさん。
そんなフィナさんを見て、なんて、声をかけよう。多分、亡くなったローナちゃんとダイアナちゃんが被って見えるんだろうけど。子供が先に逝く、私には想像できない苦しみを抱えているのだろう。
私は、なんて、声を掛けたら、いい?
ゼリーの器を持ち、突っ立ったままで悩む。
「あのミズサワさん、ダイアナのおでこのは?」
「冷却材ですよ。冷たくて気持ちいいんです」
迷っているとフィナさんが聞いてきたので説明していると、窓から、ぬっとルージュが顔を出す。
ひい、とフィナさんが引く。大丈夫ですよと、声をかける。
『ユイ、どうしたの?』
「ちょっとね、ダイアナちゃん、クリムゾンジャガーのルージュよ。綺麗な目でしょう?」
『毛並みも自慢なのよ』
「はいはい」
ダイアナちゃんの顔を見ると、興味津々な様子だ。
「触ってみる?」
「うん」
「ルージュ、ちょっと寄って」
首を伸ばすルージュ。
「ほら、触ってみて、すべすべよ」
ゼリー片手に撫でると、ダイアナちゃんはおずおずと手を伸ばす。鼻先にちょっと触れている。
「すべすべだあ」
「でしょう?」
ルージュは大人しく撫でられていたが、急に私の持つゼリーの器に顔を寄せる。
「あらあら、ダイアナちゃん、食べないとルージュが食べちゃうよ」
そう言うと、ダイアナちゃんは何故か抵抗なく頷く。
良かった、食べる気になってくれた。
フィナさんが驚いた表情になっている。何日も口にしていない、フィナさん達も試行錯誤したはずなのに、あっさりダイアナちゃんが頷いたのに、驚いているのだろう。
「ちょっと起きようか。フィナさん、支えてください」
「は、はい」
ダイアナちゃんをフィナさんが支えて、私はゼリーを少しずつスプーンで口に運ぶ。
ぱくん、こくん、ぱくん、こくん。
喉とか大丈夫かな?
「もういい」
「はい、よく食べました。じゃあ、もうちょっと寝よっか」
「うん。ウルフは?」
「明日、連れてくるからね」
ダイアナちゃんを横たえて、布団を掛けなおす。
眠ったのを確認しフィナさんが、わなわな泣き出す。
「ああ、ミズサワさん、ありがとうございます。ダイアナが食べました。食べました」
「フィナさん、これからですよ」
第一段階かな。
感想 854
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます 〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯
鳳凰院暁月刃夜婚約破棄されたので、王都の端で小さな香水店を開きます
〜「匂いしか分からない無能令嬢」と捨てられましたが、実は人の嘘と運命を嗅ぎ分ける王国唯一の調香師でした〜
☆あらすじ☆
王太子から婚約破棄され、家族にも見捨てられた公爵令嬢リリアーナ。
妹をいじめた悪女。
匂いしか分からない無能令嬢。
王妃にふさわしくない女。
夜会場でそう笑われた彼女は、すべてを失った――はずだった。
けれどリリアーナの嗅覚は、ただ香りを嗅ぎ分けるだけのものではない。
人の嘘。
隠された悪意。
病の兆し。
呪いの残り香。
そして、運命の匂いまで嗅ぎ分ける、王国唯一の異能だった。
公爵家を出たリリアーナは、亡き祖母が残した王都の端の小さな香水店「夜明けの瓶」を開く。
最初は誰にも見向きされない店だった。
けれど、眠れない少女を救い、毒を盛られた貴婦人を助け、夫婦の嘘をほどいていくうちに、店は王都中の秘密が集まる場所になっていく。
そんな彼女の前に現れたのは、冷血公爵と恐れられる辺境公爵ヴァルト。
彼は王宮由来の呪いに蝕まれていた。
リリアーナは彼の呪いを解くため、契約婚約を結ぶことになる。
不器用すぎる公爵に守られ、時に振り回されながら、彼女は王宮に隠された大きな嘘へと近づいていく。
なぜ王太子は婚約破棄を急いだのか。
なぜ妹は姉を憎み続けるのか。
なぜ王宮には、焦げた薔薇の匂いが漂っているのか。
無能と捨てられた令嬢は、もう誰かの言いなりにはならない。
「私は、私の鼻で生きていきます」
香水店から始まる、婚約破棄令嬢の逆転恋愛ファンタジー。
ざまぁあり、契約婚約あり、冷血公爵の不器用な溺愛あり。
最後には、彼女を捨てた者たちが気づくことになる。
本当に失ってはいけなかったのは、彼女だったのだと。
王妃教育を辞退したら「困る」と国王陛下が直接迎えに来ました ~婚約破棄された私に、王太子ではなく国王陛下が求婚してきます〜
由香【全一話完結】
王太子の心変わりによって婚約を破棄された侯爵令嬢リリアーナ。
十年以上受け続けた王妃教育も辞退し、ようやく自由になれると思っていた。
ところが数日後、侯爵家を訪れたのは国王陛下本人。
「王妃教育を辞退されると困る。私の妃になってほしい」
努力を踏みにじった王太子はすべてを失い、選ばれたのは誠実に生きてきた彼女だった。
これは、年上国王に溺愛されながら、世界一幸せな王妃になるまでの逆転ラブストーリー。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
聖女って無給で無休なんですか?じゃあやらないです
こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
五年も笑わなかった辺境伯の娘が、追放された保育係の令嬢の前で初めて笑った
歩人(あゆと)侯爵令嬢クラリスは、五年間、兄夫婦の公爵家で三人の御子の保育を任されてきた。表向きは「下女扱い」だったが、彼女の保育記録には毎日の歌・手作りの絵札・夜泣きの記録が綿密に綴られていた。「育児など侍女の手伝い。本物の貴族のすることではないわ」兄嫁の侮辱に、クラリスは保育記録帳を置いて去る。訪ねた先は、妻を亡くした辺境伯ロタールの屋敷だった。彼の娘リーリャは六歳、母を亡くして以来、誰の前でも笑わなかった。「五年、御子さま方を見続けたあなたなら、リーリャの心も読めるだろうか」ロタールの不器用な依頼に、クラリスは静かに頷く。春が来る頃、リーリャは初めて声を上げて笑った。クラリスの隣で、ロタールも気づくと微笑んでいた——五年ぶりに。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!
【完結】妹は庶子、文句があるか? 常識なんてぶっ飛ばせ!
青空一夏(ざまぁ×癒し×溺愛)
庶子として公爵家に引き取られたアメリアは、
王立学園で冷たい視線に晒されながらも、ほんの少しの希望を胸に通っていた。
――だが、彼女はまだ知らなかった。
「庶子」の立場が、どれほど理不尽な扱いを受けるものかを。
心が折れかけたそのとき。
彼女を迎えに現れたのは、兄――オルディアーク公爵、レオニルだった。
「大丈夫。……次は、俺が一緒に通うから」
妹を守るためなら、学園にだって入る!
冷酷なはずの公爵閣下は、妹にだけとことん甘くて最強です。
※兄が妹を溺愛するお話しです。
※ざまぁはありますが、それがメインではありません。
※某サイトコンテスト用なので、いつもと少し雰囲気が違いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。