文字の大きさ
大
中
小
219 / 878
連載
ファンタジー的な⑤
そこに大きな箱を持ってミルコさんが戻って来た。
中央のテーブルに箱を並べる。なかなか綺麗な箱ね。
「ミルコ、K-3、M-4、5、N-2をお持ちしなさい」
「はいはい」
ミルコさんが逆らわず店の奥に戻って行く。
「今、防具をお持ちします。その間に武器をご覧ください」
おお、きたきた、ファンタジー的な武器。
「ユイさん、俺達あれでいいですから」
ホークさんが示したのは、傘立てみたいのにたくさんささった剣。
「まあまあ、見るだけ、見るだけ」
「では、まずこちらはナイフですね」
1つ目の箱をぱかり、と開ける。
大振りのナイフが2本。
「こちらは新古品ですね。ミスリルを含んでいますので、軽く、魔力の乗りがよく、強化硬化の付与があります」
「ほうほう」
確か、サブ・ウェポンはナイフだったはず。
「次は斧です」
ベアータさんが次の箱を開ける。
片刃の斧だ。サイズはまずまずの大きさ。
「こちらは魔鉄とごくわずかですが、アダマンタイトが含まれていますので、硬度は十分です。少々重さがありますが」
「ふむふむ」
チュアンさんにちょうどいいかな。
「最後は剣です」
ぱかり、と開ける。
そこには黒い鞘に納められたロングソードだ。
ベアータさんが手袋をして、ロングソードを少しだけ引き抜く。おお、素人の私が見ても綺麗な刀身だ。
「こちらは魔鉄と高純度のミスリルの刀身です。付与もワンランク上の硬化強化、小ですが自動修復があります。もちろん魔力ののりはピカ一です」
「全部ください」
「ユイさん、ユイさん、落ち着いてください」
ホークさんが止めにはいる。
「俺達はあそこので十分ですから」
必死に傘立てを指し示す。
「何を言っているんですか? ホークさんはリーダーさんだからそこそこなの持たないと。私が武装責任者なんですから」
「そこそこ以上ですよ、これはっ」
「はいはい。これ、お願いします」
ベアータさんが、ニコニコ。
私が何気なく剣をさわろうとすると、ホークさんが私の手を止める。
「念のため、今は魔法金属には触れない方がいいですよ。生物素材と違って、高位の魔法金属は無作為に魔力を吸い上げることがありますから」
「そ、そうなんですか?」
危ない危ない。生物素材、つまり革とかは、装着した人の魔力は勝手に吸わない。ただ、魔法で身体強化とかしたら、素材が応えて元々ある防御力を上乗せ効果がある。素材のレベルによりけりだけどね。魔法金属も魔力を流して硬度を上げるが、高位魔法金属は常に周りの魔力を吸い上げることがある。本当にごくわずか、空気中に漂う魔力や装備者の魔力を吸い上げる。ごくわずかとはいえ、中毒症にある私にはかなりの負担となる可能性がある。
危ない危ない。
剣が1本、斧が一丁、ナイフが2本ね。足りない。
ナイフはテオ君とエマちゃんが持つことになる。これでテオ君とエマちゃんの武装がとりあえず揃う。
「他に杖とか弓とかはないですか?」
「はい、ございますよ」
ベアータさんが棚から出したのは、ザ・魔法使いの杖。
「こちらは樫木を使用した杖です。新古品です。打撃にも十分ですよ」
「マデリーンさん、これでいいですか?」
「はい」
「じゃあ、これを」
マデリーンさんの武装がほぼ揃ったかな。
次に出したのは、細身の剣。
「剣はこちらはどうでしょう? 細身ですが、魔鉄を含んでいますから、強度も魔力ののりもまずまずです」
「うーん、ミゲル君どう?」
「はい、十分です」
よし、ミゲル君の武装もいいかな。
それからベアータさんは奥の棚から弓を出す。
「こちらはオーソドックスな楡木を使用した弓ですが、そこそこ力が必要になります」
「ホークさん、これで大丈夫ですか?」
ホークさんが、一瞬迷う。
「引いてもいいですか?」
ベアータさんに確認すると、快く了承してくれた。
ホークさんが背筋を伸ばして弓を引く。おお、さすが元弓士、様になってる。
「どうです?」
「問題はありません」
「こちらもください。後は矢筒と矢は?」
「矢筒はございますが、矢はこちらでは扱っておりません。販売している店が3軒隣にございます」
じゃあ、次は矢のお店ね。ホークさん曰く材料あれば、自作しますと。
後はナイフが何本か欲しいが、ナイフは人気商品のため、取り敢えず4本確保。見たけど、こりゃ研ぎ石必要だ。まさか、包丁研ぐやつは使えないから、中毒症治ったら、ディレックス行かないと。
「お、お待たせしました…………」
ミルコさんが重そうな箱を持ち、戻って来る。
ホークさんとチュアンさんのね。
箱がテーブルに並ぶ。
まず、ベアータさんが取り出したのは、丈の長い黒、ベストのようなデザインの上着。革のようだけど、重そう。
「こちらは上位のグラスゴーンバッファローのジャケットです。柔軟性、硬度は十分です。重量軽減の付与があり、3割ほど減量されています。小の衝撃吸収もあり、ベルトもございます。そちらの方に」
チュアンさんね。
「チュアンさん、試着を」
「ユイさん、これは私には高価過ぎます………」
「はいはい。試着してくださいねー」
チュアンさんは私に勧められて、黒のベストを羽織る。太ももの半分まであり、横にスリットあるから動きやすそう。ベルトも締めて、うん、いい感じ。
「どうです?」
「はい、稼働に問題はありません」
しかし、下の粗末な服が合ってない、浮いてる。チュアンさんのサイズ、もへじ生活にないんだよね。靴も今はぼろぼろサンダルだし。よし。
「こちらもください。それと彼のサイズのズボンとシャツ、靴はありますか?」
「はい、ございます。ミルコ、サイズ4Lをお出しして」
「はいはい」
「ユイさん、これだけで十分なんです」
「何を言ってるんですか? そんなつんつるてんで冒険者なんておかしいでしょうもん。何よりその足元、不安で仕方ないんですから」
「うっ」
私に言われて呻くチュアンさん。
「チュアンさんはサブ・リーダーさんなんですからね。ちゃんとしたの着てください」
「…………はい」
次にベアータさんが取り出したのは、籠手のようだ。いややあ、柄が、あれやねん。
「こちらはナムールパイソンの革です。拳部分に魔鉄が仕込んであります。肉弾戦には持ってこいですね」
「えーっと、これは誰に?」
「こちらの方に」
チュアンさんね。装着すると、うん、これ、ヒーラーじゃない、格闘家だよ。ごつい。蛇柄ー。
「なんで肉弾戦がいいと思われたんですか?」
私は皆さんの戦闘スタイルなんて言ってない。武器の種類しか言ってないのに。
「長くここで勤めていますと、体つきや手の形で見当がつきます」
ホークさんの手には弓を扱う人特有の胼胝があることで元弓士の剣士、チュアンさんの拳の傷や筋肉の付きから肉弾戦を併用していることが予想出来たと。
なるほど、さすが元店主、ベテラン大女将。
「チュアンさんどうです?」
「はい、これならゴブリンくらい粉砕できそうです」
「ソーデスカー。じゃあ、これもください」
チュアンさんは後はズボンとシャツと靴ね。
ベアータさんは残り2つの箱を開ける。金属製の胸当てと籠手にすね当てだ。
「こちらは魔鉄とミスリルの胸当て、籠手、すね当てです。下には柔らかいディアーの革を使用しています。身体強化を使う剣士には打ってつけです。こちらの胸当ては、背中が空いてますので、弓を射る時の動きに支障がでないかと。衝撃吸収と2割減の重量軽減の付与がございます」
「ホークさん、試着ば」
「ユイさん、これ、絶対高いですよ」
「はいはい。試着してくださいねー」
チュアンさんとミゲル君が手伝って装着。おお、いい感じ。前の鎧に比べて面積は少ないけど、いいんやない。
「どうです?」
「いや、その、すごくいいです、はい」
「これください」
後は剣を下げる為のベルトは、なんで出てくる蛇柄。サイズはいいようやね、よし、ホークさんの武装揃ったね。
チュアンさんのシャツとズボンと靴も揃う。
「こちらのシャツは新古品です。付与はございませんが。厚手ですので、この時期では冷却の付与が必要になります。こちらのズボンにはロックゴートの毛が織り込まれており、通気性がばっちりです。靴はホーンディアーの革を使用し、爪先に薄い魔鉄が仕込まれています」
「チュアンさん、試着ば」
もうチュアンさんはなにも言わず試着室に向かい、フル装備になる。うん、これ、格闘家だよ。
これで、取り敢えず揃ったかね。
「全部でいくらになります?」
「合計1360万8500になります」
予算内や。最高額はホークさんの剣、800万だ。
「ユイさん額、おかしいですよ、額が。奴隷の装備の額じゃないですって」
ホークさんが私に訴えるが、スルー。私は冒険者ギルドカードでぴしゃっと支払いを済ませる。
一旦、晃太のアイテムボックスに入れる。
後は矢を買って、それから、えーっと。
「付与をしてくれるお店って、近くにあります?」
「はい、ございますよ。店を出て右に進むと槍と剣の赤い看板のテールム工房が、腕のいい付与師がおります。こちらをお持ちください」
ベアータさんが木札を差し出す。
「ありがとうございます」
さ、次々。
「ベアータさん、ありがとうございます。さ、皆さん、行きますー」
今日中に矢と、追加付与や。
中央のテーブルに箱を並べる。なかなか綺麗な箱ね。
「ミルコ、K-3、M-4、5、N-2をお持ちしなさい」
「はいはい」
ミルコさんが逆らわず店の奥に戻って行く。
「今、防具をお持ちします。その間に武器をご覧ください」
おお、きたきた、ファンタジー的な武器。
「ユイさん、俺達あれでいいですから」
ホークさんが示したのは、傘立てみたいのにたくさんささった剣。
「まあまあ、見るだけ、見るだけ」
「では、まずこちらはナイフですね」
1つ目の箱をぱかり、と開ける。
大振りのナイフが2本。
「こちらは新古品ですね。ミスリルを含んでいますので、軽く、魔力の乗りがよく、強化硬化の付与があります」
「ほうほう」
確か、サブ・ウェポンはナイフだったはず。
「次は斧です」
ベアータさんが次の箱を開ける。
片刃の斧だ。サイズはまずまずの大きさ。
「こちらは魔鉄とごくわずかですが、アダマンタイトが含まれていますので、硬度は十分です。少々重さがありますが」
「ふむふむ」
チュアンさんにちょうどいいかな。
「最後は剣です」
ぱかり、と開ける。
そこには黒い鞘に納められたロングソードだ。
ベアータさんが手袋をして、ロングソードを少しだけ引き抜く。おお、素人の私が見ても綺麗な刀身だ。
「こちらは魔鉄と高純度のミスリルの刀身です。付与もワンランク上の硬化強化、小ですが自動修復があります。もちろん魔力ののりはピカ一です」
「全部ください」
「ユイさん、ユイさん、落ち着いてください」
ホークさんが止めにはいる。
「俺達はあそこので十分ですから」
必死に傘立てを指し示す。
「何を言っているんですか? ホークさんはリーダーさんだからそこそこなの持たないと。私が武装責任者なんですから」
「そこそこ以上ですよ、これはっ」
「はいはい。これ、お願いします」
ベアータさんが、ニコニコ。
私が何気なく剣をさわろうとすると、ホークさんが私の手を止める。
「念のため、今は魔法金属には触れない方がいいですよ。生物素材と違って、高位の魔法金属は無作為に魔力を吸い上げることがありますから」
「そ、そうなんですか?」
危ない危ない。生物素材、つまり革とかは、装着した人の魔力は勝手に吸わない。ただ、魔法で身体強化とかしたら、素材が応えて元々ある防御力を上乗せ効果がある。素材のレベルによりけりだけどね。魔法金属も魔力を流して硬度を上げるが、高位魔法金属は常に周りの魔力を吸い上げることがある。本当にごくわずか、空気中に漂う魔力や装備者の魔力を吸い上げる。ごくわずかとはいえ、中毒症にある私にはかなりの負担となる可能性がある。
危ない危ない。
剣が1本、斧が一丁、ナイフが2本ね。足りない。
ナイフはテオ君とエマちゃんが持つことになる。これでテオ君とエマちゃんの武装がとりあえず揃う。
「他に杖とか弓とかはないですか?」
「はい、ございますよ」
ベアータさんが棚から出したのは、ザ・魔法使いの杖。
「こちらは樫木を使用した杖です。新古品です。打撃にも十分ですよ」
「マデリーンさん、これでいいですか?」
「はい」
「じゃあ、これを」
マデリーンさんの武装がほぼ揃ったかな。
次に出したのは、細身の剣。
「剣はこちらはどうでしょう? 細身ですが、魔鉄を含んでいますから、強度も魔力ののりもまずまずです」
「うーん、ミゲル君どう?」
「はい、十分です」
よし、ミゲル君の武装もいいかな。
それからベアータさんは奥の棚から弓を出す。
「こちらはオーソドックスな楡木を使用した弓ですが、そこそこ力が必要になります」
「ホークさん、これで大丈夫ですか?」
ホークさんが、一瞬迷う。
「引いてもいいですか?」
ベアータさんに確認すると、快く了承してくれた。
ホークさんが背筋を伸ばして弓を引く。おお、さすが元弓士、様になってる。
「どうです?」
「問題はありません」
「こちらもください。後は矢筒と矢は?」
「矢筒はございますが、矢はこちらでは扱っておりません。販売している店が3軒隣にございます」
じゃあ、次は矢のお店ね。ホークさん曰く材料あれば、自作しますと。
後はナイフが何本か欲しいが、ナイフは人気商品のため、取り敢えず4本確保。見たけど、こりゃ研ぎ石必要だ。まさか、包丁研ぐやつは使えないから、中毒症治ったら、ディレックス行かないと。
「お、お待たせしました…………」
ミルコさんが重そうな箱を持ち、戻って来る。
ホークさんとチュアンさんのね。
箱がテーブルに並ぶ。
まず、ベアータさんが取り出したのは、丈の長い黒、ベストのようなデザインの上着。革のようだけど、重そう。
「こちらは上位のグラスゴーンバッファローのジャケットです。柔軟性、硬度は十分です。重量軽減の付与があり、3割ほど減量されています。小の衝撃吸収もあり、ベルトもございます。そちらの方に」
チュアンさんね。
「チュアンさん、試着を」
「ユイさん、これは私には高価過ぎます………」
「はいはい。試着してくださいねー」
チュアンさんは私に勧められて、黒のベストを羽織る。太ももの半分まであり、横にスリットあるから動きやすそう。ベルトも締めて、うん、いい感じ。
「どうです?」
「はい、稼働に問題はありません」
しかし、下の粗末な服が合ってない、浮いてる。チュアンさんのサイズ、もへじ生活にないんだよね。靴も今はぼろぼろサンダルだし。よし。
「こちらもください。それと彼のサイズのズボンとシャツ、靴はありますか?」
「はい、ございます。ミルコ、サイズ4Lをお出しして」
「はいはい」
「ユイさん、これだけで十分なんです」
「何を言ってるんですか? そんなつんつるてんで冒険者なんておかしいでしょうもん。何よりその足元、不安で仕方ないんですから」
「うっ」
私に言われて呻くチュアンさん。
「チュアンさんはサブ・リーダーさんなんですからね。ちゃんとしたの着てください」
「…………はい」
次にベアータさんが取り出したのは、籠手のようだ。いややあ、柄が、あれやねん。
「こちらはナムールパイソンの革です。拳部分に魔鉄が仕込んであります。肉弾戦には持ってこいですね」
「えーっと、これは誰に?」
「こちらの方に」
チュアンさんね。装着すると、うん、これ、ヒーラーじゃない、格闘家だよ。ごつい。蛇柄ー。
「なんで肉弾戦がいいと思われたんですか?」
私は皆さんの戦闘スタイルなんて言ってない。武器の種類しか言ってないのに。
「長くここで勤めていますと、体つきや手の形で見当がつきます」
ホークさんの手には弓を扱う人特有の胼胝があることで元弓士の剣士、チュアンさんの拳の傷や筋肉の付きから肉弾戦を併用していることが予想出来たと。
なるほど、さすが元店主、ベテラン大女将。
「チュアンさんどうです?」
「はい、これならゴブリンくらい粉砕できそうです」
「ソーデスカー。じゃあ、これもください」
チュアンさんは後はズボンとシャツと靴ね。
ベアータさんは残り2つの箱を開ける。金属製の胸当てと籠手にすね当てだ。
「こちらは魔鉄とミスリルの胸当て、籠手、すね当てです。下には柔らかいディアーの革を使用しています。身体強化を使う剣士には打ってつけです。こちらの胸当ては、背中が空いてますので、弓を射る時の動きに支障がでないかと。衝撃吸収と2割減の重量軽減の付与がございます」
「ホークさん、試着ば」
「ユイさん、これ、絶対高いですよ」
「はいはい。試着してくださいねー」
チュアンさんとミゲル君が手伝って装着。おお、いい感じ。前の鎧に比べて面積は少ないけど、いいんやない。
「どうです?」
「いや、その、すごくいいです、はい」
「これください」
後は剣を下げる為のベルトは、なんで出てくる蛇柄。サイズはいいようやね、よし、ホークさんの武装揃ったね。
チュアンさんのシャツとズボンと靴も揃う。
「こちらのシャツは新古品です。付与はございませんが。厚手ですので、この時期では冷却の付与が必要になります。こちらのズボンにはロックゴートの毛が織り込まれており、通気性がばっちりです。靴はホーンディアーの革を使用し、爪先に薄い魔鉄が仕込まれています」
「チュアンさん、試着ば」
もうチュアンさんはなにも言わず試着室に向かい、フル装備になる。うん、これ、格闘家だよ。
これで、取り敢えず揃ったかね。
「全部でいくらになります?」
「合計1360万8500になります」
予算内や。最高額はホークさんの剣、800万だ。
「ユイさん額、おかしいですよ、額が。奴隷の装備の額じゃないですって」
ホークさんが私に訴えるが、スルー。私は冒険者ギルドカードでぴしゃっと支払いを済ませる。
一旦、晃太のアイテムボックスに入れる。
後は矢を買って、それから、えーっと。
「付与をしてくれるお店って、近くにあります?」
「はい、ございますよ。店を出て右に進むと槍と剣の赤い看板のテールム工房が、腕のいい付与師がおります。こちらをお持ちください」
ベアータさんが木札を差し出す。
「ありがとうございます」
さ、次々。
「ベアータさん、ありがとうございます。さ、皆さん、行きますー」
今日中に矢と、追加付与や。
感想 867
あなたにおすすめの小説
「今日限りで君を解雇する」――20年仕えた地味なメイドですが、料理も手紙も暗殺者対策も私がやっていました
「エナメル。今日限りで君を解雇する」
20年仕えた屋敷をクビになった、地味なエルフのメイド・エナメル。
だが、晩餐会の料理も、侯爵への手紙も、調度品の手配も、屋敷を狙う暗殺者の処理も――すべて彼女が陰で支えていたものだった。
エナメルが去ったあと、屋敷は少しずつ綻び始める。
一方の本人は、そんなことも知らず。
「さて。次はどこで雇っていただきましょう」
地味で目立たないベテランメイド・エナメルの、新しい奉公先探しが始まる。
※本作は『メイドのエナメルは今日も静かにお仕えします』シリーズの第1作です。本作単体でもお楽しみいただけます。
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
捨てられた幼女ですが、公爵家に拾われたら家族みんなの愛が重すぎました
幼い頃に母親に捨てられ、孤児院で暮らしていた少女リリア。
「役に立たなければ、また捨てられる」
そう思い、いつも“いい子”でいようとしていた彼女は、ある日、公爵家の馬車を助けたことをきっかけに屋敷へ招かれる。
そこで待っていたのは、娘に甘すぎる公爵夫妻に、妹を構いたがるレオン、そしてリリアを甘やかしたい使用人たち。
戸惑いながらも、少しずつ公爵家に居場所を見つけていくリリア。やがて夫妻から「私たちの娘になってほしい」と告げられて――。
これは、捨てられないために“いい子”でいようとしていた少女が、重すぎるほどの愛情に包まれ、本当の家族を見つけていく物語。
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました
夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。
彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。
けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。
セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。
夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
番の証が出ないと捨てられたので、神様に確かめてもらいます
「番の証が出ぬからだ」
和平のために獣人国へ嫁いで四年。獣王ガイウス様との儀式は三度、三度とも証は出ませんでした。「人間の娘では神は認めぬ」——そう言われて、離宮へ。
雨漏りの下で眠り、井戸をさらい、畑を耕して。泣かなかったのは強いからではありません。獣人には、匂いでわかってしまうから。
嫁ぐ前に三年かけて読み込んだ婚姻法典。その第四章に、こうありました。
『既に誓いを結びたる者が、重ねて他者と誓いを立てんとする時、神は後の誓いを認めず』
——証が出なかったのは、わたしが人間だからではない。
長老会に申し立てたのは、解釈の確認だけ。わたしは悪くない、とは一言も書きませんでした。
遡誓の儀で神殿に浮かんだのは、六年前の秋の「成立」と、わたしの三度の「不成立(重複)」でした。
飛べないと捨てられたので、竜ごと出て行きます
「お前は竜に乗れもしない、ただの妻だろう」
竜騎士団長の夫はそう言って、飛べる従騎士の娘を選びましたわ。
ええ、わたくしは飛べません。十二年、地上におりました。
夜明け前に三十一頭の寝息を数え、歯を磨き、爪の砂を取り、冬に毛布を掛け、契約を編んで。——この国でただひとりの「調律者」として。
竜は、人を乗せない生き物ですのよ。竜自身が「乗せてもいい」と決めない限り。そして竜が誰の言葉で頷いてきたか、あの方は十二年、一度もお考えにならなかった。
離縁されて、わたくしは竜舎を出ました。
三日後から、竜は一頭も飛ばなくなりましたの。
怒っているのではありませんのよ。竜は報復をしませんもの。ただ——寂しいのです。
そして来月は、三年に一度の、契約更新日ですわ。
土下座する王妃の座などいらないので、冒険者に転職します。
「私が愛しているのはエルナ。君だけだ」
エルナは自分の夫でありハーメルン王国の国王であるカメルを愛していた。
彼がどれほど自分より隣国の聖女を優先しようとも。
結婚して二年が経っても初夜を迎えたことがなかろうとも。
しかし。
「エルナ。君に失望した。聖女を陥れていじめるとはな。罪を認め、ひざまずいて謝罪するように」
一年に一度の建国記念宴会であり結婚記念日に、カメルはすべての貴族や外国の使節団が見ている前で、エルナに身に覚えのない罪を認めろと断罪した。
愛が壊れるのは一瞬。
だからこそ、エルナはその場でひざまずいた。頭を地面にこすりつけて謝罪した。
「聖女を陰謀にかけた大罪人エルナは、この時間をもって王妃の座から退き、平民となりますことをお許しください。聖女様とどうかお幸せに」
*ゆるい設定です。不快に思われる方はブラウザバックをお願いします。
婚約破棄を受け入れた瞬間、王太子殿下が青ざめました
王都でもっとも華やかな春の夜会。その中央で、王太子エドワードは冷ややかな目を婚約者へ向けていた。
「リリアーナ・フォン・アルベルト公爵令嬢。君との婚約を、ここで破棄する」
会場が一瞬で静まり返る。
リリアーナは淡い金髪を揺らし、静かに王太子を見つめ返した。
「理由を、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「理由など明白だ。君は嫉妬深く、心が狭い。それに比べ、私は真実の愛を見つけた」
そう言ってエドワードが隣へ引き寄せたのは、男爵令嬢のセシリアだった。