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変わらないもの⑥
西門で時間通りに集合。
私達はまずペッリル工房でオシリスの鞍の試着をする。確かに、ノワールの鞍に比べたら軽量化されて薄いが、素材がいいため、深い茶色で見た目高級感漂っている。サイズも問題なく、オシリスに装着して不具合がないか確認。
「くうっ、くうっ」
『思ったより軽いのですって』
『これなら飛ぶのに支障はないそうよ』
ビアンカとルージュが通訳、更に私が通訳。
「では実際に飛行を」
と、言うことで、西門に向かう。オシリスは鞍を装着したまま移動する。シルフィ達はバギーにのせて、と。
すでにいたラスチャーニエの皆さんに、元気がぷりぷりとご挨拶に向かう。
『お、あの強い雄なのだなっ』
アレスまで向かう。やめて。狙われたエドワルドさんは引いてる。
「皆さんお待たせしました」
「いえ、さっき来たばかりですので」
ケルンさんが答えてくれる。元気はツヴァイクさんが満面の笑みで撫でてくれている。アレスはビアンカとルージュに回収してもらう。
私達はご挨拶して、イピオスさんとアグノスさんをご紹介。それからノワールの引く馬車に乗り込む。馭者台にはホークさんとミゲル君。
ビアンカとルージュ達、仔達は並走。イシス飛行部隊はゆっくり飛行して付いてくる。オシリスは問題なく飛行している。イピオスさんとアグノスさんは、窓からオシリスの飛行姿をチェックしている。シルフィが私の膝に乗ろうとしてくる。あははん、かわいか。重くなったなあ。なんね、かわいかね。ちゅー。
「今のところ問題はなさそうだな」
「そうね。稼働も邪魔してないようだわ」
以前、オシリスの飛行姿を見た場所まで移動。
イピオスさんとアグノスさんは降りて直ぐにオシリスに張り付く。ビアンカとルージュ、晃太が通訳に回る。ホークさんも付き添う。
私はマデリーンさんと、シートを敷いたり、アレスが仔達を引き連れて爆走していくのを見送る。アレスの首にSサイズのマジックバック2つぶら下げたけど、大丈夫よね? イシスは大人しく飛行しているオシリスを眺めている。ラスチャーニエのケルンさんも静かに見上げている。
シルフィ達はエマちゃんとテオ君が、アリス見まもりの中で遊んでいる。
ううっ、寒かっ。暖かいお茶出そう。シートと風避けの幕には保温と遮断の一時付与があるから、全然違う。
こんなこともあろうかと、予めお茶の準備をしていた。お茶請けもオッケーと。無難にもへじ生活のクッキーだ。匂いに釣られて、シルフィ達が来るがダメよ、まだ、おっぱいやろうもん。チュアンさんとミゲル君がゼリーで誤魔化す。まあ、釣れたのはシルフィ達だけではない。
『甘い匂いなのです~』
『私も食べたいわ~』
「ダメよ、夕御飯ご馳走にするけん今は我慢よ。皆さん、暖かいお茶ですよ」
通訳していたビアンカとルージュがすり寄って来たけど、デカイ鼻面を押し返す。
「ありがとうございますミズサワ殿」
ヒェリさんが大きな手で、カップを包むように持つ。
「菓子まで、頂きます」
「ありがとうございます」
ツヴァイクさんとエドワルドさんが丁寧にお礼を言って、クッキーを頬張る。あら、お菓子、甘味大好きケルンさん来ないけど。じっとオシリス達を見ている。
「おそらく、グリフォンに騎乗する姿を見たいんだと思います」
と、ヒェリさん。
「へー、何でです?」
「随分前ですが、ジューバと言う国で天馬(ペガサス)部隊の飛行を見た事がありましてね。その時、騎士達と交流したんですよ」
わお、やぶ蛇やっちゃった。
「隣国に攻めいられて滅ぼされてしまったのは?」
「ええ、話は聞いてます」
言葉濁したいけど。既にホークさんに天馬騎士(ペガサスナイト)の称号があるのはバレてるから意味ないかな? 馬に関する生まれつきの称号はジューバで発現しやすかったし、馬と接する機会に恵まれていたので、自然消滅することも少なかったそうだ。称号って、あってもちゃんと努力や訓練してないとすぐでないが消滅するからね。ジューバは馬に関する称号持ちにしたら、環境が適していたんやろうね。
「その頃、我々は違う国にいましてね。救助に駆けつけられなかったんですよ。随分知り合いが亡くなってしまいました」
ふう、と息をつくヒェリさんの顔は寂しそうだ、そして視線をホークさんに。
「ケルンは、きっと彼に、かつての友人達の姿を見ているんでしょうね」
そうなんだ。
ジューバの騎士団はペガサスや戦車馬(チャリオット・ホース)を抱えていた。おそらく、この大陸で今でもそれだけの馬達を抱えた騎士団はない。ケルンさんは、今でも救助に行けなかったのを気にやんでいるんやろうか? まあ、私でも、同じ立場なら悔やむよね。もう30年以上も前だけど、長命であるエルフのケルンさんにしたら最近の事かも。
しばらく黙って見ていると、オシリスが着地。イピオスさんとアグノスさんが色々チェック。ホークさんが通訳の晃太とビアンカとルージュを交えて話をしている。どんな具合かな?
見ていたら、どうやらシルフィ達がおねむだ。アリスにぴったり張り付いて眠ってしまった。あははん、かわいか。
のほほん、と見ていたら、オシリスがやおら体勢を変える。ホークさんに背中を見せて、お尻から寄っていってる。あら、どうしたんやろ。
晃太とホークさんが困惑しているようや。私はシートから立ち上がり、2人の元に。
「どうしたん?」
駆け寄ると、ホークさんが悩む仕草だ。
『乗れと言っているのです』
と、ビアンカが説明。
「え? いきなりできるん?」
『オシリスはいけるって言っているわ』
「ホークさん、どうします?」
「そうですね。オシリス本人が乗れと言うのであれば、チャンスだとは思います。騎乗してみます」
ホークさんはすぐに決断。
「気を付けてくださいね。オシリス、ゆっくり飛んでね、最初やけん」
「くうっ、くうっ」
任せろって感じかな?
『任せておけ、ですって』
あ、やっぱり。オシリスも表情豊かだから、言葉が分からなくてもなんとなくわかる。
ホークさんは早速ゴーグルを装着。
イピオスさんとアグノスさんに確認すると、鞍に問題はなく、実際に騎乗してから問題がないか確認したいそうだ。
『少し離れた方がいいのです』
ビアンカの注意が来るので、少し離れる。
「オシリス、頼むけん、ゆっくりね」
「くうっ」
だ、大丈夫よね?
「ミズサワ殿、まさか、今日騎乗を?」
ケルンさんまで心配してくれる。
「はい、オシリスがいけるって」
「そうですか……………」
ケルンさんの目に、懐かしさと寂しさと心配が浮かぶ。
ホークさんはいつもの様に、鞍に跨がり、手綱を握る。
だ、大丈夫よね?
私達の心配を他所に、オシリスはまずは地上を走り出す。流石ホークさん、まったくぶれなく騎乗出来ている。ノワールに比べたらゆっくりスピード。
バサアッ、と翼が広がる。
あ、飛ぶっ。
ぶわあぁぁぁぁっ、とオシリスがフル装備のホークさんの重みをもろともせず、空に舞い上がる。
うわぁぁっ、凄かっ。オシリスはゆっくりまっすぐ上昇していく。あ、あんまり高いと、ほら、圧とかさ。ホークさん、初めての飛行なのにまったく動じていない。騎乗主が慌てていたら、乗せてる対象も不安やろうなあ。あっ、なんや、私も乗らんといかんけど、ちょっと怖くなってきた。だって、数日間は訓練必要やろうなあって、たかをくくっていたし。いきなり、ユイさん、乗って見ましょうとか言われないかな? こ、怖かっ。
怖かと思っていたら、オシリスがくるん、と横回転。やめて、オシリス君や、余計な芸はせんでよかよー。くるん、くるん。
「流石称号持ちですね。初回でこのように乗りこなせるとは」
ケルンさんが懐かしさ溢れる眼差しで、飛行するオシリスとホークさんを見ている。
しばらくして、オシリスがゆっくり無事に着地。
「ホークさん、どうですか?」
「問題はありません」
ゴーグルを外すホークさん、動作がカッコよか。
「オシリスは? 私も乗ることになるけど、どう?」
「くうっ、くうっ」
『ユイくらいまでなら乗せられるのですって』
「そ、そうね」
「くうっ、くうっ」
オシリスが鞍を見せるように、お尻から私によってくる。うん、モコモコやから触りたか。よしよし。あははん、嫌な予感。
「くうっ」
『ユイ、オシリスが乗れ、と言っているのですよ』
あははん、やっぱりー。いきなり今日乗るとは思ってなかったけど。心の準備が。
だけど、せっかくホークさんがうまく乗れたから、勢いって大事よね?
「あんまり高く飛ばんなら」
「くうっ」
任せろって、言ってるんだよね、きっと。
まさか今日飛ぶとは思わなかったけど、私はオシリスに騎乗することになった。
私達はまずペッリル工房でオシリスの鞍の試着をする。確かに、ノワールの鞍に比べたら軽量化されて薄いが、素材がいいため、深い茶色で見た目高級感漂っている。サイズも問題なく、オシリスに装着して不具合がないか確認。
「くうっ、くうっ」
『思ったより軽いのですって』
『これなら飛ぶのに支障はないそうよ』
ビアンカとルージュが通訳、更に私が通訳。
「では実際に飛行を」
と、言うことで、西門に向かう。オシリスは鞍を装着したまま移動する。シルフィ達はバギーにのせて、と。
すでにいたラスチャーニエの皆さんに、元気がぷりぷりとご挨拶に向かう。
『お、あの強い雄なのだなっ』
アレスまで向かう。やめて。狙われたエドワルドさんは引いてる。
「皆さんお待たせしました」
「いえ、さっき来たばかりですので」
ケルンさんが答えてくれる。元気はツヴァイクさんが満面の笑みで撫でてくれている。アレスはビアンカとルージュに回収してもらう。
私達はご挨拶して、イピオスさんとアグノスさんをご紹介。それからノワールの引く馬車に乗り込む。馭者台にはホークさんとミゲル君。
ビアンカとルージュ達、仔達は並走。イシス飛行部隊はゆっくり飛行して付いてくる。オシリスは問題なく飛行している。イピオスさんとアグノスさんは、窓からオシリスの飛行姿をチェックしている。シルフィが私の膝に乗ろうとしてくる。あははん、かわいか。重くなったなあ。なんね、かわいかね。ちゅー。
「今のところ問題はなさそうだな」
「そうね。稼働も邪魔してないようだわ」
以前、オシリスの飛行姿を見た場所まで移動。
イピオスさんとアグノスさんは降りて直ぐにオシリスに張り付く。ビアンカとルージュ、晃太が通訳に回る。ホークさんも付き添う。
私はマデリーンさんと、シートを敷いたり、アレスが仔達を引き連れて爆走していくのを見送る。アレスの首にSサイズのマジックバック2つぶら下げたけど、大丈夫よね? イシスは大人しく飛行しているオシリスを眺めている。ラスチャーニエのケルンさんも静かに見上げている。
シルフィ達はエマちゃんとテオ君が、アリス見まもりの中で遊んでいる。
ううっ、寒かっ。暖かいお茶出そう。シートと風避けの幕には保温と遮断の一時付与があるから、全然違う。
こんなこともあろうかと、予めお茶の準備をしていた。お茶請けもオッケーと。無難にもへじ生活のクッキーだ。匂いに釣られて、シルフィ達が来るがダメよ、まだ、おっぱいやろうもん。チュアンさんとミゲル君がゼリーで誤魔化す。まあ、釣れたのはシルフィ達だけではない。
『甘い匂いなのです~』
『私も食べたいわ~』
「ダメよ、夕御飯ご馳走にするけん今は我慢よ。皆さん、暖かいお茶ですよ」
通訳していたビアンカとルージュがすり寄って来たけど、デカイ鼻面を押し返す。
「ありがとうございますミズサワ殿」
ヒェリさんが大きな手で、カップを包むように持つ。
「菓子まで、頂きます」
「ありがとうございます」
ツヴァイクさんとエドワルドさんが丁寧にお礼を言って、クッキーを頬張る。あら、お菓子、甘味大好きケルンさん来ないけど。じっとオシリス達を見ている。
「おそらく、グリフォンに騎乗する姿を見たいんだと思います」
と、ヒェリさん。
「へー、何でです?」
「随分前ですが、ジューバと言う国で天馬(ペガサス)部隊の飛行を見た事がありましてね。その時、騎士達と交流したんですよ」
わお、やぶ蛇やっちゃった。
「隣国に攻めいられて滅ぼされてしまったのは?」
「ええ、話は聞いてます」
言葉濁したいけど。既にホークさんに天馬騎士(ペガサスナイト)の称号があるのはバレてるから意味ないかな? 馬に関する生まれつきの称号はジューバで発現しやすかったし、馬と接する機会に恵まれていたので、自然消滅することも少なかったそうだ。称号って、あってもちゃんと努力や訓練してないとすぐでないが消滅するからね。ジューバは馬に関する称号持ちにしたら、環境が適していたんやろうね。
「その頃、我々は違う国にいましてね。救助に駆けつけられなかったんですよ。随分知り合いが亡くなってしまいました」
ふう、と息をつくヒェリさんの顔は寂しそうだ、そして視線をホークさんに。
「ケルンは、きっと彼に、かつての友人達の姿を見ているんでしょうね」
そうなんだ。
ジューバの騎士団はペガサスや戦車馬(チャリオット・ホース)を抱えていた。おそらく、この大陸で今でもそれだけの馬達を抱えた騎士団はない。ケルンさんは、今でも救助に行けなかったのを気にやんでいるんやろうか? まあ、私でも、同じ立場なら悔やむよね。もう30年以上も前だけど、長命であるエルフのケルンさんにしたら最近の事かも。
しばらく黙って見ていると、オシリスが着地。イピオスさんとアグノスさんが色々チェック。ホークさんが通訳の晃太とビアンカとルージュを交えて話をしている。どんな具合かな?
見ていたら、どうやらシルフィ達がおねむだ。アリスにぴったり張り付いて眠ってしまった。あははん、かわいか。
のほほん、と見ていたら、オシリスがやおら体勢を変える。ホークさんに背中を見せて、お尻から寄っていってる。あら、どうしたんやろ。
晃太とホークさんが困惑しているようや。私はシートから立ち上がり、2人の元に。
「どうしたん?」
駆け寄ると、ホークさんが悩む仕草だ。
『乗れと言っているのです』
と、ビアンカが説明。
「え? いきなりできるん?」
『オシリスはいけるって言っているわ』
「ホークさん、どうします?」
「そうですね。オシリス本人が乗れと言うのであれば、チャンスだとは思います。騎乗してみます」
ホークさんはすぐに決断。
「気を付けてくださいね。オシリス、ゆっくり飛んでね、最初やけん」
「くうっ、くうっ」
任せろって感じかな?
『任せておけ、ですって』
あ、やっぱり。オシリスも表情豊かだから、言葉が分からなくてもなんとなくわかる。
ホークさんは早速ゴーグルを装着。
イピオスさんとアグノスさんに確認すると、鞍に問題はなく、実際に騎乗してから問題がないか確認したいそうだ。
『少し離れた方がいいのです』
ビアンカの注意が来るので、少し離れる。
「オシリス、頼むけん、ゆっくりね」
「くうっ」
だ、大丈夫よね?
「ミズサワ殿、まさか、今日騎乗を?」
ケルンさんまで心配してくれる。
「はい、オシリスがいけるって」
「そうですか……………」
ケルンさんの目に、懐かしさと寂しさと心配が浮かぶ。
ホークさんはいつもの様に、鞍に跨がり、手綱を握る。
だ、大丈夫よね?
私達の心配を他所に、オシリスはまずは地上を走り出す。流石ホークさん、まったくぶれなく騎乗出来ている。ノワールに比べたらゆっくりスピード。
バサアッ、と翼が広がる。
あ、飛ぶっ。
ぶわあぁぁぁぁっ、とオシリスがフル装備のホークさんの重みをもろともせず、空に舞い上がる。
うわぁぁっ、凄かっ。オシリスはゆっくりまっすぐ上昇していく。あ、あんまり高いと、ほら、圧とかさ。ホークさん、初めての飛行なのにまったく動じていない。騎乗主が慌てていたら、乗せてる対象も不安やろうなあ。あっ、なんや、私も乗らんといかんけど、ちょっと怖くなってきた。だって、数日間は訓練必要やろうなあって、たかをくくっていたし。いきなり、ユイさん、乗って見ましょうとか言われないかな? こ、怖かっ。
怖かと思っていたら、オシリスがくるん、と横回転。やめて、オシリス君や、余計な芸はせんでよかよー。くるん、くるん。
「流石称号持ちですね。初回でこのように乗りこなせるとは」
ケルンさんが懐かしさ溢れる眼差しで、飛行するオシリスとホークさんを見ている。
しばらくして、オシリスがゆっくり無事に着地。
「ホークさん、どうですか?」
「問題はありません」
ゴーグルを外すホークさん、動作がカッコよか。
「オシリスは? 私も乗ることになるけど、どう?」
「くうっ、くうっ」
『ユイくらいまでなら乗せられるのですって』
「そ、そうね」
「くうっ、くうっ」
オシリスが鞍を見せるように、お尻から私によってくる。うん、モコモコやから触りたか。よしよし。あははん、嫌な予感。
「くうっ」
『ユイ、オシリスが乗れ、と言っているのですよ』
あははん、やっぱりー。いきなり今日乗るとは思ってなかったけど。心の準備が。
だけど、せっかくホークさんがうまく乗れたから、勢いって大事よね?
「あんまり高く飛ばんなら」
「くうっ」
任せろって、言ってるんだよね、きっと。
まさか今日飛ぶとは思わなかったけど、私はオシリスに騎乗することになった。
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