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神からの依頼⑨
目を覚ます。
ああ、ぐっすり寝た。あれからどれくらい時間が経ったのだろう。まず、確認せんと。スマホはあるが、アイテムボックスとかにいれていると時間が止まってしまうので、もっぱら懐中時計で確認している。部屋の場合は、ベッドヘッドにある置き時計を見る。いつものように手を伸ばすと。
「あいたたたたたっ」
全身に言い様のない痛みが走る。どう動かしても、とにかく痛い。あ、これは、筋肉痛やっ、あいたたたたたーっ。昨日、ノワールに乗った時に、いつもより緊張してたし、力んでいたのかな。あいたたたたたーっ。湿布、湿布貼らんとっ。湿布、湿布、何処やったっけ? あ、ダイニングキッチンのシェルフに確か、あいたたたたたーっ。日頃の運動不足が、もろにくる。
どうにかこうにか起き上がり、時間を確認する。
5時だ。昨日、何時に横になったか分からない。あの雨の中、走ったノワール、そしてビアンカとルージュは大丈夫かな? ホークさんは。私みたいに筋肉痛にはならないと思うけど、かなりの負担になっているはず。イシスとアレスは、平気そうな顔していたけど、やっぱり心配や。そしてエマちゃん、熱下がったかなあ。確認せんと。
私は痛む身体をどうにか仰向けにすると、再び眠気に襲われてしまい、二度寝。気がついたら7時過ぎ、いかん、寝すぎや。起き上がると、あいたたたたたっ。痛み、変わってなか。
どうにかこうにか起き上がり、よろよろしながら、ドアに向かう。開けると、チュアンさんがいた。
「あ、ユイさん、お加減はっ」
「全身痛いです」
情けないけど事実。そうだ、チュアンさんの魔法でどうにか、なんて甘い考えが浮かぶ。
「わふんっ」
あ、元気が尻尾ぷりぷり来た。なんね、お姉ちゃんが心配やったね? いつもならまだ寝てる時間なのに、かわいかね。その後ろからヒスイも出てきた。
『ねえね~』
あはははんっ、かわいかっ。
「おいで~、あいたたたたたーっ」
いつものウェルカムしたら、元気がどーん、とくる。100キロ越えがどーん、私はひっくり返る。いつもなら受け止められるけど、痛みが走り、バランスを崩し、尻餅。更にあいたたたたたっ。そこにヒスイがごろにゃん。かわいかっ、いつもならかいかいしてあげるのだが、いかんせん、全身の筋肉が悲鳴を上げている。
「あいたたっ、なんね、なんね、あいたたたたたっ」
痛いが、かわいか仔達が来たらウェルカム。痛いけどね。
「ユイさん、大丈夫ですか?」
「な、なんとか、あいたたたたたっ」
みっともないが、チュアンさんの手を借りてよろよろしながら立ち上がる。
そこに。
「わんわんっ」
わがままボディをくねらせた花が、駆け寄って来た。あはははんっ、花ちゃん。前のめりになると、あちこち痛いの忘れて、いらっしゃいの体勢になり、あいたたっ。それでももふもふ。廊下の先には、ビアンカとルージュが鎮座して、向こうが見えない。
『ユイ、痛そうなのですね』
『そうね、妙な庇い方だわ。ヒスイ、こちらに戻っていらっしゃい』
『かあか~』
ヒスイがおとなしくルージュのもとに。
「ビアンカとルージュはどこか痛い所ないん?」
『大丈夫なのですよ』
『あれくらいならね。雨がしんどかったけど』
「そうな」
日頃からちゅどん、ドカンしてるからね。
「優衣、どうね?」
エプロン姿の母がビアンカとルージュの隙間を縫って出てきた。
「あんた、着替えんね」
「いや、あのね、あちこち痛いんよ」
パジャマのままの私。部屋に戻り、母が手伝ってくれて、着替える。あちこちに湿布も貼る。届かない背中にもはってもらう。チュアンさんに魔法をかけてもらおうかと思ったけど、単なる筋肉痛だからね、どうしようかと思ったら、軽くチュアンさんがかけてくれて、痛いが少し引いた。あまり魔法に頼ると自己回復能力が弱くなると。緊急時以外は魔法に頼るのはやめようかね。
母はどうやら花と共にルームに残っていろいろしてくれたようだ。
エマちゃんの様子も気になるけど、他の皆さんいろいろ混乱しているだろうしね。
「おはようございます」
母に付き添われて、メインルームに出ると、一斉に視線が集まる。皆さん、武装したままや。外して大丈夫なのに。冒険者としての意識の高さかな。
「ユイちゃん、大丈夫?」
アルスさんがたたた、とくる。いつもならホークさんが前に出るのだが、チュアンさんが代わりに前に出る。心配してくれとったんやね。ありがたい。
「アルスさん、大丈夫ですよ」
と、答えると、ファングさんとガリストさんがアルスさんを回収する。
ざ、と見るといないのは、ホークさんとエマちゃん。父もいないが、カルーラかな。
「優衣、とりあえず朝ごはんにしよう。食べて落ち着いて話さんね」
「そうやね。皆さん、朝ごはんにしましょう」
神様への報告どうしよう。これ以上ばれるのは避けたいから後かな。とりあえず朝のお祈りだけにしよう。心の中で昨日の事を報告。改めてしよう。
そして、私はまずは清掃をタップ。
「皆さん、装備品外して大丈夫ですよ」
完全武装したままの皆さんに声をかけると、顔を見合わせている。
「ほら」
と、指し示した先にはアレス。いろいろ丸出しでお腹出して寝ている。本当に元気ににてるよ。急所のお腹出して呑気に寝ているのを見て、やっと装備品を外しだした。さ、私はお手伝いだが、いかんせん筋肉痛が。それにこれだけ大人数だから、母と相談し異世界のメニューに頼ろう。
ダイニングキッチンではマデリーンさんやミゲル君とテオ君が朝ごはんのお手伝いをしている。作業の手を止めて、心配してくれる。
「すみませんユイさん、私、起きていられなくって…………」
どうやらマデリーンさんは私がノワール達と出た後疲労からすぐに回復できず、横になったと。いつもなら私みたいに筋肉痛だろうけど、自己回復あるからね、異常ないそうだ、良かった。マデリーンさん的には主人の私が雨の中走っているのに、休んでしまって申し訳ないと。
「そんな、気にしなくてもいいですよ。無理して体調崩したら元もこもないんですから」
「ユイさん………」
「ミゲル君とテオ君は?」
「あ、俺は大丈夫ですっ」
「俺もっ」
「良かった。お母さんば手伝ってくれる?」
「「「はい」」」
それからカルーラの父も呼ぶ。
装備品を外した皆さんが手伝ってくれて、まずはビアンカやルージュ達のご飯だ。母が作った鍋を次々に運んでくれる。ノワールのたっぷり野菜も運んでもらう。ノワールも特に異常はないようで良かった。
イシスも特に異常はないようで、トーストをパクパク食べている。仔達ももりもり、シルフィ達はアリスのお乳に吸い付いている。かわいか。その最中にホークさんが起きてきた。
「あ、ホークさん、どこか痛い所はないですか?」
「はい、俺は」
そうは言っているが、足元をチョロチョロしている花をさわる動作がどこかぎこちない。やっぱり痛いんやない。
「ホークさん、湿布貼りましょう」
「いや、自分でしますからっ」
湿布片手に迫る私に、ホークさんはぶんぶんと首を横に降る。結局、チュアンさんに手伝ってもらって貼ってる。
『ユイ、おかわりなのです~』
『昨日走ったからいいでしょう~』
『おかわりなのだっ』
『所望スル』
わんわん、がうがう、クルクルッ。
はいはい、分かったがな。
トースターフル回転でトーストを焼く。
私はその間にエマちゃんの様子を父と見に行く。母が作ったスープをテオ君が運んでくれる。
ノックして返事あり、そっと入ると、エマちゃんがもぞもぞと起き上がろうとしていた。
「エマちゃん、無理せんでよかよ」
「ユイさん…………」
掠れた声のエマちゃんの顔には、いつもの活気がない。まだ、具合悪いんや。
私はベッドサイドに膝をつく。あちこち痛いが仕方ない。
「エマちゃん、お熱測るよ」
父がお熱チェック。38.4。まだ、発熱しとるね。小児用の抗生剤が効果あるみたいで、ダイアナちゃんの体重と比較して、2錠内服とする。解熱剤も一緒にね。
父が準備する間にスープを出すと、エマちゃんがぐずぐずと泣き出す。
「ど、どうしたんエマちゃん? どこか苦しいね?」
「違う、違うの、迷惑かけちゃった…………」
「何が迷惑ね」
「だって、自己管理、出来てなくて、グズッ、熱出して………」
なんや、そんな事か。
「エマちゃん、熱が出たのは仕方ないんよ。どんなに気を付けても、熱が出る時は出るんよ」
私はそっと背中をさすり、落ち着くのを待つ。
落ち着いたエマちゃんにスープをゆっくり飲ませて、内服確認。布団をかけ直し、おでこに貼るタイプの冷却材をぺたり。スポーツ飲料水の残量確認して、と。よし。
「エマちゃん、また様子を見に来るからね。何かおかしいと思ったら呼ぶんよ」
「うん」
私はエマちゃんの首もとまで、布団を引き上げる。
「ユイさん…………」
「ん? なんね?」
「ううん、何でもない。ありがとうユイさん」
「しっかり、休むんよ」
「うん」
私は冷却材を貼ったエマちゃんのおでこをさする。
よくなりますように。
エマちゃんの部屋から出て、ダイニングキッチンに。お腹減った。皆さんもだろうね。テーブルの上には出来上がった朝ごはん。
「ビアンカ、ルージュ、ごめんけどアレスや元気が出んように見張ってくれる?」
『まだ、食べれるのです』
『入るわよ』
きゅるん、と訴えるが、母が却下する。しぶしぶとアレスを引き摺りながら従魔の部屋に。イシスとオシリスは、ホルスと共に早々と入っている。
「さて、足りんから、JOY-Pから選ぶかね」
同じのにするかね。
「わい。和定食」
「皆さんに合わせんね」
こちらは米があっても、どうしても小麦食のパン食だからね。トーストプレートモーニングだね。人数分タップと。軽くトーストされた食パンに、レタス、小型のハッシュドポテト、ウインナーがのってる。他にもトーストプレートモーニングは別バージョンがあるけど、異世界のメニューは常に全てが表示されないからね。本日はこちらのみ。
皆さん、どんどん出てくるプレートに、うん? みたいな感じだけど。
「さあさあ、皆さん、持っていってくださいねー」
と、勧める。うん? となりながらもプレートを手にする皆さん。
全員がダイニングキッチンで食べられないので、申し訳ないが、メインルームで直に座って食べることに。初期に使っていた低いテーブルには、足りないだろうからと準備した朝ごはんが並ぶ。卵焼きは3種類。ネギ入り、ツナ入り、何も入ってないの。大量の茹でウインナー。ハムはセレクトショップダリアの御贈答用の高めのやつ。レタス、パプリカ、じゃこのサラダ。ディレックスのロールパンとパックのコーンスープ。ジュースと牛乳、紅茶が並ぶ。コーヒーは希望のある人だけ。こちらは紅茶率が高いからね。ガリストさんとツヴァイクさんが希望されて、せっかくだからドリップコーヒーにしてみた。後はパンの時はコーヒーの父とミゲル君にも。私と晃太はカフェオレ。興味が湧いたのか、マアデン君とハジェル君もカフェオレ。
両親だけ、テーブルについて、私達は床。あたたた、どうにか座り直す。行き渡ったかね。
「では、いただきます」
「「「「「いただきまーす」」」」」
まずはコーンスープ。ふう、暖かい。
「ユイさん、食事までありがとうございます」
ロッシュさんがプレートを持ったまま言ってくる。
「テイマーさん、本当にありがとうございます」
「ミズサワ殿、貴女は命の恩人です。本当に感謝します」
「我々もです。温かい食事までありがとうございます」
ファングさん、フェリクスさん、ケルンさんからもあり。
「いいんですよ、こちらが勝手に準備したんですから。さ、食べてください。足りなかったら言ってくださいね」
「ありがとうございます」
やっと各リーダーさん達が食べ始める。
だけど、皆さんよく食べる。身体が資本だからね。
「おかわりいる方ー」
はーい。と手を上げるのはハジェル君とアルスさん。
『私もなのですー』
『私もー』
『我もー』
「あんだけ食べてまだ食べるね」
私はツッコミ。
それからおかわりタップして、ふう、お腹いっぱいや。
「ユイさん、その板みたいの、マジックバッグなんすか?」
と、オレンジジュースを飲んでいたハジェル君が聞いてくる。私が液晶画面をタップしたら、食事が出てくるから勘違いしたかな?
「うーん、ちょっと違うんやけどね」
なんて説明するかな? この液晶画面は異世界のメニューと連動している。お金やポイントが必要だけどね。
「こら、ハジェル」
ロッシュさんがピシャッ。本来、特殊スキルをあれこれ説明しないものなんだって。弱味になったりするから。しゅん、とするハジェル君。
そう言えば、特別オプションいろいろ付いたなあ。
見て見ようかな。
私は液晶画面を操作する。
「姉ちゃん、どうしたん?」
「ん? 特別オプションがいろいろ付いたみたいやからね」
「ふーん、何が付いたん」
晃太も手元の液晶画面を覗く。
どれどれ。
オプション 自動販売機
キッチンカー・移動販売車(日替り)
コインランドリー
テニスコート(2面)
サッカーグラウンド
野球場
体育館
更衣室(トイレ・売店・シャワー・自動販売機付き)
グランピング(コテージ)
スーパー銭湯
…………………………………………………………………………………
来たーっ、銭湯ーっ。テンション上がるぅっ。
私はスーパー銭湯を指し示す。晃太は、ん、と返事。正にアイコンタクト。
「じゃ、スーパー銭湯で」
ほわっちゃーっ。
「落ち着かんね」
母がぽこんと、液晶画面を覗き込んでいた私と晃太の頭を叩いた。
ああ、ぐっすり寝た。あれからどれくらい時間が経ったのだろう。まず、確認せんと。スマホはあるが、アイテムボックスとかにいれていると時間が止まってしまうので、もっぱら懐中時計で確認している。部屋の場合は、ベッドヘッドにある置き時計を見る。いつものように手を伸ばすと。
「あいたたたたたっ」
全身に言い様のない痛みが走る。どう動かしても、とにかく痛い。あ、これは、筋肉痛やっ、あいたたたたたーっ。昨日、ノワールに乗った時に、いつもより緊張してたし、力んでいたのかな。あいたたたたたーっ。湿布、湿布貼らんとっ。湿布、湿布、何処やったっけ? あ、ダイニングキッチンのシェルフに確か、あいたたたたたーっ。日頃の運動不足が、もろにくる。
どうにかこうにか起き上がり、時間を確認する。
5時だ。昨日、何時に横になったか分からない。あの雨の中、走ったノワール、そしてビアンカとルージュは大丈夫かな? ホークさんは。私みたいに筋肉痛にはならないと思うけど、かなりの負担になっているはず。イシスとアレスは、平気そうな顔していたけど、やっぱり心配や。そしてエマちゃん、熱下がったかなあ。確認せんと。
私は痛む身体をどうにか仰向けにすると、再び眠気に襲われてしまい、二度寝。気がついたら7時過ぎ、いかん、寝すぎや。起き上がると、あいたたたたたっ。痛み、変わってなか。
どうにかこうにか起き上がり、よろよろしながら、ドアに向かう。開けると、チュアンさんがいた。
「あ、ユイさん、お加減はっ」
「全身痛いです」
情けないけど事実。そうだ、チュアンさんの魔法でどうにか、なんて甘い考えが浮かぶ。
「わふんっ」
あ、元気が尻尾ぷりぷり来た。なんね、お姉ちゃんが心配やったね? いつもならまだ寝てる時間なのに、かわいかね。その後ろからヒスイも出てきた。
『ねえね~』
あはははんっ、かわいかっ。
「おいで~、あいたたたたたーっ」
いつものウェルカムしたら、元気がどーん、とくる。100キロ越えがどーん、私はひっくり返る。いつもなら受け止められるけど、痛みが走り、バランスを崩し、尻餅。更にあいたたたたたっ。そこにヒスイがごろにゃん。かわいかっ、いつもならかいかいしてあげるのだが、いかんせん、全身の筋肉が悲鳴を上げている。
「あいたたっ、なんね、なんね、あいたたたたたっ」
痛いが、かわいか仔達が来たらウェルカム。痛いけどね。
「ユイさん、大丈夫ですか?」
「な、なんとか、あいたたたたたっ」
みっともないが、チュアンさんの手を借りてよろよろしながら立ち上がる。
そこに。
「わんわんっ」
わがままボディをくねらせた花が、駆け寄って来た。あはははんっ、花ちゃん。前のめりになると、あちこち痛いの忘れて、いらっしゃいの体勢になり、あいたたっ。それでももふもふ。廊下の先には、ビアンカとルージュが鎮座して、向こうが見えない。
『ユイ、痛そうなのですね』
『そうね、妙な庇い方だわ。ヒスイ、こちらに戻っていらっしゃい』
『かあか~』
ヒスイがおとなしくルージュのもとに。
「ビアンカとルージュはどこか痛い所ないん?」
『大丈夫なのですよ』
『あれくらいならね。雨がしんどかったけど』
「そうな」
日頃からちゅどん、ドカンしてるからね。
「優衣、どうね?」
エプロン姿の母がビアンカとルージュの隙間を縫って出てきた。
「あんた、着替えんね」
「いや、あのね、あちこち痛いんよ」
パジャマのままの私。部屋に戻り、母が手伝ってくれて、着替える。あちこちに湿布も貼る。届かない背中にもはってもらう。チュアンさんに魔法をかけてもらおうかと思ったけど、単なる筋肉痛だからね、どうしようかと思ったら、軽くチュアンさんがかけてくれて、痛いが少し引いた。あまり魔法に頼ると自己回復能力が弱くなると。緊急時以外は魔法に頼るのはやめようかね。
母はどうやら花と共にルームに残っていろいろしてくれたようだ。
エマちゃんの様子も気になるけど、他の皆さんいろいろ混乱しているだろうしね。
「おはようございます」
母に付き添われて、メインルームに出ると、一斉に視線が集まる。皆さん、武装したままや。外して大丈夫なのに。冒険者としての意識の高さかな。
「ユイちゃん、大丈夫?」
アルスさんがたたた、とくる。いつもならホークさんが前に出るのだが、チュアンさんが代わりに前に出る。心配してくれとったんやね。ありがたい。
「アルスさん、大丈夫ですよ」
と、答えると、ファングさんとガリストさんがアルスさんを回収する。
ざ、と見るといないのは、ホークさんとエマちゃん。父もいないが、カルーラかな。
「優衣、とりあえず朝ごはんにしよう。食べて落ち着いて話さんね」
「そうやね。皆さん、朝ごはんにしましょう」
神様への報告どうしよう。これ以上ばれるのは避けたいから後かな。とりあえず朝のお祈りだけにしよう。心の中で昨日の事を報告。改めてしよう。
そして、私はまずは清掃をタップ。
「皆さん、装備品外して大丈夫ですよ」
完全武装したままの皆さんに声をかけると、顔を見合わせている。
「ほら」
と、指し示した先にはアレス。いろいろ丸出しでお腹出して寝ている。本当に元気ににてるよ。急所のお腹出して呑気に寝ているのを見て、やっと装備品を外しだした。さ、私はお手伝いだが、いかんせん筋肉痛が。それにこれだけ大人数だから、母と相談し異世界のメニューに頼ろう。
ダイニングキッチンではマデリーンさんやミゲル君とテオ君が朝ごはんのお手伝いをしている。作業の手を止めて、心配してくれる。
「すみませんユイさん、私、起きていられなくって…………」
どうやらマデリーンさんは私がノワール達と出た後疲労からすぐに回復できず、横になったと。いつもなら私みたいに筋肉痛だろうけど、自己回復あるからね、異常ないそうだ、良かった。マデリーンさん的には主人の私が雨の中走っているのに、休んでしまって申し訳ないと。
「そんな、気にしなくてもいいですよ。無理して体調崩したら元もこもないんですから」
「ユイさん………」
「ミゲル君とテオ君は?」
「あ、俺は大丈夫ですっ」
「俺もっ」
「良かった。お母さんば手伝ってくれる?」
「「「はい」」」
それからカルーラの父も呼ぶ。
装備品を外した皆さんが手伝ってくれて、まずはビアンカやルージュ達のご飯だ。母が作った鍋を次々に運んでくれる。ノワールのたっぷり野菜も運んでもらう。ノワールも特に異常はないようで良かった。
イシスも特に異常はないようで、トーストをパクパク食べている。仔達ももりもり、シルフィ達はアリスのお乳に吸い付いている。かわいか。その最中にホークさんが起きてきた。
「あ、ホークさん、どこか痛い所はないですか?」
「はい、俺は」
そうは言っているが、足元をチョロチョロしている花をさわる動作がどこかぎこちない。やっぱり痛いんやない。
「ホークさん、湿布貼りましょう」
「いや、自分でしますからっ」
湿布片手に迫る私に、ホークさんはぶんぶんと首を横に降る。結局、チュアンさんに手伝ってもらって貼ってる。
『ユイ、おかわりなのです~』
『昨日走ったからいいでしょう~』
『おかわりなのだっ』
『所望スル』
わんわん、がうがう、クルクルッ。
はいはい、分かったがな。
トースターフル回転でトーストを焼く。
私はその間にエマちゃんの様子を父と見に行く。母が作ったスープをテオ君が運んでくれる。
ノックして返事あり、そっと入ると、エマちゃんがもぞもぞと起き上がろうとしていた。
「エマちゃん、無理せんでよかよ」
「ユイさん…………」
掠れた声のエマちゃんの顔には、いつもの活気がない。まだ、具合悪いんや。
私はベッドサイドに膝をつく。あちこち痛いが仕方ない。
「エマちゃん、お熱測るよ」
父がお熱チェック。38.4。まだ、発熱しとるね。小児用の抗生剤が効果あるみたいで、ダイアナちゃんの体重と比較して、2錠内服とする。解熱剤も一緒にね。
父が準備する間にスープを出すと、エマちゃんがぐずぐずと泣き出す。
「ど、どうしたんエマちゃん? どこか苦しいね?」
「違う、違うの、迷惑かけちゃった…………」
「何が迷惑ね」
「だって、自己管理、出来てなくて、グズッ、熱出して………」
なんや、そんな事か。
「エマちゃん、熱が出たのは仕方ないんよ。どんなに気を付けても、熱が出る時は出るんよ」
私はそっと背中をさすり、落ち着くのを待つ。
落ち着いたエマちゃんにスープをゆっくり飲ませて、内服確認。布団をかけ直し、おでこに貼るタイプの冷却材をぺたり。スポーツ飲料水の残量確認して、と。よし。
「エマちゃん、また様子を見に来るからね。何かおかしいと思ったら呼ぶんよ」
「うん」
私はエマちゃんの首もとまで、布団を引き上げる。
「ユイさん…………」
「ん? なんね?」
「ううん、何でもない。ありがとうユイさん」
「しっかり、休むんよ」
「うん」
私は冷却材を貼ったエマちゃんのおでこをさする。
よくなりますように。
エマちゃんの部屋から出て、ダイニングキッチンに。お腹減った。皆さんもだろうね。テーブルの上には出来上がった朝ごはん。
「ビアンカ、ルージュ、ごめんけどアレスや元気が出んように見張ってくれる?」
『まだ、食べれるのです』
『入るわよ』
きゅるん、と訴えるが、母が却下する。しぶしぶとアレスを引き摺りながら従魔の部屋に。イシスとオシリスは、ホルスと共に早々と入っている。
「さて、足りんから、JOY-Pから選ぶかね」
同じのにするかね。
「わい。和定食」
「皆さんに合わせんね」
こちらは米があっても、どうしても小麦食のパン食だからね。トーストプレートモーニングだね。人数分タップと。軽くトーストされた食パンに、レタス、小型のハッシュドポテト、ウインナーがのってる。他にもトーストプレートモーニングは別バージョンがあるけど、異世界のメニューは常に全てが表示されないからね。本日はこちらのみ。
皆さん、どんどん出てくるプレートに、うん? みたいな感じだけど。
「さあさあ、皆さん、持っていってくださいねー」
と、勧める。うん? となりながらもプレートを手にする皆さん。
全員がダイニングキッチンで食べられないので、申し訳ないが、メインルームで直に座って食べることに。初期に使っていた低いテーブルには、足りないだろうからと準備した朝ごはんが並ぶ。卵焼きは3種類。ネギ入り、ツナ入り、何も入ってないの。大量の茹でウインナー。ハムはセレクトショップダリアの御贈答用の高めのやつ。レタス、パプリカ、じゃこのサラダ。ディレックスのロールパンとパックのコーンスープ。ジュースと牛乳、紅茶が並ぶ。コーヒーは希望のある人だけ。こちらは紅茶率が高いからね。ガリストさんとツヴァイクさんが希望されて、せっかくだからドリップコーヒーにしてみた。後はパンの時はコーヒーの父とミゲル君にも。私と晃太はカフェオレ。興味が湧いたのか、マアデン君とハジェル君もカフェオレ。
両親だけ、テーブルについて、私達は床。あたたた、どうにか座り直す。行き渡ったかね。
「では、いただきます」
「「「「「いただきまーす」」」」」
まずはコーンスープ。ふう、暖かい。
「ユイさん、食事までありがとうございます」
ロッシュさんがプレートを持ったまま言ってくる。
「テイマーさん、本当にありがとうございます」
「ミズサワ殿、貴女は命の恩人です。本当に感謝します」
「我々もです。温かい食事までありがとうございます」
ファングさん、フェリクスさん、ケルンさんからもあり。
「いいんですよ、こちらが勝手に準備したんですから。さ、食べてください。足りなかったら言ってくださいね」
「ありがとうございます」
やっと各リーダーさん達が食べ始める。
だけど、皆さんよく食べる。身体が資本だからね。
「おかわりいる方ー」
はーい。と手を上げるのはハジェル君とアルスさん。
『私もなのですー』
『私もー』
『我もー』
「あんだけ食べてまだ食べるね」
私はツッコミ。
それからおかわりタップして、ふう、お腹いっぱいや。
「ユイさん、その板みたいの、マジックバッグなんすか?」
と、オレンジジュースを飲んでいたハジェル君が聞いてくる。私が液晶画面をタップしたら、食事が出てくるから勘違いしたかな?
「うーん、ちょっと違うんやけどね」
なんて説明するかな? この液晶画面は異世界のメニューと連動している。お金やポイントが必要だけどね。
「こら、ハジェル」
ロッシュさんがピシャッ。本来、特殊スキルをあれこれ説明しないものなんだって。弱味になったりするから。しゅん、とするハジェル君。
そう言えば、特別オプションいろいろ付いたなあ。
見て見ようかな。
私は液晶画面を操作する。
「姉ちゃん、どうしたん?」
「ん? 特別オプションがいろいろ付いたみたいやからね」
「ふーん、何が付いたん」
晃太も手元の液晶画面を覗く。
どれどれ。
オプション 自動販売機
キッチンカー・移動販売車(日替り)
コインランドリー
テニスコート(2面)
サッカーグラウンド
野球場
体育館
更衣室(トイレ・売店・シャワー・自動販売機付き)
グランピング(コテージ)
スーパー銭湯
…………………………………………………………………………………
来たーっ、銭湯ーっ。テンション上がるぅっ。
私はスーパー銭湯を指し示す。晃太は、ん、と返事。正にアイコンタクト。
「じゃ、スーパー銭湯で」
ほわっちゃーっ。
「落ち着かんね」
母がぽこんと、液晶画面を覗き込んでいた私と晃太の頭を叩いた。
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こじまき異世界に聖女として召喚されたイラストレーターのチヒロ。しかし聖女には給料も休みもないことを知って「じゃあやらないです」と聖女就任を断る。
「国と人を救う崇高な仕事には、私どもからの感謝を捧げよう」
「心底いらないです」
異世界でまで、やりがい搾取されてたまるかよ。
※小説家になろうにも投稿しています
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまうリリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、悪役令嬢として断罪された少女が、「誰かの物語の脇役」ではなく、自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
五年も笑わなかった辺境伯の娘が、追放された保育係の令嬢の前で初めて笑った
歩人(あゆと)侯爵令嬢クラリスは、五年間、兄夫婦の公爵家で三人の御子の保育を任されてきた。表向きは「下女扱い」だったが、彼女の保育記録には毎日の歌・手作りの絵札・夜泣きの記録が綿密に綴られていた。「育児など侍女の手伝い。本物の貴族のすることではないわ」兄嫁の侮辱に、クラリスは保育記録帳を置いて去る。訪ねた先は、妻を亡くした辺境伯ロタールの屋敷だった。彼の娘リーリャは六歳、母を亡くして以来、誰の前でも笑わなかった。「五年、御子さま方を見続けたあなたなら、リーリャの心も読めるだろうか」ロタールの不器用な依頼に、クラリスは静かに頷く。春が来る頃、リーリャは初めて声を上げて笑った。クラリスの隣で、ロタールも気づくと微笑んでいた——五年ぶりに。
【完結済】ワザと醜い令嬢をしていた令嬢一家華麗に亡命する
satomi醜く自らに魔法をかけてケルリール王国王太子と婚約をしていた侯爵家令嬢のアメリア=キートウェル。フェルナン=ケルリール王太子から醜いという理由で婚約破棄を言い渡されました。
もう王太子は能無しですし、ケルリール王国から一家で亡命してしまう事にしちゃいます!
【完結】妹は庶子、文句があるか? 常識なんてぶっ飛ばせ!
青空一夏(ざまぁ×癒し×溺愛)
庶子として公爵家に引き取られたアメリアは、
王立学園で冷たい視線に晒されながらも、ほんの少しの希望を胸に通っていた。
――だが、彼女はまだ知らなかった。
「庶子」の立場が、どれほど理不尽な扱いを受けるものかを。
心が折れかけたそのとき。
彼女を迎えに現れたのは、兄――オルディアーク公爵、レオニルだった。
「大丈夫。……次は、俺が一緒に通うから」
妹を守るためなら、学園にだって入る!
冷酷なはずの公爵閣下は、妹にだけとことん甘くて最強です。
※兄が妹を溺愛するお話しです。
※ざまぁはありますが、それがメインではありません。
※某サイトコンテスト用なので、いつもと少し雰囲気が違いますが、楽しんでいただけたら嬉しいです。