もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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首都へ⑨

 次の日、随分体調改善したのは夕方前だった。それまで寝たり起きたりだ。
 うん、お腹減った。
 私は洗面と着替えを済ませる。皆さんと色々話さないとね。
「お騒がせしました」
 私が洗面所から出てくると、一様に安心した顔だ。
 まだ、母達をマーファから呼ぶには早いかな。
「ユイさん、あ、ユイ様、大丈夫、ですか?」
「エマちゃんまで、もう」
 心配して駆け寄ってきたけど、脱力しちゃうがな。でも、こんなかわいか子が、ユイ様、うむ、悪くないかな、ぐふふ。あ、いかん、どこの悪代官や。
「はい、まず、皆さん、色々ありますが、座ってください」
 仔達はお昼寝しているから、ルームのドアを見える位置で、開けっ放しにして残り全員で入る事に。
「ルージュ、誰か近くにおる?」
『いるけど、敵意なしね』
「念のため、厚めに魔法のカーテンば」
『分かったわ』
 ルージュが庭に出て、魔法のカーテンを広げる。
「よし。皆さん、まず、私達への『様』つけ、禁止です」
 顔を見合わせる皆さん。
 そっと手を上げるリーダーさん。
「はい、どうぞ」
「ユイ様、これは我々奴隷としてのけじめみたいなものでして。主人であるユイ様に、様をつけるのは必然なんです。それから、その、我々に『さん』や『ちゃん』をつけるのは。呼び捨てにしてください」
「はい、様、禁止。いいですね、禁止です。私は様って柄じゃないし、なんだか嫌なんですよ。護衛してくれていた時の呼び名で。で、私は性格上呼び捨ては出来ないので、さん、君、ちゃんは付きます。諦めてください。分かりましたか?」
「「「はーい」」」
 返事をしたのは、ミゲル君とテオ君とエマちゃん。
 チュアンさんが拳を握る。やめて、ロッシュさんよりでっかいげんこつ。
「でも、奴隷に敬称つけたら、ユイ様、あ、ユイさんが見下されますよ」
 マデリーンさんが言い直しながら、心配してくれる。
「他所は他所です。そんなの気にしません。大体、私は奴隷って言葉好きやないんですよ。私は皆さんをうちの一員だと思っているんですから。それに、いちゃもんつけてきたら、ビアンカとルージュが黙っていませんよ」
『ユイ達は私達が守るのです』
『いかがわしいのは近付けさせないわ』
「まあ、そう言うことなんで」
 リーダーさん、チュアンさん、マデリーンさんはそれで渋々納得してくれた。
「では次に、皆さんの契約内容ですが。一番秘匿して欲しいのが、私のスキル『ルーム』です。これがもっとも知られたくない事です」
 皆さん、神妙な顔だ。
「ルームには他にも機能はありますが、おいおい説明しますね。そして、ルームの事で薄々分かっているとは思いますが、私達はこちらの世界の住人ではありません。これも秘匿してください」
 ああ、やっぱり、みたいな顔をする皆さん。晃太がルームの設備の説明や、異世界のメニューを説明して、違和感があったはず。疑問が解けた、そんな顔だ。ルームを使っていたから、遅かれ早かればれることだ。
「ディレナスの聖女を知っていますか?」
「はい、厄災の聖女ですね」
 リーダーさんが答える。
「私達はそのディレナスが行った『聖女召還』に巻き込まれたんです」
「え? ユイさん、まさか、その厄災の聖女の知り合い?」
 エマちゃんが聞いてくる。
「そうねえ、知り合いっちゃ、知り合いかなぁ? あいつに付き合いそうになった人に有りもしないこと吹き込まれて、ダメになったし」
「「「「「ええぇ」」」」」
「聞く? 一晩かかるよ」
 皆さん首を横に振る。
「私達はいつかあいつが何かやらかしそうだから、巻き込まれたくなくてディレナスを出たんです。その馬車の護衛の冒険者が皆さんだったんです」
 それでエマちゃんとリーダーさんと仲良くなったんだよね。
「案の定、厄災を起こしましたけどね。で、皆さんに護衛してもらった途中で、道端に老人と子供2人いたでしょう?」
「はい」
 頷くリーダーさん。
「あの人達、始祖神様と時空神様、雨の女神様が体を借りていたそうで、腕輪を頂いたでしょ? そのおかげで更にスキルを得まして」
 話していると、すーっとチュアンさんが白眼を向く。
「チュアンさん?」
『気絶したわ』
『だらしないのです。えいっ』
 ビアンカが、チュアンさんにバリィッと魔法をかける。
「のわあっ」
「ちょっとビアンカさんッ、荒っぽくないッ」
「ぐううぅ、ユ、ユイ様、いや、ユイさん、お気に、なさらず…………」
『本人はそういっているのです』
「あのねぇ」
 なんでも、あの治療の時に来た時空神様の前でも、膝をついたまま失神して、ビアンカがバリィッとしたそうだ。信心深いんだねチュアンさん。神様と同じ馬車にいたのに、耐えきれなかったのかね?
「話が逸れましたね。で、その頂いたスキルの中で弟、晃太が支援魔法を得まして、今はそのスキルアップを目指しているので、皆さんに手伝って欲しいんです。これは契約時説明したかと思います」
 私は一息つく。
「なぜ、スキルアップを目指しているか、ですが。実はあるダンジョンに挑む為なんです」
「ダンジョン?」
「そうです。そこにはビアンカとルージュの母親がいるんです」
 私はビアンカを産み、ルージュを種族問わずに育てた、ダイチ・サエキ様の母親、ユリ・サエキ様の従魔のリルさんの事、原始のダンジョンの事を説明。そのダンジョンへのヒントを頂くのに晃太の支援魔法スキルをCに上げる事、戦力を今の倍にする事などを説明。
「支援魔法に関しては皆さん頼りです。で、戦力に関してですが、ビアンカとルージュの知り合いに頼むつもりですが、なんせ魔境の奥で。私の足だと年単位かかるんです。なので、ビアンカとルージュに守ってもらいながら、ノワールで移動がベストなんで、騎乗能力の高い方が必然だったんです」
 なるほど、みたいな感じになる皆さん。戦力を倍に、て、ところでは、?が飛んでいたけど。
「で、リーダーさん、ノワール乗れそうですか?」
「はい、問題ありません、鞍と手綱があれば。ユイ様、じゃない、ユイさんを乗せて、という形になりますね」
「そうです。お願いします」
「お任せください」
 頼もしい。
「で、皆さんには戦闘をしてもらうことになりますが、それに関しては何かありますか? テオ君とエマちゃんはまだ見習いだし、後方で控えてもらって」
「俺ッ、戦えますッ」
「私も、私もッ」
 必死にアピールする双子、かわいか。
「こら、エマ、テオ。俺達は戦闘奴隷ですので、問題はありません」
「エマちゃん、テオ君は、ルージュにしっかり守ってもらってしようね。で、武装一式ですが、希望はあります?」
 リーダーさんとミゲル君、テオ君、エマちゃんは剣。マデリーンさんは杖、チュアンさんは斧か槍。サブ・ウエポンとして全員ナイフか短剣を希望した。リーダーさんだけ、弓も希望、もともと弓士だそうだ。
「なあ、姉ちゃん」
「なんね?」
 黙っていた晃太が意見を出す。
「冷蔵庫ダンジョンで、武器よく出るやん? それば持ってもらったら? それとさ考えたんやけど、せっかくやから、職人ギルドにさ防具もオーダーしたらどうかね?」
「あ、そうやね」
 ノワールの鞍もお願いしたしね。うん、ゲームによくある楽しいお買い物というか、やりこみオーダーメイドだ。
 あ、なんだか、楽しみになってきた。お買い物、楽しみになってきた。
「あの、ユイさん、武装は中古で十分ですよ」
「とりあえず中古で繋ぎましょう。ほら、リーダーさん後ろ後ろ」
「うおっ」
『ダンジョンなのですっ』
『ダンジョン行きたいわっ』
 鼻息荒い、うちの稼ぎ頭。リーダーさんのすぐ後ろで、ブスューブスュー言ってる。
「どっちにしたってダンジョン行きますから。冷蔵庫ダンジョンなら、武器類でるから気に入ったものがあれば引き取りましょう。そうしましょう」
 うんうん、よしよし、楽しくなってきた。
「最後に確認ですが、拘束期間は20年ですが、私は皆さんをそんなに長く拘束するつもりはありません。晃太のスキルアップと、ビアンカとルージュの知り合いに会いに行ければそれで皆さんを解放するつもりですが、よろしいですか?」
 そう、奴隷購入にあたって、この2つが条件で、もともと長く拘束するつもりはない。
 私が切り出すと、皆さん神妙な顔になる。
「ユイさん」
「はい」
 皆さん改まる。
「許されるなら、我ら鷹の目は、窮地を救ってくれた貴女方に仕え続けたいと思っています」
「そんな大げさな。私達は別に構いませんよ、あ、そう言えば」
 時空神様が長く仕える気があるなら、みたいなこと言ってたなあ。
「ユイさん?」
 急に黙った私に、リーダーさんが心配そうに聞いてくる。
「いえいえ、大丈夫ですリーダーさん。そろそろ時間ですね、両親を呼ばないと。ビアンカ、ルージュ、元気達ば起こして呼んで」
『分かったのです』
『コハク、ヒスイ、いらっしゃい』
 仔達は2人に任せよう。さて、サブ・ドアを、と。
「あの、ユイさん」
 リーダーさんが、おずおずと私に声をかけてきた。
「はい、リーダーさん」
「そのリーダーさんなんですが、事情を知らない人が聞くと勘違いするかと」
「勘違い?」
「そうです。その、ユイさんが俺をリーダーさんって言うと、俺がユイさんのリーダーだと思われます。つまり、それはあの2体を従えたテイマーが奴隷のパーティーに所属していると思われると、色々困ることになるかもしれませんので、それで、その」
「名前で呼んだ方がいいかもしれないって、ことですか?」
「そうです。できれば」
「では、ホークさん、でいいですか?」
「さんは、つけるんですね」
「私、基本的に人を呼び捨てにしない主義なんです。晃太と花だけですよ」
 後は華憐くらいだ。
 私の癖だ。受け入れて貰わないと。
 さあ、時間だ、サブ・ドアを開けた。
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