もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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連載

パニック?⑤

『私が行くのです』
「よかけど、アルスさん寝てるから、雷女帝(エル・カテリーナ)はやめて」
『分かったのです』
『いい? 開けるわよ』
 ビアンカは風乙女(シルフィリア)を選択。
 ルージュが扉を押し開けて、はい、ちゅどん、どかん。ルージュも援護に行って、はい、ちゅどん、どかん。
 終了。
『終わったのです』
『済んだわ』
「お疲れ様、晃太、お茶ば」
「ん」
「皆さん、ドロップ品拾って来ますね」
「「「あ、はい」」」
 ちょっと呆然気味の皆さん。このランクアップ依頼の時、みんな同じ顔をする。
 私と晃太は軍手を着けて、いざ、蛇部屋へ。
 相変わらず凄かドロップ品。
「ユイさん、手伝いま………」
 シュタインさんが慌てて追って来て、転がるドロップ品に言葉を失う。
「ユイさん、手伝います」
 落ち着いたか納得したのかシュタインさんが加勢してくれた。それから他の皆さんも手伝ってくれたため、かなり早く終了した。最後に出てきたお馴染みの宝箱、ルージュがチェック。
『罠はないわ』
「ありがとう」
 開けるとビロードの箱。こちらもお馴染み感が溢れてる。
「どうぞ」
 差し出すと思わず顔を見合わせるファングさんとロッシュさん。
「いいのか?」
「いいんですか?」
「そういう契約なので」
 ファングさんが受け取り、確認の為にビロードの箱を開ける。
 青い石の宝飾品だ。ただ、アクアマリンやサファイアではないような気がする。同じ色ではなく、小粒サイズの石が、グラデーションで並んでいる。シンプルだけど、上品。デザインの違う指輪が2つ。イヤリングとピアス、ペンダントだ。
 リィマさんに視線を送るファングさん。
「ベニトアイトじゃない? さっきのオパールと比べられない額だよ」
 肩を竦めるリィマさん。リィマさん、宝石詳しいのかな。
「いいのか?」
「いいんですか?」
「そういう契約なので」
 私は受け取らない姿勢を取る。
 首をかしげなからも受け取ってもらえた。
 それから覚醒したアルスさんと皆で21階に移動する。
 目付きの怖い猪やら鹿が来たが、ビアンカとルージュの敵ではない。鼻息で首が飛ぶ。ドロップ品を皆さんが拾ってくれた。皆さんの受け入れが早い。山風の皆さんは、ドラゴンの件を知っていたし、金の虎の皆さんは緑の巣の件があるしね。
 程なくしてボス部屋に。
 セーフティゾーンで一休憩する。
『ユイ、おやつなのです』
『果実のおやつね』
「はいはい」
 もう、かわいかね。ビアンカとルージュだけ食べるのはあれだから、皆さんにも出さないと。いつも依頼の途中でよくおやつ休憩をするので、晃太のアイテムボックスにはかなりのおやつがある。私もマジックバッグが2つあり、BサイズとCサイズだ。Bは空だが、Cサイズはお菓子や飲料水、ポーション、日用品が入っている。いつでも出せるようにしてある。
 晃太がビアンカとルージュ用の銀の槌のフルーツたっぷりロールケーキを出して、母が焼いたアップルパイも出す。
「皆さん、母がアップルパイを焼いたんです。お茶にしませんか?」
「「はーいっ」」
「食う」
 未成年組がばーっと来る。
「こらっ、マアデンッ、ハジェルッ」
「アルスーッ」
 ロッシュさんとファングさんが怒る怒る。
「まあまあ、ロッシュさん、ファングさん、いいじゃないですか。私にしてみたら、マアデン君もハジェル君もまだ子供ですから」
 げんこつを落としたロッシュさんをなだめる。ファングさんはアルスさんの首根っこを掴んでいる。
 お茶はどうしようかな? 甘いアップルパイだ。ここは紅茶だね。温かい紅茶も出す。
 さあ、ホールサイズのアップルパイを10人分に均等に切り分ける。出きるかな? 私と晃太が危なっかしい手付きでしていて、シュタインさんが申し出てくれて、均等に切り分けてくれた。アップルパイにはバニラアイスを添えて、と。
「さ、どうぞー」
「え? ユイさん達の分は?」
 切り分けたシュタインさんが聞いてくる。
「母がいつでも焼いてくれますから」
 羨ましい顔をする未成年組。
 アップルパイとバニラアイスは無事に行き渡る。
「ああ、ケイコさんのアップルパイ、本当に旨い」
「この氷菓子最高に旨い」
「久しぶりのケイコお母さんのアップルパイッ」
「氷菓子、美味しいっすッ」
 山風の皆さん、好評だ。
「中のリンゴが旨いなあ」
「本当、あ、アルス、かきこまないの。ちゃんとあるから」
「ばくばくッ」
「中のクリームも絶妙ね」
「氷菓子がなんて上品な甘さだ」
 金の虎の皆さんも大好評だ。
 バニラアイスはお高めのやつにして良かった。
「シュタインさん、手は大丈夫ですか?」
「はい」
 補助員として動いていたシュタインさん。大丈夫かな、って思っていたけど、息があがったり、痛そうな感じもないようだ。痺れもないようだし、爪色もいいし。
 シュタインさんを観察していると、私の前に動く影。
「んっ」
 と、差し出されるお皿。
 キラキラ青い目のアルスさんが、無邪気にお皿を差し出していた。
「あー、ごめんね。もうアップルパイないんよ」
 がーん。効果音が響くようなアルスさん。すると、次はきゅーん、みたいな顔をする。三十路女の胸を貫く。ずきゅん、ずきゅん、みたいな。
「アイスはありますよー」
 反射的にアイスを出す。
 とたんに、にこお。わあ、かわいかあっ。16歳の男の子がにこお、何か来る、胸に来る。ずきゅん、ずきゅんと来る。
『ユイ、私も欲しいのです』
『私も食べたいわ』
 ビアンカとルージュの声がおかしな世界に片足突っ込む寸前に、引き戻してくれる。いかん。いかん。
「ユイさん、俺も氷菓子が食べたいです」
「俺もーっ」
 マアデン君とハジェル君が私に正常な判断力を戻してくれる。はいはい。アイスね。
 次の瞬間、ぐええ、と蛙のような声が出る。
 ロッシュさんが2人の襟首を掴んでいる。
「いい加減にしろ。ユイさんが優しいからって甘えるな」
「まあまあ、いいじゃないですか。美味しいっておかわりしてくれたら、こちらも嬉しいし」
「わーい、ユイさーんっ」
「おかわりーっ」
 マアデン君とハジェル君が歓声を上げる。ロッシュさんのこめかみがピクピク。
 結局、残りのアイスは、アルスさん、マアデン君とハジェル君、ビアンカとルージュのお腹に。
「こう見てると、フォレストガーディアンウルフとクリムゾンジャガーも形無しだな」
 アイスのお皿を舐めてるビアンカとルージュをみて、ファングさんがポツリ。
 いつもですよ。
 お皿とカップを回収して、一息つく。
 時間は15時06分。
 よし、牛部屋挑んで、ドロップ品拾って、帰ればいい時間になるね。
『私が行くわ』
『分かったのです』
 ビアンカが扉の前に移動、ルージュが準備に入る。光の貴婦人(リュミライトレディ)だ。
 はい、ちゅどん、どかん。
 ビアンカも援護に行って、ちゅどん、どかん。
『終わったわ』
『終わったのです』
 疲れた様子もなく、とことこ出てくる。
「お疲れ様、晃太、お茶ば」
「ん」
 さ、ドロップ品拾おう。相変わらず凄かドロップ品。
 皆さんも手伝ってくれたから、早く終わる。リティアさんへのお土産でモッツァレラとゴルゴンゾーラを別にして、と。
 最後に出てきた宝箱。ルージュがチェックして、罠があり、解除してもらう。
 開けるとお馴染みビロードの箱。
「さあ、どうぞ」
 顔を見合わせるファングさんとロッシュさん。
 ロッシュさんが受け取り、ぱかり、と開けるとキラキラ。
「リィマ」
「…………イエローダイヤモンド。推定400万」
 ぱかり、と閉めるロッシュさん。
「ユイさん、さすがに受け取れませんよ」
「そうだな」
「そういう契約ですから」
 戻されそうになるビロードの箱を押し返す。
「いいのか?」
「いいんだろうか?」
 悩む強面リーダーさん達。
「これ、入れるのちょっと怖いな」
 シュタインさんが皆に見せながら、アイテムボックスに入れる。
 だってそういう契約だからね。
 忘れ物はなし。
「さ、帰りましょう皆さん」
 悩むリーダーさんをよそに、帰り支度。今から帰れば17時くらいになるかな? ちょうどいいや。
 ぞろぞろと20階のボス部屋に移動し、脱出用魔法陣で脱出。山風と金の虎との依頼初日が無事に終わった。
『ユイ、お父さん達が来てるのです』
『コハク達もいるわ』
「迎えに来てくれたんかね?」
 ビアンカとルージュが教えてくれる。あら、初めてや。
 小屋から出ると、両親と冒険者の方に上機嫌に撫でられている元気とコハク、両親にぴったりくっついているルリ、クリス、ヒスイ。花は母の抱っこ紐の中だ。
「わんっ」
「にぁっ」
 元気とコハクが小屋から出てきた私達の元に駆けてくる。あはははん、かわいか。
「おいでえ、げふうっ」
 大型秋田犬サイズの元気と、秋田犬サイズのコハク。パワー半端ない。
 私はあえなく押し倒される。
 ベロベロベロベロ。
 山風の皆さんは慣れてるが、金の虎の皆さんは驚いた顔をしている。
「ちょっと、ちょっと待ってん…………」
 ち、窒息しそうや。元気とコハクが納得するまでベロベロして、晃太がもふもふ。
「ユイさん、大丈夫ですか?」
 シュタインさんが立たせてくれる。
 病み上がりのシュタインさんの手を借りてしまった、申し訳ない。
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