200 / 876
連載
パニック?⑥
「にゃあにぁあ」
「クゥンクゥン」
「クゥンクゥン」
ヒスイ、ルリ、クリスも来てペロペロもふもふ。かわいかあ、たまらん。
「迎えに来てくれたんね~」
もふもふ。
ルリとクリスは満足したのか、すぐにシュタインさんや山風の皆さんの元に。ヒスイは私にすり寄ったまま。あはははははん、そうね、お姉ちゃんがよかね。もふもふん。そこに、母の抱っこ紐から出た花が短い足で駆けよって来た。
「クゥンクゥンクゥン」
ぽちゃぽちゃお腹を出して、牛蒡みたいな尻尾をパタパタパタパタ。あはははははん、たまらん。
「花ちゃんただいまあ」
「花ちゃん」
私と晃太が人目も気にせず、もふもふん。
「テイマーさん、それは?」
置いてけぼりの金の虎の皆さん、あ、忘れてた。
「ああ、紹介しますね。まず、この子が花、小型犬です。ちょっと人見知りで」
「わんっわんっ」
びびりの花は、金の虎の皆さんを見て後ずさる。
「え? 小型犬? テイマーさん、爵位あるんですか?」
ファングさんが疑うように聞いてくる。小型犬は貴族しか飼育してないからね。この為の設定を。
「違いますよ。花は飼育放棄されたのを、私達が引き取ったんです」
「そうなのか。飼育放棄か、かわいそうな目に合ったんだな」
花を見るファングさんの目に同情が浮かぶ。当の花は後退り、吠える吠える。
「すみません、知らない人には吠えちゃって」
「いいや、あんなに小さいんだ、警戒するのは仕方ないさ」
分厚い肩をすくめるファングさん。その隣でアルスさんが興味深そうに見ている。
「後はこの子はヒスイ。ルージュの娘です。あそこにいる茶色の目の子がコハク、ルージュの息子です」
私が順番に説明する。
「ビアンカの娘が、青い目がルリ、片目が赤いのがクリス、で、一番大きいのが息子の元気です。元気はとにかくやんちゃで、人見知りしないし、飛びかかるので気を付けてください」
「ああ。アルブレンで噂を聞いたが、揃うと圧巻だな」
アルブレンか、あれからずいぶん大きくなったしね。豆柴サイズだったヒスイも、何倍も大きくなってるし。かわいかのよ。
「皆、挨拶ばしい」
なんとなく声をかけるが、人見知りのルリ、クリス、ヒスイは後退り。
金の虎の皆さん、触りたさそうだけど。特にアルスさんが。キラキラ青い目で、私に訴える。触っちゃだめ? みたいな。キラキラ。キラキラ。魔法にかかりそう。
「わんっ」
「にぁあ~」
私の声に答えたのは元気とコハク。
止める間もなく、ばぁっ、と来て飛びかかる。
「おわあっ」
飛びかかり先はガリストさん。リードを持っていた晃太が、引っ張られて「肩、肩」言ってる。
元気が後ろ足で立ち上がり、ペロペロ。コハクも後ろ足で立ち上がり、ペロペロ。
「あ、すみませんっ」
「い、いや、いや、いいんだ。はは、かわいいですな」
ガリストさんはごつい満面の笑みを浮かべる。わざわざ足を着いて、元気とコハクをもふもふ。なんだか、慣れてるけど。
「ガリストさん、犬か猫飼ってました?」
「ん? 昔な、子供の頃に大型犬を。こんなに柔らかい毛質ではなかったが、懐かしいな」
「へっへっ」
元気がペロペロするが、ガリストさんはごつい笑顔のまま舐められている。それから皆さん順番に撫で撫で。
「柔らかいんだな」
「本当だね、ふわふわしてる」
「まさか、クリムゾンジャガーに触れるなんて。なんて滑らかなのかしら」
「姉ちゃん、欲しい」
「おバカ、恐ろしい事言うんじゃないよ」
その間に山風の皆さんと挨拶した両親がやって来る。
「おかえり」
母が空の抱っこ紐のままでおかえり、してくれる。
「ただいま、わざわざ来てくれたん。あ、こちらね金の虎の皆さん。アルブレンで緑の巣の時にお世話になったんよ。皆さん、うちの両親です」
私が両親に、金の虎の皆さんを紹介。元気とコハクをもふっていた皆さんが、あわてて立ち上がる。
「皆さん、アルブレンでは娘達がお世話になりました」
父が挨拶し、両親が頭を下げる。
「いや、俺達の方が世話になったようなものです。お気になさらないでください」
ファングさんの口調が、両親を前に丁寧になる。
「お父さん、これから私達ギルドに行くけど、一緒に行く?」
「いや、帰るよ」
「なら、ビアンカ一緒に帰って」
『分かったのです』
そんな話をしていると、マアデン君とハジェル君が母に何か言って、ロッシュさんがげんこつ落としている。
なんやなんや。
どうやら今日のカレーやアップルパイが美味しかったと、母に報告したら、上機嫌になった母が2人にリクエストを聞いたそうだ。ちょっと調子に乗ってきたので、ロッシュさんがげんこつ落としたと。
「いいんですよ。まだ、育ち盛りなんですから」
母はニコニコだ。
「なんばリクエストしたと?」
頭を押さえるマアデン君とハジェル君に聞いてみる。
「あのハンバーグと、唐揚げと、たれのついた肉の挟まったサンドイッチ」
「ポトフも食べたいっす。後、大きな鍋で食べた白いスープのも食べたいっす。あ、ビアンカさんとルージュさんが来た日に食べた、たれのついた肉も食べたいっす」
「なんね、それくらいね。じゃあ、メニューにいれようかね」
「「やったぁ」」
素直や。
で、後ろでロッシュさんがげんこつを構える。
ぴぁ、と私の後ろに隠れるマアデン君とハジェル君。
「これくらい、いいじゃないですか。ロッシュさんも何かリクエストあったら言ってくださいね」
「はあ、ユイさんは優しいですね。でも、昼飯楽しみにしてます。俺は好き嫌いないですから」
「はい」
さて、そろそろギルドに行こうとすると、すすす、とアルスさんが母の元に。
「アップルパイ、食べたい」
「?」
すかさずファングさんとリィマさんが回収。事情を知らない母は、いきなり未成年が近付いて来て、すぐに回収されたのに驚いている。
帰って説明しなくては。
花を母の抱っこ紐に入れて、ビアンカと仔達は先にパーティーハウスに戻る。
ギルドに行き、晃太だけ倉庫に向かう。量が多いからね。リティアさんは残念お休みなので、後日お土産渡そう。
山風や金の虎の皆さんの分は買い取り窓口が対応。待っている間に、明日からどうするか相談。ノワールを連れて行くかどうかだ。ルージュ曰く、ノワールを含めたら20階まではなんとかなるそうだ。なんせ、重かしね。それから開始時間も1時間早く繰り上げることになった。今まで最高戦力だからね。余裕を持ってボス部屋に何回か臨めるから、時間を繰り上げようと言うことになった。話が終わると、山風と金の虎の査定が終了。いくらか聞いたらいけないから離れる。ロッシュさんもファングさんも目を見開いていたけどね。晃太も戻ってきた。
「皆さん。1日ありがとうございました。明日からもお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「こんなに割合のいい依頼はそうない。出来るだけのことはする」
リーダーさん達頼もしい。
とにかく初日終了だ。
挨拶して別れようとしたら、キラキラ。
ん? 目の前に、キラキラ青い目。
あら、さっきまでリィマさんの隣におらんやったかね?
ちらり、と覗く、赤い舌。
あらあ、今朝のデジャブ。
『ダメよ、ユイが困るわ』
ルージュがアルスさんのパーカーの裾を咥えて止めて、硬直した私をシュタインさんが後ろに引き寄せてくれた。
は、いかん。キラキラ魔法で、麻痺しとった。しかもシュタインさん病み上がりなのに。
「す、すみませんシュタインさん」
「いいえ。だけどあいつ懲りないですね」
「アルスーッ」
「あんたって子はーッ」
ファングさんとリィマさんが真っ青になって怒ってる。
「すまないテイマーさん。あいつは日頃あんなこと絶対しないやつなんだ。よっぽどあんたが気に入ったみたいだ」
あら、未成年に気に入られる三十路女。週刊誌のネタみたいになってきたよ。やだあ、目だけ、太い横線入って掲載されそうだよ。
「ちゃんと言い聞かせておくから」
「まあ、本人悪気がないようですけど。私もいくら未成年とはいえ、ペロリは勘弁してください。変な世界に片足突っ込みそうになるので」
冷静に返したが、内心、はあはあ、犯罪者みたいな息づかいをしている。
腑に落ちないアルスさんを引きずり、金の虎の皆さんはペコペコしながら撤退。嵐のように去っていった。
「シュタインさん、もう大丈夫みたいですよ」
「あ、ああ、そうですね」
よっぽど心配したのか、シュタインさんは金の虎の皆さんの姿が見えなくなるまで、肩を抱いてくれていた。ありがたい。
山風の皆さんとも挨拶して、パーティーハウスに。
「クゥンクゥンクゥンクゥーン」
「花ちゃんさっき会ったやない」
「花ちゃん」
お腹出して尻尾パタパタしながら歓迎してくれる花。あはははん、かわいかあ。
仔達の歓迎を受けながら、パーティーハウスに入る。
「ねえ、お父さん」
「ん?」
居間のソファーに座って、ルリとクリスを撫でている父が顔を上げる。
「今日来たの、シュタインさんの具合見るためやろ?」
わざわざ、冷蔵庫ダンジョン前で待っていたのは、そうじゃないかと思っていたからだ。
「ばれたね。心配やったけんね。軽度の貧血くらいや、冒険者としても活動可能レベルやな」
「そうね、良かった」
なら、明日それとなく伝えるかね。
なんだか、大したことしてないのに、どっと疲れた1日やったなあ。
キラキラ青い目の魔法、まあ、今までの中でも強烈やったなあ。
あれ? なんかもう一つあったような……………思い出さないってことは、大したことないって事やね、うん。
「クゥンクゥン」
「クゥンクゥン」
ヒスイ、ルリ、クリスも来てペロペロもふもふ。かわいかあ、たまらん。
「迎えに来てくれたんね~」
もふもふ。
ルリとクリスは満足したのか、すぐにシュタインさんや山風の皆さんの元に。ヒスイは私にすり寄ったまま。あはははははん、そうね、お姉ちゃんがよかね。もふもふん。そこに、母の抱っこ紐から出た花が短い足で駆けよって来た。
「クゥンクゥンクゥン」
ぽちゃぽちゃお腹を出して、牛蒡みたいな尻尾をパタパタパタパタ。あはははははん、たまらん。
「花ちゃんただいまあ」
「花ちゃん」
私と晃太が人目も気にせず、もふもふん。
「テイマーさん、それは?」
置いてけぼりの金の虎の皆さん、あ、忘れてた。
「ああ、紹介しますね。まず、この子が花、小型犬です。ちょっと人見知りで」
「わんっわんっ」
びびりの花は、金の虎の皆さんを見て後ずさる。
「え? 小型犬? テイマーさん、爵位あるんですか?」
ファングさんが疑うように聞いてくる。小型犬は貴族しか飼育してないからね。この為の設定を。
「違いますよ。花は飼育放棄されたのを、私達が引き取ったんです」
「そうなのか。飼育放棄か、かわいそうな目に合ったんだな」
花を見るファングさんの目に同情が浮かぶ。当の花は後退り、吠える吠える。
「すみません、知らない人には吠えちゃって」
「いいや、あんなに小さいんだ、警戒するのは仕方ないさ」
分厚い肩をすくめるファングさん。その隣でアルスさんが興味深そうに見ている。
「後はこの子はヒスイ。ルージュの娘です。あそこにいる茶色の目の子がコハク、ルージュの息子です」
私が順番に説明する。
「ビアンカの娘が、青い目がルリ、片目が赤いのがクリス、で、一番大きいのが息子の元気です。元気はとにかくやんちゃで、人見知りしないし、飛びかかるので気を付けてください」
「ああ。アルブレンで噂を聞いたが、揃うと圧巻だな」
アルブレンか、あれからずいぶん大きくなったしね。豆柴サイズだったヒスイも、何倍も大きくなってるし。かわいかのよ。
「皆、挨拶ばしい」
なんとなく声をかけるが、人見知りのルリ、クリス、ヒスイは後退り。
金の虎の皆さん、触りたさそうだけど。特にアルスさんが。キラキラ青い目で、私に訴える。触っちゃだめ? みたいな。キラキラ。キラキラ。魔法にかかりそう。
「わんっ」
「にぁあ~」
私の声に答えたのは元気とコハク。
止める間もなく、ばぁっ、と来て飛びかかる。
「おわあっ」
飛びかかり先はガリストさん。リードを持っていた晃太が、引っ張られて「肩、肩」言ってる。
元気が後ろ足で立ち上がり、ペロペロ。コハクも後ろ足で立ち上がり、ペロペロ。
「あ、すみませんっ」
「い、いや、いや、いいんだ。はは、かわいいですな」
ガリストさんはごつい満面の笑みを浮かべる。わざわざ足を着いて、元気とコハクをもふもふ。なんだか、慣れてるけど。
「ガリストさん、犬か猫飼ってました?」
「ん? 昔な、子供の頃に大型犬を。こんなに柔らかい毛質ではなかったが、懐かしいな」
「へっへっ」
元気がペロペロするが、ガリストさんはごつい笑顔のまま舐められている。それから皆さん順番に撫で撫で。
「柔らかいんだな」
「本当だね、ふわふわしてる」
「まさか、クリムゾンジャガーに触れるなんて。なんて滑らかなのかしら」
「姉ちゃん、欲しい」
「おバカ、恐ろしい事言うんじゃないよ」
その間に山風の皆さんと挨拶した両親がやって来る。
「おかえり」
母が空の抱っこ紐のままでおかえり、してくれる。
「ただいま、わざわざ来てくれたん。あ、こちらね金の虎の皆さん。アルブレンで緑の巣の時にお世話になったんよ。皆さん、うちの両親です」
私が両親に、金の虎の皆さんを紹介。元気とコハクをもふっていた皆さんが、あわてて立ち上がる。
「皆さん、アルブレンでは娘達がお世話になりました」
父が挨拶し、両親が頭を下げる。
「いや、俺達の方が世話になったようなものです。お気になさらないでください」
ファングさんの口調が、両親を前に丁寧になる。
「お父さん、これから私達ギルドに行くけど、一緒に行く?」
「いや、帰るよ」
「なら、ビアンカ一緒に帰って」
『分かったのです』
そんな話をしていると、マアデン君とハジェル君が母に何か言って、ロッシュさんがげんこつ落としている。
なんやなんや。
どうやら今日のカレーやアップルパイが美味しかったと、母に報告したら、上機嫌になった母が2人にリクエストを聞いたそうだ。ちょっと調子に乗ってきたので、ロッシュさんがげんこつ落としたと。
「いいんですよ。まだ、育ち盛りなんですから」
母はニコニコだ。
「なんばリクエストしたと?」
頭を押さえるマアデン君とハジェル君に聞いてみる。
「あのハンバーグと、唐揚げと、たれのついた肉の挟まったサンドイッチ」
「ポトフも食べたいっす。後、大きな鍋で食べた白いスープのも食べたいっす。あ、ビアンカさんとルージュさんが来た日に食べた、たれのついた肉も食べたいっす」
「なんね、それくらいね。じゃあ、メニューにいれようかね」
「「やったぁ」」
素直や。
で、後ろでロッシュさんがげんこつを構える。
ぴぁ、と私の後ろに隠れるマアデン君とハジェル君。
「これくらい、いいじゃないですか。ロッシュさんも何かリクエストあったら言ってくださいね」
「はあ、ユイさんは優しいですね。でも、昼飯楽しみにしてます。俺は好き嫌いないですから」
「はい」
さて、そろそろギルドに行こうとすると、すすす、とアルスさんが母の元に。
「アップルパイ、食べたい」
「?」
すかさずファングさんとリィマさんが回収。事情を知らない母は、いきなり未成年が近付いて来て、すぐに回収されたのに驚いている。
帰って説明しなくては。
花を母の抱っこ紐に入れて、ビアンカと仔達は先にパーティーハウスに戻る。
ギルドに行き、晃太だけ倉庫に向かう。量が多いからね。リティアさんは残念お休みなので、後日お土産渡そう。
山風や金の虎の皆さんの分は買い取り窓口が対応。待っている間に、明日からどうするか相談。ノワールを連れて行くかどうかだ。ルージュ曰く、ノワールを含めたら20階まではなんとかなるそうだ。なんせ、重かしね。それから開始時間も1時間早く繰り上げることになった。今まで最高戦力だからね。余裕を持ってボス部屋に何回か臨めるから、時間を繰り上げようと言うことになった。話が終わると、山風と金の虎の査定が終了。いくらか聞いたらいけないから離れる。ロッシュさんもファングさんも目を見開いていたけどね。晃太も戻ってきた。
「皆さん。1日ありがとうございました。明日からもお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします。」
「こんなに割合のいい依頼はそうない。出来るだけのことはする」
リーダーさん達頼もしい。
とにかく初日終了だ。
挨拶して別れようとしたら、キラキラ。
ん? 目の前に、キラキラ青い目。
あら、さっきまでリィマさんの隣におらんやったかね?
ちらり、と覗く、赤い舌。
あらあ、今朝のデジャブ。
『ダメよ、ユイが困るわ』
ルージュがアルスさんのパーカーの裾を咥えて止めて、硬直した私をシュタインさんが後ろに引き寄せてくれた。
は、いかん。キラキラ魔法で、麻痺しとった。しかもシュタインさん病み上がりなのに。
「す、すみませんシュタインさん」
「いいえ。だけどあいつ懲りないですね」
「アルスーッ」
「あんたって子はーッ」
ファングさんとリィマさんが真っ青になって怒ってる。
「すまないテイマーさん。あいつは日頃あんなこと絶対しないやつなんだ。よっぽどあんたが気に入ったみたいだ」
あら、未成年に気に入られる三十路女。週刊誌のネタみたいになってきたよ。やだあ、目だけ、太い横線入って掲載されそうだよ。
「ちゃんと言い聞かせておくから」
「まあ、本人悪気がないようですけど。私もいくら未成年とはいえ、ペロリは勘弁してください。変な世界に片足突っ込みそうになるので」
冷静に返したが、内心、はあはあ、犯罪者みたいな息づかいをしている。
腑に落ちないアルスさんを引きずり、金の虎の皆さんはペコペコしながら撤退。嵐のように去っていった。
「シュタインさん、もう大丈夫みたいですよ」
「あ、ああ、そうですね」
よっぽど心配したのか、シュタインさんは金の虎の皆さんの姿が見えなくなるまで、肩を抱いてくれていた。ありがたい。
山風の皆さんとも挨拶して、パーティーハウスに。
「クゥンクゥンクゥンクゥーン」
「花ちゃんさっき会ったやない」
「花ちゃん」
お腹出して尻尾パタパタしながら歓迎してくれる花。あはははん、かわいかあ。
仔達の歓迎を受けながら、パーティーハウスに入る。
「ねえ、お父さん」
「ん?」
居間のソファーに座って、ルリとクリスを撫でている父が顔を上げる。
「今日来たの、シュタインさんの具合見るためやろ?」
わざわざ、冷蔵庫ダンジョン前で待っていたのは、そうじゃないかと思っていたからだ。
「ばれたね。心配やったけんね。軽度の貧血くらいや、冒険者としても活動可能レベルやな」
「そうね、良かった」
なら、明日それとなく伝えるかね。
なんだか、大したことしてないのに、どっと疲れた1日やったなあ。
キラキラ青い目の魔法、まあ、今までの中でも強烈やったなあ。
あれ? なんかもう一つあったような……………思い出さないってことは、大したことないって事やね、うん。
あなたにおすすめの小説
「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました
歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
夫の不倫相手に「妻の座を譲れ」と言われたので、譲る代わりに全部置いていきます 〜行き先は老舗旅館。追いかけてきても、もう遅いです〜
なつめ
恋愛
夫の愛人に「妻の座を譲れ」と言い渡された主人公は、怒鳴り返すこともしがみつくこともせず、ただ静かに頷いた。
家のこと、食事のこと、社交のこと、義実家のこと、会社の裏方のこと。 誰も価値を知らなかった“妻の座”の中身を、そっくりそのまま置いて家を出る。
向かった先は、かつて傷ついた自分を受け入れてくれた老舗旅館。 再建に奔走する若旦那とともに働く中で、主人公は初めて「役に立つから愛される」のではなく、「あなた自身がいてほしい」と言われる温かさを知っていく。
一方、主人公を軽んじた元夫の家では、生活も体裁も仕事もじわじわと崩壊を始める。 これは、何も持たずに出ていったはずの女が、自分の人生を取り戻し、最後には新しい恋と居場所を手に入れる再生の物語。
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!
山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」と追放された令嬢——王宮の食器が一枚も焼けなくなった
歩人
ファンタジー
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」——王宮御用達の食器を焼く伯爵令嬢エルザは、婚約者の第二王子に手の荒れを嗤われて追放された。十二歳から十年間、王宮の全ての食器を手ずから焼いてきた。彼女の食器は特殊な土と焼成技術で魔力を通し、毒に触れると色が変わる。料理の温度も保つ。追放から三ヶ月後、晩餐会で新しい食器を使ったところ、毒が検知されず隣国の大使が倒れた。外交問題に発展する中、第二王子が「食器くらい誰でも焼ける」と窯に立った結果、出来上がったのは歪んだ灰色の皿だった。
元の世界に帰らせていただきます!
にゃみ3
恋愛
淡い夢物語のように、望む全てが叶うとは限らない。
そう分かっていたとしても、私は敵ばかりの世界で妬まれ、嫌われ、疎まれることに、耐えられなかったの。
「ごめんね、バイバイ……」
限界なので、元いた世界に帰らせていただきます。
・・・
数話で完結します、ハピエン!
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※