もふもふ大好き家族が聖女召喚に巻き込まれる~時空神様からの気まぐれギフト・スキル『ルーム』で家族と愛犬守ります~

鐘ケ江 しのぶ

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連載

道のり③

「お母さん、カルーラにいっとって。見らん方がよかよ」
「分かった。花、おいで」
「ふんふんっ」
 母は花を抱えて、サブ・ドアからカルーラに向かう。
 さあ、後片付けやね。
「晃太、落ち着いたら来てね」
「分かった」
 さっきまでひーひー言っていた晃太は、ソファーに座っている。ルージュの黒いバスケットボールが直撃したミゲル君も大丈夫だと。シーサーペントの鎧で覆われた背部だったみたいだ。流石ルージュ、ちゃんと狙ったんだよね。エマちゃんとテオ君に残ってもらう。
 私は息を整えて、ホークさん達と外に出る。
 うう、えぐい。
 地面が派手に陥没し、あちこちにオーガが引っ掛かっている。
 ビアンカとルージュ、仔達、ノワールが回り道しながら私の元に。怪我はなさそうや。
「わんわんっ」
「がるうっ」
「わんわんっ」
「わんわんっ」
『ねえね、つかれた~』
「はいはい、皆どろどろやね。さあ、おいで~」
 ノワールもぶひひん。ホークさんが誘導する。
『ユイ~、疲れたのです~、甘いのがいいのです~』
『エビ~』
 きゅるん、きゅるん、きゅるーん。
「はいはい」
 分かってますがな。
「2人とも、近くに魔物おらんよね?」
『いないのですね』
『近くにはね』
「一旦、ルームで休み」
 白い毛並みに色々付着してるぅ。
 従魔の足拭きをタップ。ノワールは装備品を外す。水分補給をさせる。まずは仔達をチーズクリームでシャンプー。済ませると疲れたのか、パタリと寝てしまう。
 ノワールの汚れた装備品は、ホークさんとチュアンさんが洗ってくれる。
「ビアンカ、ルージュ、シャンプー行く?」
『そうなのですね。でも、ユイ、オーガ回収するのですよね?』
「そうやね。魔石あるんやろ? 元気達のシャンプー代になるし」
『それまで付き合うわ。きっと汚れるし、シャンプーはその後ね』
「ありがとう」
 しばらくして、晃太も復活。ルームを開けっ放しにして、私と晃太、ホークさんとチュアンさん、ビアンカとルージュで出る。
 私とホークさん、チュアンさんはマジックバッグにオーガを入れていく。あの真っ二つの(仮)トロールはどうするかね。
「あれ、トロールよね?」
 倒した当事者のビアンカに確認。
『そうなのですね。特殊個体のトロールキングなのですよ』
 キングで特殊個体とな。
「珍しいん?」
『属性を持つ戦闘モードを使ったのです、かなり珍しいのですよ』
「へー」
 トロールは頭の弱い魔物のため、属性魔法なんて使えない。使わなくても種としては、その硬さやパワーを生まれながらに持っている。あの(仮)ではない、トロールキングは土魔法の戦闘モードを使っていたそうだ。
『雷女帝(エル・カテリーナ)だと、地面に雷を流されて、元気達に被害が出ると思って、風牙姫(ラファ・アミール)にしたのです』
「へー」
 風乙女(シルフィリア)より風牙姫(ラファ・アミール)の方が、上位戦闘モードなんだってさ。硬いと言われるトロール、真っ二つ。恐ろしか。別のトロールをつついたら、石みたいに硬い。多分、あのキングはもっと硬い。死んでても硬い。しかも戦闘モードでもっと硬かったはず。これを真っ二つ。怖かあ。因みに風牙姫(ラファ・アミール)は本当に短期決戦向き、レベルが上がったから使える戦闘モードなんだってさ。風乙女(シルフィリア)でも、私には十分に思えるけど。
「なんで地下におったんかね?」
『さあ、分からないのです』
『恐らく寝てただけじゃないかしら? トロールの上位種は何年も寝ていられるって聞いたわ。私達の戦闘音で、目覚めただけじゃない? トロールは目覚めは機嫌が悪いのよ、流石のオーガも、キングの手綱は握れないわ』
「そうなんやね」
 陥没した地面にあちこち引っ掛かっているオーガは、ルージュの黒い触手が引き上げてくれる。
「姉ちゃん、終わったばい」
 マジックバッグに回収した、オーガやトロールもすべて移し替えたし。
 陥没した地面は、ビアンカが魔法で穴だけ塞ぐ。疲れているのに、申し訳ないがノワールに鞍を着けて、移動する。近くでルーム開けたくなかったし。
 移動し、それからルームを開けて、ビアンカとルージュのシャンプーを済ませる。
 仔達はぐっすり寝ている。ノワールも疲れた様子。明日はゆっくりしようかね。きっと鷹の目の皆さんもよね。
「さて、と」
 夕御飯どうしようかね。
『ユイ~』
『エビ~』
「はいはい」
 きゅるん、きゅるん、きゅるーん。
 サブ・ドアから両親と花を誘導。あははははん、ぽちゃぽちゃあ。
「優衣、晃太、大丈夫ね?」
「うん。怪我はないしね」
『お母さ~ん』
『私達、頑張ったわ~』
 ビアンカとルージュが母にすり寄って行く。
「お疲れ様、頑張ったね~」
 よしよし。
 母と相談して、ビアンカとルージュはリクエスト聞いて、異世界のメニューにした。私達と仔達は水炊きを母が作ってくれていた。ノワールには苺と梨を追加しようかね。鷹の目の皆さん、今日疲れたならアルコールはどうしようかと思ったけど、ミゲル君がきゅるん。はいはい、解禁しようかね。
 まずはビアンカとルージュのカロリーお化けの夕御飯の準備して、と。仔達もご飯の準備出来たら、起きてもりもり食べている。
 アルコール解禁。私は缶チューハイ。しかし、私もこっちに染まって来たなあ。晃太の支援があるかもだけど、あんなにえぐい場面見て、ご飯食べれるんやから。映画のワンシーンにしか思えないんもん。ぽつり、と言う。
「姉ちゃん、それ勘違い。わい、ギリギリまで闇の支援魔法使っとるけんね。勘違いしたらいけんよ」
「そ、そうな。分かった。支援様々やね」
 そっか、支援ないなら、撃沈していたんやね。
 晃太はY県の日本酒をチョイスし、チュアンさんに勧めている。両親とホークさんとミゲル君はビール。マデリーンさんはロゼ。エマちゃんとテオ君はお茶。
「今日はお疲れ様。明日はゆっくりしましょう。頂きます」
「「「「「「いただきまーす」」」」」」
『足りないのですーッ』
『エビーッ』
「今、食べだしたんやけど」
 仕方なか、今日は頑張ったからね。追加をタップ。タップしていると、ビアンカとルージュの横にコハクが並んでいる。普通に並んでいる。あら? 従魔の部屋の柵はどうしたんやろ? 気になって、覗いてみると、元気と目が合う。従魔の部屋で助走を着けた元気と。
 あ、いかんっ。
 嫌な予感っ。
 私は咄嗟に従魔の部屋の前から避難。
 助走した元気が、此方に向かってダッシュ。笑顔満点で勢いよく飛んだはいいが、前肢が、柵に激突。
「わーッ」
 元気がぶつかった柵を支点に、100キロ越えた体が宙を舞う。
 まさにスローモーションの様に、元気が宙を舞う。で、そのまま背中から床にダイブ。
 ドカンッ、と音と共に。結構いい音。
「きゃいぃぃんっ」
 でしょうね。しかし、危なかった、下敷きになったら怪我じゃすまされなかったよっ。もしかしたら、私にとって今日一の危険さやないっ?
 きゅうん、と情けない悲鳴を上げる元気。よしよし。痛かったね。よしよし、だけど、おかわりを母が持っていくと、ばーッと走りよって行った。今、きゅうん、っていいよったやんっ。
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