312 / 876
連載
スカイランへ⑤
「戦車馬(チャリオット・ホース)やな」
父が帰って来てから、ノワールの鑑定。
ホークさんの説明だと、現在戦場を駆ける馬としては最強だと。
「何人も乗せた重い戦車を牽いて、縦横無尽に駆け抜けたことから付いた名前です」
と、ホークさん。へー。
「これであのレッサードラゴンの馬具を付けたら、騎士の小隊、いや中隊くらいでは歯が立たないでしょうね」
「アハハハ」
真面目にホークさんが言うので、生ぬるく笑うしかない。ノワール君や、君は何がしたいんやねん。いっつもブヒヒヒンッブヒヒヒンッ言って、亀やら猪やら蹴飛ばしてるけど。
「優衣。ノワール、属性魔法があるようや。風のようや」
更に強くなってるのに、属性魔法までっ。嫌な予感っ。
「ブヒヒヒンッ、ブヒヒヒンッ、ブヒヒヒーンッ」
『ユイ、訓練したいって言ってるのです』
『今から、ダンジョンに行く?』
「今日帰って来たばっかりっ。もう、そうやねえ。ギルドの地下訓練所は無理やね。ノワールはあの階段降りるのは」
ノワールの魔法の訓練。そこら辺でできない。なら、人気のないダンジョン内が最適かな?
「せめて、少し休ませてよ。査定もあるし、エマちゃんとマデリーンさんの装備品も出来上がるし」
「ブルブル…………」
く、戦車馬(チャリオット・ホース)になっても哀愁攻撃の凄かこと。
仕方ない、日帰りで考えよう。そろそろスカイランへ行かんといかんし。
ホークさんと日程確認する。
明日はノワールの種族名変更手続き、エマちゃんとマデリーンさんの装備品の受け取り。明後日は査定の受け取りし、そのまま日帰りダンジョン。明明後日は、母がアノで買い物したいと言うので、買い出しだ。その次の日、日帰りダンジョン。それからスカイランへ出発ね。結構忙しか。
今回、ドロップ品の買取がないから、ホークさん達も取り分ない。なので、何か希望がないか聞いてみた。
「日頃から頂きすぎですから」
「そんな訳には行きませんよ」
結局。
何か欲しいものがないか聞いてみた。日常生活品でもいいからと。
皆さん、お悩み。
ホークさんは電気髭剃り、チュアンさんはY県の有名な日本酒、マデリーンさんは美容液、ミゲル君は自分専用の裁縫道具一式、エマちゃんとテオ君はセレクトショップダリアの贈答用のお菓子詰め合わせ。
ホークさんは、元々前からちょっと無精髭があったんだけど、私が何気なく髭がないほうが似合うなんて言ってしまい、こまめに剃るようになった。別に無精髭が似合わないわけないんだけど。ホークさんは欧州のような顔立ちだからね。どちらかと言うと髭がないほうが若々しい感じがしたので、ポロッと言ってしまったのがきっかけ。本来の冒険者は髭なんて構っていられないんだけどね。せっかくルームがあるからと、電気髭剃りを希望した。チュアンさんは日本酒に目覚めている。アルコール解禁日には、いつも晃太オススメのお酒を大事に飲んでる。マデリーンさんは、お肌が最近乾くからと。一応、私が愛用している化粧水と乳液は必要品として渡してはあるけど、美容液の存在を知り、欲しかったと。言ってくれたら良かったのに。化粧水と乳液は日用品としてこれからも渡し、美容液は今後自分のお金でご褒美として買うそうだ。ミゲル君はてっきりビールかと思ったけど。どうやら昔取った杵柄か、何か作りたいと。エマちゃんとテオ君は、お地蔵様にお供えしているのを見て、前から気になっていたそうだ。
渡すと、皆さん嬉しそうだ。
『ユイ、私はケーキなのです。果実のたくさんのったやつなのです』
『私はパリパリの皮に果実を包んだのね』
『大きいのです』
『大きいのよ』
ビアンカとルージュまでっ。
「後ろ」
呆れて私が示すと。
『お、お母さんっ』
『ふ、太ってないはずよっ』
凄まじい形相の母に、必死にきゅるん、きゅるん。あまりにも必死にきゅるん、きゅるんしたので、ワンホールではなくカットケーキで妥協していた。
次の日、ノワールの登録を滞りなく終了。
そしてマデリーンさんとエマちゃんの装備品を取りに行く。
「おお、いい感じやん」
早速装着。
うん、マデリーンさんはワンピースの上から着て、剣でも持ったらまるで魔法剣士や。エマちゃんはジャケットがあるので、ベストのようなデザイン。うんうん、いい感じ。新しい籠手も着けて、うん、いい感じ。桜の刻印ありますよ。マデリーンさんは右肩、エマちゃんは右胸の辺りに。これで大体の装備品が揃ったかな? うーん、前線で斧で戦うチュアンさんに何か欲しいかな。玄武のドロップ品は未だに誰からもいい返事はない。うーん。
「まず、ユイさんとコウタさんの装備品を優先してください」
チュアンさんにまで、ホークさんと同じこと言われた。そうだね、ワイバーンの革で、ポンチョ作ってもらおう。それからホークさんから、大型のマントの希望あり。ノワールに乗るなら、私とホークさんをすっぽり包めるマントが欲しいと。防御の面からね。
うーん。マントにすっぽりかあ、ちょっと恥ずかしいが、背に腹はかえられぬ。
スカイランで、良いのが手に入りますように。がんばるのはビアンカとルージュなんだけどね。あ、ノワールもね。
出発までバタバタした。
一度だけ、ホークさんとチュアンさんが、ギルド主催の戦闘訓練に参加した。なんと講師はフェリクスさん。対象はCランク以上の戦闘職のみ。戦闘奴隷だけど、フェリクスさんは快く受けてくれた。私は外野で野次馬見学した。やっぱりSランクの冒険者の戦闘みたいもん。
野次馬で見たけど、流石Sランク冒険者。どうしたら、あんな金属の鎧で動けるんだろう? それも鋭いんだよ。木製の槍が空気を切り裂くような音を立てて、対戦相手を吹き飛ばしてる。相手は、なんと『金の虎』のガリストさん。全く手が出せないようで、鋭い突きで、ガリストさんが後ろに吹き飛んでいた。あの大柄のガリストさんが。
「動きは悪くない。だが、硬い。盾を併用するなら…………」
フェリクスさんがガリストさんに指導を続けている間に、アルスさんがこちらを見ているのに、気がついた。ぺこり、しておいた。アルスさんはお姉さんのリィマさんの影に隠れている。その近くでしゃがみこんだファングさんをフリンダさんが治療している。
ガリストさんは息を整え一礼して下がる。
いよいよホークさんとチュアンさんの番になる。
まずはチュアンさん。肉弾戦を希望して、ガチに殴り合いだ。フェリクスさんは最小限の動きで避けて、たった一撃、チュアンさんに与えただけで、膝をつかせた。速いなあ、フェリクスさんの動きが。
「チュアンさん、大丈夫ですか?」
「はい、問題はありません」
後ろに倒れた大きな体を起こすチュアンさん。100キロ超えてるのに、一撃だよ。これで武器でもあったらおしまいだ。
指導が終わり、チュアンさんが一礼して下がる。次はホークさんだ。木刀を持つホークさん、何故か足元にへっへいってる元気。はい、回収。
「くーん、くーん」
「ダメよ元気。お邪魔やろうもん」
「くーん」
リードを着けて、ビアンカに持ってもらう。すみません。
いざ、打ち合い。だけど、数回でホークさんの木刀が弾き飛ばされてしまう。
「基礎に従った動き、柔軟性もあるし、悪くはないがそれを生かしきれていない」
それからも指導されて、無事に終了した。
「いい経験になったな」
「そうだな」
帰り際、ホークさんとチュアンさんが戦闘訓練の反省会している。
「ユイちゃんっ」
何となく聞いていると、アルスさんが駆け寄って来た。かわいか。かわいか未成年が、駆け寄ってくる。一直線に、一直線に。
反省会していたホークさんとチュアンさんが、ば、と私の前に立つ。途端に、ぶー、みたいなアルスさん。か、かわいか。あ、新しい鎧着てる。
「アルスさん、どうしましたー」
ホークさんとチュアンさんの向こうのアルスさんに声をかける。
アルスさんが言葉を発する前に、リィマさんと復活したファングさんが慌てて回収する。
「アルス、お止めっ」
「すまないテイマーさんっ、また、今度ーっ」
「ユイちゃん、俺、むーっ」
ファングさんがごつい手でアルスさんの口を塞ぐ。
なんやなんや。
ファングさんとガリストさんが神輿のようにアルスさんを担ぎ上げて、嵐のように去っていった。
な、なんやったんやろう? 結局、分からなかった。
その後、買い出し、日帰りダンジョンを済ませ、やっとスカイランに向かう日となった。
父が帰って来てから、ノワールの鑑定。
ホークさんの説明だと、現在戦場を駆ける馬としては最強だと。
「何人も乗せた重い戦車を牽いて、縦横無尽に駆け抜けたことから付いた名前です」
と、ホークさん。へー。
「これであのレッサードラゴンの馬具を付けたら、騎士の小隊、いや中隊くらいでは歯が立たないでしょうね」
「アハハハ」
真面目にホークさんが言うので、生ぬるく笑うしかない。ノワール君や、君は何がしたいんやねん。いっつもブヒヒヒンッブヒヒヒンッ言って、亀やら猪やら蹴飛ばしてるけど。
「優衣。ノワール、属性魔法があるようや。風のようや」
更に強くなってるのに、属性魔法までっ。嫌な予感っ。
「ブヒヒヒンッ、ブヒヒヒンッ、ブヒヒヒーンッ」
『ユイ、訓練したいって言ってるのです』
『今から、ダンジョンに行く?』
「今日帰って来たばっかりっ。もう、そうやねえ。ギルドの地下訓練所は無理やね。ノワールはあの階段降りるのは」
ノワールの魔法の訓練。そこら辺でできない。なら、人気のないダンジョン内が最適かな?
「せめて、少し休ませてよ。査定もあるし、エマちゃんとマデリーンさんの装備品も出来上がるし」
「ブルブル…………」
く、戦車馬(チャリオット・ホース)になっても哀愁攻撃の凄かこと。
仕方ない、日帰りで考えよう。そろそろスカイランへ行かんといかんし。
ホークさんと日程確認する。
明日はノワールの種族名変更手続き、エマちゃんとマデリーンさんの装備品の受け取り。明後日は査定の受け取りし、そのまま日帰りダンジョン。明明後日は、母がアノで買い物したいと言うので、買い出しだ。その次の日、日帰りダンジョン。それからスカイランへ出発ね。結構忙しか。
今回、ドロップ品の買取がないから、ホークさん達も取り分ない。なので、何か希望がないか聞いてみた。
「日頃から頂きすぎですから」
「そんな訳には行きませんよ」
結局。
何か欲しいものがないか聞いてみた。日常生活品でもいいからと。
皆さん、お悩み。
ホークさんは電気髭剃り、チュアンさんはY県の有名な日本酒、マデリーンさんは美容液、ミゲル君は自分専用の裁縫道具一式、エマちゃんとテオ君はセレクトショップダリアの贈答用のお菓子詰め合わせ。
ホークさんは、元々前からちょっと無精髭があったんだけど、私が何気なく髭がないほうが似合うなんて言ってしまい、こまめに剃るようになった。別に無精髭が似合わないわけないんだけど。ホークさんは欧州のような顔立ちだからね。どちらかと言うと髭がないほうが若々しい感じがしたので、ポロッと言ってしまったのがきっかけ。本来の冒険者は髭なんて構っていられないんだけどね。せっかくルームがあるからと、電気髭剃りを希望した。チュアンさんは日本酒に目覚めている。アルコール解禁日には、いつも晃太オススメのお酒を大事に飲んでる。マデリーンさんは、お肌が最近乾くからと。一応、私が愛用している化粧水と乳液は必要品として渡してはあるけど、美容液の存在を知り、欲しかったと。言ってくれたら良かったのに。化粧水と乳液は日用品としてこれからも渡し、美容液は今後自分のお金でご褒美として買うそうだ。ミゲル君はてっきりビールかと思ったけど。どうやら昔取った杵柄か、何か作りたいと。エマちゃんとテオ君は、お地蔵様にお供えしているのを見て、前から気になっていたそうだ。
渡すと、皆さん嬉しそうだ。
『ユイ、私はケーキなのです。果実のたくさんのったやつなのです』
『私はパリパリの皮に果実を包んだのね』
『大きいのです』
『大きいのよ』
ビアンカとルージュまでっ。
「後ろ」
呆れて私が示すと。
『お、お母さんっ』
『ふ、太ってないはずよっ』
凄まじい形相の母に、必死にきゅるん、きゅるん。あまりにも必死にきゅるん、きゅるんしたので、ワンホールではなくカットケーキで妥協していた。
次の日、ノワールの登録を滞りなく終了。
そしてマデリーンさんとエマちゃんの装備品を取りに行く。
「おお、いい感じやん」
早速装着。
うん、マデリーンさんはワンピースの上から着て、剣でも持ったらまるで魔法剣士や。エマちゃんはジャケットがあるので、ベストのようなデザイン。うんうん、いい感じ。新しい籠手も着けて、うん、いい感じ。桜の刻印ありますよ。マデリーンさんは右肩、エマちゃんは右胸の辺りに。これで大体の装備品が揃ったかな? うーん、前線で斧で戦うチュアンさんに何か欲しいかな。玄武のドロップ品は未だに誰からもいい返事はない。うーん。
「まず、ユイさんとコウタさんの装備品を優先してください」
チュアンさんにまで、ホークさんと同じこと言われた。そうだね、ワイバーンの革で、ポンチョ作ってもらおう。それからホークさんから、大型のマントの希望あり。ノワールに乗るなら、私とホークさんをすっぽり包めるマントが欲しいと。防御の面からね。
うーん。マントにすっぽりかあ、ちょっと恥ずかしいが、背に腹はかえられぬ。
スカイランで、良いのが手に入りますように。がんばるのはビアンカとルージュなんだけどね。あ、ノワールもね。
出発までバタバタした。
一度だけ、ホークさんとチュアンさんが、ギルド主催の戦闘訓練に参加した。なんと講師はフェリクスさん。対象はCランク以上の戦闘職のみ。戦闘奴隷だけど、フェリクスさんは快く受けてくれた。私は外野で野次馬見学した。やっぱりSランクの冒険者の戦闘みたいもん。
野次馬で見たけど、流石Sランク冒険者。どうしたら、あんな金属の鎧で動けるんだろう? それも鋭いんだよ。木製の槍が空気を切り裂くような音を立てて、対戦相手を吹き飛ばしてる。相手は、なんと『金の虎』のガリストさん。全く手が出せないようで、鋭い突きで、ガリストさんが後ろに吹き飛んでいた。あの大柄のガリストさんが。
「動きは悪くない。だが、硬い。盾を併用するなら…………」
フェリクスさんがガリストさんに指導を続けている間に、アルスさんがこちらを見ているのに、気がついた。ぺこり、しておいた。アルスさんはお姉さんのリィマさんの影に隠れている。その近くでしゃがみこんだファングさんをフリンダさんが治療している。
ガリストさんは息を整え一礼して下がる。
いよいよホークさんとチュアンさんの番になる。
まずはチュアンさん。肉弾戦を希望して、ガチに殴り合いだ。フェリクスさんは最小限の動きで避けて、たった一撃、チュアンさんに与えただけで、膝をつかせた。速いなあ、フェリクスさんの動きが。
「チュアンさん、大丈夫ですか?」
「はい、問題はありません」
後ろに倒れた大きな体を起こすチュアンさん。100キロ超えてるのに、一撃だよ。これで武器でもあったらおしまいだ。
指導が終わり、チュアンさんが一礼して下がる。次はホークさんだ。木刀を持つホークさん、何故か足元にへっへいってる元気。はい、回収。
「くーん、くーん」
「ダメよ元気。お邪魔やろうもん」
「くーん」
リードを着けて、ビアンカに持ってもらう。すみません。
いざ、打ち合い。だけど、数回でホークさんの木刀が弾き飛ばされてしまう。
「基礎に従った動き、柔軟性もあるし、悪くはないがそれを生かしきれていない」
それからも指導されて、無事に終了した。
「いい経験になったな」
「そうだな」
帰り際、ホークさんとチュアンさんが戦闘訓練の反省会している。
「ユイちゃんっ」
何となく聞いていると、アルスさんが駆け寄って来た。かわいか。かわいか未成年が、駆け寄ってくる。一直線に、一直線に。
反省会していたホークさんとチュアンさんが、ば、と私の前に立つ。途端に、ぶー、みたいなアルスさん。か、かわいか。あ、新しい鎧着てる。
「アルスさん、どうしましたー」
ホークさんとチュアンさんの向こうのアルスさんに声をかける。
アルスさんが言葉を発する前に、リィマさんと復活したファングさんが慌てて回収する。
「アルス、お止めっ」
「すまないテイマーさんっ、また、今度ーっ」
「ユイちゃん、俺、むーっ」
ファングさんがごつい手でアルスさんの口を塞ぐ。
なんやなんや。
ファングさんとガリストさんが神輿のようにアルスさんを担ぎ上げて、嵐のように去っていった。
な、なんやったんやろう? 結局、分からなかった。
その後、買い出し、日帰りダンジョンを済ませ、やっとスカイランに向かう日となった。
あなたにおすすめの小説
「三番以下を取りなさい」と五年言われ続けたので、公開試験で本気を出しました
歩人
ファンタジー
王立魔法学院、入学時首席のリュシエンヌは、婚約者レイナルト公爵令息から五年間「女は三番以下を取れ」と命じられてきた。学院の序列は国家序列の縮図。レイナルトは常に一位に居続けた。婚約披露を控えた十九歳の春、レイナルトが新しい婚約者を連れて告げる。「お前では並び立てぬ。学力も身分も、足りなすぎる」——リュシエンヌは微笑んで、その翌日の年次公開試験で、五年封じてきた本気を出した。国王臨席の場で、史上最高点。魔法局長官が教授陣に命じる。「過去五年間の彼女の実測点と、もし本気で受けていたら出せた推計点を、公表したまえ」。教授陣は震える手で数字を並べた。レイナルトの「首席」は、全て彼女が譲った場所だった。
おばさんは、ひっそり暮らしたい
蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。
たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。
さて、生きるには働かなければならない。
「仕方がない、ご飯屋にするか」
栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。
「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」
意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。
騎士サイド追加しました。2023/05/23
番外編を不定期ですが始めました。
夫の不倫相手に「妻の座を譲れ」と言われたので、譲る代わりに全部置いていきます 〜行き先は老舗旅館。追いかけてきても、もう遅いです〜
なつめ
恋愛
夫の愛人に「妻の座を譲れ」と言い渡された主人公は、怒鳴り返すこともしがみつくこともせず、ただ静かに頷いた。
家のこと、食事のこと、社交のこと、義実家のこと、会社の裏方のこと。 誰も価値を知らなかった“妻の座”の中身を、そっくりそのまま置いて家を出る。
向かった先は、かつて傷ついた自分を受け入れてくれた老舗旅館。 再建に奔走する若旦那とともに働く中で、主人公は初めて「役に立つから愛される」のではなく、「あなた自身がいてほしい」と言われる温かさを知っていく。
一方、主人公を軽んじた元夫の家では、生活も体裁も仕事もじわじわと崩壊を始める。 これは、何も持たずに出ていったはずの女が、自分の人生を取り戻し、最後には新しい恋と居場所を手に入れる再生の物語。
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
夫が私にそっくりな下の娘ばかりをかわいがるのですけど!
山科ひさき
恋愛
「子供達をお願い」 そう言い残して、私はこの世を去った。愛する夫が子供達に私の分も愛情を注いでくれると信じていたから、不安はなかった。けれど死後の世界から見ている夫は下の娘ばかりをかわいがり、上の娘をないがしろにしている。許せない。そんな時、私に不思議な声が呼びかけてきて……。
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」と追放された令嬢——王宮の食器が一枚も焼けなくなった
歩人
ファンタジー
「お前の泥だらけの手で触るな、気持ち悪い」——王宮御用達の食器を焼く伯爵令嬢エルザは、婚約者の第二王子に手の荒れを嗤われて追放された。十二歳から十年間、王宮の全ての食器を手ずから焼いてきた。彼女の食器は特殊な土と焼成技術で魔力を通し、毒に触れると色が変わる。料理の温度も保つ。追放から三ヶ月後、晩餐会で新しい食器を使ったところ、毒が検知されず隣国の大使が倒れた。外交問題に発展する中、第二王子が「食器くらい誰でも焼ける」と窯に立った結果、出来上がったのは歪んだ灰色の皿だった。
元の世界に帰らせていただきます!
にゃみ3
恋愛
淡い夢物語のように、望む全てが叶うとは限らない。
そう分かっていたとしても、私は敵ばかりの世界で妬まれ、嫌われ、疎まれることに、耐えられなかったの。
「ごめんね、バイバイ……」
限界なので、元いた世界に帰らせていただきます。
・・・
数話で完結します、ハピエン!
「貧相な小娘」と罵った第一王子へ。番(つがい)は貴方ではなく、国王陛下(お父様)でした
しえろ あい
恋愛
「お父様、わたくし、あの方と目が合った瞬間、分かってしまったのです」
十六歳のデビュタントの夜、ルーセント侯爵令嬢フェリシアを待っていたのは、残酷な罵倒だった。第一王子カシウスは、可憐な白いドレスを纏った彼女を「貧相な小娘」と呼び、己の番(つがい)であることを真っ向から否定する。
会場に響く冷笑と、愛用の刺繍に込めた自信さえ打ち砕くような屈辱。しかし、絶望の淵に立たされた彼女を見つめていたのは、王子ではなく、圧倒的な威厳を放つ「ある男」だった。
魂を焦がすような熱い視線が重なり、静まり返る謁見の間。この出会いが、王室を揺るがす大事件の幕開けになるとは、まだ誰も知らない。自身の価値を否定された少女が、真実の愛によって世界で最も幸福な王妃へと駆け上がる、逆転溺愛ストーリー。
※小説家になろう様にも投稿しています※