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討伐依頼①
次の日。
ギルドに向かい、マジックバッグをノワール担当の職員さんに渡す。ベテラン感のある男性だ。
「よろしくお願いします」
「はい」
「ノワール、大人しくね」
「ブヒヒヒヒーンッ」
ノワールは逞しい四肢を踏み鳴らす。
言葉は分からないが、置いていかないで、か、付いていく、だろうけど。円らな瞳で訴えて来るから、かわいかあ。
ダメダメ。
『付いていきたいって言っているのです』
厩舎の入り口で覗き込んでいたビアンカが通訳してくれる。
やっぱり。
「ダメよノワール」
「ブヒヒンッ、ブヒヒンッ」
踏み鳴らす、踏み鳴らす。
他の馬達が怯える。
「大人しくせんね」
『ノワール、ユイの言う事を聞きなさい』
ルージュが嗜めてくれる。
「ブヒヒン……………」
ノワールが項垂れる。哀愁が漂う。
「ゴメンねノワール。出来るだけ早く帰って来るけんね」
「ブヒヒン……………」
何だか気になるけど、職員さんにもう一度お願いして厩舎を出る。
「ブヒヒン…………………」
なんだか、可哀想になってきたけど。ゴメンねノワール。
後ろ髪引かれる。
「さて、行こうかね」
私はコハクのリードを持つ。晃太は元気のリードを持つ。ルリとクリスはビアンカにぴったり。ヒスイはルージュにぴったり付いている。
ギルドの敷地内から、出ようと歩き出すと、ビアンカとルージュがため息。
『ユイ』
『ノワールが』
後方で悲鳴が上がる。
「ブヒヒヒヒーンッ」
振り返った瞬間、ノワールが厩舎から飛び出してくる。ギャーッ、入り口の一部が粉砕してるーっ。しかも後ろ足で立って、前肢を空気を漕ぐ。ひーっ、只でさえ巨体のノワール、迫力満点。思わず後ずさる。先ほどの職員さんが、青ざめた顔で出てくる。
『落ち着くのです』
『ノワール、落ち着きなさい』
「ブルブルブルッ」
ビアンカとルージュが言い聞かせてくれて、ノワールはなんとか落ち着く。
「ブヒヒン…………」
「ノワール…………、なんて言ってる?」
『置いていかないでって言っているのです』
『自分も役に立つからって』
「はあぁぁ」
ノワールが必死に見てくる。
置いていかないで、か。胸が突かれるなあ。
多分、寂しいのと、不安で一杯なんだろう。
置いていくわけないけど。
「ブヒヒン……………」
仕方ない。
「連れて行こうかね」
「そやなあ」
「ブヒヒーンッ」
私と晃太の言葉に喜んで後ろ足で再び立つ。あ、危ないって。
私は職員さんに謝罪する。
「あの、修理代、帰ってから請求してください。あとこれ、他の馬達に上げてください。怖がらせてしまったので」
私は返してもらったマジックバッグから、ニンジンをすべて出し、職員さんに渡す。
もう一度謝罪して、私達はギルドの敷地から出る。
絶好調のノワールと共に出ると、見送りに来てたウィークスさんが少し呆気に取られた顔だ。
「連れていく事になりまして」
「目立ちませんか?」
「デスヨネ」
「ブヒヒンッ」
『大丈夫よ。私の魔法で気配をある程度消せるわ』
ルージュが頼もしい。
「ルージュが秘策があるそうです」
「そうですか、近くで拝見したかったですな」
ウィークスさんが残念そうだ。
厩舎の件を謝罪すると、笑われてしまった。
見送られて、私達はノータを出発した。
森を抜けて、魔の森に入る。
ビアンカとルージュがいるので、魔物は襲ってこない。
ノワールがそこら辺を駆け抜けながら付いてくる。
「いっそ、ノワールに鞍ば作って姉ちゃん乗ったら?」
「張り倒すよあんた」
ノワールの体高どんやけあると思うん? 足が全く届かないし、絶対に上れない。あれだけのスピードで走られたら、あっという間に振り落とされるのが落ちだ。
「だいたい、うちには乗馬経験ないけん無理よ」
小さい頃、ポニーに乗った事はあるけど、ノワールと比較してはならない。
魔の森を順調に進み、2日後の夕方。
ルームを開ける。従魔の足拭きをタップ。
「ねえ、ビアンカ、オルクの巣まで明日のいつ頃着く?」
『そうなのですね。お昼過ぎには、着くと思うのですが。ただ、明日くらいからオルクの警戒兵が出てくると思うのです』
「そうね」
さて、どうしようかね。
『明日からコハク達はルームがいいわね』
ルージュがアドバイスしてきてくれた。
「ブヒヒン」
『ノワールはルームで留守番なのです』
「ブヒヒーンッ」
『もう、大人しくしていなさい』
厩舎で足を踏み鳴らすノワールに、ビアンカとルージュが嗜める。ノワールの説得は2人にお願いしよう。
中庭で遊び足りない元気達は走り回る。晃太が見てくれる。
さて、サブ・ドアを開ける。
「わんわんッ」
花が飛び込んできた。ぽちゃぽちゃボディ、あはははん、かわいかあ。
父も帰宅していたのか、両親共に入って来る。
「どんな感じね?」
母が聞いてきた。
「明日には到着予定やね」
「そうね、大丈夫ね?」
『大丈夫なのです』
『私達がいるわ』
ビアンカとルージュが母にすりすり。
「お願いね、2人共、お願いね」
必死にお願いする母。
それから夕飯の準備。ノワールのニンジン、リンゴ、キャベツの準備をし、その間にお乳タイム終了。
今日はJOY-P(ジョイップ)のメニューを開く。
四国フェアをしている。
まず、ビアンカとルージュのご飯、と。骨付鳥と焼豚玉子飯をたっぷり。
『美味しいのですッ』
『味が違うのね、いくらでも入るわッ』
私達は焼き魚のすだち付き、海鮮アヒージョ、鰹のたたき、鯛めし等をタップ。海鮮が充実している。
頂きます。
うん、すだちの香り、鯛めしの香りがいい。
『ユイ、ユイの食べてるのは?』
『香りがいいわ、私も食べたいわ』
お皿を咥えて訴えてきたので、私はあっさり陥落する。
「どれ?」
聞くと、鯛めしを示すので、タップタップ。
「姉ちゃん、鰹のたたき追加して」
「はいはい」
鰹は父も好きだから、タップタップ。
『うん、肉とは違うのですが、美味しいのです』
『本当、私、これ好きだわ。ユイ、足りないわ』
「はいはい」
タップタップ。
「今度炊き込みご飯ば、作ろうかねえ」
食べっぷりのいいビアンカとルージュを見て、母がレシピを頭の中で確認している。
『何を作るのです?』
『これも美味しいわ、他にもあるの?』
「今度ね。白身魚と貝柱あるから、海鮮で攻めようかね」
冷蔵庫ダンジョンで出た、白身魚と貝柱だね。
『明日?』
『明日、食べれる?』
「なら明日の朝に食べれるようにしようね」
きゅるん、と期待の目で見てくるビアンカとルージュに、母は優しく笑って答えていた。
四国夕御飯の後、母はダイニングキッチンで作業。私達はブラッシングして過ごした。
ギルドに向かい、マジックバッグをノワール担当の職員さんに渡す。ベテラン感のある男性だ。
「よろしくお願いします」
「はい」
「ノワール、大人しくね」
「ブヒヒヒヒーンッ」
ノワールは逞しい四肢を踏み鳴らす。
言葉は分からないが、置いていかないで、か、付いていく、だろうけど。円らな瞳で訴えて来るから、かわいかあ。
ダメダメ。
『付いていきたいって言っているのです』
厩舎の入り口で覗き込んでいたビアンカが通訳してくれる。
やっぱり。
「ダメよノワール」
「ブヒヒンッ、ブヒヒンッ」
踏み鳴らす、踏み鳴らす。
他の馬達が怯える。
「大人しくせんね」
『ノワール、ユイの言う事を聞きなさい』
ルージュが嗜めてくれる。
「ブヒヒン……………」
ノワールが項垂れる。哀愁が漂う。
「ゴメンねノワール。出来るだけ早く帰って来るけんね」
「ブヒヒン……………」
何だか気になるけど、職員さんにもう一度お願いして厩舎を出る。
「ブヒヒン…………………」
なんだか、可哀想になってきたけど。ゴメンねノワール。
後ろ髪引かれる。
「さて、行こうかね」
私はコハクのリードを持つ。晃太は元気のリードを持つ。ルリとクリスはビアンカにぴったり。ヒスイはルージュにぴったり付いている。
ギルドの敷地内から、出ようと歩き出すと、ビアンカとルージュがため息。
『ユイ』
『ノワールが』
後方で悲鳴が上がる。
「ブヒヒヒヒーンッ」
振り返った瞬間、ノワールが厩舎から飛び出してくる。ギャーッ、入り口の一部が粉砕してるーっ。しかも後ろ足で立って、前肢を空気を漕ぐ。ひーっ、只でさえ巨体のノワール、迫力満点。思わず後ずさる。先ほどの職員さんが、青ざめた顔で出てくる。
『落ち着くのです』
『ノワール、落ち着きなさい』
「ブルブルブルッ」
ビアンカとルージュが言い聞かせてくれて、ノワールはなんとか落ち着く。
「ブヒヒン…………」
「ノワール…………、なんて言ってる?」
『置いていかないでって言っているのです』
『自分も役に立つからって』
「はあぁぁ」
ノワールが必死に見てくる。
置いていかないで、か。胸が突かれるなあ。
多分、寂しいのと、不安で一杯なんだろう。
置いていくわけないけど。
「ブヒヒン……………」
仕方ない。
「連れて行こうかね」
「そやなあ」
「ブヒヒーンッ」
私と晃太の言葉に喜んで後ろ足で再び立つ。あ、危ないって。
私は職員さんに謝罪する。
「あの、修理代、帰ってから請求してください。あとこれ、他の馬達に上げてください。怖がらせてしまったので」
私は返してもらったマジックバッグから、ニンジンをすべて出し、職員さんに渡す。
もう一度謝罪して、私達はギルドの敷地から出る。
絶好調のノワールと共に出ると、見送りに来てたウィークスさんが少し呆気に取られた顔だ。
「連れていく事になりまして」
「目立ちませんか?」
「デスヨネ」
「ブヒヒンッ」
『大丈夫よ。私の魔法で気配をある程度消せるわ』
ルージュが頼もしい。
「ルージュが秘策があるそうです」
「そうですか、近くで拝見したかったですな」
ウィークスさんが残念そうだ。
厩舎の件を謝罪すると、笑われてしまった。
見送られて、私達はノータを出発した。
森を抜けて、魔の森に入る。
ビアンカとルージュがいるので、魔物は襲ってこない。
ノワールがそこら辺を駆け抜けながら付いてくる。
「いっそ、ノワールに鞍ば作って姉ちゃん乗ったら?」
「張り倒すよあんた」
ノワールの体高どんやけあると思うん? 足が全く届かないし、絶対に上れない。あれだけのスピードで走られたら、あっという間に振り落とされるのが落ちだ。
「だいたい、うちには乗馬経験ないけん無理よ」
小さい頃、ポニーに乗った事はあるけど、ノワールと比較してはならない。
魔の森を順調に進み、2日後の夕方。
ルームを開ける。従魔の足拭きをタップ。
「ねえ、ビアンカ、オルクの巣まで明日のいつ頃着く?」
『そうなのですね。お昼過ぎには、着くと思うのですが。ただ、明日くらいからオルクの警戒兵が出てくると思うのです』
「そうね」
さて、どうしようかね。
『明日からコハク達はルームがいいわね』
ルージュがアドバイスしてきてくれた。
「ブヒヒン」
『ノワールはルームで留守番なのです』
「ブヒヒーンッ」
『もう、大人しくしていなさい』
厩舎で足を踏み鳴らすノワールに、ビアンカとルージュが嗜める。ノワールの説得は2人にお願いしよう。
中庭で遊び足りない元気達は走り回る。晃太が見てくれる。
さて、サブ・ドアを開ける。
「わんわんッ」
花が飛び込んできた。ぽちゃぽちゃボディ、あはははん、かわいかあ。
父も帰宅していたのか、両親共に入って来る。
「どんな感じね?」
母が聞いてきた。
「明日には到着予定やね」
「そうね、大丈夫ね?」
『大丈夫なのです』
『私達がいるわ』
ビアンカとルージュが母にすりすり。
「お願いね、2人共、お願いね」
必死にお願いする母。
それから夕飯の準備。ノワールのニンジン、リンゴ、キャベツの準備をし、その間にお乳タイム終了。
今日はJOY-P(ジョイップ)のメニューを開く。
四国フェアをしている。
まず、ビアンカとルージュのご飯、と。骨付鳥と焼豚玉子飯をたっぷり。
『美味しいのですッ』
『味が違うのね、いくらでも入るわッ』
私達は焼き魚のすだち付き、海鮮アヒージョ、鰹のたたき、鯛めし等をタップ。海鮮が充実している。
頂きます。
うん、すだちの香り、鯛めしの香りがいい。
『ユイ、ユイの食べてるのは?』
『香りがいいわ、私も食べたいわ』
お皿を咥えて訴えてきたので、私はあっさり陥落する。
「どれ?」
聞くと、鯛めしを示すので、タップタップ。
「姉ちゃん、鰹のたたき追加して」
「はいはい」
鰹は父も好きだから、タップタップ。
『うん、肉とは違うのですが、美味しいのです』
『本当、私、これ好きだわ。ユイ、足りないわ』
「はいはい」
タップタップ。
「今度炊き込みご飯ば、作ろうかねえ」
食べっぷりのいいビアンカとルージュを見て、母がレシピを頭の中で確認している。
『何を作るのです?』
『これも美味しいわ、他にもあるの?』
「今度ね。白身魚と貝柱あるから、海鮮で攻めようかね」
冷蔵庫ダンジョンで出た、白身魚と貝柱だね。
『明日?』
『明日、食べれる?』
「なら明日の朝に食べれるようにしようね」
きゅるん、と期待の目で見てくるビアンカとルージュに、母は優しく笑って答えていた。
四国夕御飯の後、母はダイニングキッチンで作業。私達はブラッシングして過ごした。
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